ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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14話

僕は今、正座させられていた。

 

『僕たちが怒っている理由はわかるよね。マスター』

『……はい』

 

正直、怖いです。ギル君はこれから先怒らせないようにしないと。

 

『まあ、あのときのマスターの心情は僕たちにも流れ込んできましたから、同情する余地はあります』

『ほ、本当!』

『だけど、あんな無茶な戦いかたは納得いかないよ』

 

ぐぅ、余地はあっても納得はされないのはわかっていたけど、僕もあのときはあれしか方法が思い付かなかったんだもん。

 

『はぁ、まあお説教はこの辺でお仕舞いにしときます。そろそろ、来る頃ですから』

 

来るって誰のことなんだろう?

 

『ハッ、過去の我に説教されているとは情けないな』

『ギル、そんな事をいっちゃダメだよ。僕たちのマスターに』

 

そこに現れたのは斧と石板を持ったギルに似ている男の人と僕と同じくらい中性的な顔立ちをしている緑髪のマントみたいな服を着た人だった。

 

『えっと、ギルこの人たちは』

『紹介するよ。このいかにも王さまぽいのが未来の僕で、クラスはキャスターのギルガメッシュ。で、こっちが僕の唯一無二の友でクラスはランサーのエルキドゥだよ』

『ふん、我もあの戦いを見ていたが不様な戦いをしおって。だが、賢王である我が来たのだ。敗北は許されぬぞ、マスター』

『もう、あまりきついこといっちゃダメだよギル。おっと、ギルは二人いるんだよね。じゃあ、子供の方のギルは子ギルでいいかな』

 

おお、まさか同じ神話の英雄が来ちゃったよ。しかも、一人は同一人物。

 

『えっと、もう一人のギルガメッシュの方はなんて呼べばいいかな?』

『ふん、貴様の好きなように呼ぶが良い』

 

なんと言うか、傲慢さが消えたから潔いね。

 

『じゃあ、王さまで良いかな?ギルだと被っちゃうし、一応三人?が出てる神話の物語は知ってるからね。再国した方なんでしょ?あと、傲慢が消えた王さまでしょ』

『ほう、我の事をよく知っておるようだな』

 

なんか嬉しそうだね。

 

『それじゃあ、エルキドゥはそのままで良いかな?』

『うん、僕はそのままで平気だよ。マスターはギルの事を知っているってことは僕の事も知っているんだよね?』

『うん、まあね。神々が作った土人形でウルクで最強の兵器でもあったんだよね。そして、ギルガメッシュと対等に戦い、唯一無二の友でもあるとか』

 

ギルからの説明にもあった事を混ぜて説明しちゃったけど平気だよね。

 

『それより、二人の能力と宝具について…』

『すまないが、その時間はないようだ。マスター』

『え、どういうことジーク?』

マスター(おかあさん)の意識がそろそろ覚醒しちゃうんだよ』

 

そんな時間か。……ん?

 

『そう言えば、僕ってどらくらい寝てたの?』

『三日ぐらいだな』

『み、三日!』

 

三日も寝ていたの!まあ、体に無理言わせてジークの宝具を使ったらから負担が凄かったんだと思うんだけど。

 

『二人の宝具は起きたときに軽く話すよ。それでいいですよね、キャスターの僕にエルキドゥ』

 

二人はどうやらギルの提案を承諾したみたいで軽く頷いていた。

 

「ん、ここは……?」

「どうやら、目が覚めたようですね」

 

横を向いてみると、グレイフィアさんが座っていた。

 

「グレイフィアさん、どうしてここに」

「あなた様に治療を施していました。リアス様の僧侶(ビショップ)の神器の力である程度回復した後に私が回復魔法を少しかけていただきました」

「そうですか」

 

体を少し見てみると、目立つような傷痕がないところを見ると本当のようだ。

 

「あのグレイフィアさん。リアス部長たちは…」

「ただいま、ライザー様が開いている宴の方へと行っております」

 

そうか、三日も寝ていたんだからそれだけことが進んでいるよね。

 

「行くのですか?」

「はい、僕はリアス部長を助けにいきます」

「全悪魔が貴方の敵になるかもしれませんよ。それでもですか?」

 

確かに僕がしようとしていることは全ての悪魔を敵に回す行為なのかもしれない……けど!

 

「僕は約束しましたから。下僕である僕たちがリアス部長の夢を守ってみせると。それに……」

 

リアス部長はあの時……。

 

「あの時、リアス部長は泣いていました。下僕である僕たちの為に涙を流していました」

 

そうだ、あの時リアス部長は泣いていた。

 

「泣いている女の子一人も守れないでいるのはダメなんです」

「何故守れないとダメなのですか?」

 

そんなの……!

 

「そんなの決まってます!僕は英雄たちを宿しているからです!どんな英雄たちにも守れるべきものがあった!大切な人たちや国、物があった!反英霊たちにだってそれはあった!」

 

多く神話や歴史を知っていくなかでその事を知った。

 

「だから、僕はリアス部長を助けにいきます。例え、それで悪魔が全員敵になったとしてもです!」

「……。ふふ、そうですか。サーゼクス様からもしもの時はひっぱたいてでも覚悟を決めさせろと言われてきましたがその必要はないようですね」

 

グレイフィアさんに渡されたのは魔法陣が両面に書かれている紙だった。

 

「あの、これは?」

「それを使えばリアス様たちがいる会場へと転移できます」

 

えっと、つまり僕に…。

 

「密入国しろと?」

「いいえ、それは魔王さまがかかれた魔法陣ですので、不法入国にはなりません」

 

魔王直々に書いたの!?というかそんなものを僕みたいな下級悪魔に渡して良いの?

 

「魔王様からの伝言です。『妹を助けたければ、殴り込んでこいだ』そうです」

「あ、あはははは」

 

魔王様からの殴り込みの許可もらっちゃったよ。

 

「はい!ありがとうございます、グレイフィアさん!それと魔王様にもそうお伝えください!」

「うふふ、はい。後程、お伝えしておきます」

 

グレイフィアさんはそれだけ言って魔法陣で何処かへといってしまった。恐らく、魔王様のところなんだろう。

 

『さて、僕たちの能力と宝具の力の説明をするよ。マスター』

『うん、お願いね』

 

早く説明の方をよろしくね。

 

『まずは我からだな。我は元々キャスターのクラスとしては向かないのだが、幸い我の宝物庫のなかにはAランク相当の魔具などを生成できる宝具があるためこのクラスになった』

『なるほど、魔具などの生成による攻撃ね。もしかして空間を繋ぐの?』

『それしか方法がないであろう』

 

なるほど、やっぱり同一人物ってだけで方法は変わらないね。

 

『後はこの斧でも攻撃はする』

『ほうほう、接近戦もすると』

『だが、我のクラスはどれもあまり接近戦は得意ではないから、期待はするなよ』

 

まあ、確かに子ギルもあまり接近戦が得意じゃないよね。

 

『そして我の宝具は王の号砲(メラム・ディンギル)だ。これは我だけではなく神代を生きたウルクの住人たちも出てくる。城から放たれるは宝具によって作られた矢だ。注意しろよ、この宝具は範囲が広い。故に仲間が前にいる場合は下げさせろ』

 

なるほど、範囲が広い分危ないのか。

 

『それじゃあ次は僕だね。僕は体その物が武器みたいなものだからね。こんな風にね』

 

エルキドゥの袖から天の鎖が出てきた。

 

『え、天の鎖?』

『ああ、マスターはこれの真名を知らないんだね。これは天の鎖(エルキドゥ)って言って僕自身でもあるんだよ』

『え、でもギルは』

『きっと、照れてるんだよ』

 

照れてるのかな?絶対違うと思うけど。

 

『それで僕の能力は体を万象の物に変えたり、足を地面とどうかさせることによってその場や森などを支配できるんだよ』

 

なるほど、もしかして土人形であることが概念みたいな形で能力に反映されてるのかな?

 

『それで僕の宝具は僕自身が宝具になる人よ、神を繋ぎとめよう(エヌマ・エリシュ)だよ。これは他の宝具と違って対粛清宝具って呼ばれるんだ』

『粛清宝具?』

『そう、僕は世界の抑止力と呼ばれるガイア・アラヤの力を自分に纏わせて光の槍となって攻撃するんだ』

 

光って僕、悪魔だけど大丈夫なのかな?

 

『纏うのはこの世界の抑止力だから平気だよ』

『心の中読むのやめてください』

 

ヤバイな。これはエルキドゥに向かって何か考え後とするのはやめよう。

 

『あ、あとマスター』

『ん、どうしたのギル?』

『僕たちの力を完全に解放出来るようになったよ。簡単に言うなら禁手(バランス・ブレイカー)ってところかな?』

 

ば、禁手(バランス・ブレイカー)だって!

 

『できるの!』

『うん、まあね。普段のあれは枷みたいなものだらかね』

 

枷ってあれで本気じゃなかったの。

 

『英霊ごとに解放することができるよ』

 

英霊ごとってことは英霊たちが増えれば増えるほど変わるってことだよね。

 

『まあ、簡単に言うと僕たちの姿が変わって能力と宝具が強くなるって感じだよ』

 

なんかあっさりしてるよ。

 

「ふぅ、さて!」

 

リアス部長を助けにいこう。今度こそ、リアス部長の夢を守って見せる!

 

「あ、アスカ!目が覚めたのだな」

「てぃ、ティア!」

「行くのか…?」

「うん、僕は行くよ」

 

ティアの顔に影が射す。

 

「なら、私も行こう」

「え?」

「何、私は露払いだ。アスカの邪魔などさせはしない」

 

はは、邪魔した悪魔の人たちは可哀想だよね。まさか、龍王最強のドラゴンの相手をするはめになるんだから。

 

「ありがと、ティア」

「ふん、なにアスカのためでもあるのだ。使い魔として当たり前の事をするまでよ」

 

こうして僕は紙に魔力を流した。


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