ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載 作:アゲハチョウ
僕といち兄は作戦通りに木場先輩と無事に合流することができた。途中でライザーの眷属が何人かリタイアした放送が入ったときは木場先輩の仕掛けた罠が決まったんだなと思った。
「小猫ちゃんのことは残念だったね」
「ああ、今日の小猫ちゃんはなんだかとても気合いが入ってたからな」
「…うん、そうだね」
木場先輩も塔城さんのことを放送で知っていた。
「それより二人は気づいているかい?」
「ああ、何人かこっちに来てるよな」
「ううん、僕たちと同じく隠れているだけだと思うよ」
そう、先程から気配が伝わってきているのだ。恐らくライザーの
「どうする、二人とも」
「いつまでもここにいるよりは先にこっちから仕掛けた方が良いと思います」
「俺もこう言う腹の探り合いって言うのか?そういうの苦手だからなぁー」
どうやら、僕たちがやるべきことは一つのようだ。
「それじゃあ、僕はモードを変えるよ。changeセイバー」
『よろしく、ジークフリート』
『了解した、マスター』
僕は鎧とマントに背中には剣を背負う姿になった。
「よっしゃあ!グレモリー眷属男子トリオであの焼き鳥野郎の眷属にめが飛び出るくらいビックリさせてやろうぜ!」
「うん、そうだね」
「うん、それじゃあ行こうか」
僕たちはそのまま表に出る。
「出てこい、ライザーの眷属共!俺たちが相手だ!」
《Boost!》
いち兄は倍増しながら前に、木場先輩は剣に手をかけて、僕は背中にあるジークフリートの愛剣を抜き構える。
「堂々と正面から敵の前に現れるなど、正気の沙汰とは思えん――だが!」
出てきたのは恐らく
「私はお前らのようなバカが好きだ!」
「「「……」」」
僕といち兄、木場先輩も思っただろうなぁ。ああ、この人も同じバカなのだと。
「私はライザー様に仕える
「グレモリー様に仕える
「よく言った!リアス・グレモリーの
おお、あっちはあっちで始めちゃったよ。と言うか、木場先輩って案外騎士道とかに忠実なのかな?
「…まったく、カーラマインの頭のなかは剣、剣、剣、剣。脳筋なのですから」
「ええっと、囲まれちゃったね」
どうやら、残りの眷属を全員引き連れてきていたようだよ。
「いち兄、とりあえず二人で頑張ろう」
「お、おお。そうだな」
少し圧倒されちゃったよ。
現れたのは金髪の縦ロールの少女に、仮面をつけたいかにも武道家見たいな女の人に、猫耳が似合っている双子かな?、それに大剣を背負っている女の人。たぶん
「それにしても随分と落ち着いているな、リアス・グレモリーの
「あ、僕も
「なに…!?」
あ、うん。この見た目だとやっぱり騎士に見えるよね。モードはセイバーだけど。
「そうか、なんだかすまないな」
「あ、いえ。おきになさらず」
まあ、仕方ないよ。間違えは誰にでもあるからさ。
「それでは行くぞ!」
す、すごい動きだよ。素手だけで彼処までやれるなんて。
「よそ見は」
「いけないにゃ!」
「ッ!」
ええ、なんで僕にだけそんな大人数で押し寄せてくるの!?もしかして初対面の時の事を根に持たれてる!?
「はあ!」
僕はセイバーの力を存分にとはいかないけど、ほれなりに使って相手をする。
「木場、合図したら神器を解放しろ!」
いち兄が何かするみたいだし…。
「せいっ!」
僕は剣である程度ライザーの眷属を後退させるとその場から急いで離れた。
「行くぜ、
《Transfer!》
「今だ、木場!」
「わかったよ、
す、すごい。地面に刺した状態で発動した木場先輩の神器が今までより強くなってる!
「イッセーくん、今のは…?」
「へへ、特訓の成果のお陰で俺が貯めた力を相手にも送れるようになったんだよ」
うわぁ、すごいなぁ。僕のって自分にしか使えないからもしもの時かに仲間である皆に力を送れないんだよね。
「さて、残りはお前一人だぜ」
「あら、私は戦いませんよ」
「「はあ?」」
どういう意味だろう。と言うか、どうしてここにいるの?
「自己紹介がまだでしたわね。私はレイヴェル・フェニックスですわ。以後お見知りおきを」
「え、フェニックスって……」
「お前はライザーの親戚なのか?」
「妹ですわ」
「「え、えええぇぇぇぇぇぇ!!」」
妹、sister!マジで言ってんの!というか……。
「「アイツは変態かよ(なの)!」」
実の妹を眷属にするとか変態じゃん!ほら見てよ。木場先輩だって苦笑いを浮かべているよ。
「お兄さま曰く『ほら、妹萌えーとか羨ましがる奴とかいるじゃん?まあ、形だけの眷属だよ』だそうですわ」
なんと言うか、あんな兄貴に付き合わせれているこの人のことが可哀想に見えてきた。
「まあ、それでも貴方たちではお兄さまや私には勝てませんわ」
「それはフェニックスが不死であるからかな?」
「それもありますが」
なにか言おうと仕掛けたそのとき、誰からか通信が入ってきた。
『た、大変です!皆さん!』
「どうした、アーシア」
どうやらアルジェント先輩からのようだ。でも、何処か様子が変だ。
『部長さんが相手の
何てこった!ヤバイ、部長がやられたら僕たちは一発で終わりだ!
「急ごう!」
「ああ、アスカの言うとおりだ!行くぞ、き…」
すると、今まで木場先輩がいた場所が急に爆発した。
『リアス・グレモリー様の
今の爆発は搭城さんのときと同じ…!!
「
「でも、可笑しいだろ!朱乃さんと戦ってあんな爆発出せるほど魔力が残っているはずがねぇ!」
そうだ!いくらなんでも可笑しすぎる!
「貴方たちが勝てませんわ。ユーベルーナにはフェニックスの涙を持たせてありますもの」
「フェニックスの涙だって」
「ええ、どんな傷すらも忽ち癒えてしまう、私たちフェニックス家の一部と言っても過言ではありませんわ」
そんなものを持っていたの?なら、姫島副部長はそれのせいで……。
「いち兄、急ごう!」
「ああ!」
「な、勝てないとわかりませんの!」
「勝てる勝てないじゃない。絶対に勝たないといけないんだよ!」
「アスカの言うとおりだ!」
僕といち兄はそのまま走って屋上へと向かった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
「諦めろ、リアス。お前では俺には勝てない」
「諦めないわ!」
リアスはそのまま滅びの魔力をライザーに向けて放つが効果はなかった。
「私を信じて戦っている下僕がいるのに私がここで諦めたらその子達に顔向けできないわ!」
そう、アスカがあの日私に言ってくれた。私の夢を眷属全員が守ってみせると。だから……。
「私は絶対諦めない!」
「はぁ、花嫁である君を傷つけたくなかったが」
ライザーが魔力を放つ。
「少しくらいなら仕方あるまい!」
「くっ!」
ああ、負けてしまう。この一撃を食らえば、私の負け。
『リアス部長!』
『大丈夫ですか?リアス部長』
『いつもの凛々しい貴方でいてください』
ああ、どうしてかしらこんな時なのにあの子を、アスカを思い出してしまう。
そうだ。私はあの子に…きっと…。
「てあ!」
「え…?」
「リアス部長、大丈夫ですか!」
「アーシア、無事か!」
「イッセーさん!」
危ない。あと少し遅かったらリアス部長にあの火の玉が当たるところだった。
「チッ!あのときの糞餓鬼ぃ!」
「申し訳ありません、ライザー様」
「良い、アイツは俺が直々に倒してやる」
「いち兄、
「ああ、大丈夫だ。それに丁度力もたまったみたいだしな」
それならよかったよ。
僕は剣を構える。
「行くぞ、ライザー!お前の相手は僕だ!」
「調子に乗るなよ、下級悪魔がぁ!」
僕は一気に距離を縮めて剣で薙ぎ倒す。
「その程度か!」
「くっ、無駄に回復力だけある」
一応、これは聖剣としての性質もあるはずなのに。やっぱり相手が龍じゃないとそこまで威力を発しない。
「ならchangeアーチャー」
『ギル、なにか良い方法はない?』
『不死殺しの宝具なら幾つかあるよ』
不死殺しの宝具ならアイツにも通じるはず!
「ふん、たかがこんな剣で俺を倒せると思うのか!」
「せい!」
僕は一気に射出するが、ライザーはものの見事に避けていく。
『ダメだ、まっすぐにしか飛ばせないんじゃ当たらない』
『マスター、アイツの回りにゲートを』
『わかった!』
僕はライザーの周りにゲートを作り、射出する。
「ぐかぁ!」
「よし!」
当たったけど、この方法は一回しか通用しなそうだ。
「天の鎖!」
「くっ、まだまだ!」
チッ!予想以上にしぶとい!
「がぁぁぁぁぁ!」
「いち兄!」
どうやらいち兄も苦戦してるみたいだ。
「ライザー様、これを」
「くっ、こうなったらギルの宝具を」
『ダメだよ、マスター!残りの魔力も少ないのにこんなところで宝具の展開なんて無茶だ!』
『それでも!それでも、やるしかない!』
『
ジャックがそう言う。
『もしかして……』
『ジャックの宝具ならあの
『他のモードにはなれなくなる』
ジークの言うとおりだ。残りの魔力的にもジャックの宝具を使えば確実に他のモードにはならなくなる。
『それでも良い!後はいち兄の協力してアイツを倒すしか方法がない!』
僕は意を決してチェンジする。
「changeアサシン!いち兄、あの女王は僕が倒すからライザーを少しの間お願い!」
「任せろ!」
やるしかない、いち兄を信じて、リアス部長のためにも!
「宝具
霧が僕を中心にライザーの
「ふふふふ、この程度で私を倒せるとお思いで!」
確かにこんな宝具じゃ女王を倒せないであろう。でも…。
「此よりは地獄。私たちは炎、雨、力――、殺戮を此処に」
「くっ、何処からで掛かってきなさい!」
さて、これで準備は整った!
「…
相手は僕を認識すら出来ずにそのまま消えた。
『ライザー・フェニックス様の
よし…、なんとかなった。あれで倒せなかったとしても呪いが発動して遅かれ早かれリタイアだったろうね。
そう、今は深夜と言っても夜。そして霧と女性。条件が揃っていたから彼処までの威力を発することができた。
「さあ、残るはお前だけだ!」
「チッ、ユーベルーナめ。油断しやがったな」
「行くぜ!」
「お前ら下級悪魔が二人係りで来ようとも俺に勝てるわけがない!」
ライザーが放ってくる火球を切り払う。ナイフがすぐにダメになった。
「最初はお前からだ!」
「ぐっ!」
「はあぁ!」
「チッ、邪魔だ!」
クッ、さっきの宝具の使用で相当体に負担が……!
「落ちろ、赤龍帝!」
「がぁあ!」
「いち兄!」
「イッセーさん!」
いち兄が吹き飛ばされる。そして僕がその隙にライザーに向けてナイフを投擲するけど、炎でナイフを溶かされる。
「どうした!さっきまでの威勢は!」
「くっ!こんの!」
「無駄だ!」
「ぐがあっ!」
ヤバイ、意識が……。
「ドラゴン・ショット!」
「!?」
いち兄が放った魔力弾を避ける。それが当たった校舎は吹き飛んだ。
「チッ、まだそんな力が残っていたとはな。だが、これで終わりだ!」
「いち兄、アルジェント先輩!そこから離れて!」
だが、僕が忠告したときには遅く二人は炎に包まれてしまった。
『リアス・グレモリー様の
くそ!
「残るは貴様だけだ!」
「ぐっ」
その後、ライザーは僕に向けて攻撃してくる。
「どうした、もう終わりか?」
「ガハッ!」
くそ、もう少し力があれば……。
「アスカ、もういいの。もういいから…」
「リアス部長…?」
「お願い、ライザー。
下僕を傷つけないで…!
それはリアス部長の心の叫びだった。あの特訓の日の夜に見たときと同じ顔をしている。
「ウオオオオオオオッ!」
「な、グハァ!」
「changeセイバー!」
「アスカっ!」
ダメだ!ダメだダメだダメだダメだダメだダメだ!リアス部長にあんな顔をさせちゃダメだ!
「邪悪なる龍は失墜し、世界は今落陽に至る――」
『マスター、やめろ!そんな事すれば肉体が持たないぞ!』
それでも構わないッ!今はこの男さえ倒せれば!
『『『マスター(おかあさん)!!』』』
ありがとう、三人とも。でも、これだけは……。
「譲る訳にはいかない!」
どうか、力を!
「撃ち落とす――
僕はそのまま宝具をライザー目掛けて降り放った。そしてそこで僕の意識は無くなった。