とんだ転生者だなフザケヤガッテ   作:ホルンでごぜーます

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遅れました


僕のチート転生者~ある日の朝~

量子ワープとは、一見便利そうで便利ではない

明らかに柔軟さが足りないのだ

 

だってさ…

 

 

場所は指定出来ないんだもん

 

「うわぁぁぁ!!海にぶつかるぅ!!!」

 

「海に金属あるかな」

 

暢気なことを言っているが、どう考えても海にぶつかるのは時間の問題である

ちなみに水にはもちろん抵抗というものがある

水が1m少しあれば弾丸さえ止まるというのだから驚きものである

 

ちなみに1キロもあればからだはバラバラになるだろう

 

「あ、そうだ俺飛べるんだ」

GN粒子を噴射し速度を落としていく市原要

しかしそこには誤算があった

 

「あーーー、エルシー居ねぇ」

 

エルシュは海というものを見たことはなかった

見たことがあるのは金属の海…液体金属だけだ

 

なので金属という認識しかない彼女は逆に早く落ちていくのだ

 

「チッ…エルシー!!」

 

要はGNドライヴを全部使い、落ちていくエルシーに向かって突っ込んでいく

 

八個のGNドライヴを使ってでの救出…

 

それは早すぎた要の着水で終わった…

 

 

「…私も空飛べるって」

それをエルシュだけが眺めていた

 

 

 

 

 

結果から言って要は生きていた

 

「死ぬかと思った」

「死なないんじゃないの?

はいぱーなのすきんって奴があるんでしょ?」

 

「水の中だから危ないんだって」

 

要が助かったのはあれのおかげである

 

門矢士の生身の理不尽な耐久度

 

これである

 

当時はいらないと思っていた物も、今日という日に必要になろうとは要は思いもしなかった

 

まぁ、傷がついてもすぐに直るハイパーナノスキン

その傷を最小に押さえる門矢士の耐久

少しの時間があれば十六全に回復する魔力のようなもの

新型GNドライブ

攻撃を当てさせない量子化

最後の秘密兵器

・・・月光蝶

 

文明を終わらせたなんて大げさだと思っていたら大間違いの兵装

文明が滅ぶ?まだそれだけならよい方だ

 

本物の展開の限界は地球を包む大きさ

しかし要は太陽なら軽々といける

 

この能力を初めて使用したのはエルシュを見つけたときである

 

彼女はとある星で生まれたばかりだったのだ

そこから宇宙に出ているところをエネルギー吸収体に襲われた

 

吸収体は人間二人分の大きさの球体だ

当時のエルシュの約二倍だ

その数も絶望的の825

そこで本来エルシュは無くなるはずだったのだ

 

しかし、運命をねじ曲げるイレギュラーの存在が居たのだ

 

本来無いものが現れる意味は変わると言う現実を作り出すのだ

 

ひ弱なエルシュには目もくれず、市原要に近づく吸収体

 

なぜならエネルギーでいうならGNドライヴ八個と言う膨大な餌があるのだから

 

当時、力を持て余していた要は遊びを行った

 

粒子を噴出し、宇宙を踊り吸収体を一点に集めると

 

戸惑うことすらなく月光蝶を出した

 

月光蝶にふれ、恐らく金属体でもあったのだろうか吸収体は消えていったのである

 

しかし、月光蝶は展開し続ける

要本人の意志とは背き…

 

気付けばもう手遅れな所まで来ていた

そこらにあった隕石は無くなり、なおも大きくなる虹の光

 

光がこれほど怖いものだとは思いもしなかったと、のちに要は語る

 

そしてイレギュラーにはイレギュラーが憑き物だった

 

脳量子波で要へ助けてくれたお礼と、虹の光は何だとエルシュが伝えてくる

 

それと同時に要は理解した

 

自分がイノベイターとして覚醒していることに

少し考えれば当たり前だ

 

量子化できるのはイノベイターのみだ

要はこれ以上強くなることに軽い興奮と強い恐怖感に狩られる

 

当たり前だ、要はこの力をコントロール出来る物だと思っていた

現に量子ワープには成功している

その点は、イノベイターに成っているからなのだが…

 

そして、イノベイターとしての直感が要に語りかける

 

こいつ【月光蝶】は太陽の大きさになるぞ、と…

 

冗談じゃない、制御できない力は力とは言わない

焦りに焦った要は、止まれ、止まれ、と神に祈りながら月光蝶を止める、贅沢を言うなら消したかった

 

そして、脳量子波がイノベイターより高いELSがそれに気付かない筈がなかった

 

助けてくれた人が今度は苦しんでいる

ならば、助ける

 

まるで子供のような思いつきであった

確かに、お金は借りたら返す

殴ったから殴られたなどはある

それは地球の古代にある本にもあるように目には目を、歯には歯をだが…

 

恩はこれに入らない

入らないと言うより入れなくて良いものだ

 

何故なら自分が可愛いから

別の言い方は自分が大切だからだ

 

何故恩なんて返す?

下手をすれば自分が傷つく

ならば助けない方が良い

 

助けてくれた、いや助けた方が悪いと決めつけ、なに食わぬ顔でその場を離れるのが一番いいのだ

 

しかし、子供の精神…お人好しと呼ばれる人たちは違う

 

自分を傷つけてまで他人を救いたい

そこに邪な考えなどが入っていてもそれの事実は代わりない

 

エルシィはそのお人好しであった

 

光に当たらないようにミリ単位で動き、回避する

 

そして、エルシュを見て混乱している要を無視し、要の頭に自分の体をくっつける

 

その時要は、なんと綺麗な光景を見られただろうか…

エルシュの記憶は本当に綺麗であった

 

夢見る少女と変わらない

悪を知らないと言うほどの白さであった

 

ただただ、綺麗な星が映し出される光景に要は引きずり込まれ、次第に落ちついていき、月光蝶は消えていった

 

この時ばかりは運命を否定できない

 

もしエルシュが長生きしていたら自分は脳が駄目になっていただろう

 

そうしている内に、エルシュが要から離れた時であった

 

エルシュの姿がただの六角形から人へと変化した

その姿はアーミア・リーと言う名の少女と同じ物だった

 

 

 

 

これが二者の出会いである

 

そして、キィィィィ…ンと言う耳鳴りがさらなる出会いを示していた

 

要とエルシュは互いに目を合わせる

これだけで意味は理解できるのだ

 

そして耳鳴りのする方向へ…

 

月村家の屋敷へ向かった

 




エルシュの姿はアーミアさんというわけで一つ

要が場所を細かく指定できないのはちゃんとしたシステムではなく技として使っているためです

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