ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
アスカの休日
リアス先輩の婚約を破棄されてから早三日過ぎた。
「アスカ、起きなさい」
「う、ううん。あと…3分……」
「早く起きないとキス…するわよ」
僕はその言葉を聞いて勢いよく起き上がる。
「おはようございます!リアス部長!」
「あら、起きなくても良かったのよ」
「い、いえ。あの…それと部長。服を着てください!」
「うふふ、良いじゃない。それに体には特に胸には自信があるのよ」
た、確かに女子高生とは思えない体つきだけど…。
「だ、ダメです!嫁入り前の女性が男性の前で肌を晒すなんて!グレイフィアさんに怒られちゃいます!」
「良いのよ、そのグレイフィアが居ないのだから」
確かにここにはグレイフィアさんはいない。だけど…。
「アスカ、そろそろ起きろ。朝食の準備ができたぞ」
「あ、うん。ちょっと待ってて!」
「あら、ティア。少し待ってなさい。私も手伝うから」
リアス部長が話すと僕の部屋の扉が壊れるんじゃないかってぐらいの勢いで開かれる。
「…アスカ、これは一体どう言うことだ?」
「え、えっと、その」
「あら、私が下僕の部屋にいちゃいけないのかしら?」
何故かわからないけど、二人の間に火花が散っているように見える。
「は、早く食べちゃいましょうよ」
「そうね、アスカ期待してちょうだいね」
「ふ、箱入り娘が料理など出来るのか?」
朝から元気だなぁー。現実逃避をしながら僕は階段を降りて顔を洗ったりした。
『王さまー。宝物庫の中身を見してください!』
『ふん、良いだろう。存分に我の宝物庫を見るがいい!』
朝食を食べ、家の事などを終わした。リアス部長はなんでも家の事で用事があると言うことで冥界へと、ティアはアルジェント先輩の使い魔であるラッセーを連れて何処かへといってしまった。
そして、僕は暇になったので神器の中にいる英霊と戯れることにした。
『へぇー、やっぱり子ギルより多いんですね』
『ふん、幼き我より中身が多いのは当たり前だ』
王さまにお礼を言って今度はエルキドゥの元へと向かった。
『ねえ、エルキドゥって性別とかあるの?』
『うふふ、マスターもそう言うのを気にするんだね』
『うーん、どちらかと言うと中性的な顔立ちだから気になっちゃって』
エルキドゥは神話上だと体が土で出来ている人形である。でも僕の目の前にいるのは人と何ら変わらない姿をしているのでちょっと好奇心を刺激されるのだ。
『僕は性別は不詳だよ。まあ、マスターは神話とかを知ってるみたいだから理由は想像はつくでしょ?』
『うん、質問に答えてくれてありがとうね』
さて、今度は誰と話そうか考えていると誰かがインターホンを鳴らした。
「うん、誰だろう?」
玄関へと向かい扉を開ける。
「こんにちは、アスカくん」
「あ、塔城さん。いらっしゃい」
「今日は忙しかったですか?」
「ううん、大丈夫だよ。さっきまで王さまとかと話していただけだから」
家にやって来た塔城さんを招き入れた。
「相変わらず、綺麗な部屋ですね」
「あはは、ありがとね。はい、麦茶で大丈夫?」
「はい、ありがとうございます」
お茶を差し出して、話をした。
「それで今日は何しに来たの?」
「アスカくんが暇だと思って遊びに来ました」
暇と言うのは確定なんだね。事実だけど……。
「それじゃあ、何して遊ぶ?」
「このゲームなんてどうでしょう。昨日、悪魔の仕事でいただいたものなんですが」
「うん、それにしよう」
丁度、僕の家にもWiiはあるしね。
こうしてリアス部長たちが帰ってくるまでの数時間を塔城さんと共にスマブラで乱闘して過ごすことになった。
アスカの休日end
アスカと黒猫の二年間
これは僕の中学一年の時の話。中学時代は部活動は文化部だったけど幽霊部員だったので放課後は家に早く帰っていた。
「ふぅ、今日は宿題とかないし図書館にでもいってようかな」
中学の時から両親は既に海外赴任に出ていた為、独り暮らしである。
そんなある日。
「ふう、そろそろ閉館時間だし家に帰らないと」
閉館時間が迫っていた為、読んでいた本を元の場所に戻して外へと出た。
「やっぱり、暑いなぁー。今日の夕飯はうどんにしようかな。…ん?」
薄暗くなってきていた為、最初は判らなかった。少しずつ近づいていくと怪我だらけの黒猫が倒れていた。
「死んではないね、お腹は動いてるし」
よーおく見ないとわからないけど、腹部が少し動いていた。これは呼吸をしている証だ。
「このままだと死んじゃうよね」
僕は優しく黒猫を抱き抱え急いで家へと帰っていった。
「待っててね。すぐに手当てをするから」
趣味が読書のため色々な本を読んでいる。その中には動物の手当ての方法がのっている物も読んでいた。
「ふぅ、こんなものかな?あとは目を覚ますのを待とう」
黒猫が目を覚ます前に僕も腹ごなしするために夕食を作り始めた。
「みゃあー」
「あ、起きたみたいだね」
翌日、丁度休日だったこともあり家のことを済ませたあとに猫の包帯を取り替えていると目を覚ましたようだ。
「あー、そんなに怖がらないで。僕は君を助けたいだけだから」
「ううぅぅぅ」
「大丈夫。何があったかは知らないけど僕は君の敵じゃないよ」
そのまま取り替え続けるとどうやら分かってくれたようで抵抗しなくなった。
「ふふ、良い子だね。それに毛並みが綺麗だし、飼い猫だったのかな?」
包帯を取り替えながらそんなことを呟く。
「さて、これで包帯の取り替えは終わり。それじゃあ、ご飯をあげるね」
僕は台所に向かい、昨日のうちに買っておいた猫のえさ(缶詰)を目の前においた。
「ほら、お食べ」
最初は警戒していたけど、よほどお腹が空いていたのか一口食べると凄い勢いで食べ出した。数十分後には缶詰の中はきれいになっていた。
「にゃあー」
「満足したのかな?でも良かったよ」
僕は背中を撫でてやると、気持ち良さそうにしていた。
「さて、これからどうしようかな。幸い家はペットを飼っても平気だけど、母さんたちが何て言うかな」
「にゃぁー」
「あはは、傷も治りきってないしこのまま飼っちゃおうかな」
僕はこうしてこの黒猫を飼うことを決心した。
「さて、まずは君の名前を決めないとね」
うーん。シンプルにクロとかだと味気ないよね。だからってこった名前にする必要もないし…。
そのまま数十分名前を考えた。
「よし、君の名前はヒメカだよ。お姫さまの姫に歌で、姫歌だよ」
「にゃああー」
「お、どうやら気に入ってくれたみたいだね」
こうして僕たちの生活が始まった。姫歌はいたずら好き。
「ああー、また僕の腕時計を隠したなぁ!」
「にゃー」
「くぅ、ふてぶてしいけど可愛いなぁ!」
姫歌は何故か僕のものをやたらと隠していた。構ってもらいたいらしい。
「うーむ、君はこの缶詰以外は食べないね」
「にゃぁー」
「うん、まあ高級感があるって言うなら仕方ないけど」
姫歌は気に入ったもの以外は決して口にしない。好き嫌いと言うよりかは食わず嫌いだ。
「うん?また僕と一緒に寝るのかい?」
「みゃあー」
「まあ、湯タンポ代わりで丁度良いけど」
「にゃあ!?」
冬の寒い時期に一度、一緒に寝てしまったことがあり、温もりとか覚えてしまったのか。いつも僕と一緒に布団に被って寝ていた。
「さて、少し匂うしお風呂入ろうか?」
「みゃあー!」
「そうかそうか、そんなに嬉しいか」
姫歌は以外と綺麗好きである。一週間に三回は洗っている。
こんな日々を二年間過ごしていた。だが、いつの間にか姫歌は何処かへと向かってしまった。
自由奔放な所があった為、すぐに帰ってくると思っていたがその日以降姫歌が帰ってくることはなかった。
「はぁ、あの子は今ごろどうしているのかな」
たまに思い出しては心配でたまらなかった。まるで一人娘の帰りを待つ父親の気分だよ。
「いつでも帰っておいで、姫歌」
僕はこのときまだ知らなかった。予想外の形で姫歌に再会することに。