「オレのターン、ドロー!」
ようやくオレのターンが回ってきて、ドローしたカードを見て顔を引き攣る。
最高に回った状態ならば、あの布陣すら粉砕して1ターンキル出来るが、この初期手札では到底望めない。
完全な事故ではないし、動かなければ死ぬ。ならば、初期手札が悪かろうが動くしかあるまい!
「オレは手札から魔法カード『クリティウスの牙』を発動! 『クリティウスの牙』は1ターンに1度、『クリティウスの牙』の効果でのみ特殊召喚出来る融合モンスターカードに記された罠カード1枚を自分の手札・フィールドから墓地に送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚する!」
この効果から出せる融合モンスターは強力な効果を持っているが、これとその罠カードをサーチする方法は基本的に無いから、これが初のお披露目である。
「――オレは手札の『聖なるバリア -ミラーフォース-』を墓地に捨て、《ミラーフォース・ドラゴン》を特殊召喚する!」
秋瀬直也
LP8000
手札5→6→5→4
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
魔法・罠カード
無し
現れるは『ミラーフォース』の力を得た伝説の竜『クリティウス』の化身、このカード、初代遊戯王に登場したカードだが、OCG化してたんだなぁ。
「――どうした? 《フレシアの蟲惑魔》の効果は使わないのか?」
「――さて、使うかどうかは私の勝手ですよ」
ちっ、調子に乗って使ってくれれば《ミラーフォース・ドラゴン》だけの犠牲でヤツのフィールドを破壊し尽くせたんだがなぁ……あれ、『奈落の落とし穴』って対象を取る効果だったけ? ……地味に取らなかったような?
(……? 『奈落の落とし穴』以外の『落とし穴』を使いたいのか? 他に何あったかな?)
……現状、これ以上展開しても必ず《フレシアの蟲惑魔》で妨害され、致命的な打撃を受ける事になるだろう。
特にこの手札じゃリカバリー出来ないので、それは何としても避けたい。……ちょっと勿体無いが――。
「――バトル! 《ミラーフォース・ドラゴン》で《フレシアの蟲惑魔》を攻撃!」
このターンで仕留める事を完全に諦め、邪魔な《フレシアの蟲惑魔》を戦闘で直接排除しよう。
こっちの攻撃力は2800、あっちの守備力は2500だから、確実に戦闘破壊出来る――。
「《フレシアの蟲惑魔》の効果発動! 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、発動条件を満たしている『ホール』通常罠カードまたは『落とし穴』通常罠カード1枚をデッキから墓地に送って発動出来る! この効果は相手ターンでも発動可能! 私がデッキから墓地に送るのは『狡猾な落とし穴』――その効果は自分の墓地に罠カードが存在しない場合、フィールド上のモンスター2体を選択して破壊する」
このタイミングで発動出来る『落とし穴』だと!? まぁ『落とし穴』といったら『奈落の落とし穴』しか覚えてないけど。
「ちっ、召喚時じゃなくても発動出来る『落とし穴』があったか……! だが、それで《ミラーフォース・ドラゴン》を選択しちまったらそっちのフィールドは全破壊だぜ!」
「――いいえ、私が選択する2体は《No.93 希望皇ホープ・カイザー》と《No.53 偽骸神 Heart-eartH》です!」
「なっ、自分のエクシーズモンスターを対象だと!?」
さっきまでの自分の装備カードを破壊して大量展開した光景を見てきているだけに、果てしなく嫌な予感がする……!
「《No.93 希望皇ホープ・カイザー》は自分フィールドに他の『No.』エクシーズモンスターが存在する限り、戦闘・効果では破壊されない。――そして効果で破壊された《No.53 偽骸神 Heart-eartH》のモンスター効果発動!」
「何? 《ホープ・カイザー》の効果で特殊召喚された『ナンバーズ』は効果が無効化されていたんじゃないのか!?」
「例え効果が無効化されていても墓地から発動する効果は別ですよ!」
ぐっ、厄介極まる耐性に、死者に口ありってヤツか……!
「エクシーズ素材の無い《No.53 偽骸神 Heart-eartH》がカードの効果によって破壊された時、墓地のこのカードをエクシーズ素材としてエクストラデッキから《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》1体をエクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する!」
「な、何ィ!? デッキから罠カードの次は墓地からエクシーズ召喚だとォ!?」
インチキ効果もいい加減にしやがれよ!?
「――偽りの骸を捨て、神の龍となりて現われよ! ランク9《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》ッッ!」
『代行者』
LP8000
手札3
《フレシアの蟲惑魔》ランク4/地属性/植物族/攻600/守2500 ORU2→1
《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2
《No.107 銀河眼の時空竜》ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU0
《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500 ORU0
《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0 ORU1
魔法・罠カード
無し
偽りの骸を脱ぎ去り、現れるは蛇じみた胴体が果てしなく長く、この廃ビルに巻き付いてなお長い超巨大な最凶龍! だが――。
「こんな見た目で攻撃力0? という事は――」
「効果がヤバい系だな……!」
どれどれ、テキストを確認だ。
《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》
エクシーズ・効果モンスター
ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0
レベル9モンスター×3
このカードは戦闘では破壊されず、
このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
相手のエンドフェイズ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、
相手フィールド上の、このターンに
召喚・特殊召喚・セットされたカードを全てゲームから除外する。
エクシーズ素材を持っているこのカードが破壊された場合、
このカードを墓地から特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚した時、このカードの攻撃力は
ゲームから除外されているカードの数×1000ポイントアップする。
……あ、コイツはやべぇ。処理出来ずにターンエンドしたらこのターンのエンドフェイズに、フィールドにおいたカード全て除外されるじゃねぇか!?
しかも戦闘耐性に戦闘で発生する戦闘ダメージを相手に受けさせる反射効果、更には破壊された場合でもエクシーズ素材があれば墓地から特殊召喚し、ゲームから除外されているカードの数×1000ポイントの攻撃力になるだぁ!?
「――っ、とんでもねぇのが出てきやがったな! 攻撃続行、《ミラーフォース・ドラゴン》で《フレシアの蟲惑魔》を攻撃して破壊っ!」
『代行者』
LP8000
手札3
《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2
《No.107 銀河眼の時空竜》ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU0
《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500 ORU0
《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0 ORU1
魔法・罠カード
無し
さて、どうにかしてこのターンの内に《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》を除去しないと詰むか。
道筋が思い描けないが、オレの手札にはまだその可能性は残っている……!
「メインフェイズ2、速攻魔法『手札断殺』を発動! 互いのプレイヤーは手札を2枚墓地に送り、デッキからカードを2枚ドローする!」
「おやおや、私の手札を入れ替えさせて良いのですか?」
「抜かせ、《甲虫装機 センチピード》と《甲虫装機 ギガウィービル》を落とすハメになる癖によぉ……!」
ちっ、奴の手札が2枚なら《ダンセル》を墓地に落とせたものを……!
とりあえず《ゴブリンゾンビ》《ユニゾンビ》を墓地に送って、新たにドローする2枚に祈るだけだ……!
秋瀬直也
LP8000
手札4→3→1→3
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
魔法・罠カード
無し
此処でこの2枚か……ああもうやりゃ良いんだろ!
「更に魔法カード『闇の誘惑』を発動! デッキから2枚ドローし、手札の闇属性モンスター1体を除外する。手札に闇属性モンスターが無い場合、手札を全て墓地に送る――2枚ドロー! そして闇属性モンスター《ワイト夫人》を除外する」
――っ、微かに繋がった! 《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》をこのターンで完全除去する軌跡が光り輝いて結実する!
「手札から《ゾンビ・マスター》を通常召喚、効果発動、手札のモンスターカード《グローアップ・バルブ》を墓地に送って、自分の墓地のレベル4以下のアンデット族モンスター《ユニゾンビ》を特殊召喚する!」
秋瀬直也
LP8000
手札3→2→4→3→2→1
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0
《ユニゾンビ》星3/闇属性/アンデット族/攻1300/守0
魔法・罠カード
無し
「《ユニゾンビ》の第二の効果発動! デッキからアンデット族モンスター《馬頭鬼》を墓地に送り、フィールドの《ユニゾンビ》のレベルを1つ上げる。この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分モンスターは攻撃出来ない」
もう既にバトルフェイズは終わっているから、この効果は発動し放題だぜ!
秋瀬直也
LP8000
手札1
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0
《ユニゾンビ》星3→4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0
魔法・罠カード
無し
「墓地の《馬頭鬼》を除外し、オレの墓地のアンデット族モンスター《ゴブリンゾンビ》を特殊召喚する!」
秋瀬直也
LP8000
手札1
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0
《ユニゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0
《ゴブリンゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1100/守1050
魔法・罠カード
無し
これでレベル4のチューナー以外のモンスターが2体……! 此処でさっき手札から捨てたカードの効果を発動させる!
「墓地の《グローアップ・バルブ》の効果発動、デッキの一番上のカードを墓地に送り、墓地の《グローアップ・バルブ》を特殊召喚する! この効果はデュエル中、1回しか使用出来ない!」
墓地に落ちたのは――《ゾンビキャリア》か! よし、少しだけ運が向いてきたな……!
秋瀬直也
LP8000
手札1
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
《ゾンビ・マスター》星4/闇属性/アンデット族/攻1800/守0
《ユニゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0
《ゴブリンゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1100/守1050
《グローアップ・バルブ》星1/地属性/植物族/攻100/守100
魔法・罠カード
無し
「レベル4の《ゾンビ・マスター》とレベル4の《ゴブリンゾンビ》にレベル1のチューナーモンスター《グローアップ・バルブ》をチューニング! シンクロ召喚! ――破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け! レベル9《氷結界の龍 トリシューラ》!」
絶対零度の封印を粉砕し、フィールドに伝説の龍が登場だッ!
本当にお前は相手に使われると悲鳴あげたくなるが、自分で使うとこれ以上無く頼りになるぜ……!
《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》には厄介な戦闘破壊耐性、そして効果で破壊してもエクシーズ素材があるなら墓地から特殊召喚されるが、除外してしまえば何の効果も発揮出来まい!
「《氷結界の龍 トリシューラ》のシンクロ召喚に成功した時、相手のフィールド・手札・墓地のカードを1枚ずつ除外出来る! オレはフィールドの《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》、墓地の《甲虫装機 ダンセル》を除外! そして手札の1枚は――!」
「――っ、手札の《甲虫装機 ダンセル》もですか……!」
よっし! 一番除外して欲しい手札のカードを除外出来たぜ!
これでエンドフェイズに《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》の効果で全除外される脅威は取り除き、更には幸運な事に《甲虫装機 ダンセル》が墓地に1枚、他の『甲虫装機』で蘇生されなければ大量展開も出来まい……!
「更に墓地に落ちた《ゴブリンゾンビ》の効果でデッキから守備力1200以下のアンデット族モンスター《馬頭鬼》を手札に加える」
秋瀬直也
LP8000
手札1→2
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
《ユニゾンビ》星4/闇属性/アンデット族/攻1300/守0
《氷結界の龍 トリシューラ》星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000
魔法・罠カード
無し
「《ユニゾンビ》の第一の効果発動! 手札を1枚捨て、フィールドの《ユニゾンビ》のレベルを1つ上げる」
当然捨てるのは今、《ゴブリンゾンビ》の効果で持ってきた2枚目の《馬頭鬼》である。だが、このターンは使わない。
「更に手札の《ワイトメア》を墓地に捨て、その効果でゲームから除外されている《ワイト夫人》を特殊召喚する!」
これでレベル3のモンスターとレベル5のチューナーモンスターがフィールドに揃った! その合計レベルは8! ならば出すべきシンクロモンスターは――。
「レベル3の《ワイト夫人》にレベル5となったチューナーモンスター《ユニゾンビ》をチューニング! シンクロ召喚! レベル8《PSYフレームロード・Ω》!」
秋瀬直也
LP8000
手札2→1→0
《ミラーフォース・ドラゴン》星8/光属性/ドラゴン族/攻2800/守1200
《氷結界の龍 トリシューラ》星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000
《PSYフレームロード・Ω》星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200
魔法・罠カード
無し
幾度のデュエルで大活躍した頼れるサイキック族モンスターである。
……だが、手札を全部使い切ってこの程度の展開とは、非常にまずいな。
次のターンになれば墓地の《馬頭鬼》2体に《ユニゾンビ》の効果を使ってシンクロ召喚に繋げれる。次のオレのターンがあれば、だが――。
「……オレはこれでターンエンド」
「おや、おやおやおやおや、まさかこれで終わりですか? どうやら完全に事故ったようですね――これはこれは、かつての貴方からは考えられない事だ!」
『代行者』
LP8000
手札3→2
《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2
《No.107 銀河眼の時空竜》ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 ORU0
《No.39 希望皇ビヨンド・ザ・ホープ》ランク6/光属性/戦士族/攻3000/守2500 ORU0
魔法・罠カード
無し
「……いや、誰だって手札事故からは逃れられないだろ?」
「今の貴方には、かつて『持っていたモノ』が綺麗さっぱり消失してしまっているッ! ――誰もが憧れ、誰もが敬い、誰もが妬んだ、全ての『決闘者』の頂点に立った『決闘王(キング・オブ・デュエリスト)』としての秋瀬直也は、此処には居ないッッ!」
……え? 何それ? 何で武藤遊戯と同じような立場にオレなんかがなっているの? いや、正確にはこの遊戯王次元の『オレ』なんだが。
そう考えれば、今までの他の人からの反応がかなり違ったのは納得の行く話、なのか……?
「――そう、今の貴方は『秋瀬直也』ですらないッッ!」
ぇー? いや、本当にこの改変された次元での『オレ』ではないから、何も言い返せないけどさ。何かコイツに言われるのだけは納得いかねぇ……!
「……えーと、元・直也君?」
「……いや、柚葉、何で知らないのに『元・キング』みたいな扱いを……」
やめてくれ、柚葉。帰りの『D・ホイール』で転倒事故になったら洒落になんねぇだろうが……。
「――『運命』さえそのドローで捩じ伏せ、『闇』のデュエルを『光』のデュエルで照らし尽くし、新たな『未来』を切り開いた……『遊戯王』は楽しい事だと、誰もが忘れていた大切な事を思い出させてくれたのは、貴方だった筈だッ!」
……ああ、うん、「コイツ面倒臭ぇ……」と思いながらも、『決闘者』相手に会話が成立する道理は最初から無かったな!
「……そんな貴方が『決闘者』としての『魂』を忘れてしまったのならば――もう一度、思い出させてやりますともッ!」
「……いや、良い事言っているつもりなんだろうが、まずは『デッキ』返せや」
まずは己の犯罪行為から見直せ、そして神父らしく悔い改めろ。
「私のターン、ドロー!」
「スタンバイフェイズ、《PSYフレームロード・Ω》の効果で除外されている《馬頭鬼》を墓地に戻す」
墓地に色々落ちているお陰で、手札は無いが、これで次のターンも何かしら展開出来る布石は打った。
……まぁ問題は、このターンのうちに仕留められないか、である。それは奴の展開次第だ。既に主立った『甲虫装機』は使い切ってるし、『ダンセル』さえ出されなければ何とか――。
「私は魔法カード『貪欲な壺』を発動! 自分の墓地のモンスター5体を選択し、デッキに加えてシャッフルする、私は3枚の《甲虫装機 センチピード》《フレシアの蟲惑魔》《No.20 蟻岩土ブリリアント》をデッキに戻し、その後、2枚ドローする!」
……げっ、よりによってその魔法カードか……!
そうだよな、このエクストラ消費量、モンスターカードを枯渇する勢いで展開したのは補うカードが入っていたからか……!
新たに2枚ドローし、奴の口元が歪む。ッ、このタイミングしかねぇ! この効果に全てを賭ける……!
「――《PSYフレームロード・Ω》の効果発動! 1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと《PSYフレームロード・Ω》を次の自分のスタンバイフェイズまで表側表示で除外する!」
頼む、ヤツのドローした『希望』を、オレにとっての『絶望』を除外しろッ!
《PSYフレームロード・Ω》と一緒に除外されたヤツのカードは……!?
「――ちぃっ、除外されたカードは今引き戻したばかりの《甲虫装機 センチピード》……! どうやら命拾いしたようですね! いえ、調子が戻ってきたと言うべきですかねぇ!」
「本来の『デッキ』じゃなくて調子崩れてるって思ってんなら、ちゃっちゃと返せよテメェ! テメェのせいでどんだけ話が拗れたと思ってんだッ!」
「今の貴方にはとても返せませんねっ!」
……ああ、もうコイツ、マジ死ねよ!
「――ランク8《No.107 銀河眼の時空竜》1体でオーバーレイ! エクシーズ・チェンジ! ランク8《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》!」
げっ、効果無効のエクシーズモンスターから、《ホープ》から《ホープ・ザ・ライトニング》になるかのようにエクシーズチェンジしやがった!
しかも攻撃力3000から4000かよ!?
「このカードは《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》以外の自分フィールドの『ギャラクシーアイズ』エクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事も出来る! そして効果発動! 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールドの表側表示のカード1枚を対象に破壊する! 私が選択するのは《ミラーフォース・ドラゴン》!」
エクシーズ素材を1つ使い、相手フィールドの表側表示カードのみという縛りがあるが、破壊除去も行えるのか……! だが――!
「《ミラーフォース・ドラゴン》の効果発動! 自分フィールドのモンスターが相手の効果の対象になった時、相手フィールドのカードを全て破壊する!」
「ですが《ギャラクシーアイズ FA・フォトン・ドラゴン》の効果で破壊されて貰いますよ! なお《No.93 希望皇ホープ・カイザー》には自分のフィールドに他の『No.』エクシーズモンスターが存在する限り戦闘・効果では破壊されませんので《ミラーフォース・ドラゴン》では破壊されません」
『代行者』
LP8000
手札2→3→2→4→3
《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2
魔法・罠カード
無し
秋瀬直也
LP8000
手札0
《氷結界の龍 トリシューラ》星9/水属性/ドラゴン族/攻2700/守2000
魔法・罠カード
無し
これでオレのフィールドには《氷結界の龍 トリシューラ》のみ、シンクロ召喚された際の3枚除去が終わった後の《トリシューラ》は何の効果も持たない攻撃力2700のモンスター同然……凌ぎ切れるか……?
「《No.93 希望皇ホープ・カイザー》の効果発動! 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材の種類の数までエクストラデッキからランク9以下で攻撃力3000以下の『No.』モンスターを効果を無効にして特殊召喚する! その後にこのカードのエクシーズ素材を1つ取り除く――現われろ、ランク3《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》、ランク4《No.85 クレイジー・ボックス》!」
『代行者』
LP8000
手札3
《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2→1
《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》ランク3/水属性/岩石族/攻3000/守3000 ORU0
《No.85 クレイジー・ボックス》ランク4/闇属性/悪魔族/攻3000/守300 ORU0
魔法・罠カード
無し
ヤツの場に召喚されるは毒々しいまでに紫色の巨大ゴーレムに、四角形のパズルみたいなモンスター……いずれも攻撃力3000のモンスターか!
エクストラデッキを消費しているとは言え、毎ターン《ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン》と同じ攻撃力のモンスターが出てくるとか、やばいな……!
「……っ、だが、これを発動させたターン、相手の受ける戦闘ダメージは半分となり、更にモンスターを特殊召喚出来ない、だったな!」
「《PSYフレームロード・Ω》の効果で《甲虫装機 センチピード》を除外されなければこれを使わずに終わっていたのですがね! ――バトルです! 《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》で《氷結界の龍 トリシューラ》を攻撃!」
あ、これ、装備カード、または装備カードになれるモンスターカード握ってやがるな。
《トリシューラ》が《アシッド・ゴーレム》からの渾身の一撃によって破壊され、その余波がオレに走る……!
秋瀬直也
LP8000→7850
「《No.85 クレイジー・ボックス》と《No.93 希望皇ホープ・カイザー》でダイレクトアタック!」
続いて迫り来る2体のエクシーズモンスターの攻撃を『蒼の亡霊』で全力ガードする! 一々こんな攻撃に当たってられっか、風の能力もフルに使って耐え切る……!
秋瀬直也
LP7850→6350→5100
「~~っっ! スタンドでガードしてるのに、痛い事には変わりねぇ……!」
「バトル終了、メイン2、私はカードを2枚セットしてターンエンドです。――さぁ、次が貴方のラストターンですよ!」
『代行者』
LP8000
手札3→1
《No.93 希望皇ホープ・カイザー》ランク12/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU1
《No.30 破滅のアシッド・ゴーレム》ランク3/水属性/岩石族/攻3000/守3000 ORU0
《No.85 クレイジー・ボックス》ランク4/闇属性/悪魔族/攻3000/守300 ORU0
魔法・罠カード
伏せカード2枚
ちぃ、次のターンになれば戦闘ダメージは元通りになるし、また《PSYフレームロード・Ω》の効果で除外出来るとは限らない、か……!
秋瀬直也
LP8000→5100
手札0
無し
魔法・罠カード
無し