転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

159 / 168
19/混沌を統べる覇者 vs『ラスボス』(1)

 

 

 

 

「――お前がこの『異変』の黒幕なのか……!?」

 

 目の前の超存在に対して話しかける。人間の言語を使う以上、会話は可能な筈だ。

 ……震えが止まらない。あの存在の事など欠片も理解が及ばないが、軽く人智を超えている存在である事は確かだ……!

 

『まぁ結果的にそうなるんじゃないかな?』

 

 目の前の人の形しかしてない『混沌』は軽い調子で、曖昧に答える。……良かった、一応話は通じるようだ。

 

「……随分と曖昧な返答なんだな」

『この『異変』は私にとっても予想外な展開だった、という話さ』

 

 この如何にも人智超えてそうな『混沌』にしても、今の『魔都』の状態は予想外、だと?

 

『……『遊戯王』が世界法則でない『次元』に足を運んだら自動的に世界法則が『遊戯王』に『改変』されるとか、あの何でもありの『次元』で数多の超展開に慣れてきた私すら驚愕したものだ』

 

 ……なんか、物凄い事をさらりと言わなかったか?

 空気を吸うかのような気軽さで、というよりも存在するだけで世界の法則が『改変』されるとかどういう事だよ!?

 素で概念となった『鹿目まどか』級なのか? いや、それ以前に平然と次元の垣根超えてるから自動的に『第二魔法』の実証例なのか?

 

「……という事は『転生者』なのか? 二回目、いや、『三回目』の?」

『元の起源は君達と同じだったと思うが、この身は世界から除外されていてね、生憎とこうなる前の事はそんなに覚えてない。――この状態になってから『死』という概念が無くなっているから、君達で言う処の二回目の区分になるんじゃないかな?』

 

 ……マジかよ、二回目でこんなバケモノがいたとは、これまでの常識概念が木っ端微塵に砕かれそうだ。

 

 

「――それで、どうすれば世界は元に戻るの? 貴方を倒せば良いのかしら?」

 

 

 明確な敵意を籠めて、柚葉は問う。

 まだ『混沌』の意図は全然掴めてないが、悪意ある存在ならば『矢』を使ってでも立ち向かわなければならない。

 だが、それに対する返答は肩透かしも良い処だった。

 

『いや、別に倒さなくても私がこの『次元』から立ち去れば全てが無かった事になる。元来私はそういう存在だからね。――君達の場合は上位の観測者だからか、世界の『改変』に巻き込まれずに正しい視点を持ち得たのだろう』

 

 ……『混沌』の言葉に虚偽は感じられない。むしろこの存在はそんな事を弄する意味が無いくらいぶっ飛んでると言った方が正しいか。

 

「そっか、良かった良かった。これで今回の『異変』は解決だな!」

『あ、別にすぐ立ち去るとは言ってないぞ?』

「え?」

 

 あれ、帰って寝れば元の世界に戻ってると納得したのに、雲行きが一気に怪しく……?

 

『これだけ『決闘者』達が沢山いるのに『決闘』せずに立ち去れなんて、極上のご馳走の前なのに門前払いされるぐらい酷い話だ。――別にさ、私が満足するまでこの世界に存在する全ての『決闘者』と『決闘』していても良いよね?』

「良くねぇよ!? オレ達の日常をさっさと返せよ!?」

 

 それ一体いつになったら終わるんだよ!? コイツ、もう人間ですらないけど超弩級なまでに駄目人間だっ! 宇宙規模で駄目なヤツだ!

 

 

『――それじゃこうしよう。私との『決闘』で君が勝ったら大人しく立ち去るとしよう。実に単純明快だろ?』

 

 

 ――奴の左腕に『光』と『闇』が溢れて――異形の『デュエルディスク』となり、構える。

 

 ……うん、これだけで解った。コイツ、生粋の『デュエル脳』だ!

 宇宙を左右するほどの力の持ち主なのに悲しいぐらい『デュエル脳』なのである……!

 

 ……結局『魔術師』の言う通り、『決闘』で始まって『決闘』で終わる事になるんだな、この『異変』は。

 

「……オレが負けたら?」

『別に何も。カード化なんて趣味じゃないし、『闇』のゲームとか賭けて失う『命』が無い私相手にやっても意味が無いぞ? ――何度でも挑むと良いさ、私は何度でも受けて立つとも――』

 

 ……良いだろう、やってやろうじゃないか。

 何度も『決闘』する事になるという前提は、裏を返せば絶対の勝利宣言であり、その絶対に勝つのは自分だという鼻っ面を正面から叩き折ってやる……!

 

『――『デュエル』!』

 

 さぁ、これがラストデュエルだ!

 先行はヤツのようである。……デッキの厚さ的にまさかの60枚? 最大上限まで詰め込んだヤツのデッキは一体どんなデッキだろうか――。

 

『――私の先行、魔法カード『天使の施し』を発動、3枚ドローして2枚捨てる。墓地に送った《処刑人-マキュラ》の効果でこのターン、手札から罠カードを発動出来る。私は罠カード『第六感』を発動、1から6までの数字のうち2つ宣言する。相手がサイコロを1回振り、その数が出ればその数の枚数分だけドローする。外れた場合は出た目の枚数だけデッキの上からカードを墓地に送る。私が宣言する数字は5と6だ』

 

 施 し で マ キ ュ ラ 捨 て て 第 六 感 ! ?

 

 ……うわぁ、うわぁーっ、今までの『決闘』もかなり無法地帯だったけどさ、その最後に相応しく、ぶっちぎりでやばい事を最初のターンからしてくるのかよ!?

 

「……ねぇ、直也君。明らかに効果おかしいと思うのだけど、あの『第六感』って絶対禁止カードよね?」

「……ああ、当然禁止カードだ。あれは『遊戯王』を『じゃんけんゲー』から『サイコロゲー』に変えた罪深きカードだ……!」

 

 柚葉は怪訝な顔で「それって運ゲー的な意味合いで大して変わらないんじゃ……?」と首を傾げる。

 まぁともかく罠カード『第六感』は当たったら爆アド、外れても墓地肥やし、頭おかしいカードである。罠カードである事が唯一の欠点なのだが、その欠点も《処刑人-マキュラ》の効果で踏み倒している始末だ。

 で、でもまぁ、あんなの当たる確率は3分の1だ。どうか5と6だけは出ませんように、とソリッドビジョンで渡された大きなサイコロを振り、ころころ転がって――あ。

 

『――出た目は6、よって6枚ドローする』

 

 無情の6だと……!? あれ、そのサイコロ、四五六賽じゃないよね? それとも魂入り?

 

 ???

 LP8000

 手札5→4→7→5→4→10

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

「なぁにこれぇ?」

 

 ……うん、柚葉がそう言いたい気持ちは良く解る。オレの方こそ声高に言いたい。

 

『手札から魔法カード『苦渋の選択』を発動、自分のデッキからカードを5枚選択し、相手が選んだ1枚を手札に加え、残りを墓地に捨てる。私が選択する5枚はこれだ』

 

 《クリッター》

 《黒き森のウィッチ》

 《混沌の黒魔術師》

 《混沌の黒魔術師》

 《混沌の黒魔術師》

 

 また『苦渋の選択』かよ、って? え? 何だこれ?

 《クリッター》と《黒き森のウィッチ》の2つは禁止カードはあるが、あれはフィールドから墓地に行かなければサーチ効果は発動しない。

 そしてかつては最強級の禁止カード、現在は無制限の《混沌の黒魔術師》もエラッタされて見るも無残な効果に――ってちょっと待て。

 

 《クリッター》

 効果モンスター(禁止カード)

 星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守600

 このカードが墓地におかれた時、

 自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、

 デッキを切り直す

 

 《黒き森のウィッチ》

 効果モンスター(禁止カード)

 星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1200

 このカードが墓地におかれた時、

 自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、

 デッキを切り直す。

 

 《混沌の黒魔術師》

 効果モンスター(禁止カード)

 星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、

 自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。

 このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かず

 ゲームから除外される。

 このカードはフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。

 

「なっ!? 嘘だろ、全部エラッタ前のテキストかよ!? こ、これって《クリッター》と《黒き森のウィッチ》は――」

『エラッタ前だから、何処からでも墓地に送られた時点で効果発動するぞ』

 

 あ、コイツのデッキはまさかッ! 『遊戯王』に最初の暗黒期を齎した『全盛期カオス』ッッ!? そんな馬鹿な、エラッタされて完全に滅びた筈じゃ!?

 

「エラッタ?」

「後からカードのテキストが変更される事だ……! おいおい、そんなのありかよ!?」

 

 返ってくる言葉は無く、『混沌』は無言で『苦渋の選択』の効果処理を催促する。

 ぐっ、《クリッター》と《黒き森のウィッチ》の何方かが墓地に落ちて効果発動してデッキからモンスターをサーチされてしまう。ならば――。

 

「オレは《黒き森のウィッチ》を選択する!」

 

 守備力1500以下の方がサーチ出来る範囲が広い為、《黒き森のウィッチ》を選択する……! くっそ、まさに苦渋の選択過ぎる……!

 

『墓地に落ちた《クリッター》の効果発動、デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。私が加えるのは攻撃力0の《幽鬼うさぎ》だ』

 

 ???

 LP8000

 手札10→9→10→11

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 げっ、手札誘発効果の《幽鬼うさぎ》を堂々とサーチして来やがった……!

 『全盛期カオス』の癖に最新のカードを入れてやがるのか!

 

『手札から魔法カード『強引な番兵』を発動、相手の手札を確認し、その中からカード1枚をデッキに戻す――私は君の手札にある《エフェクト・ヴェーラー》をデッキに戻す』

「ハ、ハンデス三種の神器……!?」

 

 ???

 LP8000

 手札11→10

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札5→4

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 手札を全部見られる上に好きなカードをデッキバウンスさせる禁止カードが通ってしまい、オレは唯一の対抗手段だった《エフェクト・ヴェーラー》を失う。

 

『《幽鬼うさぎ》を通常召喚し、魔法カード『簡易融合』を発動、ライフを1000支払い、レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターは攻撃出来ず、エンドフェイズに破壊される――現われろ、晴れて禁止となった元環境の破壊者、レベル4《旧神ノーデン》!』

 

 《幽鬼うさぎ》を通常召喚して『簡易融合』で《旧神ノーデン》? 《幽鬼うさぎ》は地味にチューナーモンスターだから、シンクロに繋げるのか?

 

『《旧神ノーデン》の効果発動、このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚する。このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。墓地より《処刑人-マキュラ》を特殊召喚する』

 

 ???

 LP8000→7000

 手札10→9→8

 《幽鬼うさぎ》星3/光属性/サイキック族/攻0/守1800

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《処刑人-マキュラ》星4/闇属性/戦士族/攻1600/守1200

 魔法・罠カード

  無し

 

『私はレベル4の《処刑人-マキュラ》にレベル3のチューナーモンスター《幽鬼うさぎ》をチューニング! 闇から出でよ、鉄血の翼! 黒き暴風となりて全ての敵に死を与えん! シンクロ召喚! ――シンクロが生み出した狂気の殺戮兵器! レベル7《ダーク・ダイブ・ボンバー》!』

 

 ???

 LP7000

 手札8

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800

 魔法・罠カード

  無し

 

 そして出てくるは数多の『決闘者』の脳裏にトラウマとして刻まれた、元最凶のシンクロモンスター、だが、ヤツはエラッタされて見る影も無くなるほど弱体化して無制限に戻された筈!

 あ。ままま、まさか……!?

 

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》

 シンクロ・効果モンスター(禁止カード)

 星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800

 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

 自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。

 リリースしたモンスターのレベル×200ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

 お 前 も か ! そのまさかだよ!

 

 やっぱり『D(誰が)D(どう見ても)B(ぶっ壊れ)』の頃のエラッタ前だこんちくしょおおおおおおおおおおぉ!? 1ターンに1度とメインフェイズ1にしか行えないデメリット効果がついてねええええぇ――!

 

「? どうしたの? 結構微妙な効果だと思うんだけど」

「いや、柚葉。断言して良い。もうこの『デュエル』、オレの次のターンは無い……」

「え? ちょ、ちょっと待ってよ。まだ相手の1ターン目だよ? 後攻の直也君のターンすら回ってきてないよ……!?」

 

 《エフェクト・ヴェーラー》無い方が悪いといつもなら言われるが、あっても『強引な番兵』でデッキバウンスされたんじゃあああああああぁ――!

 

 

『――そして、手札から魔法カード『死者蘇生』を発動! 自分または相手の墓地のモンスター1体を自分フィールドに特殊召喚する! 私が特殊召喚するのは《混沌の黒魔術師》!』

 

 

 そしてこの世界に誰も持っていなかった『遊戯王』を象徴する魔法カード『死者蘇生』をもって復活させるは至高の黒魔術師、その絶大なる力で『遊戯王』黎明期に最初の暗黒期を齎した、エラッタ前の全盛期の《混沌の黒魔術師》……!

 

 ???

 LP7000

 手札8→7

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 魔法・罠カード

  無し

 

『このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事が出来る。私は魔法カード『死者蘇生』を手札に加える』

 

 ……うわぁー。狂乱の第九期に慣れてきた今見てもこの効果だけは在り得ねぇ……。

 

「え? って事は――」

 

 はい、柚葉さん。そうです。其処に『苦渋の選択』で墓地に落ちた《混沌の黒魔術師》があと2体あるじゃろ?

 

『『死者蘇生』で2体目の《混沌の黒魔術師》復活、効果で『死者蘇生』拾って発動して3体目の《混沌の黒魔術師》蘇生、効果発動で『天使の施し』を拾って発動、3枚ドローして2枚捨てる。墓地に捨てた《黒き森のウィッチ》の効果で《エフェクト・ヴェーラー》を手札に加える』

 

 ???

 LP7000

 手札7→8→7→8→7→8→7→10→8→9

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 魔法・罠カード

  無し

 

 こうなった。な ぁ に こ れ ぇ ?

 

『《ダーク・ダイブ・ボンバー》の効果発動! 自分フィールドのモンスター1体を生け贄に捧げ、そのモンスターのレベル×200のダメージを相手に与える! 私はレベル4の《旧神ノーデン》、レベル8の《混沌の黒魔術師》3体を射出! 合計レベルは28、よって5600のバーンダメージを与える!』

「ぎゃー!?」

 

 秋瀬直也

 LP8000→7200→5600→4000→2400

 

 自身のフィールドのモンスターを全て弾扱いにして《ダーク・ダイブ・ボンバー》は嬉々狂々と長らく失われた本領を発揮してくる!

 やめろぉー! 死にたくないー!

 

「あ、あれ、大したダメージにはならないと思っていたけど……!?」

「エラッタ前のアイツに1ターンに1度の制限なんてないんだよ!? おまけにアイツ、自分自身も射出出来るからあと1000で先行1ターンキルされるんだよ!?」

「えええぇ――!?」

 

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》は元からレベル7なので、自分を射出すれば1400ダメージ……! もうライフの猶予があと僅かしかねぇ!

 

 

『――ああ、フィールドを離れた《混沌の黒魔術師》は墓地には行かず、ゲームから除外される』

 

 

 『混沌』は思い出したかのようにそう言い放ち――あ……、何となく察したけど、まさか……!?

 

『更に魔法カード『次元融合』を発動! ライフを2000支払い、お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する。戻ってこい《混沌の黒魔術師》3体! 3体の効果発動で『死者蘇生』『次元融合』『強引な番兵』回収で』

 

 除外とは一体、うごごご……!? そして簡単に帰ってきて、3体ともタイミング逃さずに効果発動して3枚魔法カード回収だと? 落ちてる魔法カード、全部禁止級ばっかだというのに!?

 

 ???

 LP7000→5000

 手札9→8→11

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 《混沌の黒魔術師》星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600

 魔法・罠カード

  無し

 

『これで終わりだ――《ダーク・ダイブ・ボンバー》で《混沌の黒魔術師》3体射出で爆☆殺! あ、ついでに自身も射出で』

「ぎゃああああああああああああぁ――ッ!?」

 

 秋瀬直也

 LP2400→800→-800→-2400→-3800

 

 な ん ぞ こ れ。

 

 ――殺意の《ダーク・ダイブ・ボンバー》によって先行1ターンキルされ、爆発を諸に受けて地面に叩き付けられる。

 今まで酷い『デュエル』ばっかりだったけどさ、流石に先行1ターンキルされた事は無かったぞ?

 

『――まだやるかい? 君が諦めるまで付き合ってあげよう』

 

 ……っ! 上等だこの野郎! オレは即座に起き上がり、また『デュエルディスク』を構える!

 千回負けても一回勝てばオレの勝ちなんだ、オレが勝つまで挑んでやるぅぅぅ!

 

 

 




 本日の禁止カード

 『第六感』
 通常罠(禁止カード)
 自分は1から6までの数字の内2つを宣言する。
 相手がサイコロを1回振り、宣言した数字の内どちらか1つが出た場合、
 その枚数自分はカードをドローする。
 ハズレの場合、出た目の枚数デッキの上からカードを墓地へ送る。

 今の『遊戯王』は狂乱の第九期と呼ばれているが、それよりも狂っている時代が最初期にあった。これはその時のカードの1枚である。
 
 『混沌』の人がやると90%の確率で5と6が出て大量ドロ―される罠カード。ストロングなヒロインとの対戦以外外してない。……外したからといって、墓地を肥やされないとは言ってない。

 《クリッター》
 効果モンスター(禁止カード)※エラッタ前
 星3/闇属性/悪魔族/攻1000/守600
 このカードが墓地におかれた時、
 自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、
 デッキを切り直す

 エラッタ後はフィールドを経由しないとサーチ効果を使えないが、エラッタ前はフィールドに出る必要すら無かった。
 エラッタ前のコイツと相棒の《黒き森のウィッチ》を『苦渋の選択』で3枚2枚選ぶと、デッキからエクゾパーツ4枚サーチした上にエンドフェイズで手札上限によって残りの一枚を捨てればあら不思議、エクゾディアの完成である。
 なお、『混沌』のデッキにはエクゾディアギミックは組み込まれてない。別の特殊勝利は常に入っているのに……。

 《黒き森のウィッチ》
 効果モンスター(禁止カード)※エラッタ前
 星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1200
 このカードが墓地におかれた時、
 自分のデッキから守備力1500以下のモンスターを1枚手札に加え、
 デッキを切り直す。

 絶望の呪文「ボチヤミサンタイ」で有名な《ダーク・アームド・ドラゴン》をサーチ出来るカード。
 今回の『混沌』のデッキに《ダーク・アームド・ドラゴン》は入ってないが、無くても毎度の如く悪さする。
 《クリッター》とは一緒に悪さをするズッ友である。冤罪ではない。

 《混沌の黒魔術師》
 効果モンスター(禁止カード)※エラッタ前
 星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600
 このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
 自分の墓地から魔法カード1枚を選択して手札に加える事ができる。
 このカードが戦闘によって破壊したモンスターは墓地へは行かず
 ゲームから除外される。
 このカードはフィールド上から離れた場合、ゲームから除外される。

 『混沌』のデッキにおける過労死枠。墓地に行ってもフィールドに戻され、フィールドから離れて除外されても『次元融合』で戻ってくる。
 エラッタ後は魔法カードを回収するタイミングがエンドフェイズ時に変更され、見る影も無くなった挙句、制限カードから無制限カードへ改定という死体蹴りを食らった。
 まぁそれは現実世界での話なので、此処ではエラッタ前の殺意全開の全盛期《混沌の黒魔術師》が思う存分なまでに猛威を振るう。

 『強引な番兵』
 通常魔法(禁止カード)
 相手の手札を確認し、その中からカードを1枚デッキに戻す。

 ハンデス三種の神器の一つ。こんな畜生カードがあと2枚もある。当然『混沌』のデッキに全部入っている。

 《ダーク・ダイブ・ボンバー》
 シンクロ・効果モンスター(禁止カード)※エラッタ前
 星7/闇属性/機械族/攻2600/守1800
 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
 自分フィールド上のモンスター1体をリリースして発動できる。
 リリースしたモンスターのレベル×200ポイントダメージを相手ライフに与える。

 シンクロが生み出した狂気の代名詞。有名な破滅の呪文『サモサモキャットベルンベルン』で出すべきシンクロモンスター。相手は死ぬ。
 今回は《幽鬼うさぎ》+レベル4モンスターから出てくる。手札から誘発効果を使った後に《旧神ノーデン》と一緒に復活してきそう。
 何処ぞの禁止エクシーズモンスターのせいで『混沌』の今回のデッキのエクストラ枠はいつも以上に圧迫されているので《エフェクト・ヴェーラー》で止めてしまえば再利用される心配も無い。
 ……なお、今回は『遺言状』からエラッタ前の《カタパルトタートル》が飛び出てくる方式なので出番は少なめ。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。