GOD EATER The another story.   作:笠間葉月

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…少々皆さんに謝罪が…
この回で本日三個目な訳ですが、次の回からが別ファイルとしての保存になっていたために修正が済んでいません。
というわけで今日はここまでとさせて頂きます。すみませんでした。


大型討伐訓練

大型討伐訓練

 

そんなこんなで一般死者及び重傷者を0名に押さえた大規模戦闘から三日後のエントランス。

 

「本日付けで源隊復帰します。いろいろ鈍ってるかもしれないんですが、よろしくおねがいします!」

 

怪我も治り、前線に復帰した。

治療に専念している間、いつも誰かがお見舞いに来てくれた。……ソーマさんが毎日来てくれたことには驚いたけれど。

その間いろいろなことを言われた。リンドウさんやサクヤさんからは明るくなったと言われ、コウタからは笑うようになったと言われ、ソーマさんは、無茶しやがって、だそうだ。そして教官は、無断出撃により、一週間の減棒処分とする。……三者三様とはまさにこのことか。五者と言いたいくらいだ。

 

「おーそうかそうか。これでちったあ楽になるか?」

「リンドウ……そう言うところじゃないでしょ。」

「フン。」

「ぃよっしゃ!後でバガラリー観ようぜ!な?なっ!?」

 

正直言ってもう少し寝ていたかった。

そんな私達を文字通り後目に教官が言った。

 

「日付は未定だがまた一人新型が配属されるそうだ。ロシア支部からの異動となるため、各いろいろと面倒を見てやるように。以上だ。」

 

終わると同時にハイヒールの靴音を響かせながら立ち去る。……その背からは、近付くなオーラがありありと……

でも新型かあ。どんな人が来るんだろう?

そんな風に考える私の顔には……作り笑いではない、本当に心からの笑みが浮かんでいた。

 

   *

 

源隊復帰から約一時間後のジープの中。今日のミッションに向かう四人がいた。メンバーはサクヤさんとソーマさん、それに私とコウタ。何でリンドウさんがいないかっていうと……

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出発直前。

 

「えーとだな、今朝旧市街地でアラガミのコア反応が確認されたんだが、それがどうもコンゴウらしい。」

 

リンドウさんが告げた。

コンゴウ。巨大な猿のような容姿を持ったアラガミだったはずだ。手元にあるこれまでの戦闘データによれば……

《直線的な攻撃や範囲の狭い攻撃が多くかわし易いものの、一発一発の威力が高いため確実な回避、もしくは防御が要求される中型アラガミ。聴覚に優れるため、接近時には音を立てないように。弱点は銃剣共に頭。銃であれば背中のパイプ状器官を狙うのも良い。》

ふむ。要は避けちゃえば簡単だよ、と。

 

「んでまあうちにお鉢が回ってきたんだが、今回の任務はおまえ達四人で行ってこい。新人二人の大型演習にもなるだろ。神楽もこの間みたいなのじゃあさすがにまずいからな。勉強してこい。」

 

はい、と素直に返す。あれがまずいというのは自分でも分かっているし、そもそもあれを勝ちと言っていては神機使いの名が廃る。……と、ツバキさんから言われた。

 

「それで、リンドウは?」

 

サクヤさんからの質問。確かにいつも私達と同行していたのだが……

 

「俺はちょいとお忍びのデートに誘われててな。今回は別行動ってことだ。ま、お前達だけでも何とかなるさ。」

 

いつものように飄々とした雰囲気。……だが……今回はどことなく違和感があった。

そんな一抹の不安を感じていたときに彼の端末が鳴った。ポケットから取り出して確かめるリンドウさん。その表情は明らかに曇った。

 

「……早く来ないと帰っちまうとさ。」

 

せっかちな奴だ、とぼやく。

 

「ま、そんな感じで頼むぞ。命令はいつも通り、死ぬな、必ず生きて帰れ、だ。」

 

言い残して去っていった。コウタを除いて、難しい表情をしてしまったのは言うまでもない。

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というわけで、そのコンゴウ討伐へと四人が向かっているのだ。

 

「あーあ……どうせなら俺も連れてってくれればいいのに。」

「まさかデートのこと?」

 

後席のコウタが素で言い放つ。聞き返した私への返答はこうだ。

 

「もちろん!」

 

その発言に私とサクヤさんが思いっきり引きかけたとき、ソーマさんが口を開いた。

 

「着いたぞ。さっさと索敵しろ。」

 

渡りに船だ。

 

「あ、はい!」

「お、もう着いたんだ。」

「そうね。」

 

作戦地は贖罪の街。私とソーマさんは西、サクヤさんとコウタは東へと索敵に行った。

 

「あの……ソーマさん……」

 

二人と離れてから礼を言った。それへの返答は余りに意外なもの。

 

「……さんを付けるな。」

 

横を向きつつ言った言葉。えっと、さんを付けるなって……はい?

 

「えっと、呼び捨てにしろと?」

「それ以外に何がある。さん付けで呼ばれるなんざ気味が悪い。」

 

気味が悪い……ずいぶんな言い様だが、きっと居心地が悪いと言いたかったのだ。……きっと。

 

「そ、それじゃ……ソーマ……」

 

依然として横を向いている彼。

 

「あれって……コンゴウですよね?」

「……あ?」

 

北にそびえ立つビルの中程に空いた穴。彼が向いている方向からは見えないその位置に、巨大な猿のようなアラガミがいた。

 

「さっさと信号弾を上げろ。」

 

……ですね。

地面に設置して打つタイプの信号弾。広範囲から見えるように作られた集合信号弾だ。仲間が離れた位置に散らばっているときに使うものだ、とツバキさんが言っていた。

ソーマさ……ソーマはその間にコンゴウへと距離を詰め始めていた。

もといた空洞から圧縮空気を発射するも距離を詰めていくソーマには当たらない。なるほど。確かに直線的だ。

当たらなかったことが不満とでも言うかのように吼えながら降りてくる。そのちょうど降りた瞬間をソーマの神機が切り裂く。……右腕一本が易々と飛んだ。

その攻撃によろめいているところを銃で延べ撃ちにする。そう、確かパイプを狙うと良いとか書いてあった。

だけど……

 

「弾切れか。」

 

いつも使っているSSサイズのレーザーと比べると、このLサイズのOP消費は格段に激しい。一発ごとの威力は高いものの、より正確な狙撃をしないと苦しい弾と言えるだろう。

と、弾幕が切れたのを見計らってかこちらへと回転しながら突っ込んできた。直線的に。

クロガネ長刀型というパーツの利点の一つはそのリーチの長さ。回転に当たらないようにしつつ切るのも造作ない。

 

「んっ……」

 

少し右前に出て切り裂く。向こうから刃に飛び込むような形ではあるのだが、いかんせん相手は回転中。神機を持って行かれないように踏ん張らなければならなかったのも事実だ。あまり多用して良いやり方とは言えない。まあ、ダウンしたから今回は言うことなし。

 

「っ……」

 

そのチャンスを活かさずにはおかない。さっき壊れたパイプをさらに抉り取るように捕食する。

吸収が完了すると同時にあちらこちらを切り飛ばす。また返り血がかかるが気にしない。

 

「いた!」

「援護するわ!」

 

二人も合流する。私一人で撃っていたときとは桁違いの弾丸が放たれ、次々に抉ってゆく。

そして、両腕が飛んだ。

 

「……終わりだ。」

 

ソーマのチャージクラッシュがコンゴウの中央に入る。轟音と共に両断されたその体はずるずると地に落ちていった。

 

   *

 

程なくして帰還した私達を迎えたのはリンドウさんだった。汗を流し、服を着替えた様子がある。

 

「先に帰ってたのね。お疲れさま。」

「ああ。何とか早めに切り上げられた。そっちはどうだ?」

 

サクヤさんとリンドウさん……いつも思うけど、この二人って仲良いなあ。付き合ってるのかな?

 

「御命令に従って、いつも通りだ。」

「問題なしよ。任務は滞りなく完了したし、人も欠けてないわ。」

 

そんな私の疑問を余所に話は続けられる。

 

「おう。ならオーケーだ。……さてと。」

 

リンドウさんが何か言いかけたところでアナウンスが響いた。

 

「業務連絡。本日、第七部隊がウロヴォロスのコアの回収に成功。技術部員は……」

 

そこまで言われたところで下の方から声があがる。

 

「ウロヴォロス!どこの部隊がしとめたんだ!?」

「しかもコア回収成功かよ……ボーナスすげえんだろうな。」

「おい、奢ってもらおうぜ!」

「やめておきなさいよ。みっともない。」

 

そんな言葉が飛び交う中、リンドウさんだけが涼しい顔をしていた。

 

「ウロヴォロスって……何?強いの?」

 

コウタが口を開く。いつだかにターミナルのデータを見たが……

 

「詳しいことは覚えてないんだけど、現在確認されているアラガミ中最大のものだって聞いたことはあるよ。相当強いって話だった。」

「……ターミナルを調べれば出てくる。たまには自分で調べろ。」

 

ソーマがフォローしてくれた。……ちょっと違うか。

そしてサクヤさんからは……

 

「そうね……私達四人じゃ、まだ無理じゃないかな。」

 

決定的な発言。それに対してコウタが騒ぐ。

 

「マジでえ!このメンツでも!?」

「一人二人は死人が出るだろ。」

 

その死人の中に、自分やコウタが入っているであろうことが容易に予想できた。別に卑下しているわけではない。だが直感で感じたのだ。自分達は、まだ弱いと。

 

「まあ、生きていればそのうち戦えるようになるさ。それまで死ぬな。絶対に生きて帰れ。」

 

リンドウさんから発せられる唯一とも言える命令。だが、ソーマにはそれが気に入らないらしく……

 

「その命令……いい加減聞きあきたぜ。」

 

それにどうこうと反応があることもなく、

 

「おー。特にお前には何度でも言っといてやる。ほっとくと自分から死にに行っちまうような奴にはな。」

「チッ……黙れ。」

 

険悪だ……

 

「さあてと。俺は次のデートに備えて精の付くものでも食ってくるかな。」

 

いつもと同じように飄々と言いつつエレベーターに向かうリンドウさん。それにコウタが言う。

 

「まず俺に女の子を紹介するのが先じゃないっすかね?」

「ははは……お前の手には負えないと思うぞ?」

 

そう言い放ちながらエレベーターの中へと消えてゆくリンドウさん。サクヤさんやソーマの表情は何とも言えない不審感を漂わせていた。おそらく私も。

ところで……うだうだと文句を言い続けるこのどうしようもない同期は如何様にするのが得策であろうか?




さて、前回の出来事で結構明るくなった主人公ですが…どうでしょうか?
友人からは「何で始めっからこうしないんだ?」とか言われたんですが…
とにかく、次回からアリサが登場します。この小説内でもさほど立ち位置は変えていませんが、ちょっとばかり性格を変えています。
そして、少々不躾ではあるのですが皆さんへのちょっとしたお願いです。
閲覧者数が伸びているのはありがたいことなのですが、やはりそれだけでは皆さんからの評価がどのようなものなのかが分かりません。
ですので、積極的な評価をお願いします。小説の表示画面の上に『評価を付ける』という項目がありますので、そちらから酷評でも何でも時間があったらつけていってください。ご協力をお願いします。
えーそれでは、また次回もお会いできることを願っています。

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