転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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 タイトル詐欺? 予告の台詞が本編中に出て来ない事ぐらい『遊戯王』では日常茶飯事だよな!


14/ダークシグナーだった頃のお前はもっと輝いていたぞ! vs『代行者』(2)

 

「オレのターン、ドロー!」

 

 ようやくオレのターンが回ってきて、ドローしたカードを見て顔を引き攣る。

 最高に回った状態ならば、あの布陣すら粉砕して1ターンキル出来るが、この初期手札では到底望めない。

 完全な事故ではないし、動かなければ死ぬ。ならば、初期手札が悪かろうが動くしかあるまい!

 

「オレは手札から魔法カード『クリティウスの牙』を発動! 『クリティウスの牙』は1ターンに1度、『クリティウスの牙』の効果でのみ特殊召喚出来る融合モンスターカードに記された罠カード1枚を自分の手札・フィールドから墓地に送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!」

 

 この効果から出せる融合モンスターは強力な効果を持っているが、これとその罠カードをサーチする方法は基本的に無いから、これが初のお披露目である。

 

「――オレは手札の『聖なるバリア -ミラーフォース-』を墓地に捨て、《ミラーフォース・ドラゴン》を特殊召喚する!」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札5→6→5→4

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 魔法・罠カード

  無し

 

 現れるは『ミラーフォース』の力を得た伝説の竜『クリティウス』の化身、このカード、初代遊戯王に登場したカードだが、OCG化してたんだなぁ。

 

「――どうした? 《フレシアの蟲惑魔》の効果は使わないのか?」

「――さて、使うかどうかは私の勝手ですよ」

 

 ちっ、調子に乗って使ってくれれば《ミラーフォース・ドラゴン》だけの犠牲でヤツのフィールドを破壊し尽くせたんだがなぁ……あれ、『奈落の落とし穴』って対象を取る効果だったけ? ……地味に取らなかったような?

 

(……? 『奈落の落とし穴』以外の『落とし穴』を使いたいのか? 他に何あったかな?)

 

 ……現状、これ以上展開しても必ず《フレシアの蟲惑魔》で妨害され、致命的な打撃を受ける事になるだろう。

 特にこの手札じゃリカバリー出来ないので、それは何としても避けたい。……ちょっと勿体無いが――。

 

 

「――バトル! 《ミラーフォース・ドラゴン》で《フレシアの蟲惑魔》を攻撃!」

 

 

 このターンで仕留める事を完全に諦め、邪魔な《フレシアの蟲惑魔》を戦闘で直接排除しよう。

 こっちの攻撃力は2800、あっちの守備力は2500だから、確実に戦闘破壊出来る――。

 

「《フレシアの蟲惑魔》の効果発動! 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている『ホール』通常罠カードまたは『落とし穴』通常罠カード1枚をデッキから墓地に送って発動出来る! この効果は相手ターンでも発動可能! 私がデッキから墓地に送るのは『狡猾な落とし穴』――その効果は自分の墓地に罠カードが存在しない場合、フィールド上のモンスター2体を選択して破壊する」

 

 このタイミングで発動出来る『落とし穴』だと!? まぁ『落とし穴』といったら『奈落の落とし穴』しか覚えてないけど。

 

「ちっ、召喚時じゃなくても発動出来る『落とし穴』があったか……! だが、それで《ミラーフォース・ドラゴン》を選択しちまったらそっちのフィールドは全破壊だぜ!」

「――いいえ、私が選択する2体は《No.93 希望皇ホープ・カイザー》と《No.53 偽骸神 Heart-eartH》です!」

「なっ、自分のエクシーズモンスターを対象だと!?」

 

 さっきまでの自分の装備カードを破壊して大量展開した光景を見てきているだけに、果てしなく嫌な予感がする……!

 

「《No.93 希望皇ホープ・カイザー》は自分フィールドに他の『No.』エクシーズモンスターが存在する限り、戦闘・効果では破壊されない。――そして効果で破壊された《No.53 偽骸神 Heart-eartH》のモンスター効果発動!」

「何? 《ホープ・カイザー》の効果で特殊召喚された『ナンバーズ』は効果が無効化されていたんじゃないのか!?」

「例え効果が無効化されていても墓地から発動する効果は別ですよ!」

 

 ぐっ、厄介極まる耐性に、死者に口ありってヤツか……!

 

「エクシーズ素材の無い《No.53 偽骸神 Heart-eartH》がカードの効果によって破壊された時、墓地のこのカードをエクシーズ素材としてエクストラデッキから《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》1体をエクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する!」

「な、何ィ!? デッキから罠カードの次は墓地からエクシーズ召喚だとォ!?」

 

 インチキ効果もいい加減にしやがれよ!?

 

 

「――偽りの骸を捨て、神の龍となりて現われよ! ランク9《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》ッッ!」

 

 

 『代行者』

 LP8000

 手札3

 《フレシアの蟲惑魔》ランク4/地属性/植物族/攻600/守2500 ORU2→1

 《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2

 《No.107 銀河眼の時空竜》ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU0

 《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500 ORU0

 《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0 ORU1

 魔法・罠カード

  無し

 

 偽りの骸を脱ぎ去り、現れるは蛇じみた胴体が果てしなく長く、この廃ビルに巻き付いてなお長い超巨大な最凶龍! だが――。

 

「こんな見た目で攻撃力0? という事は――」

「効果がヤバい系だな……!」

 

 どれどれ、テキストを確認だ。

 

 《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》

 エクシーズ・効果モンスター

 ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0

 レベル9モンスター×3

 このカードは戦闘では破壊されず、

 このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。

 相手のエンドフェイズ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、

 相手フィールド上の、このターンに

 召喚・特殊召喚・セットされたカードを全てゲームから除外する。

 エクシーズ素材を持っているこのカードが破壊された場合、

 このカードを墓地から特殊召喚できる。

 この効果で特殊召喚した時、このカードの攻撃力は

 ゲームから除外されているカードの数×1000ポイントアップする。

 

 ……あ、コイツはやべぇ。処理出来ずにターンエンドしたらこのターンのエンドフェイズに、フィールドにおいたカード全て除外されるじゃねぇか!?

 しかも戦闘耐性に戦闘で発生する戦闘ダメージを相手に受けさせる反射効果、更には破壊された場合でもエクシーズ素材があれば墓地から特殊召喚し、ゲームから除外されているカードの数×1000ポイントの攻撃力になるだぁ!?

 

「――っ、とんでもねぇのが出てきやがったな! 攻撃続行、《ミラーフォース・ドラゴン》で《フレシアの蟲惑魔》を攻撃して破壊っ!」

 

 『代行者』

 LP8000

 手札3

 《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2

 《No.107 銀河眼の時空竜》ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU0

 《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500 ORU0

 《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0 ORU1

 魔法・罠カード

  無し

 

 さて、どうにかしてこのターンの内に《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》を除去しないと詰むか。

 道筋が思い描けないが、オレの手札にはまだその可能性は残っている……!

 

「メインフェイズ2、速攻魔法『手札断殺』を発動! 互いのプレイヤーは手札を2枚墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする!」

「おやおや、私の手札を入れ替えさせて良いのですか?」

「抜かせ、《甲虫装機 センチピード》と《甲虫装機 ギガウィービル》を落とすハメになる癖によぉ……!」

 

 ちっ、奴の手札が2枚なら《ダンセル》を墓地に落とせたものを……!

 とりあえず《ゴブリンゾンビ》《ユニゾンビ》を墓地に送って、新たにドローする2枚に祈るだけだ……!

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札4→3→1→3

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 魔法・罠カード

  無し

 

 此処でこの2枚か……ああもうやりゃ良いんだろ!

 

「更に魔法カード『闇の誘惑』を発動! デッキから2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地に送る――2枚ドロー! そして闇属性モンスター《ワイト夫人》を除外する」

 

 ――っ、微かに繋がった! 《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》をこのターンで完全除去する軌跡が光り輝いて結実する!

 

「手札から《ゾンビ・マスター》を通常召喚、効果発動、手札のモンスターカード《グローアップ・バルブ》を墓地に送って、自分の墓地のレベル4以下のアンデット族モンスター《ユニゾンビ》を特殊召喚する!」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札3→2→4→3→2→1

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0

 《ユニゾンビ》星3/闇属性/アンデット族/攻1300/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

「《ユニゾンビ》の第二の効果発動! デッキからアンデット族モンスター《馬頭鬼》を墓地に送り、フィールドの《ユニゾンビ》のレベルを1つ上げる。この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分モンスターは攻撃出来ない」

 

 もう既にバトルフェイズは終わっているから、この効果は発動し放題だぜ!

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札1

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0

 《ユニゾンビ》星3→4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

「墓地の《馬頭鬼》を除外し、オレの墓地のアンデット族モンスター《ゴブリンゾンビ》を特殊召喚する!」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札1

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0

 《ユニゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0

 《ゴブリンゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1100/守1050

 魔法・罠カード

  無し

 

 これでレベル4のチューナー以外のモンスターが2体……! 此処でさっき手札から捨てたカードの効果を発動させる!

 

「墓地の《グローアップ・バルブ》の効果発動、デッキの一番上のカードを墓地に送り、墓地の《グローアップ・バルブ》を特殊召喚する! この効果はデュエル中、1回しか使用出来ない!」

 

 墓地に落ちたのは――《ゾンビキャリア》か! よし、少しだけ運が向いてきたな……!

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札1

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0

 《ユニゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0

 《ゴブリンゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1100/守1050

 《グローアップ・バルブ》星1/地属性/植物族/攻100/守100

 魔法・罠カード

  無し

 

「レベル4の《ゾンビ・マスター》とレベル4の《ゴブリンゾンビ》にレベル1のチューナーモンスター《グローアップ・バルブ》をチューニング! シンクロ召喚! ――破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! レベル9《氷結界の龍 トリシューラ》!」

 

 絶対零度の封印を粉砕し、フィールドに伝説の龍が登場だッ!

 本当にお前は相手に使われると悲鳴あげたくなるが、自分で使うとこれ以上無く頼りになるぜ……!

 

 《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》には厄介な戦闘破壊耐性、そして効果で破壊してもエクシーズ素材があるなら墓地から特殊召喚されるが、除外してしまえば何の効果も発揮出来まい!

 

「《氷結界の龍 トリシューラ》のシンクロ召喚に成功した時、相手のフィールド・手札・墓地のカードを1枚ずつ除外出来る! オレはフィールドの《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》、墓地の《甲虫装機 ダンセル》を除外! そして手札の1枚は――!」

「――っ、手札の《甲虫装機 ダンセル》もですか……!」

 

 よっし! 一番除外して欲しい手札のカードを除外出来たぜ!

 これでエンドフェイズに《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》の効果で全除外される脅威は取り除き、更には幸運な事に《甲虫装機 ダンセル》が墓地に1枚、他の『甲虫装機』で蘇生されなければ大量展開も出来まい……!

 

「更に墓地に落ちた《ゴブリンゾンビ》の効果でデッキから守備力1200以下のアンデット族モンスター《馬頭鬼》を手札に加える」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札1→2

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 《ユニゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0

 《氷結界の龍 トリシューラ》星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

 魔法・罠カード

  無し

 

「《ユニゾンビ》の第一の効果発動! 手札を1枚捨て、フィールドの《ユニゾンビ》のレベルを1つ上げる」

 

 当然捨てるのは今、《ゴブリンゾンビ》の効果で持ってきた2枚目の《馬頭鬼》である。だが、このターンは使わない。

 

「更に手札の《ワイトメア》を墓地に捨て、その効果でゲームから除外されている《ワイト夫人》を特殊召喚する!」

 

 これでレベル3のモンスターとレベル5のチューナーモンスターがフィールドに揃った! その合計レベルは8! ならば出すべきシンクロモンスターは――。

 

「レベル3の《ワイト夫人》にレベル5となったチューナーモンスター《ユニゾンビ》をチューニング! シンクロ召喚! レベル8《PSYフレームロード・Ω》!」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札2→1→0

 《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200

 《氷結界の龍 トリシューラ》星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

 《PSYフレームロード・Ω》星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200

 魔法・罠カード

  無し

 

 幾度のデュエルで大活躍した頼れるサイキック族モンスターである。

 

 ……だが、手札を全部使い切ってこの程度の展開とは、非常にまずいな。

 次のターンになれば墓地の《馬頭鬼》2体に《ユニゾンビ》の効果を使ってシンクロ召喚に繋げれる。次のオレのターンがあれば、だが――。

 

「……オレはこれでターンエンド」

「おや、おやおやおやおや、まさかこれで終わりですか? どうやら完全に事故ったようですね――これはこれは、かつての貴方からは考えられない事だ!」

 

 『代行者』

 LP8000

 手札3→2

 《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2

 《No.107 銀河眼の時空竜》ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU0

 《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500 ORU0

 魔法・罠カード

  無し

 

「……いや、誰だって手札事故からは逃れられないだろ?」

「今の貴方には、かつて『持っていたモノ』が綺麗さっぱり消失してしまっているッ!  ――誰もが憧れ、誰もが敬い、誰もが妬んだ、全ての『決闘者』の頂点に立った『決闘王(キング・オブ・デュエリスト)』としての秋瀬直也は、此処には居ないッッ!」

 

 ……え? 何それ? 何で武藤遊戯と同じような立場にオレなんかがなっているの? いや、正確にはこの遊戯王次元の『オレ』なんだが。

 そう考えれば、今までの他の人からの反応がかなり違ったのは納得の行く話、なのか……?

 

 

「――そう、今の貴方は『秋瀬直也』ですらないッッ!」

 

 

 ぇー? いや、本当にこの改変された次元での『オレ』ではないから、何も言い返せないけどさ。何かコイツに言われるのだけは納得いかねぇ……!

 

「……えーと、元・直也君?」

「……いや、柚葉、何で知らないのに『元・キング』みたいな扱いを……」

 

 やめてくれ、柚葉。帰りの『D・ホイール』で転倒事故になったら洒落になんねぇだろうが……。

 

「――『運命』さえそのドローで捩じ伏せ、『闇』のデュエルを『光』のデュエルで照らし尽くし、新たな『未来』を切り開いた……『遊戯王』は楽しい事だと、誰もが忘れていた大切な事を思い出させてくれたのは、貴方だった筈だッ!」

 

 ……ああ、うん、「コイツ面倒臭ぇ……」と思いながらも、『決闘者』相手に会話が成立する道理は最初から無かったな!

 

「……そんな貴方が『決闘者』としての『魂』を忘れてしまったのならば――もう一度、思い出させてやりますともッ!」

「……いや、良い事言っているつもりなんだろうが、まずは『デッキ』返せや」

 

 まずは己の犯罪行為から見直せ、そして神父らしく悔い改めろ。

 

「私のターン、ドロー!」

「スタンバイフェイズ、《PSYフレームロード・Ω》の効果で除外されている《馬頭鬼》を墓地に戻す」

 

 墓地に色々落ちているお陰で、手札は無いが、これで次のターンも何かしら展開出来る布石は打った。

 ……まぁ問題は、このターンのうちに仕留められないか、である。それは奴の展開次第だ。既に主立った『甲虫装機』は使い切ってるし、『ダンセル』さえ出されなければ何とか――。

 

「私は魔法カード『貪欲な壺』を発動! 自分の墓地のモンスター5体を選択し、デッキに加えてシャッフルする、私は3枚の《甲虫装機 センチピード》《フレシアの蟲惑魔》《No.20 蟻岩土ブリリアント》をデッキに戻し、その後、2枚ドローする!」

 

 ……げっ、よりによってその魔法カードか……!

 そうだよな、このエクストラ消費量、モンスターカードを枯渇する勢いで展開したのは補うカードが入っていたからか……!

 新たに2枚ドローし、奴の口元が歪む。ッ、このタイミングしかねぇ! この効果に全てを賭ける……!

 

 

「――《PSYフレームロード・Ω》の効果発動! 1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと《PSYフレームロード・Ω》を次の自分のスタンバイフェイズまで表側表示で除外する!」

 

 

 頼む、ヤツのドローした『希望』を、オレにとっての『絶望』を除外しろッ!

 《PSYフレームロード・Ω》と一緒に除外されたヤツのカードは……!?

 

「――ちぃっ、除外されたカードは今引き戻したばかりの《甲虫装機 センチピード》……! どうやら命拾いしたようですね! いえ、調子が戻ってきたと言うべきですかねぇ!」

「本来の『デッキ』じゃなくて調子崩れてるって思ってんなら、ちゃっちゃと返せよテメェ! テメェのせいでどんだけ話が拗れたと思ってんだッ!」

「今の貴方にはとても返せませんねっ!」

 

 ……ああ、もうコイツ、マジ死ねよ!

 

「――ランク8《No.107 銀河眼の時空竜》1体でオーバーレイ! エクシーズ・チェンジ! ランク8《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》!」

 

 げっ、効果無効のエクシーズモンスターから、《ホープ》から《ホープ・ザ・ライトニング》になるかのようにエクシーズチェンジしやがった!

 しかも攻撃力3000から4000かよ!?

 

「このカードは《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》以外の自分フィールドの『ギャラクシーアイズ』エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事も出来る! そして効果発動! 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象に破壊する! 私が選択するのは《ミラーフォース・ドラゴン》!」

 

 エクシーズ素材を1つ使い、相手フィールドの表側表示カードのみという縛りがあるが、破壊除去も行えるのか……! だが――!

 

「《ミラーフォース・ドラゴン》の効果発動! 自分フィールドのモンスターが相手の効果の対象になった時、相手フィールドのカードを全て破壊する!」

「ですが《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》の効果で破壊されて貰いますよ! なお《No.93 希望皇ホープ・カイザー》には自分のフィールドに他の『No.』エクシーズモンスターが存在する限り戦闘・効果では破壊されませんので《ミラーフォース・ドラゴン》では破壊されません」

 

 『代行者』

 LP8000

 手札2→3→2→4→3

 《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2

 魔法・罠カード

  無し

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札0

 《氷結界の龍 トリシューラ》星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000

 魔法・罠カード

  無し

 

 これでオレのフィールドには《氷結界の龍 トリシューラ》のみ、シンクロ召喚された際の3枚除去が終わった後の《トリシューラ》は何の効果も持たない攻撃力2700のモンスター同然……凌ぎ切れるか……?

 

「《No.93 希望皇ホープ・カイザー》の効果発動! 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材の種類の数までエクストラデッキからランク9以下で攻撃力3000以下の『No.』モンスターを効果を無効にして特殊召喚する! その後にこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く――現われろ、ランク3《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》、ランク4《No.85 クレイジー・ボックス》!」

 

 『代行者』

 LP8000

 手札3

 《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2→1

 《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》ランク3/水属性/岩石族/攻3000/守3000 ORU0

 《No.85 クレイジー・ボックス》ランク4/闇属性/悪魔族/攻3000/守300 ORU0

 魔法・罠カード

  無し

 

 ヤツの場に召喚されるは毒々しいまでに紫色の巨大ゴーレムに、四角形のパズルみたいなモンスター……いずれも攻撃力3000のモンスターか!

 エクストラデッキを消費しているとは言え、毎ターン《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》と同じ攻撃力のモンスターが出てくるとか、やばいな……!

 

「……っ、だが、これを発動させたターン、相手の受ける戦闘ダメージは半分となり、更にモンスターを特殊召喚出来ない、だったな!」

「《PSYフレームロード・Ω》の効果で《甲虫装機 センチピード》を除外されなければこれを使わずに終わっていたのですがね! ――バトルです! 《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》で《氷結界の龍 トリシューラ》を攻撃!」

 

 あ、これ、装備カード、または装備カードになれるモンスターカード握ってやがるな。

 《トリシューラ》が《アシッド・ゴーレム》からの渾身の一撃によって破壊され、その余波がオレに走る……!

 

 秋瀬直也

 LP8000→7850

 

「《No.85 クレイジー・ボックス》と《No.93 希望皇ホープ・カイザー》でダイレクトアタック!」

 

 続いて迫り来る2体のエクシーズモンスターの攻撃を『蒼の亡霊』で全力ガードする! 一々こんな攻撃に当たってられっか、風の能力もフルに使って耐え切る……!

 

 秋瀬直也

 LP7850→6350→5100

 

「~~っっ! スタンドでガードしてるのに、痛い事には変わりねぇ……!」

「バトル終了、メイン2、私はカードを2枚セットしてターンエンドです。――さぁ、次が貴方のラストターンですよ!」

 

 『代行者』

 LP8000

 手札3→1

 《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU1

 《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》ランク3/水属性/岩石族/攻3000/守3000 ORU0

 《No.85 クレイジー・ボックス》ランク4/闇属性/悪魔族/攻3000/守300 ORU0

 魔法・罠カード

  伏せカード2枚

 

 ちぃ、次のターンになれば戦闘ダメージは元通りになるし、また《PSYフレームロード・Ω》の効果で除外出来るとは限らない、か……!

 

 秋瀬直也

 LP8000→5100

 手札0

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 

 


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