GOD EATER The another story.   作:笠間葉月

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こんにちは。え?はえーよホセ?
…ドヤァ(殴ってよし

というのは冗談と致しまして、ちょいとばかり告知したいことがございまして。活動報告にもぶっこむ予定ではありますがこちらにもと。
ですので今回はチャプター単位での投稿ではなく、一話のみ投げ込む形となります。ご了承くださいな。


Chapter 7. 偏執病
被虐的な嗜虐


被虐的な嗜虐

 

お父さんが嫌いだった。

 

『渚!どこにいる!』

 

お父さんは時々大声で叫んだ。

 

『くそ……おい!渚は!』

『お姉ちゃんはお買い物だよ。お父さん。』

 

お父さんはよく私を殴った。

 

『俺はお前の親父じゃない!お前に親がいるものか!』

『じゃあ、なんて呼べばいいの?』

 

お父さんはいつも私を見て、怯えた目をした。

 

『うるさい!話しかけるな!』

 

お父さんは、お父さんは。

とにかく殴りつけてくるお父さんは、私が痛がらないでいるともっと殴った。

 

『痛いだろ!痛いって言えよ!』

『痛くないよ?』

『そんなわけないだろうが!この化け物が!』

 

痛い、と、一言言ったところで止まりはしないだろうに。化け物のくせに痛いわけないだろう、とか、返答があるに決まっている。

最初の頃は本当に痛かった。一番初めは三歳になる前だった。

痛い、痛いよお父さん。なんで殴るの?私何もしてないのに。

泣いたし、叫んだ。お父さんはやめてくれなかった。

 

『あ、折れちゃった。』

『なぜだ!なぜ何でもない風にいられる!』

『何でって、何でもないからだよ?』

『だからそんなわけないんだよ!』

 

その内、痛いと思うことはなくなった。私じゃない私が痛いを持ってってくれるようになった。

“私”は小洒落た雰囲気と芝居がかった仕草で、初めまして鼓結意。鏡の向こうは苦しそうだねえ。なんて。

本当に鏡の中から話しかけてきたものだから、私は“私”に、バンダースナッチと名付けた。

なにせ私は化け物らしいし、ならアリスじゃなくジャヴァウォックがお似合いだから。化け物は化け物とダンスを踊るのがいいと思う。

 

「ちなみに鼓渚は、自分の母親にアリスと名付けた。」

【うん。】

「ジャヴァウォックはまあ、偶然だ。だが偶然は得てして必然の重なりでもある。てめえら家族に縁深いアラガミがその名を得たのも、ある種の必然だったろうさ。」

【うん。】

 

今、“私”は私の表にいる。私は“私”がいた鏡の中に。

“私”は私の望みを叶えてくれる。

 

「その通り。あたしはあんたの望みを叶えるためにいる。どうだい?五年前の深層心理が表層に昇った感想は。」

【分からない。でも、なんだかスッキリしてる。】

「なぜ。」

 

“私”は私も知らない私を知っている。

 

【お父さんを殺したのも、お姉ちゃんを殺したのも、ちゃんと私の殺意だったって気付けたから。】

「そりゃ絶望するとこだろ。」

【ううん。私のこと、自分で分かったことが嬉しいんだ。だからスッキリした。】

「……まあ、人って生き物は、自分自身の考えすら表層部にあるもの以外知覚することはない。ある種の自己防衛だ。ガチの本音ってのは、時に自我を破壊する。」

 

何より、私を人間だと言ってくれる。

十四年生きてきて、そう言ってくれたのは“私”だけだった。お父さんはもとよりお姉ちゃんすら口を噤み、お義母さんも本当の意味でそう告げたことはない。

 

「それで?望みは?」

 

だから、私が知覚する私の最大限で、接していられる。

 

【こんな世界、壊して。】

 

私に出来ないことだって、彼女には出来てしまうから。

 

「っくく。ああ。あんたの望みはきっちり叶えてやる。」

 

まあ、お酒飲むのはちょっと頂けないんだけど。

でもきっと、心の奥底では飲んでみたいなあとか、考えていたんだろう。

 

「せっかくの大舞台だ。華々しくいこうじゃねえか。」

 

   *

 

ロミオ・レオーニ。ブラッド隊員だという彼の葬儀が行われる中、私は満足に動かせない体と一緒に寝転がっていた。

正直危なかった。最強をなめるな、とか格好付けておきながら、彼が発した感応波に止まりかけたんだから。

あれはおそらく、オラクル細胞なら分け隔てなく不活性化させるに違いない。私が止まらずにいたのだって力業だ。

 

《補充はまだかかるよ。けっこう落としてる。》

【何割くらい?】

《現状、四割が完全消失。回収した内の半分は今も不活性……一回捨てちゃった方が早いけど、どうする?》

【分かった。お願い。】

《はいはい。じゃ、喪失量は六割と。さすがに九割方吹っ飛ぶと面倒だね。》

 

バリア表層から感応波を発生し、相殺する。それでも表層から中層までは影響を受け、不活性化しては追加する鼬ごっこだった。

範囲が範囲だったせいで被害は膨大なものとなり……身体機能の動力源でもあるオラクルは、平時と比べて枯渇しているに等しい。

要するに動けないのだ。

 

「それで、行かなくていいの?」

 

ただ、彼女は違うはず。

 

「……ブラッドとまともに面識があるわけじゃないし。いいでしょ。別に。」

 

確かに感応波の影響下ではあったろうが、私のように、放出したオラクルを失ったわけじゃない。純粋な不活性化。区分としてはただの疲労だ。

その回復も、二日あって間に合わないものではない。と言うか私が寝ている間に復調しているはずだ。

 

「結意ちゃん、だっけ?その子は……」

「その話はしないで。ブラッドにも、何も言ってない。」

 

実のところ、あの騒動からこっち、何があったかまともに聞いていない。一度目は覚ましたけど、会話が出来る状態でもなく、近場に最高品質の枕があったからそのまま熟睡したし。

ようやくある程度回復して起きてみれば、横に渚がいる他誰もいない上、支部内にソーマがいないみたいだったし。

……と言うか、中央施設までしか探知出来ないっていろいろ……さすがに無茶し過ぎただろうか。

 

《小言でも聞く気になった?》

【……何時間続くか分からないからやめとく……】

《よろしい。まあでも、今回はそんなに怒ってない。暴走じゃなかったし。》

【あはは……そんなに、なんだ。】

《やっぱり言ってあげようか?》

【ご、ご容赦を……】

 

ロミオの葬儀が執り行われる、というのも、渚から聞いて初めて知った。もっとも、開始時刻はまだ先らしい。

だから行かないのか、と聞いてるんだけど……

 

「その……何かあった?」

「……」

「何なら、ブラッドの人達に聞いてみたら?ギルには会ったことあるけど、けっこういい人……」

「うるさい!」

 

事情が分からない今、どうも何を言うべきか見えてこず。どうやら怒らせてしまっているようで。

 

「同じ姉って境遇だったからってアドバイス?誰も彼も神楽みたいに出来るわけない!だいたい神楽は、ソーマがいれば何だって良いんでしょうが!」

「あ……」

「毎度毎度偉そうにさ!何が分かるの!何知ってるの!私正しいですみたいな顔していちいち指図しないで!」

 

見事に逆鱗に触れたのか、そのまま出て行ってしまった。

 

【ソーマがいれば何だって良い……かあ。】

《実際、そういうとこはあるでしょ。世界とソーマを天秤に掛けたらどっち取るわけ。》

【うん。分かってる。図星ってけっこう来るね。】

 

今はもう、家族と呼べる人は彼しかいないから。

結局のところ、彼を特別に思う理由はそこなのだ。半アラガミだから惹かれたのが事実でも、今はただ、家族であることが何より大切で。

だから渚には、私と同じ思いをしてほしくはない。二人とも生きているんだから、別れる必要も何かを諦める必要もないじゃない。

……やっぱり、エゴなのだろうか。

 

【……もうちょっと寝ておくよ。いろいろ、お願いね。】

《はいはい。》

 

   *

 

「一応彼女も民間人なのだから、あまり気安く入らせてはいけませんよ?ジュリウス。」

 

ロミオは彼の性格を表すかのように、神機使いを始めとし、フライアの職員、アナグラの人員に至るまで、これほど人がいたのかと思うほど大勢に見送られた。

そこに鼓の姿はなく、俺自身満身創痍と言って過言でない格好での出席。叶うなら、ブラッド全員で見送ってやりたかった。

 

「彼女の歌……いや、彼女自身をかもしれないが、ロミオはずいぶん気に入っていた。彼女には俺が無理を……」

「分かっています。形だけでも窘めなければいけない立場なのです。」

 

葬儀の最中、ラケル博士から声をかけられた。

俺の望みへの一番の近道がある、と。

 

「ロミオも結意も、あなたやブラッドの皆を好いていたのですね。ずっと一緒にいたいとよく言っていました。」

「……鼓は、今?」

「昏睡状態にあります。……面会は出来ませんよ?」

「……ああ。」

 

俺の望み……ブラッドが発足してから変わっていないそれは、ある種の誓約だった。

隊員を誰一人として死なせない。そのために腕を磨き、これまで戦ってきたはずだった。

だが、現実はどうだ。一人が死亡。一人が昏睡だと言う。原因など聞かずとも分かる。俺がこうして生きているということは、彼女が死力を尽くして守り続けたということだろう。全く、何が隊長だ。

 

「……あなたとこうして話すのは、存外久しぶりだ。」

「ふふ。あなた達が極東に入り浸っていたんでしょう?」

「ああ。それで……」

 

彼女の言う、近道とやらがあるのなら。

俺はそれに死力を尽くさなければならない。

 

「無人神機兵の教導。つまり、新任の神機使いへの教育のようなものを、神機兵に対して行う。もちろんそのままでは出来ませんから、専用の機材と、あなたの血の力が必要なのです。」

「俺の?」

「……端的に言ってしまえば、神機兵単体での戦闘能力はベテランの神機使いに匹敵します。しかし現状は神機使いに未だ大きく劣る。問題点は複数での連携が出来ていない点にある。となれば……」

「……集団を関連づけて動かすことで連携をサンプリングし、そのシステムを構築する、と……」

「ええ。とは言え、単純に人が指示を出しているのではリアルタイムの動作は難しい。だからこそあなたの血の力で、連携方法を学ばせるのです。」

 

無人神機兵は、神機使いに変わる人類の守護者としてこれまで期待されてきた。

理由は明白だ。神機使いや有人神機兵と違い、人名が危険に晒されることが極端に少ない。言ってしまえば人もリソースであり、その量が大きく限られている以上、損耗は少なければ少ないほど良い。

だからこその無人制御だった。だが先日の原因不明の停止など、問題は山積している。

……逆に言えば、それらの問題さえクリアしてしまえば、無人神機兵は実働レベルまで持っていけるはずなのだ。

 

「それさえ済めば、神機兵は完成するのか?」

「正直なところ、他にも問題はありますが。約束しましょう。あなた達のためにも、完成させてみせるわ。」

 

神機使いが戦場に出る必要が、なくなるはずなのだ。

 

「……分かった。何をすればいい。」

 

ならば俺は、地獄にも堕ちよう。




さてさて。
えーとですね…皆さん。
GOD EATER ONLINEがアンドロイド端末へもう配信されてるのご存知です?()
2ch本スレ常駐民ってこともあって、そこそこ情報が早かったのですが…いやもうほんと、配信日くらい告知しろや阿呆(げふげふ
事前登録者へのメールもなかったとのことで、ご存じない方がほとんどではないかと思います。

で、ですよ。以前GOD EATERのアニメがありまして、その際GOD EATERを原作とした二次創作作者でコラボがあったんですね。
二回ありまして、それぞれ「【GE作者合同投稿企画】アニメ化ですよ、神喰さん!」「【GE作者合同投稿企画】聖なる夜だよ、神喰さん!」というもの。
どうせだしGEO配信でもコラボしたいなあ。配信日決まったらあちこちに声かけてみようかなあ。と考えておりました。
…いやまあ公式さん、予告もしてくれなかったんですけども(

そんなわけで真夜中の傍迷惑な時間に方々掛け合いましたところ、すでに数名から快いお返事を頂きまして。無事、開催の運びとなる見込みです。
なかなか急ぎでお声かけしたため、あまり多くの方に出来たわけではないのですが…
ですのでひとまず、こちらでも告知と募集、ですかね。を行おうかと思います。

○参加資格
GOD EATERを原作とする二次創作をハーメルンにて投稿していること。
GEOプレイ有無は問いません。

〇参加受付期間
~2/25

感想、またはユーザー間メッセージから言っていただければ、より詳細なお話をしようと思います。

と、こんな感じですかね。なんとも宣伝臭いものになってしまいましたが、要するにコラボやるよお、ってお話でした。
ではでは、また次回に。


P.S.
 今回の企画主催に際しまして、前回、前々回コラボ主催者の「ウンバボ族の強襲」様よりノウハウの伝授等、様々な支援、鞭撻の程を賜りました。この場を借りてお礼申し上げます。

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