転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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04/汝は『ドラゴン』なり! vsアリア・クロイツ(2)

 

「私のターン、ドロー! ……ふむふむ、此処でこれがまた来ちゃうんだ~」

 

 アリア・クロイツ

 LP8000→2000

 手札5→6

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 にやにやと、アリアは今引いたカードを見て勝利の笑みを浮かべる。

 

「魔法カード『強欲な壺』発動、2枚ドロ~」

「げっ、またかよ!?」

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札6→5→7

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 くっ、またしても無条件の手札補強カード。このターンも『帝』を展開してくるか――と思いきや。

 

「手札から《破壊剣士の伴竜》を通常召喚、効果発動っ!」

「なっ、『帝』じゃない……!?」

「あっれれぇー、だから言ったじゃ~ん。墓地は良く見ておいた方が良いってさ」

 

 え? 彼女の墓地には大量の『帝王』魔法・罠カードと、あとは1ターン目の《轟雷帝ザボルグ》でエクストラデッキ破壊した際に落ちた8枚と――あ、あと『天使の施し』で落とした謎のカード2枚がある……!?

 

「このカードが召喚に成功した時、デッキから《破壊剣士の伴竜》以外の『破壊剣』カード1枚を手札に加える。私は《破壊剣-アームズバスターブレード》を手札に加えるよー」

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札7→6→7

 《破壊剣士の伴竜》星1/光属性/ドラゴン族/攻400/守300

 魔法・罠カード

  無し

 

 『破壊剣』……? 全く知らないカテゴリーだ。一体何をやってくるんだ?

 まるで検討も付かないが、明らかに1ターン目の第九期基準と思われる『帝』の動きと全く異質……?

 

「そして《破壊剣士の伴竜》の第二の効果発動! このカードをリリースし、自分の手札・墓地から『バスター・ブレイダー』1体を選んで特殊召喚する。墓地より蘇れ竜殺しの剣士の再来! 《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》!」

「『バスター・ブレイダー』だと!? 初代遊戯王で出てきた『バスター・ブレイダー』じゃないヤツ!? 1ターン目の『天使の施し』で落としたカードの1枚か!?」

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札7

 《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》星7/地属性/戦士族/攻2600/守2300

 魔法・罠カード

  無し

 

 そして出てくるは蒼い全身鎧を装着した竜殺しの戦士、オレの知る姿より軽装なような気がする……!

 まさかの初代リメイクカード……!? 即座にテキストを確認してみると――。

 

 《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》

 効果モンスター

 星7/地属性/戦士族/攻2600/守2300

 (1):このカードのカード名は、

 フィールド・墓地に存在する限り「バスター・ブレイダー」として扱う。

 (2):相手フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、

 破壊されたそのモンスター1体を対象として発動できる。

 そのモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに装備する。

 (3):1ターンに1度、このカードが装備している

 モンスター1枚を墓地へ送って発動できる。

 墓地へ送ったそのモンスターカードと

 同じ種族の相手フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

 うーん、戦闘を介して同種族限定の全体破壊効果……? 何かさっきから繰り出される壊れカードに毒されたのか、全然大した事無さそうに見える。

 確か初代の方は相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスター×500アップする効果だったのに、変わりすぎじゃね?

 

「そそ、1ターン目の『天使の施し』で密かに墓地に送っていたのだよ。――手札から《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》の効果発動、自分メインフェイズに自分フィールドの『バスター・ブレイダー』1体を対象に、手札・フィールドからこのモンスターを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する」

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札7→6

 《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》星7/地属性/戦士族/攻2600/守2300

 魔法・罠カード

 《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》

 

 むむ、『ドラグニティ』みたいな動きを? しかも今装備したあれ、チューナーモンスターでレベル1? あ、これは――。

 

「もう一つの効果発動、このカードが装備されている場合、装備しているこのカードを特殊召喚する。来い、レベル1のチューナーモンスター《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》!」

 

 ですよねぇー! 絶対特殊召喚されると思ってた! 『破壊剣』は『バスター・ブレイダー』を軸に展開していくタイプか?

 レベル7の『バスター・ブレイダー』とレベル1のチューナーモンスターが揃ったとなれば、来るのは――!

 

 

「――レベル7の《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》にレベル1の《破壊剣-ドラゴンバスターブレード》をチューニング! シンクロ召喚! レベル8《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》!」

 

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札6

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 魔法・罠カード

  無し

 

 む、見慣れないドラゴンが守備表示でシンクロ召喚?

 レベル8のドラゴン族シンクロモンスターなのに攻撃力が低く、守備力の方が高い? 効果が厄介なタイプだろうか。

 

「《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》が表側表示で存在する限り、相手フィールドのモンスターはドラゴン族になる。――あらら、外見はどう見てもアンデット族モンスターと機械族モンスターみたいだけど、アンタらの正体は『ドラゴン』のようだね!」

「へ?」

 

 秋瀬直也

 LP8000

 手札0

 《フォーミュラ・シンクロン》星2/光属性/機械族→ドラゴン族/攻200/守1500

 《ワイトキング》星1/闇属性/アンデット族→ドラゴン族/攻6000/守0

 魔法・罠カード

  伏せカード1枚

 

「永続効果で種族変更!? いやいやいや、お前達のようなドラゴン族がいるか!?」

「いやいや、『バスター・ドラゴン』ちゃんが言うんだから絶対『ドラゴン』だよ! 正体を隠していたなんて酷いなぁ、やっぱり『ドラゴン』は全滅させないと」

 

 え、えぇ? ちょっと待ってくれ、何その言いがかり!?

 ほら、《フォーミュラ・シンクロン》も《ワイトキング》もお互い見合った後に首を全力で横に振ってるじゃないか! つーか、そのシンクロモンスターこそ『ドラゴン』じゃねぇか!

 

「《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》の第二の効果発動! 自分フィールドに『バスター・ブレイダー』モンスターが存在しない場合、1ターンに1度、自分の墓地の『バスター・ブレイダー』1体を対象に特殊召喚する。蘇れ《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》!」

 

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札6

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》星7/地属性/戦士族/攻2600/守2300

 魔法・罠カード

  無し

 

 あっさり復活したー!? そして『ドーモ『バスター・ブレイダー』=サン、アイツ等全員『ドラゴン』デス!』『――『ドラゴン』殺すべし!』と言わんばかりに先程までとは桁外れの殺意を漲ってらっしゃるぅぅぅぅ!

 い、いや、嘗ての効果のままだったらまだしも、今の効果では墓地に送ったカード、この場合戦闘破壊出来るのが《フォーミュラ・シンクロン》だけだから『バスター・ブレイダー』に装備されても機械族モンスターしか破壊出来ない。

 今の状態のままでは例え種族がドラゴン族に変更されても攻撃力6000の《ワイトキング》は倒せない。やっぱり竜殺しはスライム一匹すら倒せない『竜殺し(笑)』のままじゃないか!

 

「――そして手札から速攻魔法『破壊剣士融合』を発動っ!」

「なっ、専用の『融合』魔法カードだと!? しかも速攻魔法!?」

 

 な、何が出てくるんだ? まさか手札に《ブラック・マジシャン》がいて、『バスター・ブレイダー』扱いのヤツと融合して懐かしの《超魔導剣士-ブラック・パラディン》でも出してくるのか!?

 

「『破壊剣士融合』の効果は1ターンに1度、自分の手札及び自分・相手フィールドから融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地に送り、『バスター・ブレイダー』を融合素材とするその融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する!」

 

 ……ん? 今、さらっとおかしな事を言わなかったか?

 何か普通にしれっと相手フィールドのモンスターも素材に出来るとか、そんな在り得ない一文が――。

 

「あ、お前機械族っぽいけど『ドラゴン』だよね? 《破壊剣の使い手-バスター・ブレイダー》と相手フィールドにいるドラゴン族モンスターの《フォーミュラ・シンクロン》を融合っ!」

「なんだとォ――!?」

 

 あー! あっさりとデメリットも無しに『超融合』効果を使いやがったぞー!?

 というか、融合素材が『バスター・ブレイダー』とドラゴン族モンスター? 《超魔導剣士-ブラック・パラディン》じゃない!?

 

 

「――《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》を融合召喚~!」

 

 

 初代『バスター・ブレイダー』と同じぐらいがっちがちの全身鎧に白金の煌めきを増設した、新生『竜殺し』がフィールドに爆誕する……!

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札6→5

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》星8/光属性/戦士族/攻2800/守2500

 魔法・罠カード

  無し

 

 しかし、《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》がいるせいで《ワイトキング》もドラゴン族扱いになっているのに、何でそっちを融合素材にして除去しなかったんだ?

 プレイングミスなんて在り得ないだろうから、その意図が激しく怖い。

 

「このカードは融合召喚でしか特殊召喚出来ない。このカードは直接攻撃出来ない」

 

 むむ? 早速デメリット二つ? 一度墓地に行くと再利用も出来なくなるし、ダイレクトアタックも出来ない? 早くも微妙な匂いが――。

 

「このカードの攻撃力・守備力は相手のフィールド・墓地のドラゴン族モンスターの数×1000アップする。君の場にはアンデット族っぽいドラゴンが1体に、墓地に《ミラーフォース・ドラゴン》《デス・ウィルス・ドラゴン》《氷結界の龍 トリシューラ》《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》《クリアウィング・シンクロ・ドラゴン》《ブラック・ローズ・ドラゴン》《氷結界の龍 ブリューナク》……おっと、最後はドラゴン族っぽい海竜族だから6体、つまり攻撃力7000アップして攻撃力9800となる!」

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札5

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》星8/光属性/戦士族/攻2800→9800/守2500

 魔法・罠カード

  無し

 

「――ぎゃああああっ!? この為に《轟雷帝ザボルグ》でドラゴン族モンスターを優先的に落としていたのか!?」

「そーいう事~」

 

 嘘だろ? 打点だけが取り柄の《ワイトキング》の攻撃力を更に上回って来ただとぉ!?

 

「ああ、あとこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドのドラゴン族モンスターは守備表示となり、相手はドラゴン族モンスターの効果を発動出来ない」

 

 あ、《ワイトキング》が勝手に守備表示に変更される。

 《ワイトキング》の効果事態は永続効果なので発動出来ないも何も無いから攻撃力はそのままだが、守備力は0なので確実に破壊されてしまう。

 でもこれ、ダイレクトアタック出来ないのにバトルでダメージ与える機会が無くなるとか、やっぱり超絶微妙じゃ――。

 

「あー、微妙そうな残念カードを見るような顔になってるねー。でもこれを聞いて同じ顔をしてられるかな? ――そして最後に、このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える!」

 

 な ぁ に こ れ ぇ !? やっぱり普通にぶっ壊れ効果でした! 『決闘者』の手のひら返しは音速の域にあるのだ。

 

「つ、つまり、ドラゴン族モンスターを強制的に守備表示にさせて効果発動も出来なくした上で何もさせずに貫通ダメージ? それって『竜殺し』としてどうなの……?」

「汝はドラゴンありや? 汝はドラゴンなり~♪ ドラゴン死すべし慈悲は無い! これが竜殺しの真実なのだよ!」

「ひっでぇ冤罪な上にマッチポンプを見た!?」

 

 つまり、こうである。「お前、ドラゴンだよな! ドラゴンだろう! なぁドラゴンだろお前! 首置いてけ! なぁ!」と言わんばかりの殺意である。

 

「更にダメ押しに、手札から《破壊剣-アームズバスターブレード》の効果発動、これもまた『バスター・ブレイダー』に装備させ、装備したこのカードを墓地に送って更に効果を発動、このカードを装備していたモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。これで攻撃力は10800!」

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札5→4

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》星8/光属性/戦士族/攻9800→10800/守2500

 魔法・罠カード

  無し

 

 とっておきのダメ押しってヤツだ!と言わんばかりに更に攻撃力が上昇する! というか、やるまでもなく1ターンキル出来る攻撃力じゃねぇか!?

 

「ぐっ、《ワイトキング》じゃなく《フォーミュラ・シンクロン》を素材にしたのは――」

「そういう事、《ワイトキング》の守備力は0だしねぇ、過剰殺傷(オーバーキル)は『決闘者』の華よ――バトル! 《竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー》さん、アイツ『ドラゴン』っすよー! アンデット族っぽくて骨しかないけど『ドラゴン』の《ワイトキング》を攻撃! 真・破壊剣一閃!」

 

 まぁ《フォーミュラ・シンクロン》を残していても軽く8000オーバーのダメージなんだが――その過剰殺傷しようとする『決闘者』の慢心が仇となる!

 

 

「かかったなぁッ! 罠カードオープン、『聖なるバリア -ミラーフォース』ッ! 相手モンスターの攻撃宣言時に発動し、相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊するッッ!」

 

 

 ふはははは! 最後に伏せておいたカードはこれだぁ! もう仕事をしないとは言わせない……!

 斬り掛かった『バスター・ブレイダー』の攻撃は聖なるバリアに跳ね返され、逆に破壊される。《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》に関しては守備表示だった為、破壊されずに場に残る。

 

「……うわぁ、げぇー。懐かしの『ミラーフォース』かぁ。最近全然見ないと思ったら忘れた時に来るなぁ。あーあ、折角の《バスター・ブレイダー》がぁー……! ……《バスター・ブレイダー》1体を対象に取る効果だったのなら、『天使の施し』で一緒に落とした罠カード《破壊剣一閃》の効果で無効にして破壊に出来たんだけどなー」

 

 アリアは酷く残念そうに返り討ちになった竜破壊の剣士を見送る。融合召喚でしか特殊召喚出来ない以上、墓地からの再利用は不可能だ。

 即死級の攻撃をなんとか凌いでほっと一息吐く。サイクロンなどの魔法・罠の除去カードを引かれていたらこのターンで死んでいたぜ。

 

 アリア・クロイツ

 LP2000

 手札4

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 魔法・罠カード

  無し

 

「エクストラデッキに《ミラーフォース・ドラゴン》の存在を確認した時点で警戒しておくべきだったねー。バトル終了、メインフェイズ2。それじゃちょぉっと――本気出しちゃおうっかなぁ……!」

 

 このターン、オレを仕留める機会を失ったアリアは意気消沈するどころか、より一層邪悪な笑顔を浮かべる。

 

「――手札から『簡易融合』発動。ライフを1000支払い、レベル5以下の融合モンスター1体を融合召喚扱いでエクストラデッキから特殊召喚する。まぁこの効果で特殊召喚されたモンスターは攻撃出来ず、エンドフェイズに自壊するけどこのモンスターの前では関係無いよねー」

 

 此処でライフ半分にあたる1000支払ってまで『簡易融合』……? ユーリの『ファーニマル』ならまだしも、一体何を出してくるんだ……?

 

 

「――レベル4《旧神ノーデン》を融合召喚扱いで特殊召喚する!」

 

 

 アリア・クロイツ

 LP2000→1000

 手札4→3

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 魔法・罠カード

  無し

 

 『旧神』? クトゥルフ神話系のモンスターか? 一見して髭もじゃの海洋おじさん程度にしか見えないが――。

 

「効果発動、このカードが特殊召喚に成功した時、自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を効果を無効にして特殊召喚する――来い、レベル4の《破壊剣-アームズバスターブレード》!」

「はぁ? 手札1枚消費でランク4エクシーズ可能な融合モンスターだとォッ!? 効果おかしいだろそれ! しかもなんで融合召喚じゃなく特殊召喚時!? それ悪用し放題だろ!」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札3

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《旧神ノーデン》星4/水属性/天使族/攻2000/守2200

 《破壊剣-アームズバスターブレード》星4/闇属性/機械族/攻1600/守1200

 魔法・罠カード

  無し

 

 いや、あのカード単体の異常極まりないパワーカード具合に目を捕らわれていたが、そうじゃない。本当に大事なのは――。

 

「レベル4なのは、さっきついでのように墓地に落としたそのカードだけ……! ――お前、単に過剰殺傷(オーバーキル)するだけの為にソイツを墓地に落としたんじゃなかったのか……!?」

「はっはっは、ワトソン君、今頃気づいたのかい? これを切る事になるとは思わなかったけどねー」

 

 あの手札消費はロマンを求めた行為でも慢心でもなく、この為の、仕留め切れなかった時の為の布石だとォ――!?

 見かけの軽さと違って用意周到過ぎるだろう!? 流石は柚葉の知り合いと言わざるを得ない……!

 

「――レベル4の《旧神ノーデン》と《破壊剣-アームズバスターブレード》でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 現われろ全ての絶望の始まり、ランク4《No.39 希望皇ホープ》!」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札3

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《No.39 希望皇ホープ》ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU2

 魔法・罠カード

  無し

 

 エクシーズ召喚されるは白き翼纏う戦士であり、何か激しく嫌な予感がするカードであり――。

 

「更にエクシーズチェンジ! ランク4《CNo.39 希望皇ホープレイ》! このカードは自分フィールド上の《No.39 希望皇ホープ》の上に重ねてエクシーズ召喚する事も出来る!」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札3

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《CNo.39 希望皇ホープレイ》ランク4/光属性/戦士族/攻2500/守2000 ORU3

 魔法・罠カード

  無し

 

 そのカードに重ねて同系統の進化体が出現し、紺色で更にゴテゴテな感じになる。

 だが、攻撃力も守備力もランクも変わっていない。エクシーズ素材が3個に増えただけ――いや、多分厄介な効果を持っているんだろう。

 

 

「そして手札から魔法カード『RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース』を発動ォッ!」

 

 

 なっ、此処でろくにサーチも出来ない『ランクアップマジック』だとぉ!?

 

「らんくあっぷまじっく? 名前の通りだとエクシーズモンスターのランクをあげる魔法カード? 重ねてランクアップするカードが沢山あるのに?」

「いやいや、柚葉さん。そんなお手軽ランクアップ出来るエクシーズカードなんて一握りっすよ。……ドイツ(ライトニング)もコイツ(インフィニティ)も『RUM』必要無い癖に『RUM』必須のエクシーズモンスターより使える効果持ってるけどぉ」

 

 後ろで観戦していた柚葉が疑問を呈すると、アリアが丁寧に答える。

 つまりは、此処で出てくるエクシーズモンスターは、それを使うほどの価値があるという事に他ならない……!

 

「自分フィールド上のランク4のエクシーズモンスター1体を選択し、そのモンスターよりランクが1つ高い『CNo.』と名のついたモンスター1体を自分のエクシーズモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いでエクストラデッキから特殊召喚する!」

 

 場の《CNo.39 希望皇ホープレイ》が赤い光となって空間の穴に飲み込まれ、大爆発を起こして新たなエクシーズモンスターが再誕する……!

 

「――現れろ、CNo.101! 満たされぬ魂の守護者よ、暗黒の騎士となって光を砕け! ランク5《S・H・Dark Knight》!」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札3→2

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《CNo.101 S・H・Dark Knight》ランク5/水属性/水族/攻2800/守1500 ORU4

 魔法・罠カード

  無し

 

 新たに出現した黒鋼の騎士は、これまでのホープ系列とは全く異質のモンスターだった。

 

「《CNo.101 S・H・Dark Knight》の効果発動、1ターンに1度、相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を選択し、このカードのエクシーズ素材とする! たーしーかー、その《ワイトキング》は《ワイトメア》の効果で除外ゾーンから特殊召喚されたよねぇ?」

「なっ、《ワイトキング》!?」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札2

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《CNo.101 S・H・Dark Knight》ランク5/水属性/水族/攻2800/守1500 ORU4→5

 魔法・罠カード

  無し

 

 戦闘において無類の強さを誇る《ワイトキング》だが、戦闘外での効果には無力――何の抵抗も出来ずに《CNo.101 S・H・Dark Knight》のエクシーズ素材として下に重ねられる。

 ……此方の墓地にもいかない除去に眉間を顰める。せめて墓地に行ってくれればまだ使い道があるのに……!

 

 

「更に! 《CNo.101 S・H・Dark Knight》を更にランクアップ・エクシーズチェンジ! 混沌の具現たる軍神よ。切なる望みを我が元へ。集え、七皇の力! ……まぁ七皇の内の一つだけだけど――ランク7《CX 冀望皇バリアン》!」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札2

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《CX 冀望皇バリアン》ランク7/光属性/戦士族/攻0/守0 ORU6

 魔法・罠カード

  無し

 

 黒鋼の騎士から、真紅の鎧纏い、巨大な盾と二叉の槍を握った『きぼうおう』と名乗るモンスターが降臨する……!

 

「言った傍から『RUM』使わずにランクアップだとッ! しかもランク5から一気にランク7になってるじゃねぇか!?」

 

 攻撃力・守備力が0の時点でもう嫌な予感しかしない。一度でも良いからアニメキャラのように「攻撃力0のモンスターを攻撃表示で? ふざけやがって!」って安心したい処が、現実で攻撃力0のモンスターなんて厄介な効果持ちしかいねぇよ!

 

「ふふふ――このカードは、『CNo.101』~『CNo.107』のいずれかをカード名に含む自分フィールド上のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚する事も出来る。このカードの攻撃力は、このカードのエクシーズ素材の数×1000ポイントアップ――《CX 冀望皇バリアン》のエクシーズ素材の数は6、よって攻撃力6000となる」

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札2

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《CX 冀望皇バリアン》ランク7/光属性/戦士族/攻0→6000/守0 ORU6

 魔法・罠カード

  無し

 

 ……攻撃力6000か、次のターンに墓地コストを消費せずに《ワイトキング》を出せれば、同じ攻撃力だから戦闘で相討ちに出来るので自己蘇生で片付けられる。

 

「――まぁこれだけなら召喚条件がクソ重いだけの単なるロマンカードなんだけどさ、お楽しみはこれからさ! 《CX 冀望皇バリアン》の効果発動っ!」

 

 超ノリノリなテンションでアリアは《CX 冀望皇バリアン》の効果を発動させる。一体どんな効果を持ってるんだ……?

 

「1ターンに1度、自分の墓地の『No.』と名のついたモンスター1体を選択し、次の相手のエンドフェイズ時まで、このカードは選択したモンスターと同名カードとして扱い、同じ効果を得る」

 

 『No.』の? だが――。

 

「墓地の? そんなのいないじゃないか。『No.』と名のついたエクシーズモンスターは全部ソイツのエクシーズ素材になってるし……」

「いやいや、最初の1ターン目に墓地に落としたじゃないか――《No.86 H-C ロンゴミアント》をっ!」

 

 え? あ、確かに《轟雷帝ザボルグ》の効果で落ちていたような……? どんな効果だったけ、とアリアの方の墓地を選択して見てみると――。

 

 《No.86 H-C ロンゴミアント》

 エクシーズ・効果モンスター

 ランク4/闇属性/戦士族/攻1500/守1500

 戦士族レベル4モンスター×2体以上(最大5体まで)

 (1):相手エンドフェイズ毎に発動する。

 このカードのX素材を1つ取り除く。

 (2):このカードが持っているX素材の数によって、

 このカードは以下の効果を得る。

 ●1つ以上:このカードは戦闘では破壊されない。

 ●2つ以上:このカードの攻撃力・守備力は1500アップする。

 ●3つ以上:このカードはこのカード以外の効果を受けない。

 ●4つ以上:相手はモンスターを召喚・特殊召喚できない。

 ●5つ以上:1ターンに1度、相手フィールドのカードを全て破壊できる。

 

 ――、――、――、――、は? なにこれ? あ、い、今の《CX 冀望皇バリアン》のエクシーズ素材の数は……!?

 

 アリア・クロイツ

 LP1000

 手札2

 《破戒蛮竜-バスター・ドラゴン》星8/闇属性/ドラゴン族/攻1200/守2800

 《CX 冀望皇バリアン》ランク7/光属性/戦士族/攻6000→7500/守0→1500 ORU6

 魔法・罠カード

  無し

 

 6つ、どう見ても6つ、つまり5つ以上ある。という事は、あれ、あのおかしな効果が全部発動しているゥゥゥゥ――!?

 

「――攻撃力7500、戦闘破壊耐性、このカード以外の効果を受け付けない、相手の召喚・特殊召喚封じ、更には1ターンに1度、相手の場のカードを全て破壊する効果を持ち、唯一の欠点だったエンドフェイズ毎にエクシーズ素材を取り除くデメリットも、先に《CX 冀望皇バリアン》の効果を終了させれば簡単に踏み倒せる」

 

 あ、あ、あ、あっ。

 

「――さぁ、原作の『神』を凌駕する超耐性、超除去力、超攻撃力を持った完全体《CX 冀望皇バリアン》相手に、手札0枚の状態で切り抜けられるかなぁ? 自分にとっての『希望』は他人にとっての『絶望』なんだよねぇ――少年よ、これが『絶望』だ。ターンエンド」

 

 

 

 




 本日の禁止カード

 《旧神ノーデン》
 融合・効果モンスター(禁止カード)
 星4/水属性/天使族/攻2000/守2200
 SモンスターまたはXモンスター+SモンスターまたはXモンスター
 (1):このカードが特殊召喚に成功した時、
 自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。
 そのモンスターを効果を無効にして特殊召喚する。
 このカードがフィールドから離れた時にそのモンスターは除外される。

 最新の禁止カード、生まれてきたのが間違い。二度と戻ってくるなとほぼ全ての『決闘者』の生暖かい声援をもってお別れしたカード。
 『遊戯王』において『神』と名のつくモンスターカードはことごとく残念仕様になるのに関わらず、そんな法則を打ち破ったヤバいカード。
 レベル4なので『簡易融合』一枚で出てきて即座にエクシーズ・シンクロに繋げる。
 更には一見して正規融合召喚の素材はシンクロモンスター2体、エクシーズモンスター2体、またはシンクロモンスター1体エクシーズモンスター1体と、厳しいように見えるが、その融合素材のお陰で速攻魔法『超融合』(制限カード)で相手の展開したエクシーズ・シンクロモンスターを2体除去しながら正規召喚してくるという目も当てられない惨劇を多くの『決闘者』に齎す事となる。

 ……一応とってつけたように《旧神ノーデン》が先にフィールドを離れた時に特殊召喚したレベル4以下のカードが除外されるデメリットがあるが、大抵フィールドを離れる時は一緒なのでデメリット(笑)が一切働いていない。

 このカードを使った(八割ぐらいの成功率の)1ターンキルルートが開発されたが、それでも環境に出て来ないほど今の環境は魑魅魍魎の巣窟となっている。

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