モンスターハンター 閃耀の頂   作:生姜

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幕間その一 月刊・狩りに生きる、語りき

 

 

 山を登る風を受けた風車がごうごうと回って、喧噪を上塗りし。

 緑と赤の旗が眩い陽光を受けて翻り、賑やかさを添えて。

 市場に並べられた色とりどりの食材は行き交う人々の腹を満たし、笑顔を生んでゆく。

 ここは大陸中央に座するハンター社会の中心地、ドンドルマ。ハンターが社会に根付いて数代……今尚成長著しいこの街において、しかし、真昼間から陰鬱な雰囲気に覆われる場所があった。

 大老殿へと続く階段を中途で右折……商業区と行政区の合間に置かれた一軒。入り口に「ドンドルマ出版」と名を掲げたその建物の中で、大勢の人々が揃って頭を抱え、表情を落としている。

 

「……どうしますか、ジンガ編集長?」

 

「ううむ……ううむ」

 

 ジンガと呼ばれた禿頭の男は皮張りの椅子から身体を大きく前に倒し、呼んだ女の言葉に応えるでもなく、ひたすらに唸り声を続ける。

 これは、埒が明かない。そう踏んだ女……ドンドルマ出版における一記者である……フソウは、今度は言葉を強めた。理詰めに。

 

「ジンガ編集長。刊行物の内容(ネタ)が、足りません。穴あきです。メシエ・カタログの生産中止に伴う記事内容の薄まりをどうにかしなければなりません。どうしますか?」

 

「……ううむ。いや、すまない。ほんとに痛いな、その穴埋めは」

 

「そうは言っても、予てから噂されていた事象でしょう?」

 

「ううむ。噂は、な……」

 

 呆れた態度を隠そうともしないフソウの言葉に、ジンガは溜息と共に禿頭を掻きむしった。

 ジンガが長を務めるドンドルマ出版は「月間 狩りに生きる」という雑誌を発刊することを主とする、ドンドルマという組織の公的な刊行物の出版・編集を務める会社である。

 雑誌の主な目的は、新人ハンターの教導育成。そして知識と情報の共有を図る事。それら内容は、全て現場ハンターらへの綿密な取材の元に構築される。ハンターが数多く集まり、情報が集積するドンドルマだからこそ刊行できる書物。それが「月刊 狩りに生きる」である。

 そうして長らく立場を保ってきた「月間 狩りに生きる」であったが、しかし人気商売の常から、ハンターの世情の広がりとともに増え続ける他雑誌により……発刊数の落ち込みを指摘されていたのだ。

 そうなると、掲載する記事の内容は見栄えと受けを意識しなければならなくなってくる。そこで雑誌の客引きとして目をつけられたのが、メシエ・カタログと呼ばれるハンター向けの「装備ブランド」である。

 

 メシエ・カタログ。

 それはここ数年で急成長した少人数の「ハンター向け装備の職人集団」および、「その職人集団が発行した装備品のデザイン画集兼カタログ」を指す名である。

 実際には、カタログと言うからにはデザイン画集兼カタログの側が「メシエ・カタログ」の名で呼ばれる事が多い。多い……の、だが。件の職人集団は覆面職人を謳っており、表舞台には立つ事が無いのである。装備品の運搬には鳥便やアイルー達が使われる程の徹底ぶりで、彼ら彼女らの顔や実際の名は「メシエという家柄があるらしい」という程度にしか知られていない。

 

 それでもここまで注目されるに至ったには、必然、理由がある。

 装備品デザインの群を抜いた美しさ。

 そしてデザインを忠実に再現した艶めかしい装備品の出来。

 装備品の、美しさからは想像できないほどの強固さ。

 つまりは、3拍子揃った文句の付けようのない装備品を作り上げるのである。

 

 ハンターの装備を構成する素材は剛柔様々。素材の元となるモンスターも、多種多様な種類の物が使われる。それは各々生物の長所を生かすためであり……生かした長所をこそハンターの支えとするための、人間らしい創意工夫であった。それら素材の部位を知り尽くし、生かし尽くしたとしか思えないメシエ・カタログの防具は、使った事がある者ほどその凄まじさを実感するのだという。

 ハンター市場に向けて広まっている王立武器工匠製の武具防具とは違い、個人に向けて(あつら)えられた、個人生産の一品物。市場に出回る数こそ少ないものの、質が良いのならば、それは希少性という名の付加価値になる。

 それら要素が重なって。初めの数年はハンター間の回覧としてのみ配られていたメシエ・カタログのデザイン画集は、瞬く間にハンター間での知名度を上げ、巷の噂になり。そこをドンドルマ出版に目をつけられた、という流れなのである。

 そうして月刊誌の中で連続特集として取り上げ始めて2季程か。ハンター社会の発展と共に情報を必要とする読者は増え、増え始めた女性ハンターの購買層も取り込み。月間狩りに生きるの売り上げは、見事に上昇復帰を果たしていた。

 

 ただし、メシエ・カタログは元来が少人数の職人集団。同人として活動していた事からも、彼らは名声や金銭に興味がある訳ではないらしいというのがハンター間共通の見解である。

 人気が出たからと言って、規模を増やす事もない。受注は気まぐれ。当然、見合った注文数に応じきる事はできておらず……加えて、主となる職人が職人業を離れるという噂がたち始めたのが今年度の温暖期の事。遂にハンター向け装備品の販売中止を公に知らせたのが、寒冷期に入った頃合いである。

 

 加えて、それらの頃合いと時勢の兼ね合いも悪かった。

 寒冷期の初めに起こった一つの事件 ―― 大陸の東側、テロス密林を舞台とした特異なモンスターの狩猟を経て、ドンドルマのハンター達が一斉に各地の狩猟へ駆り出される事となったのである。

 仔細は未だ調査中であるが、ジャンボ村周辺を避けていたモンスター達が「驚異(Unknown)」の消失に伴い住処を変えたことによる大陸中を巻き込んだ生息域の相変異……つまりは「モンスターの一斉移動」が起きているらしい。

 街や村や調査隊や商隊を守るため、ドンドルマに腰を落ち着けていたハンター達が季節外れの猟繁期に突入した。そこまではまだ良い。市政に変化はあれど一般的な、ありうる範囲の話。

 だがハンター達が一斉に動き、動き続けているという事は、それらを取材しなければならない立場からしてみると、一つの問題が浮かび上がってくる。つまりは取材者側もそれらハンターに帯同し、動かねばならない。

 が、しかし。

 

「この問題が懸念されてからも、数刊分はそれ以外のネタで凌ぐ事ができました。ですが、頼っていた部分が多すぎます。今年度入職した記者達にはここドンドルマでの取材だけで書き上げられる記事ばかり任せていましたから……狩場での実践に関する育成が済んでいません。まだ、ハンター達に帯同した経験すらないんですよ?」

 

 ドンドルマ出版という組織の人手が、足りていないのだ。

 本来ならば「狩りに生きる」の主題となるハンター時勢を描くに、狩場での実習などを主とした記者の育成は欠かす事の出来ないものだ。臨場感のある文を仕上げるための取材も、目を引くための挿絵も、ハンターからの聞き取りを行わなければならない以上は……帯同した狩りの場で幾つかの項目を埋める事が不可欠となってくるからである。

 今期の記事内容が偏ってさえいなければ。研修も通常通り行われ、ハンター達の出先での野営地となる交通拠点の村々へ派遣を行う事が出来ていただろう。それも、もしもの話ではあるのだが。

 だからといって嘆いていても、現状は打破されない。反省こそすれど、今はまだ動く余地がある。益々もって頭を抱えたジンガに向けて、フソウは素早く次善の案を提示することにする。

 

「取り急ぎ、最低限、この寒冷期の内にでも、新人たちの実地研修を行いましょう。戦力不足は、ひいてはこのドンドルマ出版の、公的出版物としての立場を失わせかねません」

 

「わかっている。わかっている……が」

 

 ジンガとて、今は長などを務めているが、一端の編集者である。彼が手伝えば、新しい研究内容や管轄地の変遷などといった知識で補える内容だけでも、まだ幾分かは雑誌の情報量を薄めることなく仕上げることが出来るだろう。

 しかし、実地を離れて久しい彼だけでは限度がある。ドンドルマという組織からの信頼を失わない程度に記事を充実させるためには、実働する若い世代の育成が必須となるだろう。

 ……そしてまた、若い世代の育成を行う中堅所の人手も足りないという現実が彼を襲っているのだが。

 

「フソウ君ひとりが研修を取り仕切った所で、面倒を見きれる数でもないしなぁ」

 

「出来ないとは言いませんが、せめて補助は欲しいですね。その補助に人員を割くと今度は、本社で記事を書く側が居なくなりますけど。これまで文章担当だった新人たちが、そもそも研修している訳ですからね」

 

 相槌を打ちながら、ジンガはまた溜息をひとつ挟む。

 何分、足りないのは人員という現物である。

 悩みながら、しかし、すぐに案が出てくる訳もない。

 

「はぁ。さて、どう纏めたものかねぇ……」

 

 呟いて、頭痛に悩まされるようになってから愛飲している落陽草の煎茶を一口啜る。

 鼻を抜けてゆくすっきりとした香気とは裏腹に、彼は水面に映った自らの禿頭を半ば濁った表情で睨みながら、啜った湯呑を、手元の、机に置き。

 

「……うん?」

 

 置いた先。机の上。

 端の方に山と積まれた雑束とは別に仕訳けてある、次の刊を補うために纏めていた、一つの記事に目を留める。

 その藁半紙には、件のテロス密林南南東……ジャンボ村における狩猟の顛末が仔細に描かれ、その先遣隊を担った隊員の仔細が一列に記され。

 隊員の内、特に一角竜の最年少討伐という特に目立った功績を持つ少女については、挿絵までもが付いていて。

 

「うううん……ノレッジ・フォール。王立古生物書士隊、三等書士官か」

 

 何かが降りてきた気がして、ジンガはそのまま息を吐いた。

 何か。彼にしてみれば天啓か。しかし、当の少女にとっては悩みそのものに違いない。それを示すかのように、挿絵の中の少女は、挿絵描きにポージングを強請られ、顔端に編まれた髪のひと房を持ちながら苦笑を浮かべていたりする。

 そんなはた迷惑で、しかし彼らが救われるであろう案を、ジンガは理解した上で口にする。

 

「どうだろうフソウ君。フォール書士官を客員記者として加えてみるというのは」

 

「……ふむん?」

 

 その提案を、フソウは蹴らなかった。

 むしろ全くもって真剣に、その内容を吟味し始める。

 うんうんと頷き確認するように。ぽつぽつと。順を追って口に出す。

 

「利がありますね。あり過ぎます。……まず、元からフォール女史の特集は組むつもりでした。次刊の内容を変える必要がありません」

 

「そうだねぇ」

 

「彼女に記事を書いてもらう事も可能でしょう。多少の更正は必要にしろ、彼女は何分、書士隊です。文章を書く能力は、ある程度は有している筈」

 

「だろうねぇ」

 

「取材と研修が同時に出来ます。これだけの功績をあげた彼女の元には、アーサー派閥の書士隊員が集まってくる筈です。同道を依頼することは、幾分以上に容易になるでしょう」

 

「うんうん」

 

「ジャンボ村周辺は最近に開発が進んだという事もあり、まだ詳しく記事にはしていませんでした。並行して、密林管轄地の特集を立ち上げることができます」

 

「それもだねぇ」

 

「王立古生物書士隊はあちらだけでなく、ドンドルマにも籍を置く公的組織です。私達と上が同じという事で、話がとても通し易いです。教導を兼ねた共同も、まず断られることはないでしょう。こちらで記事を取り持てば、王立古生物書士隊という組織にとっても十分な利益になると思われます」

 

「ギュスターヴの長男は、面白がってくれるだろうねぇ」

 

「……加えて」

 

「うん?」

 

 まとめに入るかとばかり思っていた所。フソウは不自然に言葉を切り、口元を緩める。

 珍しいものをみた、とばかりにジンガが目を見開く暇もあればこそ。

 

「私もノレッジ・フォール女史には興味があります。新たな英雄候補なんていう人物を取材できるとあれば、私、歓喜の嵐です」

 

「はっは! 君のそういう所は好きだよ、私」

 

 部下のやる気の出し様に、ジンガは堪え切れずに笑った。

 方針は纏められた。かくして始められる少女ハンターの特集は、次季に発刊された「狩りに生きる」から数号、新人の育成を終えてからも幾分かの間掲載され……彼女の特徴的な文章表現と前向きな人柄もあってか、ハンターだけならず市井の人々にも好評を博し。遂には、少女の社会評をがんがんと上げていく循環機構の一員となるのだが。

 とはいえこれらドンドルマ出版のどたばたも、後々の世に謳われる少女についての語り草においては、枝葉に過ぎない些事であったりする。

 

 

 

 

 ■□■□■□

 

 

 

 

 ……未知の狩猟を終え9つの季節が過ぎた頃に、時は戻り。

 3年という月日はかつての若人を一端のハンターへと成長させ……しかし彼の少女は一端以上の成長を見せ……ひとかどの、と呼ぶには重すぎる六つ星ハンターとしての地位を得ていた。

 それは少女にとっては「手に入れた」と言うよりも「手元に転がってきた」と表現したくなる、例えば食卓に食事を用意して匙で口元まで運ばれた様な、明らかに何者かによって用意された昇進であった。しかもハンターとしての格が上がるに連れて、彼女が属する王立古生物書士隊という組織においても幾つかの研修を修了させられ。その結果として付随してきたのが二等書士官、部隊の隊長としての立場である。

 六つ星。現世のハンター最高位である7つ星の僅かに手前。それは、新たなる英雄候補という冠を得たに等しい。加えて二等書士官、つまりは書士隊の隊長としても動く事が出来る。少女からしてみれば、誰かに祭り上げられ作られたこの立場と社会評は、熱気を帯びた台風の様なものだった。

 

「……つまりは、自身では止められない天災の様なものだと表現したいのですけれどねぇ。ううん」

 

 樫で出来た自分の執務机の上で書類と格闘しながら、少女ノレッジ・フォールは英雄らしからぬ唸り声と表情で頭を抱えていた。苦悩というよりも嬉しいと評すべき部類に入る悩みなのだろう。

 彼女がそう、うんうんと唸りながら(悪態をつきながら)読み込んでいるのは「古龍」と区分けされる生物に関する報告書だった。古の龍とかいて「こりゅう」と読むこれら生物は、王立古生物書士隊が立ち上げた「樹形図」という生物進化の概念から外れた生物であう。

 

 どこを調べても、生物が代を経て進化を重ねた形跡が見当たらない。

 突如その姿のままで現れたかのような姿形を持ち、そして、既存の生物とはかけ離れた特殊な特異性を持つ。

 

 これら区分けしがたい特徴を有する生物を、便宜的に種族として括る。それが、古龍という呼名である。

 王立古生物書士隊が掲げる生物調査の観点からすればどうにも異議を申し立てたくなる内容ではあるのだが、ジョン・アーサー筆頭書士官が現場から離れた今、現場派の書士は少なかった。またギュスターヴ・ロンを筆頭とする引き籠もり派閥が大勢を占める今、強弁する人物がいなかったと言う理由もある。

「古龍の様な如何ともしがたい驚異にせめてもの名を与え、既知の内に収めたいという気持ちは、判らないでも無い。いずれにせよ区分けできないのであれば、暫定的にそう呼ぶのもやぶさかでは無い」

 ……と、少女の直接の上司に当たる苦労性の青年は言っていた。残念なことにノレッジとしては正直、どちらでも良い。学者肌でもあるが、ノレッジ自身はそれら「情報の統合と整理、一般化」という分野にはあまり興味がないのである。

 

「うーん。でも、名前を呼ぶときに決まってないと苦労するのは判りますからねぇ。現場的には、お上が納得しているのなら文句はありませんけど。……と。ありゃ」

 

 物音に顔を上げる。密林の強い日差しを遮ってくれている庇の辺りを見ると、どうやら鳥便の様だ。

 ノレッジが籠の中を確認すると、献本として「狩りに生きる」の特集号が届けられていた。

 ハンターズギルドが資本として提供するこの雑誌は、ノレッジの特集を組みながら、新人や活躍するハンターを取り上げていく方向性を取った。それは今まで噂話にしか語られることの無かった最上位の狩人「モンスターハンター」の特集であったり、「隻腕」や「猛虎」といった二つ名を持つ様な実力を持ちつつも知名度の高いハンターの特集であったり。いつの世も人という物は噂話が大好きで、これら情報はもの凄い勢いで広がりを見せた。つまる所この雑誌は、ハンターズギルドという大きな後ろ盾を元手に「ハンターの知名度」という界隈を世間に作り上げ、独占したのだった。その中に「天狼」の名も並んでいるという事象については、未だに悪寒の様なものが背筋を伝うものの。

 

「まさに雨後の竹の子を破竹の如く……いえ、勢いは伝わると思うのですが……怒られ案件ですねこの表現だと」

 

 今では発行部数を伸ばした「狩りに生きる」はそれら実績を元手に新しい記事や地域へと手と足を伸ばし、一時期見せた内容の薄まりも見当たらない様子である。ふと記事の脇を見てみれば、かつてノレッジがここジャンボ村で教導した記者の名前が書いてあることもままあり、あの忙しかった時期も無駄にはならなかったのだなぁと感慨も一入。

 そのページをぱらりぱらりと、なんとはなしに、しかし確かな目的を持ってノレッジは捲る。本日の刊には、今季に最もギルドポイントを稼ぎ挙げたハンターの一覧が載っている筈だった。

 ギルドポイントとは、ギルドが指定した物を納品する依頼(クエスト)の達成や地域に特有の素材を自由納品しギルドに貢献する事によって取得され、消費することでギルドが配分する品などと交換する事のできる、仮想点数である。

 生物の狩猟だけでなく素材の納品によって挙げられるこの点数は、ハンターが狩り場の特性を掴んだり解体の技術を伸ばしたりするために設けられたもので、実際それら技術や知識の育成に一役買っていた。ギルドが管理しているためこうして一覧やランキングにする事も可能だ。狩猟だけでないハンターとしての側面を点数付ける事が出来るというだけでも、稼ぐ意味合いのある点数と言えよう。

 果たしてその一覧は、冊子の最後の方にまとめられていた。それは挿絵で巻頭のグラビアを飾ったり長いインタビューが載せられるハンターとは扱いも趣も違う、挿絵など在るはずもない、名前とハンターランクだけの簡素なものだ。

 しかし味気ないその一画を見て、ノレッジは頬を緩めていた。雑誌越しにその名前を見られるだけで、そこはかとない嬉しさを感じてしまうのだ。

 開いていた雑誌を目前。満足そうにふんと鼻息を鳴らし、閉じる。

 今日はいよいよ出立の日。腰を上げると、自らの装備一式と、武器とを持って立ち上がった。積荷は既に船の上に十分量を用意してある。準備は万端。いつもの明朗な笑顔を浮かべながら、少女は家屋に置いてゆく冊子に向け、最後に小さく敬礼した。

 

「―― では、行ってきますヒシュさん。ノレッジ・フォール、鋼龍に挑みます!」

 

 






・隻腕
 モンハン商業二次小説より。凄腕のボウガン使いの事を指す。
 本作に存在するとすれば、現在はリハビリ中である。


・メシエカタログ
 意味と使い方が違うのでご注意を。
 作中ではそのまんま、装備カタログとなっている。

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