GOD EATER The another story.   作:笠間葉月

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…えー…
二ヵ月半ぶりの投稿ですね(((殴(--)
いやもう何と言いますか…リアルが忙しかったのもありますが、それ以上にRBの扱いが全く決まらず…こうしてお待たせすることになってしまいました。申し訳ありません。
何とか方針も決めることが出来ましたので、本日の投稿終了時に報告させて頂きます。


α07.波立つもの

 

波立つもの

 

ジャヴァウォックの消滅から三日が過ぎた。結局、そのジャヴァウォックそのものからの影響は私達にはほぼなかったんだけど……

 

「どのルートもアラガミが進行中です。ここで待機するか、このまま進んでいずれかの群を一掃していくかになりますが。」

「待つとしてどのくらいかかるか分かるか?」

「最低でも一週間。欲を言えば二週間、ここに留まる必要があります。」

 

ジュリウスさんとフランさんが話しているのは、ここから極東支部までのルートについて。ジャヴァウォックを気にかける必要もなくなり、今までより速度を上げようか、と、元は考えていたそうだ。

けど、あのアラガミの消滅から半日もしない内にアラガミの大移動が始まった。お義母さんが言うには、ジャヴァウォックを恐れてこの辺りを離れていたアラガミが戻ってきたのかもしれない、とか……結局立ち往生してしまっている。

少しずつ討伐していると言っても如何せん数が多く、今日もギルさんとエミールさんの同行の元、ウコンバサラ二体の討伐任務に当たる予定だ。

 

「長いな……群全ての規模は?」

「禁忌種を含め大型三体を中心とし、中型種は約十体、小型は五体ほどの固まりになりつつ散開しています。数としては数十体に及ぶと、偵察班からの最新の報告にありました。」

 

ジャヴァウォックが出現している間中、なんか嫌な空気だなあとは思っていたけど……アラガミにとってはもっとひどいものだったのかな、なんて……ちょっと的外れなことを考えつつ階段の上にいるジュリウスさんをぼんやりと見つめる。昔はあまり見せなかった、少し怖い真剣な顔。

 

「悪い。待たせたか?」

 

エレベーターが開く音から一拍遅れてギルさんの声が耳に届いた。あとはエミールさんだけだ。

 

「大丈夫です。……えと……エミールさんは?」

「討伐対象の資料を読んでから行く、だとさ。すぐ来るだろ。」

 

……どうせなら昨日の内に読んでおいてほしかったなあ……

 

   *

 

「よいしょっ!」

 

飛びかかってきたオウガテイルをハンマーで弾き飛ばし、その後ろから発射されたグボロの水球を余裕を持って防いだナナ。彼女が同行者となった任務もそろそろ二桁……強くなるわけだ。

 

「よしナナ!そろそろ終わらせるぞ!」

「うん!」

 

ナナをねらって再度充填を始めた砲塔を叩き割り、それに呻いた隙をついて歯を数本吹き飛ばす。同じ隙をナナも見逃さず、背ビレを壊した。

まだ深入りしすぎることもあるけど……この調子じゃあいつか抜かれるんだろうな……

 

「とどめっ!」

 

砲塔の割り口から刀身全体を突き刺し、そのまま上へと切り開いた。そこまでで絶命したグボロのコアを、着地したばかりのナナが回収する。

 

「ナナ、お疲れ。」

「ロミオ先輩もねー。」

 

片手を挙げたナナに答えつつフライアへと通信を入れ、帰投準備を進める。俺とジュリウスだけだったらかなり苦しくなっていたであろうこの状況も、何だかんだとこなせている。

 

「討伐完了。ヘリ出せる?」

「了解しました。」

 

ナナも結意も上達が早くって、何かすぐに俺を越えそうだ。……それが微妙に不安でもあるわけで……

 

「ロミオ先輩。回収終わったよ。」

「ん?あ、サンキュー。」

 

まだ一回一回の数は少ないけど、こうも連日出撃するようになると疲れも溜まってくる。ナナの顔にも微妙に隈があるし、かなりのハードスケジュールになっていることは間違いない。

とんでもないエースがいればいいのにな……そう考えずにはどうしてもいられなかった。

 

   *

 

すでに戦闘音が響いている廃工場エリア。たぶんエミールさんだろう。

 

「目標は二体だ。もう一匹を探すぞ。」

「はい。」

 

ギルさんの後に続いて走り、フライアから送られる反応を追いかける。戦闘音とは反対側のようだ。

降下地点から数百メートルを走った辺りでウコンバサラを見つけた。手で合図を出し先攻したギルさんに続き、私も切り込む。

 

「深入りしすぎるな!」

「はい!」

 

彼に戦闘指南を受けるようになってからよく言われるのが、いくらショートだと言っても突っ込みすぎ、ということだ。どうやら私には戦闘になると興奮する癖がある……というか高揚してしまうようで、もう一発もう一発と考える内に回避できない位置まで入ったりしているらしい。実際にそのせいで大きめの攻撃をくらったこともあるし……

 

「さっさと下がれ!来るぞ!」

「っ!」

 

……そう。例えば今のように。

 

「あうっ……」

 

かろうじでガード出来た、は、ガードしていないのと同じだ。ジュリウスさんにもよく言われることなんだけど……

ほとんど吹っ飛ばされるように防いだ私と入れ替わりで仕掛け、無理のないところまで攻撃した後すぐに離れたギルさん。……要するに、私はその正反対に見えているわけだ。

 

「終わりだ!」

 

串刺しにするように突き出された槍がしっかりと胴を捉え、力ない叫びと共に目標が完全に停止。ひとまず戦闘終了だ。

 

「……その……すみません……」

「気を付けろ。相手が相手ならもっとまずいことになる……分かってんだろ?」

「はい……」

 

また怒られちゃった……早く直さないとなあ……

 

「あいつは……まだあそこか。行くぞ。」

「あ、はい。」

 

走り出したギルさん。やっぱり、一日二日で追い付けるようなものでもないんだと……最近はよく思う。

そのギルさんだが……角を曲がったところで唐突に立ち止まった。

 

「……何やってんだあいつ……」

「え?」

 

視線の先にあったのはウコンバサラに飛ばされるエミールさんの姿。正面から突っ込んでは正面から弾き飛ばされるというなかなか器用なことを続けているようだ。

 

「くっ……!闇の眷属共!」

 

……けんぞく?

 

「あの……ギルさん。けんぞくって……」

「何かしらの配下にいる奴のことだ。……正直こんな単語を直に聞くとは思わなかったんだが……」

「覚悟ッ!ぐふぉあああ!」

 

真っ正面から突っ込んで、真っ正面から弾き返されたエミールさん。……って……え?

 

「……ウコンバサラへの正攻法って……」

「ああ。複数相手ならともかく、一対一なら横から攻めるもんだ。」

「ですよね……」

 

私でも正面からは行かないのに……ギルさんも呆れ顔だ。

 

「……なかなかやるな……だが!今度はこちらの番だ!」

 

どう見てもまた正面から飛び込む構え。これは……止めた方がいいのかな?でも何だか……

 

「エミール・スペシャル・ウルトrあああああ!」

 

ある意味、この先を見てみたいきもする。当然、エミールさんが本格的に危なくなったら飛び込まないといけないけど、でもそれまでは……

 

「チッ……一人で突っ走りやがって……おい結意。さっさと片付けるぞ。」

「ここは僕に任せてくれ!ここは僕のっ!僕の騎士道を、君たちに示してみせる!」

 

私にはエミールさんほどの決意がない。お義母さんから適合者だって言われて神機使いになって、ジュリウスさんにちょっとでも認めてもらいたくて頑張って。戦うことに関してはあまり強い決意とかがないのだ。

それだけに、と言うか、エミールさんの戦う理由みたいなものを見てみたい。

 

「いいだろう……こちらも死力を持って相手してやrぐああああ!」

 

……見て……みたいんだけど……

 

「お前の騎士道とやらに付き合ってる暇はないんでな。さっさと終わらせてもらうぞ……?」

 

気が付けばギルさんの着ている上着の裾を引っ張っていた。それだけで察してくれたのか……

 

「……勝手にしろ。」

 

と、完全に呆れ果てているのを隠そうともしない口調で言いつつ止まってくれた。

 

「ゴ……ゴッドイーターの戦いは……ただの戦いではない……」

 

息を切らせながらそう語り出した。ギルさんの表情は変わらないままだけど、少しだけ肩の力が抜けているように思える。

 

「この絶望の世に於いて!神機使いは!人々の希望の依り代だ!」

 

考えたこともなかったなあ、と、心の中で小さく笑った。自分が人に必要とされる存在だなんて、これまで考えたことも……

 

「正義が勝つから、民は明日を信じ!正義が負けぬから皆、前を向いて生きる!」

 

でもそれが、エミールさんの戦う理由。私にはたどり着けないかもしれないところにある、どこか高尚な決意なんだろう。

 

「故に僕は……騎士は……!絶対に……倒れるわけにはいかないのだ!」

 

ウコンバサラの突進を上に飛び上がって回避し、そこから頭に向かってハンマーを振り下ろしていくエミールさん。吸い込まれるようにして入ったその一打は、ただそれだけで相手を絶命させていた。

 

「……フン。バカなりに、筋は通ったやつみたいだな。」

「や……やったぞ……騎士道の、騎士道精神の勝利だ!」

 

にしても……この二人って、気が合わなさそうだなあ……

 

   *

 

「ラケル博士。ここからのルートについて相談がある。」

「何?入ってらっしゃい。」

 

いつも通り大量の機器を操作していた博士。いつ見ても計器類に押しつぶされそうな部屋だ。

 

「何かあったの?ジュリウス。」

「まだ何も。ただ、この先はどうルートを取ったとしてもアラガミの群とぶつかるしかないらしい。」

「それで私に相談しに来た、というわけね?」

「ああ。」

 

ちょっとした集団程度なら突き抜けていけるだろうが、今回はそうもいかない。鼓とナナにとっては初の大規模戦闘になることも考えると、少しでも安全な方を採りたいところだ。

 

「現状このフライアがまともに進めると思われるルートは四本。その内の一本は一度引き返して回り道をする、だけれど、それはしないことにしたのかしら?」

「俺はともかく、職員やロミオに長旅の疲れが出始めている。ここに停留しているせいもあるだろう。そう考えると、引き返すのは手段から外した方が良い。」

「それなら一番最初の予定進路を進めば問題はないでしょう。私個人の見立てだけれど、このルートが一番アラガミとの戦闘が少ないはずよ?」

「そうか……」

 

……博士の意見も踏まえて、もう一度フランと相談した方が良いかもしれないな……そんなことを考え始めたときだった。

 

「ラケル。グレム局長がお呼びよ。……あら、ジュリウス。最近あまり見なかったわね。」

「最近はあまりこっちに顔を出していなかったからな。……では、俺はこれで。」

 

レア博士もそれほどこっちに来ている素振りはないが……それ以上に俺が来ていないのが原因だろう。

……今は無事に極東支部に着くことが目的だ。それ以外をその上として考える必要はない。




…久しぶり過ぎて前書きと後書きが書きにくい…

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