GOD EATER The another story.   作:笠間葉月

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
えーっと。今回はまあ、見ての通り本筋とは関係ありません。時系列も本編とは違う位置にあります。
で、じゃあ何だこれはといいますと…
活動報告では既に告知させていただいたんですが、現在小ネタ及びショートストーリーの製作を考え中です。
それに関して皆さんに意見を募っているんですが、どうも集まりが悪い。
というわけで、ここは一つ書いてみて反応を窺おうかな、と思いまして。でこのような形となりました。
もっと詳しいことは活動報告よりどうぞ。

それでは、第一回短編スタートです。


Other side's story. (本編を先にお読みください)
Other side's story. No.0


御節料理

 

「えっと。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。」

「……何だ?いきなり。」

 

12月31日。つまりこの国で大晦日と呼ばれる夜を共にすごし、朝起きた俺へ向けて神楽が放った第一声がこれだった。服装もいつもとは違い、着物。というより、晴れ着に着替えている。俺を起こさないようにやったのだろう。

 

「え?知らないの?新年はいつもこうするじゃん。」

「……知らん。」

 

こう言っては何だが、これまでそういう祭事やらとは無縁に過ごしてきた身だ。知る由もない。

 

「うーん……じゃあソーマ、こうやって座って?」

 

膝を完全に折り曲げ、いわゆる正座の姿勢を見せてくる彼女。

 

「いくらなんでも正座は分かるさ。」

「あ、そっか。まあまあ、早く早く。」

 

呆れるように返した俺を鈴でも鳴るような笑い声で急かす。

それを受けて座った俺に、彼女は続けて示した。

 

「で、こうして手をついて……」

「ああ。」

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。って言いながらお辞儀するの。」

 

自分でもやって見せながら説明するのを見る限り、相当慣れているようだ。

 

「……明けましておめでとうございます。」

「そうそう。」

「今年もよろしくお願いします……これでいいのか?」

「うん。完璧!」

 

予想以上のはしゃぎように苦笑する。まあ、喜んでいるならそれでいいか。

そんな新しい知識を得ているところでインターホンが鳴った。ここは神楽の部屋。誰が来ても不思議ではない。

 

「神楽ちゃん。起きてる?」

「あ、はーい。」

「サクヤか。」

「あら?ソーマもいたの?」

「……まあな。」

 

こいつ相手に、昨日からな、とは言えない。何時間遊ばれるか分かったものじゃない。

 

「さてと。明けましておめでとう。今年もよろしくね?」

「はい。今年もよろしくお願いします。」

 

さっきのように繰り返す二人。……知らなかったのは俺だけなのか?

 

「みんなはまだ寝てるかな?」

「いや……そろそろアリサは起きるだろ。」

「アリサなら昨日結構遅くまで起きていたみたいだったわよ?」

「え?そうなんですか?」

 

少し驚いたように神楽が聞き返す。それもそうだろう。昨日帰投が一番遅かったのはアリサだ。

 

「うーん……見に行く?」

「そうね。床で寝てたりしたら大変だわ。」

 

そういう流れで、俺たちはアリサの部屋を訪ねることになった。

 

   *

 

「アリサー、起きてるー?」

 

アリサの部屋の前に着いたはいいんだけど……インターホンを押しても返事がないし、といって押し入るわけにも行かないので立ち往生。サクヤさんはため息をつき、ソーマは既に退屈そうだ。

 

「アーリーサー……おっと。」

 

ノックをしようと出した手が空を切る。……ぎりぎりで止めた手に目が寄っているアリサが視界に入り……

 

「……ドン引きです。」

「う……ごめん。」

 

ジト目の彼女と目が合った。

 

「冗談です。あ、明けましておめでとうございます。今年も、またよろしくお願いしますね。」

「うん。今年もよろしくお願いします。入っていい?」

「はい。どうぞ。」

 

……ここで私は、返事がなかった理由を知ることとなる。

衣類のはみ出した箪笥。一見整理しておいてあるようでよく見るとぐしゃぐしゃのダンボール。四角い部屋を丸く掃いた後。etc.etc.

……はい。

 

「……いつも通りひどいわね。」

 

アリサがキッチンに行ってからサクヤさんが口を開く。ソーマもそれに続き……

 

「どうやればこうなるんだか……」

 

あ、ちなみにソーマの部屋は私が行くようになってからきれいになっているので勘違いのなきよう。

 

「……大掃除にでも来ようかな……」

「やめてあげなさい……彼女の黒歴史が幕を開けるわ。」

「……ですね。」

 

そうこうしている内にアリサがキッチンから出てきた。彼女が手に持っているのはこの部屋に来るといつも出してもらっている紅茶のセット……などではなく。

 

「御節料理作ってみたんです。けっこうおいしく出来たので、みなさんにも食べてもらいたくて。」

「「……!!」」

 

満面の笑みで小皿がいっぱい乗ったお盆を持つアリサ。だがその小皿には本来御節料理として呼ばれる外見を持つものは一つもなく、代わりに何かこの世界すらも超越しているかのような物。そう。物、が盛り付けられていた。

 

「御節……ああ。新年に食うとかいうやつか。言葉としてしか知らねえが。」

 

と、ソーマが完璧なる死亡フラグを立てる。

 

「この蒲鉾なんかは素手でもいけると思いますよ?」

 

と言って彼女が指差すのは、明らかに蒲鉾の固さを凌駕しているであろう毒々しい紫色の塊。ガタガタでありながらもスライスされているところがなんとも……じゃなくて!

 

「そうか。」

 

何も不審に思わない様子のソーマは、それを一口食べ……

 

「……ぐは……」

 

倒れた。

 

「わあああ!そ、ソーマあ!?」

「あ、アリサ!何で作ったのそれ!」

「え?……えっと……サメの鰭で作るって書いてはあったんですけど、サメの鰭なんて手に入らなくて……仕方ないのでグボロ・グボロのヒレを使って……赤が作れなかったので何となく赤っぽいアイテールの毒粉を練り込んだんですが……」

「ふ、二人とも!それはいいからとにかく医務室!」

「は、はい!」

「わ、分かったわ!」

 

これから数時間後。ソーマは目覚め……もう二度とあいつの料理は食わねえ、と誓っていた。

 

   *

 

P.S.

 

「皆さん。明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!」




…えっと…どうでしょう?
なんかいつもとそこまで変わらない気もしますが、とりあえずショートストーリーとかはこんな感じになると思います。
詳細は活動報告に書いてありますので、そちらをご覧ください。

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