ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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15話

リアスside

 

「アスカは目を覚ましたかしら」

 

私は今、新婦室にいる。そこでドレスに着替えさせられた。

 

「あの時、アスカは無理に力を使ったんだもの。そう簡単に目を覚ますはずはないわよね……」

 

アスカの事を考えると胸が締め付けられるような感覚に陥る。

 

「これが……」

 

胸の中にある言葉を口にすることはできなかった。わかっていてももうこれは叶うことはないのだから。

 

「でも、もしアスカが目覚めているのなら」

 

あの日の約束を守りに来るのだろうか。

 

「私の夢を守ってよ、アスカ………!」

 

私は必死に願った。アスカが来てくれることを…。

 

リアスsideend

 

オカルト研究部side

 

オカルト研究部のメンバーは会場にいた。

 

「アスカの奴、無理しやがって…!」

「イッセーさん」

 

メンバーはアスカがあの状態になった理由を聞かされていた。無理に神器の力を解放したことによるダメージが深く、いつ目覚めるかわからない状態であること。

 

「うふふ、イッセー君。大丈夫ですわよ。きっとアスカ君は来てくれますわ」

「そう…すよね」

「まあ、来なかったらお仕置きですわね」

 

うふふふと笑顔を浮かべる。それを見て一誠は怯えていた。

 

「アスカくんは大丈夫ですよね」

「うん、きっと彼なら大丈夫だよ」

 

小猫は不安そうな表情で聞いてくると祐斗は笑顔で答える。

 

「うふふ、どうやら諦めているわけではないようですね」

「ソーナ会長」

「彼は大丈夫ですか?」

「はい、ですが近いうちに目覚めるか分からないそうです」

 

ドレス姿で現れたソーナに祐斗は紳士的に答える。

 

「そうですか。アスカくんは来ると思いますか?」

「思うかじゃなくて、来ますよ。絶対に」

「幼馴染みの勘ってやつですわね」

「い、言えそうじゃなくて。その…」

「どうしたんだい、イッセーくん?」

 

なんだか、すごい顔してる一誠を見て皆ははてなマークを浮かべている。

 

「えっと、ですね。見ちゃったんですよ」

「「「「何を?」」」」

 

その場にいたアーシアに祐斗、朱乃、小猫、ソーナは聞き返す。

 

「その特訓の日にアイツが部長に誓うところをです」

「「「「誓う!?」」」」

「はい、アイツは部長の夢を俺たち眷属が守ると言いました」

「それがどうしたんだい?」

 

祐斗が不思議そうに聞き返す。

 

「アイツは誓いを建てると絶対にそれを守ります。どんなことがあっても絶対に」

「あ、あはは。それは考えすぎじゃないかな?」

「いいや、そうでとないぜ。何せアイツは英雄が宿っているんだからな」

 

一誠の言葉に何故か根拠はないが皆一応に納得してしまった。

 

「それじゃあ、アスカくんが来なかったら。アスカ君を殴り飛ばします」

「あらあら、でしたら私は魔法で追い討ちをかけましょうか」

 

二人の言葉に四人は苦笑いを浮かべた。

 

「なあ、木場。これって止めといた方がいいか?」

「あ、あはは。無理に止めたら僕たちに矛先が向きそうだね」

 

二人は決して止めることなく、そのまま流したのであった。

 

「さあ、冥界に名だかる悪魔の皆さん!お待たせしました!今日は冥界の、悪魔の歴史に刻まれるよき日になります!ご紹介しましょう、我妃リアス・グレモリーを!」

 

炎と共に現れたのはリアス・グレモリーだった。このとき彼女の瞳には涙が流れた。誰にも気づかれるのとがない涙を。

 

オカルト研究部sideend

 

「ねえ、ティア。こういう場合って派手に現れた方がいいのかな?」

「ああ、その方が良い。注意も引けるからな」

 

おお、ティアがこう言ってるし派手にやった方がいいよね!

 

使い魔と絆(ボーンズ・サーヴァント)modeセイバー!」

 

僕はセイバーにしてジークの力を使う。

 

『ジーク、派手に行くよ!』

『ああ、俺もあの悪魔に少し怒りを覚えている』

 

剣を強く握る。

 

「はあぁ!」

 

一気に斬り刻み、直後魔力を解放して斬られた扉を吹き飛ばす。

 

「な、何事だ!」

「一体どうしたんだ!」

 

おお、大騒ぎしてますね。なら、こっちもやることやりますか!

 

「リアス・グレモリー様の兵士(ポーン)藤丸アスカ!主であるリアス様を取り戻しに来た!」

「何をいっている、衛兵はどうした!」

「なに、あんな雑魚などアスカの相手をさせる必要などない」

 

後ろから現れたティアに会場が驚き始める。

 

「てぃ、ティアマット!」

「何故貴様がここに……!」

「なに、私はここにいるアスカの使い魔なのだ。ここにいては悪いか?」

 

更に騒がしくなる。まあ、仕方ないよね。龍王最強が目の前に現れたら誰もが騒ぐよ。

 

「さて、リアス・グレモリー様を返してもらおうか!」

「貴様ぁ!」

 

おお、怖いか押してますなぁ。

 

「ライザー様これは一体…」

「グレモリー卿もこれは…」

 

周りは慌ただしくなる。そこに一人の男性が現れた。

 

「私が用意した余興ですよ」

「お、お兄様!」

「サーゼクス様ッ!」

 

サーゼクスってことはこの人が現魔王の一人サーゼクス・ルシファー。明けの明星と呼ばれた悪魔。

 

「どういうことですか、魔王様」

「やあ、ライザー君。私も先日のレーティング・ゲームを見させてもらったよ」

「はっ」

「だけど、君は成人して何度もレーティング・ゲームに参加している。それに比べリアスはまだ成人していない上、初のゲームだった。これは些か不利ではないかな」

「つまり、ゲームは無効と言うわけですか?」

 

ライザーの問にサーゼクス様は首を横に振った。

 

「私がそれを否定してしまったら、レーティング・ゲームの意味がなくなってしまう。だから、今ここで君はそこの悪魔くんと戦ってもらえないかな」

「なっ!」

 

サーゼクス様の一言に会場全体が慌ただしくなる。それもそうだ。魔王でもあるサーゼクス様の一言は絶対に近いのだ。

 

「私は会場の皆さんに見せたいのです。聞けば彼の神器には英霊が、英雄が宿っているそうではないか。フェニックスと英雄。どちらが強いのか見てみたくありませんか」

 

周りはまた更に慌て出す。僕の中に宿っている英雄たちに恐れているかのようだ。

 

「良いでしょう、このライザー。結婚する前の餞にいたしましょう」

「さて、下級悪魔くん。君には褒美を授けたい。何が良い?爵位かい、それとも絶世の美女かい」

「サーゼクス様!下級悪魔に褒美など」

 

周りにいた一人の悪魔の言葉に低い声でサーゼクス様は反論する。

 

「下級だろうと上級だろうとこちらから頼んでいるのだ。それなりに褒美を与えるのが普通だ」

 

これがカリスマって言うのかな?

 

「そんなものいりません。僕はリアス部長を、主であるリアス・グレモリー様を返してもらえればそれだけで構いません!」

 

その言葉を聞くとサーゼクス様は他の人には分からないように笑みを浮かべていた。

 

「では会場は私が用意した。ああ、ティアマットは出ないでくれ。君が出てはバランスが悪いからね」

「ふん、最初からそのつもりだ」

 

あ、あはは絶対出るつもりだったよね。

 

「アスカ…」

「約束を守りに来ました」

「…バカっ!」

 

そういわれて抱きつかれちゃいました。

 

「リアス部長…」

 

早く離れてください。身に覚えのない殺気二つが突き刺さってきます。

 

「また、ボロボロになったらどうするのよ!最悪今度こそ……」

 

リアス部長が言いたい事はわかる。でも……。

 

「大丈夫です。今度こそ負けません」

 

僕はリアス部長の手を取り、騎士の誓いのように膝をつく。

 

「僕はここに誓います。主、リアス・グレモリーに勝利を捧げることを」

 

キザかな?さて、あっちも待ちきれないかもしれないからね。

 

「お待たせしました」

「ふん、お前の実力は認めてやる。だがな、お前はこの俺様に勝てることはできねぇ!」

 

転移されて場所はまるで中世の闘技場のような場所で、そこにはライザーだけがいた。

 

『それではライザー・フェニックス様対リアス・グレモリー様の兵士(ポーン)藤丸アスカの一騎討ちを始めます』

 

審判はどうやらグレイフィアさんと言う点は変わらないようだ。

 

『それではスタートです!』

 

合図と共に僕はセイバーの力を存分に使う。

 

「はあぁ!」

「ふん!」

 

ライザーは炎の翼を生やして、上空へと回避する。

 

「ハッ!飛べない貴様では俺には勝てない!」

「なら、打ち落とせば良い!リアス部長!ここでプロモーションの許可をください!」

 

映し出された映像を見るとリアス部長は頷いてくれた。

 

「プロモーション女王(クイーン)

 

さて、これで扱いやすくなったかな?

 

「changeキャスター!」

 

僕の服装はさっきまでの鎧ではなく、まるで占い師のような服装に変化する。

 

『この状態で禁手(バランス・ブレイカー)は可能?』

『ふん、貴様の好きようにしてみろ』

 

あ、あはは。王さまなりの許しなのかな?

 

「はっ、そんな姿になったところで貴様に勝ち星などない!」

「それはどうかな?」

 

僕は石板を用いて空間同士を繋げ、魔杖等の魔具を出す。

 

「やれ」

 

魔杖から放たれる攻撃をうまく避けているみたいだけどそう容易く続くかと思っているのかな。

 

「はっ、当たらなければ意味などないぞ!」

「確かに、でも当たらないなら当たるようにすれば良い」

 

石板の魔術を発動させる。

 

「なっ、なんだこれは!」

「拘束する」

 

文字の縄によって拘束されたライザーはそのまま落ちる。

 

「ぐっ、こんなもの!」

「簡単に解けると思うな!」

 

僕は一気に詰めより斧で攻撃し、円上に空間を繋いで魔具を出し、ガトリングガンのように回転させながら魔術を放つ。

 

「ぎゃぁあああぁぁぁぁぁ!なんだ、これは体がぁ!」

「効くだろう。それは僕お手製の不死殺しの概念が含まれる魔具が放つ魔術は!」

 

Aランクの不死殺しの概念を持つ魔具を作るのには結構魔力を持ってかれるけどね。

 

「調子に、乗るなぁ!」

「ぐわぁ!」

 

余りに高火力の炎を撒き散らされ、攻撃がやんでしまった。

 

「く、やってくれたな。このくそ下級悪魔が!」

「ぐわぁぁぁああああ!」

 

あ、熱い!まさしく業火だ。

 

「はあぁ!」

 

炎をなんとか振り払う。膝をつきながら息を整える。

 

「チッ、しぶとい奴が」

「それはお互い様だよ」

 

ヤバイね。さすがに調子乗りすぎたよね。

 

『マスター、僕が変わろうか?』

『大丈夫だよ、エルキドゥ。それにエルキドゥの攻撃はさいあくライザーを殺しかけるかもしれないからね』

 

光は悪魔にとって害だ。纏う僕には効かないかもしれないけどライザーにとっては害以外なんにでもならない。

マスター(おかあさん)、なら私たちが変わる?』

『ライザーが女だったら変わっててかも』

 

やっぱりここは…!

 

禁手(バランス・ブレイカー)を使うよ。王さま!』

『ハッ、好きにするが良い』

 

よし、許可ももらったし。行くよ!

 

使い魔との絆(ボーンズ・サーヴァント)mode caster(キャスター) Gilgamesh(ギルガメッシュ)禁手 (バランス・ブレイカー)!」

 

僕を中心に光輝く。そして僕自身もなにかが変わっている感じはしていた。

 

「ふぅ…」

 

ターバンのような服装に代わり、右手には鎧のようなものに石板には装飾が施されていた。

 

「ふ、ふはははははははは!たかが姿が変わっているだけか!?」

「それはお前の目で確かめてみろ」

 

僕は鎧がついた方の右手を翳すと…。

 

「なあっ!」

「射て」

 

ゲートの数が増え、ライザーに一斉発射する。

 

「ぐうぅ、数が増えただけでここまでとは…」

「数だけだったら良かったな」

 

飛んでいるライザーの背中の上に一つだけゲートを開き、魔具を使って魔術を放つ。

 

「があああぁぁぁぁぁぎゃあああぁぁぁ!!」

「威力も上がってるんだよ」

 

さすがにここまでとは思わなかった。

 

「まだだ、まだだ!貴様のような下級悪魔にぃ!」

「ぐっぅ」

 

火事場のばか力と言うのかな。ライザーの一撃が重くなった。

 

『おい、マスター。禁手(バランス・ブレイカー)はそう長くは続かんぞ』

 

長くは続かないんだ。なら、宝具を…。

 

『宝具を使う!』

『ふっ、良い判断だ』

 

なんだ、王さまって案外素直じゃないか。

 

「矢を構えよ、(オレ)が許す!至高の財を以てウルクの守りを見せるがいい!」

「ふっ、なんだ。今ごろ怖くなったか!」

 

ライザーの言葉を機に求めずに、そのまま詠唱する。すると辺りが暗くなり、僕の後ろにはウルクの国が、住民があらわらる。

 

「大地を濡らすは我が決意!王の号砲(メラム・ディンギル)!」

「な、なんだ!」

 

ウルクから放たれてきたのは無数の魔術の矢。それがライザーを襲った。

 

「があああぁぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁ!」

 

終わるとそこには傷ついたライザーがいた。

 

「き、さ…まぁ!」

 

僕はゲートを開く。

 

「分かっているのか!これは悪魔の未来にとって大切なことで、お前みたいな下級悪魔がどうこうしていいものじゃないんだよ!」

「そうですね。僕がやっていることは、悪魔の未来を潰す行為です」

 

確かに僕はこれからの悪魔の未来を潰すことになる。

 

「でも、一つだけわかっていることがあります。誰か一人が望まない未来なんて、そんなものは要らない!誰かが涙を流す未来なんて必要ない!」

「そんなものは、夢物語だ!」

「確かにそうかもしれません。僕が語っているのは夢物語です。でも……!」

 

突っ込んでくるライザーに向かって魔術を発動させる。

 

「この思いは決して間違いじゃない!」

「がああああああぁぁぁぁぁぁっ!」

 

ライザーは一発の魔術が当たると倒れ込んでしまった。

 

『勝者 藤丸アスカ様です』

 

グレイフィアさんの放送と共に会場が無くなっていく。それと同じくらいに妹のレイベル・フェニックスが兄を庇うようにたったいた。

 

「文句があるならいつでも来てください!その時は全力を以てお答えしますよ」

「…!!」

 

さて、そろそろ解除しないと。

 

「って…うわああああぁぁぁぁぁ!」

 

お、落ちるぅぅぅぅぅぅぅ!翼の出し方なんて知らないよ!

 

「…お疲れさまです、アスカくん」

「と、塔城さん…。ありがとう」

 

なんで、お姫様だっこなんだろう。

 

「お疲れさまですわ、アスカ君」

「お疲れさまだね、アスカくん」

 

労いの言葉をかけてくれる、姫島副部長に木場先輩。

 

「それじゃあ、えい…」

「って、ちょ、うわああああ!」

 

投げられた。塔城さんが僕を投げたよ!

 

「あれ?痛くない?」

「お疲れさま、アスカ」

「リアス部長…?」

 

なんと、今度はリアス部長に抱き締められていた。男としては嬉しいのですが、反面少し恥ずかしいです。

そのまま下に降りて、サーゼクス様の前に立つ。

 

「約束通り、リアス部長は返させてもらいます!それとすみませんでした!」

 

僕はそのまま数秒頭を下げたあと、皆のもとへと向かった。

 

「これは……?」

「グリフォンですね」

「あらあら、それでしたら部長はアスカ君に送ってもらいましょうか」

「え?僕ですか?」

 

えっと、僕なんかでいいのでしょうか?

 

「お願いしてもいいかしら、アスカ?」

「はい、リアス部長がそう望むのならば」

 

僕はそのままリアス部長をのせて皆より先に人間界に戻ることにした。

 

「ありがとう、アスカ。助けに来てくれて」

「いいえ、それにいったじゃないですか。リアス部長の夢は下僕である僕たちが守るって」

 

傷だらけだけで、一度死にかけたけど。

 

「それでも今回は破談にできたけど、次も同じようにいくとは限らないわ」

「確かにそうかもしれませんね…」

 

リアス部長は上級悪魔で、グレモリー家の次期当主だ。これからもこんな話が来るかもしれない。

 

「リアス部長が望まないであれば、何度だってゲームしてその度に勝って見せますよ。誓いましたから、勝利を捧げると貴方に」

 

そうだ、このヒトに誓ったんだ。勝利を捧げると。なら、勝っていかないとね。

 

「アスカ、ちょっとこっちを見なさい」

「え、なんですかぶ」

 

何が起きたかは一瞬分からなかった。でも、部長の顔がすぐ近くにあって唇には柔らかい感触。ここまで来ればわかるよね。キスされちゃいました。

 

「うふふ、私のファーストキスよ。日本では大切なヒトにあげるものなんでしょ」

「ふぇ、リアス部長、今のは」

 

頭がショートしそうになるけど、なんとかこらえる。

 

「リアス・グレモリーっ!!」

「な、ティア!」

「貴様、よくもアスカのファーストキスを!」

「あら、早い者勝ちよ」

 

あ、あのリアス部長。できれば今のティアを挑発しないでいただけないでしょうか。なんかヤバイ気がします。

 

「いい度胸だ!貴様を消し炭にしてくれる!」

「やれるものならやってみなさい!」

「ちょ、待って!今はやめて!ティアの攻撃を避けながらグリフォンなんて操れないから!」

 

僕の叫びむなし人間界に入るまでティアとの空中鬼ごっこが始まったのであった。

 

「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」




禁手についてですが、各サーヴァント似よって異なります。ちなみに服装などは第三降臨か最終降臨のどちらかになっています。

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