ハイスクールD×D~英雄の力を使う者~ 休載   作:アゲハチョウ

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12話

ライザーとのレーティング・ゲーム当日。今は各々で戦いに向けて準備を進めていた。

 

「なんだか、張り詰めていますね」

「まあ、何だかんだで僕たちにとって初めてのゲームだからね」

 

初めてってことはリアス部長も素人なのかな?

 

「初めてなんですか?」

「うん、まあね」

「…元々は成人した悪魔のゲームですから」

 

なるほど、成人した悪魔のゲーム。だから、リアス部長は猶予を申しで、それが許可されたのかな。

 

「すいません、遅くなりました」

「遅れてすいません、皆さん」

「大丈夫だよ、まだ部長と朱乃さんも来ていないからね」

 

確かにまだリアス部長と姫島副部長の姿が見えなかった。何かしているのだろうか。

 

「遅れてごめんなさいね」

「あ、リアス部長に姫島副部長。それに…」

「グレイフィアです、アスカ様」

な、なんだか申し訳ない。

 

「す、すいません。名前を覚えてなくて」

「いいえ、まだ二回しか会っていないので無理もありません」

 

確かにまだ二回しか会っていないけど、名前を覚えてないのは失礼だよね。

 

「リアス様、非公式とはいえ魔王様がお見えになっています」

「…そう。お兄様が来ているのね」

「え、お兄様?」

「あらあら、そう言えばアスカくんにイッセーくん、それにアーシアちゃんは知らなかったのですわね。現四大魔王のお一人である魔王サーゼクス・ルシファー様は部長のお兄様なのですわよ」

「「えええええぇぇぇぇぇぇ!!」」

「お、驚きです。まさか部長さんのお兄様が魔王様だなんて」

 

アルジェント先輩、驚きですとか言うレベルの話じゃないよ。これはすごい主の眷属になっちゃった。

 

「それよりこれからライザーとのレーティング・ゲームが始まるわ。朱乃、準備はできてるのよね」

「はい、部長。皆さん、あちらにある魔法陣の中に入ってください」

 

姫島副部長が指差す方向には大きめの魔法陣が描かれていた。

 

「それではお嬢様、どうか御武運を」

「ええ、ありがとう。グレイフィア」

 

転移するときにグレイフィアさんが見せた笑みは何処か慈しみを帯びたものだった。

 

「あれ?転移失敗ですか?」

「いいえ、アスカ。外を見てみなさい」

 

言われた通りに外を見てみると…。

 

「な、なんじゃこりゃあ!」

 

校庭にある柵の向こう側だけではない、空も何処か紫色を帯びたものに見えた。

 

「こ、これは一体何なんですか!?」

「悪魔の技術で作ったレプリカよ。本物とさほど変わった事はないわ。ただ場所が次元の狭間なのだけど」

 

次元の狭間?なんだろう、その中二心をくすぶる言葉は……。

 

『マスター、少し想定外の事が起きたよ』

『ギル…。どういう意味?」

 

突然ギルが喋りかける。

 

『この場所じゃ強力な宝具は使えないんだ』

『え?宝具が?』

 

宝具が使えない?それはちょっとキツいんじゃない。

 

『場所が少し不安定すぎるからかな?それに人数が多すぎるよ。マスターとあのライザーとか言う雑種を含めた眷属だけならまだしも、今回はマスターの仲間もいる。それだけの大人数を一つの空間に留めておくには相当な魔力が必要になる。そんな場所で僕やジークさんの宝具を使ったら…』

『使ったら…』

 

嫌な予感しかしないし、あまり聞きたくないよ。

 

『この空間が崩壊する』

『…崩、壊だって』

 

そんな…。それだと厳しすぎる。ジャックは一対一の宝具だ。それじゃあ戦力差がありすぎる。

 

『それだとギルの攻撃方法が使えないの?』

 

空間を繋いで射出するあの攻撃方法まで使えないとなると。

 

『使えるけど、そこまで強い宝具は出せないよ。数も今まで以上に少なくなる。最悪、天の鎖だけってこともあり得るよ』

 

天の鎖だけ、となると…。

 

『人数を減らしても無理かな?』

『どうだろ。いくら人数が減っても相手との人数の差が有りすぎるよ』

 

確かに、こっちはまだ全部の駒が揃っている訳じゃない。だけど、あっちは全部の駒が揃ったフルメンバーだ。

 

『時間をかけずに減らすよ。なるべくね』

『うん、たぶんそれが一番良い手だよ』

 

ここで一旦話をやめて、準備へと取りかかる。

 

「皆これを身に付けてちょうだい」

「あの、部長これは?」

「これは通信機みたいなものよ。これを使って私が指示したり状況を報告しあったりするのよ」

 

なるほど、これでやり取りするのか。慣れないからちょっと不安かも。

 

「それじゃあ、作戦を言い渡すわ」

 

そして、リアス部長の口から作戦内容が言い渡される。

 

「わかったかしら。それじゃあゲーム開始よ。貴方たちの力をライザーに見せつけてきなさい!」

「「「「「はい!!」」」」

 

さあ、いよいよあいつを倒すための戦いの始まりだ。

 

「体育館までご丁寧に作ってあるよ」

「再現力が凄いね」

「…それより早く中へ入りましょう」

 

僕といち兄、塔城さんは体育館へとやって来た。部長曰く、ここは重要な場所あるらしい。だから、ここをとれば僕たちも動きやすいと言うこと。

 

使い魔との絆(ボーンズ・サーヴァント)modeアサシン」

 

僕はジャックの能力を使うためにアサシンのモードになる。

 

「僕が先に偵察するよ。合図とともに二人は入ってきて」

「わかった。それにしてもアスカの神器っていいよ。使い勝手がよくて」

「まあまあ、いち兄は伝説の龍を宿してるんだから我儘はよくないよ」

 

僕はそのまま気配遮断の能力を使って中へと入った。

 

「本当にすごい神器ですね」

「ああ、それじゃあ小猫ちゃん。アスカからの報告を待とうか」

「そうですね」

 

イッセーと小猫はそのままアスカからの合図を待つことにした。

 

「なるほど、敵の数は三人か」

 

(恐らく、戦車(ルーク)一名に兵士(ポーン)二名ってところかな)

 

天井から推測して、イッセーたちに報告する。

 

「いち兄と塔城さん。相手の数は合計で三人。駒は恐らく戦車(ルーク)一人に兵士(ポーン)が二人だと思われる」

「わかりました、ではこちらはアスカくんの合図に従います」

「なら、まずは舞台裏まで気配を消して入ってください。そこから三秒数えてゼロの合図と共に奇襲をしましょう」

「「了解!」」

 

二人は僕の指示にどうやら従ってくれるみたいだ。

 

『ジャック、宝具を使うけど。大丈夫?』

『うん、マスター(おかあさん)の使いたいときに使えるよ』

 

そして数分後、どうやらいち兄と塔城さんが舞台裏についたみたいだ。

 

「それじゃあいくよ。3、2、1、0!」

 

僕の合図と共にいち兄はよく似た二人の女子の片割れを、塔城さんは戦車(ルーク)と思われる女子の相手をしていた。

 

「此よりは地獄。私たちは炎、雨、力ーー殺戮を此処に…解体聖母(マリア・ザ・リッパー)!」

 

僕は宝具を発動と同時に鉄骨を蹴り、一気に距離を近づける。

 

「な、一体どこから…」

「やあ!」

 

僕はそのままナイフで斬り、体を更に反転させながら相手にもう一度斬りつけた。

 

「キャアアアア」

 

宝具を使い終え、斬られた女の子はそのまま消えた。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士(ポーン)リタイア』

 

どうやら倒されると消えるみたいだ。まあ、無事なんだろうけど。

 

「おーい、アスカ!部長から合図来たぞ!」

「わかった!塔城さん!」

「…はい」

 

僕たちはそのまま体育館を抜けていく。

 

「な、ここを立ち去るつもり。ここは重要な場所のは…」

 

ドカーン!音をたてながら体育館は天井を貫く雷が落ちた。

 

「うふふ、上手くいきましたわね」

「はい、どうやらそうみたいですね」

 

撃破(テイク)。上手くいけば相手をまとめて倒せる戦略だけど、タイミングを間違えればこちらが危なくなる作戦だ。

 

「それじゃあ、次にい…」

撃破(テイク)

 

なんと塔城さんが爆発されてしまった。

 

「塔城さん!」

「あはは、やはり敵が油断しているときが一番の戦略ですわよ」

 

そこには恐らくライザーの女王(クイーン)である女性がいた。

 

「しっかりして塔城さん!」

「…うっ、もっと、部長のおやくに…」

 

そのまま塔城さんは消えてしまった。

 

『リアス・グレモリー様の戦車(ルーク)リタイアです』

 

そこに放送が入る。

 

「テメェ!よくも小猫ちゃんを!」

「あらあら、赤龍帝はいきが良いみたいね。赤子レベルの魔力のくせして」

「くっ!」

 

敵の女王(クイーン)がいち兄を挑発する。

 

「イッセーくん、それにアスカくん。作戦通りこのまま祐斗くんの元へと行って下さい」

「で、でも!」

「行こう、いち兄」

「アスカ!」

「大丈夫だよ、塔城さんの仇は姫島副部長がとってくれるよ。でも、もし副部長が負けたときは」

 

僕はありったけの殺気を込めた視線をあの女王(クイーン)に向ける。

 

「僕が殺す(倒す)から」

 

僕はそのまま作戦通りに木場先輩の元へと行く。

 

「ああ、アイツがキレちまったよ」

「あらあら、どうやら貴方は怒らせてはいけないメンバーを怒らせたみたいですわよ」

「……」

 

イッセーはそのままアスカの元へと走り、朱乃は戦闘体勢に入る。

まだまだ、ゲームは始まったはがり。ここからどうなるかは誰にもわからない。


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