転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

158 / 168
18/『征竜』と『オッドアイズ』の最強対決ッ! vs豊海柚葉(3)

 

 

「――私のターン、ドロー!」

 

 

 豊海柚葉

 LP7500

 手札6→7

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 さて、現在解っている情報は柚葉の手札に《巌征竜-レドックス》と《青眼の白龍》、墓地に《瀑征竜-タイダル》《焔征竜-ブラスター》《嵐征竜-テンペスト》+餌に出来るドラゴン族モンスターが7体、風属性の《幻獣機ドラゴサック》――うん、このターンの内に『親征竜』全員と顔を合わせる事になりそうだ……。

 除外されているのは《焔征竜-ブラスター》《瀑征竜-タイダル》《エクリプス・ワイバーン》《伝説の白石》であり、《瀑征竜-タイダル》は『封印の黄金櫃』の効果で次のターンに手札に戻る。

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札3

 《EMドクロバット・ジョーカー》星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守100

 《EMモンキーボード》星6/地属性/獣族/攻1000/守2400

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 《フレシアの蟲惑魔》ランク4/地属性/植物族/攻300/守2500 ORU2

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

 対するオレは《フレシアの蟲惑魔》と《マジェスペクター・ユニコーン》で2回邪魔出来る。果たして乗り切れるだろうか――。

 

「まずはその邪魔な小娘達から死んで貰うわ! 私は手札から《焔征竜-ブラスター》の効果発動! このカードと炎属性モンスター《ガード・オブ・フレムベル》を墓地に捨てて《フレシアの蟲惑魔》を破壊っ!」

「ちょ、どんな引きだよ!?」

 

 此処で3枚目の《焔征竜-ブラスター》の手札効果だとォ!?

 多くのメタカードを潰してきた悪魔の効果により、物凄く遣る瀬無い表情をしながら《フレシアの蟲惑魔》は何の仕事も出来ずに破壊される――非常にやばい。

 

 豊海柚葉

 LP7500

 手札7→5

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札3

 《EMドクロバット・ジョーカー》星4/闇属性/魔法使い族/攻1800/守100

 《EMモンキーボード》星6/地属性/獣族/攻1000/守2400

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

「私は墓地の《嵐征竜-テンペスト》の効果発動! 墓地の《瀑征竜-タイダル》《巌征竜-レドックス》を除外してフィールドに特殊召喚! 除外された《瀑征竜-タイダル》《巌征竜-レドックス》の効果でデッキから水属性・ドラゴン族モンスター《幻水龍》、地属性・ドラゴン族モンスター《幻木龍》を手札に加える!」

 

 豊海柚葉

 LP7500

 手札5→7

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 魔法・罠カード

  無し

 

 む、わざわざ《瀑征竜-タイダル》《巌征竜-レドックス》を除外してサーチ効果で《幻木龍》《幻水龍》をサーチするという事は、またランク8エクシーズモンスターを立てる気か! だが勿体無い使い方をしたな、もうこのターンに全部の『親征竜』の効果を使ってしまった以上、これで展開は終わりだ。使い処を間違ったな……!

 

「私は《幻木龍》を通常召喚し――」

「《マジェスペクター・ユニコーン》の効果発動! 《マジェスペクター・ユニコーン》の効果は1ターンに1度、自分のモンスターゾーンのペンデュラムモンスター1体と相手フィールドのモンスターを持ち主の手札に戻す。この効果は相手ターンでも発動出来る! オレは《EMドクロバット・ジョーカー》と、そっちの《幻木龍》を手札に戻す!」

 

 出てきた瞬間に旋風に攫われ、《幻木龍》は即座に柚葉の手札に舞い戻る。

 

「ちょっと! 通常召喚でしかサーチ効果を発動しない《EMドクロバット・ジョーカー》を手札に戻してバウンス効果なんて詐欺じゃない!」

「ははは、何とでも言え! ちゃんと知らないモンスターのテキストを確認してないのが悪いんだ!」

 

 よし、完全に凌ぎ切った……! この勝負、オレの勝ちだ……!

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札3→4

 《EMモンキーボード》星6/地属性/獣族/攻1000/守2400

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

「まだよッ! 魔法カード『手札抹殺』発動! 互いのプレイヤーは手札を全て捨て、捨てた枚数分だけドローする! 私が捨てるカードは6枚、よって6枚ドロー!」

「げっ、オレは4枚捨てて4枚ドロー!」

 

 ぐ……《EMドクロバット・ジョーカー》2枚と《EMモンキーボード》、《貴竜の魔術師》が墓地に……! 《貴竜の魔術師》はともかく、墓地に落ちた『EM』モンスターの再利用手段が皆無な以上、完全なディスアドであり、次のターンに確実にペンデュラム召喚をする布石が脆くも崩れ去った。

 柚葉の墓地に新たに落ちたカードは《青眼の白龍》《幻木龍》《幻水龍》《伝説の白石》《伝説の白石》《速攻のかかし》か……やはりさっき無理に叩きに行っても《速攻のかかし》で防がれていたか。

 

「墓地に落ちた《伝説の白石》2枚の効果でデッキから《青眼の白龍》を2枚手札に加える!」

 

 豊海柚葉

 LP7500

 手札7→6→0→6→8

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 魔法・罠カード

  無し

 

 何で『手札抹殺』を使って逆に手札が増えてるんですかね!

 そして柚葉はにやりと邪悪に笑う。あ、何かやばいカード引きやがった……!

 

「魔法カード『次元融合』を発動! ライフ2000支払い、お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する! 私は《焔征竜-ブラスター》《瀑征竜-タイダル》《瀑征竜-タイダル》《巌征竜-レドックス》を特殊召喚する!」

 

 豊海柚葉

 LP7500→5500

 手札8→7

 《嵐征竜-テンペスト》星7/風属性/ドラゴン族/攻2400/守2200

 《焔征竜-ブラスター》星7/炎属性/ドラゴン族/攻2800/守1800

 《瀑征竜-タイダル》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《瀑征竜-タイダル》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《巌征竜-レドックス》星7/地属性/ドラゴン族/攻1600/守3000

 魔法・罠カード

  無し

 

 げぇッ! 問答無用の禁止カード……! 除外された『征竜』どもがあっという間に帰還しやがったぞ……!

 フィールド全部が『征竜』に埋め尽くされる、良く見慣れた地獄絵図に圧倒されながらも、オレも柚葉が発動した『次元融合』の効果処理にかかる。

 

「――ッ、オレは除外されていた《相克の魔術師》《法眼の魔術師》《EMシルバー・クロウ》を特殊召喚する!」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札4→0→4

 《EMモンキーボード》星6/地属性/獣族/攻1000/守2400

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 《相克の魔術師》星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守500

 《法眼の魔術師》星7/光属性/魔法使い族/攻2000/守2500

 《EMシルバー・クロウ》星4/闇属性/獣族/攻1800/守700

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

 《ダークマター》の効果で除外していたのが裏目に出たな! このターンでフィールドのモンスター全部を戦闘破壊されるが――!

 

「手札を1枚捨てて魔法カード『ライトニング・ボルテックス』を発動! 相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する! これで終わりよ!」

 

 んなっ、此処で無慈悲な相手フィールドモンスター全除去カードかよ!? あああ、オレのモンスター達が……!?

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札4

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

「……え? 何で《マジェスペクター・ユニコーン》だけ残ってるの……!?」

「ぐっ、《マジェスペクター・ユニコーン》はモンスターゾーンに存在する限り、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない!」

「何そのインチキ効果!?」

 

 オレもそう思う! 何でコイツ等、共通効果で相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されないの一文が入ってるの? おかしくね?

 

「――でも、関係無いわ! バトル! 《嵐征竜-テンペスト》で《マジェスペクター・ユニコーン》を攻撃!」

 

 まぁこの超耐性も戦闘破壊には無力であり、《嵐征竜-テンペスト》の激しい攻撃で《マジェスペクター・ユニコーン》が戦闘破壊され、オレのフィールドは文字通りがら空きとなる。

 

「――残りの『征竜』で直也君にダイレクトアタック! これで私の……!」

「――甘いぞ、柚葉! お前の『手札抹殺』は更なる展開の手段を与えたが、オレの手札に起死回生のカードを呼び込んだぞ! 手札から《速攻のかかし》を発動! 相手モンスターの直接攻撃宣言時、このカードを手札から捨てる事でその攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」

 

 かかし先生を墓地に送り、このターンの戦闘を終了させる。冷や汗が止まらない、『手札抹殺』された時は終わったと思ったぞ……!

 仕留め損ねた柚葉は悔しげに舌打ちする。

 

「――メイン2、レベル7の《嵐征竜-テンペスト》と《焔征竜-ブラスター》でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク7《真紅眼の鋼炎竜》!」

 

 エクシーズ召喚されるは懐かしの《レッドアイズ》の派生モンスターであり、しかもランク7のエクシーズモンスターである。

 あれは非常に厄介だ。エクシーズ素材を持っていると効果では破壊されず、更にはエクシーズ素材を持っている限り相手が魔法・罠・モンスター効果を発動する度に500ポイントのバーンダメージを与える。

 一見小さい数字に見えるが、あれを除去するまでにどれほど効果を発動しなければならないのか、苦々しく歯軋りする。

 

「レベル7の《瀑征竜-タイダル》と《巌征竜-レドックス》でオーバーレイ! エクシーズ召喚! ランク7《幻獣機ドラゴサック》!」

 

 そしてまたもや出てきた『征竜』に魂を売った『幻征竜』! こうもぽんぽんと耐性持ちが……!?

 

「《幻獣機ドラゴサック》の効果発動、1ターンに1度、エクシーズ素材を1つ取り除き、『幻獣機トークン』を2体特殊召喚する」

 

 ぐ、《瀑征竜-タイダル》以外は全員守備表示――1キルショットしにきた後に、この堅牢な布陣の再構築である。

 

「私はカードを1枚セットしてターンエンド」

 

 豊海柚葉

 LP5500

 手札7→5→4

 《瀑征竜-タイダル》星7/水属性/ドラゴン族/攻2600/守2000

 《真紅眼の鋼炎竜》ランク7/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400 ORU2

 《幻獣機ドラゴサック》ランク7/風属性/機械族/攻2600/守2200 ORU2→1

 《幻獣機トークン》レベル3/風属性/機械族/攻0/守0

 《幻獣機トークン》レベル3/風属性/機械族/攻0/守0

 魔法・罠カード

  伏せカード1枚

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札4→3

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

 ――全く、ライフこそ減ってないが、1ターンで即座に削り切られるので全く生きた心地がしない。

 

 だが、生きて次のターンを迎えれる限り、逆転のチャンスは来る……! オレの『デッキ』よ、お前の真の力をオレに見せろ……!

 

「オレのターン! ドロー!」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札3→4

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

  無し

 

 そして引いたカードをちらっと見る。オレのドローしたカードは《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》……! 来たッ、お前をずっと待っていた!

 

「オレは魔法カード『ペンデュラム・コール』を発動! 『ペンデュラム・コール』は1ターンに1枚しか発動出来ず、『魔術師』ペンデュラムモンスターのペンデュラム効果を発動したターンには発動出来ない! 手札を1枚捨て、カード名が異なる『魔術師』ペンデュラムモンスター2体までをデッキから手札に加える。この効果の発動後、次の相手ターン終了時まで自分のペンデュラムゾーンの『魔術師』カードは効果では破壊されない!」

「な……!? 実質それ1枚でペンデュラム召喚が可能となる上に相手ターンまでもペンデュラムゾーンのカードの破壊耐性付与!? 何それ!? インチキ効果もいい加減にしろー!」

「遊戯王史上最悪のインチキカードを使って言う事かぁ! って、あっちぃ!?」

 

 秋瀬直也

 LP8000→7500

 

 柚葉の理不尽な効果に対する怒りに呼応してか、一足早く《真紅眼の鋼炎竜》が必殺の黒炎弾を射出してきたぞ!? つーかそれ明らかに500ダメージの攻撃じゃねぇ!?

 

「オレはデッキから《竜穴の魔術師》と《相克の魔術師》を手札に加え、ペンデュラムゾーンにセッティング! これで4から7レベルのモンスターが同時に召喚可能! オラァッ!」

 

 ペンデュラムゾーンへの設置によるペンデュラムカードの発動2回に対し、《真紅眼の鋼炎竜》は容赦無くニ連打かまし、オレは食らってられっかと《蒼の亡霊》で殴り飛ばす!

 

「むぅ、ちゃんと受けなさいよ!」

「やだよ、痛ぇんだぞ! ダメージは問題無く処理されている!」

 

 秋瀬直也

 LP7500→7000→6500

 

 

「――ペンデュラム召喚! エクストラデッキよりレベル7《法眼の魔術師》、レベル7《相克の魔術師》、レベル6《マジェスペクター・ユニコーン》、レベル7《竜穴の魔術師》、レベル6《賤竜の魔術師》!」

 

 

 秋瀬直也

 LP8000→7500→7000→6500

 手札4→3→2→4→3→2

 《法眼の魔術師》星7/光属性/魔法使い族/攻2000/守2500

 《相克の魔術師》星7/闇属性/魔法使い族/攻2500/守500

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 《竜穴の魔術師》星7/水属性/魔法使い族/攻900/守2700

 《賤竜の魔術師》星6/風属性/魔法使い族/攻2100/守1400

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

 《竜穴の魔術師》スケール8

 《相克の魔術師》スケール3

 

 さぁ、柚葉の伏せたカードは――!

 

「――罠カードオープン! 『奈落の落とし穴』! 相手が攻撃力1500以上のモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚した時、その攻撃力1500以上のモンスターを破壊し除外する! 残念だったわね!」

「ああ、残念だったな。『神の宣告』か『神の通告』だったら柚葉の勝利だったんだがな――」

「……え?」

 

 ――危なかった。《ダークマター》の時に1枚だけしか入ってない《法眼の魔術師》を除外してなければ、今ので致命傷だった。

 

 

「《法眼の魔術師》の効果、このターンにペンデュラム召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分フィールドの『魔術師』ペンデュラムモンスターは相手の効果では破壊されない! 破壊されないので除外もまたされない! 『奈落の落とし穴』は『神の宣告』や『神の通告』とは違って召喚そのものを無効にするものではないからな――《マジェスペクター・ユニコーン》には持ち前の耐性があるから『奈落の落とし穴』は通用しないぜ!」

 

 

 効果を見た時は微妙効果だと思っていたが、こんな処で役立つとはな……!

 

「そしてオレは《竜穴の魔術師》と《賤竜の魔術師》をリリースし、真打ち登場! 雄々しくも美しく輝く二色の眼! 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》をアドバンス召喚!」

 

 そして珍しくペンデュラム召喚以外での降臨に、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》はいつも以上の気迫をもって咆哮する。

 柚葉は『奈落の落とし穴』読みで《オッドアイズ》をペンデュラム召喚しなかった事に驚愕しながらも、余裕の表情を浮かべた。

 

「……失敗だったんじゃない? レベル6の《賤竜の魔術師》を残しておけば《マジェスペクター・ユニコーン》とエクシーズ召喚してランク6の《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》を出せて《オッドアイズ》で5000ダメージ与えれたのに」

「おいおい、それじゃこのターンに勝てないだろ」

「え?」

 

 在り得ない言葉を聞き、柚葉はきょとんとする。

 そう、次のターンなど無い。これがこのデュエルのラストターンだ!

 

「オレはレベル7の《法眼の魔術師》と《相克の魔術師》でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 現われろ、ランク7《真紅眼の鋼炎竜》!」

 

 そして現れるは柚葉のフィールドにもいるレッドアイズの進化系であるエクシーズモンスター、うん、オレのデッキにも入っていたから効果を知っていたんだ。

 

「……まさかさ、何方の場にも《真紅眼の鋼炎竜》がいるという事は、効果発動してダメージが発生した時点で無限ループ?」

「いや、《真紅眼の鋼炎竜》のバーンダメージは永続効果だから効果の発動に入らない。ちなみに相手の場に《魔王龍 ベエルゼ》がいたら無限ループ発生して死ぬ」

 

 少し前まで《魔王龍 ベエルゼ》を使っていたオレとしては恐ろしい話である。

 効果発動で500ダメージ、《魔王龍 ベエルゼ》の効果発動して攻撃力が500アップ、《真紅眼の鋼炎竜》の永続効果で500ダメージ、攻撃力が500アップのまさに無限ループ!

 

「ペンデュラムゾーンにセッティングされている《相克の魔術師》のペンデュラム効果発動! 1ターンに1度、自分フィールドのエクシーズモンスター1体にこのターンだけランクと同じ数値のレベルのモンスターとしてエクシーズ召喚の素材に出来る!」

「……え? エクシーズモンスターはレベルを持たないのにレベルを持たせる? どういう事?」

 

 柚葉の疑問を他所に相手の《真紅眼の鋼炎竜》から黒炎弾が飛んできてまたダメージ、本当に地味じゃないぐらい痛いな、この効果。

 

 秋瀬直也

 LP6500→6000

 

「つまり、こういう事だ――レベル7のドラゴン族モンスター《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とレベル7扱いのドラゴン族モンスター《真紅眼の鋼炎竜》でオーバーレイ!」

「え!? ちょ、何それぇ!?」

 

 《オッドアイズ》と《レッドアイズ》が赤と黒の閃光となり、空間に穴を穿ってオーバーレイ・ネットワークを構築する!

 

「――エクシーズ召喚! 怒りの眼輝けし反逆の龍! !ランク7《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》!」

 

 フィールドに降臨するは何処か《オッドアイズ》の印象を残し、《レッドアイズ》とは別系統のドラゴンと融合合体したような真紅と漆黒の龍、殺意の具現たるランク7の――。

 

 

「エクシーズ・ペンデュラムモンスター……!?」

 

 

 秋瀬直也

 LP6500→6000

 手札2→1

 《マジェスペクター・ユニコーン》星6/風属性/魔法使い族/攻2000/守2000

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》ランク7/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU2

 魔法・罠カード

  無し

 ペンデュラムゾーン

 《竜穴の魔術師》スケール8

 《相克の魔術師》スケール3

 

 そう、エクシーズモンスターであり、ペンデュラムモンスターでもある、新次元の存在である……!

 

「効果発動! このカードがエクシーズモンスターを素材としてエクシーズ召喚に成功した場合、相手フィールドのレベル7以下のモンスターを全て破壊し、破壊した数×1000ポイントのダメージを与える!」

「……!? 私の場にレベル7以下のモンスターは《瀑征竜-タイダル》と《幻獣機トークン》2体の合計3体……!? ~~っっ!」

 

 秋瀬直也

 LP6000→5500

 

 黒炎弾に迎撃されながらも《覇王黒竜》の背中の翼が展開され、迸る稲妻は相手フィールドのレベル7以下のモンスターを無慈悲に殲滅し、更には柚葉をも焼く……!

 

 豊海柚葉

 LP5500→2500

 

「――そして《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》はこのターン、1度のバトルフェイズ中に3回攻撃出来る!」

「ななっ、嘘……!?」

 

 豊海柚葉

 LP5500→2500

 手札4

 《真紅眼の鋼炎竜》ランク7/闇属性/ドラゴン族/攻2800/守2400 ORU2

 《幻獣機ドラゴサック》ランク7/風属性/機械族/攻2600/守2200 ORU1

 魔法・罠カード

  無し

 

「――バトル! 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》で攻撃! 反旗の逆鱗、ストライク・ディスオベイッ!」

 

 《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》は飛翔し、その過程で《真紅眼の鋼炎竜》と《幻獣機ドラゴサック》を一網打尽に破壊し――。

 

「きゃあああああああああああああああぁ――ッ!?」

 

 豊海柚葉

 LP2500→-500

 

 

 

 

「……うぅ、今回の敗因って『奈落の落とし穴』の使うタイミングを間違ったせい……?」

「いや、『奈落の落とし穴』だった時点でだ。ペンデュラム召喚が通って《マジェスペクター・ユニコーン》がいるから、自分の効果使用して手札に戻して《竜穴の魔術師》のペンデュラム効果で伏せカードを割って終了だな」

 

 ついでに言うと、ペンデュラム召喚した《賤竜の魔術師》でも墓地の『魔術師』ペンデュラムモンスターを1枚回収出来たが、今回は《覇王黒竜》が通らないと敗北だったので発動しなかった。

 ……しかし、『遊戯王』初心者の柚葉がこんな短時間で『征竜』をある程度まで回せるようになるとはびっくりである。

 次やったら負けそうだなぁと思いつつ――。

 

 

 ――ぱんぱんぱん、と。乾いた拍手の音が鳴り響く。

 

 

『――いや、それを差し引いても見事なものさ。凄く見応えのある良い『決闘』だったよ』

 

 

 オレと柚葉は同時にその声――少年とも少女とも老人とも思えるような奇妙な聲――の方向に振り向く。

 

「なっ――」

 

 あの柚葉さえそれを見て絶句する。

 ……其処に居たのは人の形をした『何か』だった。

 本当に『何か』としか表現しようがない。――何故ならば、ソイツには眼も無ければ鼻も無い、顔すら無い、本当に人の形をしているだけの『何か』だったからだ……!

 

 ――そう、強いて言うならば、それは、一つの宇宙に匹敵する規模の『闇』と『光』が人の形で鬩ぎ合う、真の『混沌』そのモノだった……!

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。