モンスターハンター 閃耀の頂   作:生姜

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第三十四話 見果てぬ闇の中にこそ

 

 ダレン・ディーノは早足に山を下った。ヒシュとネコとをその場に残し、気を失ったノレッジ・フォールを背負っての逃走である。

 相手は未知と呼称されていた底知れぬ力を持つ黒い鳥竜種……イグルエイビス。フィールドが禁足地だとはいえ、ギルドに認証された依頼任務である以上使えるものは使うべき。そう決め込んだダレンは、鳥竜の炎によって気を失ったノレッジ・フォールを手近なアイルーの詰所へ預けることにした。

 道中すれ違った生き物は川際の甲殻類のみ。安全に山を下り、撃ち上げた信号団の手筈通り10分ほど下った樹林帯の中でギルド勤めの獣人達が待機していた。

 

「ハンターズギルドの通達で駆けつけました密林1番輸送部隊、カルカ着任ですニャ!」

 

「先遣隊の隊長ダレン・ディーノだ。早速だが、時間が惜しい ―― 頼む」

 

 簡易の詰所の入り口で、ダレンは身を屈める。

 その背に負われる少女がだらりと弛緩している様子に、アイルー……ではなく(・・・・)メラルー達は少しだけ身じろぎしたものの、そこはギルド務めの慣れたもの。ノレッジを荷車で受け取ると、すぐさま要旨を汲み取ってくれる。

 

「旦那、お気をつけてニャ!」

 

「ああ」

 

 少女の容体を確認しながら叫ばれた言葉に小さく頷き、ダレンは素早く反転。すぐさま足を動かし、またも今来た道を引き返す。

 外敵となる生物は殆ど居ないとはいえ、下りと違い、山を登るには時間がかかる。ダレン・ディーノが再びヒシュらと合流したのは数刻後。かつて分かれた山道から、数キロ以上も山頂側へと移動した地点であった。

 山頂が近くなるにつれて勾配は緩やかになってゆく。河川を持つ密林と土壌とが組み合わさった、段丘状の地形なのだ。

 山道を抜け岩の丘を乗り越えた頃合いから、空気が変わる。

 肌に触れる周囲の大気が、大きく揺らめいている。

 崖の端に脚をかけ、乗り越え。

 

「……これは」

 

 ダレンは続く言葉を失ってしまう。

 同時に、高温によってねじ曲げられた光と、大気に籠もった熱が周囲に吹き荒れた。

 理由は明白。ヒシュ、ネコ、鳥竜の3者が炎燻る(・・・)野原の中心で争っていたのだ。

 剣と爪が入り混じっては、炎を掻き分け互いを襲う。

 元は花畑だったのだろう。舞い上がる火の粉に混じり、時折花弁が浮かび上がっては灰と成って散り消えてゆく。頭上を埋める暗雲は間近、時折火山雷のような稲光を発しており、山の機嫌の悪さを如実に示している。

 

(怯んでいる暇はない、な)

 

 呆けていた思考を振り払い、躊躇う事なく、ダレンは大剣を背に炎の丘を駆け上がる。

 接近に気付いたヒシュが僅かに振り返り ―― 仮面越しに僅かな目配せを交わし、前後を入れ替わった。

 

「―― 加勢する!!」

 

 ヒシュがイグルエイビスとの、イグルエイビスがヒシュとの距離を整え直す間へと、ダレンは気合い一声に割り込んだ。

 目前に鳥竜。大剣『竜の(アギト)』の柄を握り。力を込め。

 

 ダレンの両腕に振るわれた無機質な骨の刃を空を切った。

 黒い影が、斬撃を待たずして空へと舞い戻ったのだ。

 

 ダレンは頭上を悠々と横切るその飛び様を憎らしくも思い、鋭さと勘の良さには呆れすらも覚えるが、身の軽い鳥竜……いや。かの古龍種が相手なのだから挫けている猶予はない。

 実の所、「古龍」という呼び名を生物に与えてしまうのは、王立古生物書士隊にとっては敗北を認めるのと同義である。

 骨格的には兎に角、学術的な生物として外れている。既存の生物に当て嵌める事の敵わない、適わないモンスター。それらを名付けたがりの学術院が便宜的に「古龍」と呼称しているだけなのだ。

 そのため奇蹄目の骨格である(とされている)雷獣キリンや山の如き巨躯の老山龍(ラオシャンロン)、果ては見た目すら明らかに牙獣種である超攻撃的生物の金獅子(ラージャン)までもが現在、「古龍種」という括りとして扱われてしまっているのだから。

 目前20メートルほどの距離に降り立った鳥竜イグルエイビスも、それら古龍種に匹敵するだろう。既存の生物からはみ出した生物である……との判決が、書士隊と学術院の合同かつ内密のうちに下されている。

 詰まる所、この狩猟そのものが、伝説との邂逅と断定できるのだから。重ねて、挫けている猶予はない。

 

(先ずは自分の殻を、凝り固まった概念を捨てる事から始めねばなるまい)

 

 ダレンがこの場へ戻るまで戦列を維持してくれたヒシュとネコ。そして倒れたノレッジ・フォール。この2者が共通して持つ……或いは新たに会得した「力」を、残念ながら、件のダレンはというと未だ掴めずにいる。ドンドルマで修行は重ねたものの、ダレンは世にいう所の「天稟を持たぬ者」なのだろう。たかが二ヶ月でというのが土台無理な話なのである。

 しかし悲観はしていない。ダレン自身、狩猟と言う生業において元より感覚という不確かな物に縋った(・・・)ことは無い。如何にして頼るべきかに至っては、見当すらもつかないのだから。

 ならば只管に、愚直なまでに、出来る事をする。これこそがドンドルマの修行によって得た最も大きな収穫であり、師匠らから齎された訓示でもある。

 炎の庭。暗雲の最中。ダレンの頭上で踵を返し、イグルエイビスは狙いを定める。

 ダレンの視線の先で相対するその姿……数刻ぶりにみる鳥竜の身体は、変質を始めていた。ダレンの目測ではあるが、ノレッジを抱えてこの場を離れた時よりも纏う風は黒く濃く、身体も赤黒く変質しているように見える。

 此方(・・)についても、ドンドルマにて繰り返し聞かされた。ギュスターヴ・ロンに曰く、これら「分別を持たぬ古龍種」は、人間の枠に当て嵌めていては限度が無い。本来世代を経て行われるはずの「進化」すら、この「未知」たる生物にとっては闘争の、生涯の一部なのだから。

 

 鳥竜が口火を切る。

 黒い風の後押し。邪智暴虐たる、到底理解不能な軌道を経て、鳥竜イグルエイビスはダレンに向けて飛来する。

 ダレンは息を喉奥に押しとどめ、ただ彼我の距離だけに集中する。如何な軌道を経るにせよ、鳥竜は此方に向けて飛来するのだ ―― そう想定して動いて損はない(・・・・)

 

 ドンドルマで反復した動きを、ダレンの体は忠実に再現する。

 フェイント。一歩踏み出そうとして、その足で空を切り、半歩を残して踏み止める。

 紫苑の爪が、ダレンが踏み出し、踏み止まった半歩先の地面を抉る。

 地面に爪を突き刺したまま、鳥竜の両肩の筋肉が隆起……翼が動く、飛び立つ直前の身体を間近、僅かに走駆を遅らせ爪を躱したダレンが、ダレンの振り下ろした大剣が、飛び上がろうと身を縮こめるその背を打った。

 

 がつん。

 既に聞き慣れた、外皮の硬質さを表す音響。

 

 終わらない。大剣「竜の咢」を鳥竜の背に噛み合わせたまま、ダレンは腰を入れる。振り切り、振り下ろし、刃が背を離れ剣を下した体勢で力を溜め ―― 横振りの「溜め斬り」の前駆動作に注力する。

 主はダレンへ。ヒシュは補助として追撃の姿勢を取る。直前に殴打されていたために、鳥竜の姿勢は未だ整えられていない。飛び立つ動作すら、ヒシュが翼の下に潜り込むことで阻害されている。

 

 剣を。

 ダレンの両腕に振るわれた無機質な骨の刃が空を切った ―― 切った空の果てに、今度は確とイグルエイビスを捉えて。

 

 イグルエイビスとダレンは、翼と大剣を間に挟んだまま視線をかみ合わせた。

 紫と赤と黒とが混じり合った相貌。深く塗り込められた双眸の果てには、今尚、抗う強い意志と濃い光とが宿っている。先まで仮面の狩人にのみ向けられ、嘗てはダレンに向けられていなかった、強い……敵意。

 見つめ合っていたのは一瞬だっただろう。ダレンを押し潰さんばかりの威圧は、物理的な距離を伴って離れてゆく。イグルエイビスの身体が大剣の質量に押され、地面を転がったのだった。正確には、押し切られると踏んだイグルエイビスが自ら進んで転がったのだが。

 自ら転がる。此方にとっては「見た覚えのある動き」だ。今度はそこへ、転がった先にまで、要領を得たヒシュが後詰めを仕掛けている。

 接近したヒシュは低い体勢のまま左の『呪鉈』を振るう。身体を捻り、右の『闘士の剣(オデッセイ)』を立て続けに振るう。翼をかいくぐり、振り回された爪脚は右前腕の円楯の表面を滑らせ、潜った姿勢のまま足下を回り込んで下腹部を切りつけ、横手に足首へと『呪鉈』を引っかけ、振り向き突き出された嘴は引っかけた『呪鉈』を基点として身体を旋回させる事で躱し、嘴の側面におまけと鉈を叩きつけ……それらヒシュの攻勢全てが、黒色の外皮によって弾かれる。

 どこまでも何時も通りの、未知を相手としていても変わりない、もしくはそれ以上の動きをヒシュは見せている。ダレンが怖気と美しさを同時に覚えた、あの動きだ。

 ヒシュの様子に安堵を覚えながら、ダレンは再び意識を向ける。ガシュシュン、という機械的な音と同時に放たれた鏃が、イグルエイビスを襲う。鏃が翼を掠めている合間に、ヒシュは嘴と炎の範囲から抜け出す。

 ダレンとヒシュの連携の合間は、ネコの放つ弩弓(バリスタ)が埋める。イグルエイビスの体躯は鳥竜としては大きいが、飛竜と比べると幾分か小さい。身体の軽さもある。傷は負わずとも、極大の鏃が直撃すれば、体勢は確実に崩れるのである。身軽なヒシュにとって、その間は十分な隙として機能する。

 だからこそイグルエイビスは、バリスタにも意識を割かざるを得ない。しかし鳥竜が弩弓へ意識を向けた時には、ネコは既にその場を離れている。どうやらこの草原を囲むように弩弓が設置されているらしく、ダレンとヒシュの攻勢に紛れながら次々と場所を移しているのだ。

 ペルセイズ達の暗躍はこのためだったか……と一人納得しながらも、ダレンは重ねて確認のための語句を口にする。

 

「此方の準備は、万端のようだな。後は」

「ん」

 

 交互に立ち位置を入れ替えながら、ヒシュとダレンは小さく会話を交わしてゆく。

 手札は切らしていない。切るための場も、完全ではないが整いつつある。

 件の手札が未知なる獣に届き得るか否か……そこだけは、確かめてみなければ判らない部分ではあるものの。

 

「……ノレッジ」

 

 剣を手に鳥竜へと突貫するヒシュがぽつりと呟いたのは、鳥竜の火炎を受けて意識を失った少女の名。

 機は一度。手札を切るならば、可能な限り万全へと近づけるべきだ。その点についてダレンもヒシュも、意見は一致しているらしい。ノレッジ・フォールの回復こそが、場を「万全」にするための最後の欠片である。

 

 

 討伐を。打倒を。闘争を望んで戦いは続く。

 野原が燃え盛る。

 火花が散る。

 イグルエイビスが舞う。

 ヒシュが躱す。

 ダレンが振るう。

 ネコが射放つ。

 連携は回る。イグルエイビスと渡り合ってはいる。

 これらを繰り返した先に、果たして、未知の狩猟を成す事は叶うのか ――

 

 

 

 

 ■□■□■□■□

 

 

 

 

 沈む間は必要なかった。

 少女は既に、底の景色を目にしていたからだ。

 

 暗闇の中へ。意識の底へ。

 

 闇の中へと沈んだ先に、ぽつりと闇を穿つ空間があった。

 其処は人にとっては草臥れた、廃れた、今は手も届くはずのない小部屋であった。

 木々の根付く深い森の中にある小部屋の崩れた煉瓦壁の隙間からは、僅かに星星の光が差し込んでいる。

 それ以外に灯りなどないはずの薄暗い、けれども視界の効いた部屋の中で、石敷きの床に横たわっていた少女がゆっくりと目を覚ます。

 

「……う……ん」

 

 少女が瞼を擦り、意識を覚醒させる。

 頬に触れる暖かい風を心地よく感じながら、夢見から覚めてゆく。

 

「……。……あれ。わわ。……ええっと、ここは……?」

 

 意識がはっきりすると同時、ノレッジは慌てて上半身を起こした。

 周囲を慌てて見回す。だが、暫く待っても周囲に敵意は現れない。そもそも、自分以外の生物の気配にも乏しいようだ。

 沈黙の後、顔の左で編んだ髪の一房をちょいと掴み、ノレッジ・フォールは首を傾げた。

 

「ここは何処……というよりも、何故場所が移り変わっているのでしょうか……」

 

 疑問符を浮べながらも、体を起こしたノレッジは身体の調子を確認してゆく。

 どうやら痛みはない。関節の稼動域にも問題はない。手足に痺れが残っていたが、それも暫く動かしているうちに消えてしまった。

 そして次に、記憶を探る。ノレッジの記憶にある最後の光景は、自分を襲う蒼い炎。未知(アンノウン)との闘争の最中だった、自分が脚を引っ張ってしまった……というのは覚えている。

 しかし如何だろう。自分を包んでいるのは見覚えすらもない景色。

 そもそもここは何処だろう。いきなり場面が変わったというのは、現実味が薄い事態である。だとすればこれは自らの夢の中であろうか。それもファンタジーでオカルトだが……。

 ノレッジは腰を上げる。改めて周囲を見渡す。自分が倒れていたのは、小部屋のちょうど中央付近だったようだ。

 目に映る石部屋の景色は、一言で言うなれば「異彩」。変哲に溢れた、寂れた遺跡。そんな印象である。

 木に造られた蜜蜂の巣からは黄金色の蜂蜜が隆々と沸き。

 路端では色とりどりの花々が楽園の様に咲き乱れ。

 マボロシチョウが幻想的に宙を舞い。

 鮮やかなマレコガネが雌雄穏やかに壁を這う。

 それらは何れもノレッジにとって……いや。世界に住む全ての人々にとって珍しい生き物であったが、向きかけた興味は、イグルエイビスとの戦いを思い出しながら辛うじて押さえ込まれた。

 記憶はある。戦いの最中なのだ。帰らなければ、とは思う。しかし帰る方法も、道のりも判らない。自分はイグルエイビスとの戦いで負傷した筈であるのに。

 ノレッジは考える。

 

「あの時と同じ感覚で来た、という事は……ここが扉の向こう側なのでしょうか?」

 

 目を閉じた。辿り着いたこの場所は、僅かに覚えもある。砂漠で灼角と対峙した際の記憶を、ノレッジは思い返していた。

 今回は暗い海に沈んでいく感覚は無かったものの、だとすれば、それは素直にありがたい。無限に近い苦痛を素面で耐えられる自信も、体力も、今のノレッジにはない。

 何より今は、自分の身体をはっきりと認識できている。同調な海に溶ける……解けてゆく感覚が感じられないのである。少なくとも暫く身を置いていても大丈夫な場所だというのは、確かであろう。

 

「ええと、まずは……周囲捜索ですかね?」

 

 外への出入り口となる場所を探す事を、一先ずの方針にする。

 そう広くはない小部屋だ。風化した煉瓦の上を歩いていると、すぐに小部屋の端まで到達する。

 しかし。

 

「……塞がれてますね。残念」

 

 思わずため息が溢れた。どうやら通り抜けられそうな場所は無い。かつて通路であったと思われる部屋の端は、崩落によって通行止めされていた。

 上を見ても、天井すら完全に塞がれている。横の壁から星光の射す隙間は、人が通れる大きさではない。

 これは壁を崩すしかないか? 等々と考えながら、淑女らしからぬ少女は今度、反対側に向かって歩く事にする。

 だが既にそちらにも通路に降り積もった瓦礫の山が見えていた。

 ため息を吐きつつ、単純な脱出については半ば観念しながら……すると。

 

「……あ」

 

 視線を落とす。

 目前 ―― 足元に、光が沸いていた。

 正確に言えば、積もって通路を塞ぐ瓦礫の山の、僅かに手前。

 壁の様に絡まった蔦の幕の向こう側が、強い黄金色の光りを放っているのである。

 

「これはなんでしょう?」

 

 出口に繋がっているやも……ではなく、興味のままに蔦の幕を押しのけ、ノレッジは奥を覗く。

 すると蔦の向こうで、下に向かう深い縦穴が開けていた。不思議なことに、竪穴の空間そのものが黄金色の暖かな光に埋め尽くされている。

 これらの光には覚えが在る。以前に意識の水底で見た、万物の星星が放つものと同種の、暖かさを備えた光だ。

 

「んんー……ん。突っ込み所は満載ですが、ここは度胸。降りてみましょう」

 

 そんな事を考えながら、ノレッジは伸びた蔦を足場にして底へと降りてゆく。

 高さを減らした所で蔦を手放す。ばしゃり。底にはどうやら水が張っている。壁の間の水路から小さく流れ落ちている他に、足元でばらけた石敷きの間からも湧き出しているようだ。

 滾々と湧き出す水。輝きを反射する瓦礫。

 着地した体勢を整え、足下から、視線を正面へと持ち上げる。

 蔦の壁。風化の最中にある、飛竜の様な紋様が描かれた台座。

 

「……問題は、その前方のこれ(・・)なんですが」

 

 それら不思議極まりない全てを押しのけ異彩を放つのは、台座の前で蔦に繋がれている、仮面を被った、誰か(ひとり)

 四肢を持ち上げ、だらりと脱力したままのその誰かは、興味よりも深くノレッジの目と心を惹いた。

 

「……。……あれ……ええっと、もしかして、ヒシュさん?」

 

 仮面には見覚えがあった。警戒心は持ちながらも、少女は仮面の人物へ向けて気負い無く歩み寄る。

 近付いてみても、やはり、不気味な仮面は見間違えようもなくヒシュである。しかしその身体は小さく、筋肉の付きも背丈も、今のヒシュとは大きく違っている様に見えた。単純に体躯からみた憶測ではあるが、年齢などは今のノレッジよりも一回りは下になるだろう。

 とはいえ今は、子どもの正体よりも気になることがある。ヒシュと思しき子どもはだらりと顔を落とし、何故か蔦によって手足を絡め取られ磔にされているのだ。

 手足を隙間なく締め付けている蔦と蜘蛛の巣はかなり風化しているのだが、幾重にも重ねられているため、子どもの筋力では解ける筈もない。

 

(……何でしょう。この子を、縛り付けているもの……)

 

 ノレッジは目を凝らす。蔦に張り付いた妄執の様な違和感は……例えばランポスやゲネポスといった獣が放つ様な……単純な害意ではない。積層し、塗りこめられた、何がしかの塊の様にノレッジには思えた。

 誰か(ひとり)。自分では真面に動くことも出来ない。考える意味もない。与えられる責め苦を享受するだけの時間。

 ノレッジ・フォールは思う。……それはきっと、苦しい事だ。解いてあげたいと。

 黄金に輝く水場の中を歩み、ノレッジは子どもに近づいてゆく。

 顔を近づけ。

 覗き込み。

 

「う゛」

 

 ノレッジの接近を勘づいたのだろう。

 顔を持ち上げたヒシュ……と思われる誰かは、開口一番に唸り声を上げた。

 

「起きましたか……って、うわは」

「う゛」

 

 びしり。蔦に向かって伸ばしていたノレッジの手は、当人が顔を振るった事によって弾かれてしまった。

 ノレッジは思わず身体を後ろへ退けてしまったが、これは仕方がないだろう。唸った拍子に子どもの顔を覆っていた仮面が外れ、当人は気にした様子も無く、四肢を絡めたまま此方への警戒心だけを顕に威嚇している。まるで獣の様なのだ。

 

「ぐる、る」

 

 かと思うと、ノレッジを睨みあげてきた。ますます獣だ。

 とはいえ、身体を固定している蔦のおかげで飛びかかってくることはない。その間を利用して、ノレッジはまじまじと子どもの仮面の下の様相を観察する事にする。

 

「ふぅーむ……やっぱり、どうみても……ですね」

 

 無造作に伸ばされた黒髪。仮面の下の、覚えのある面立ち。何事をも真っ直ぐに射抜く、色に染まらぬ眼。

 ノレッジ自身、ジャンボ村で再会した際の一瞬しか目にしていないが、ヒシュの素顔はしっかりと記憶に焼き付いている。何よりこの透明で綺麗に感じる眼差しは、やはりヒシュのものでしか在り得ない……と、ノレッジは思う。

 疑問を過らせながらも立ち上がり、腰を引いて体勢を整えた。どうにも現実感の薄い場所における出来事である。ヒシュの行動に脈絡が無いのはいつもの事。とはいえ、これは、唐突に過ぎる。ヒシュは感情を面に出さない、天然のポーカーフェイスを備えた人物であった。少なくとも、敵意を顕にする姿は、狩猟対象の大型モンスターが激昂した時にヒシュも呼応して、という形でしか見たことがない。

 

「……ですがわたしも威嚇されてますし、ねぇ」

「ぐ、る、るぅ」

 

 ノレッジの独り言に対する返答は、残念ながら唸り声である。

 少し考える。当人の警戒がどうであれ、蔦がある限りは身動きできず、唸っているだけに過ぎない。ノレッジへ向けた攻撃的な行動は、取ろうとしても不可能だろう。

 

「あー……まぁ、いいか。良いですよね」

 

 そう呟きながら、ノレッジは腰の短刀に手を伸ばした。とりあえずは蔦を切ってしまってから考えよう。そう結論づけたのだ。

 短絡的かも知れないし、この不可思議な空間において腹が減るのかも判らないが、少なくとも動けないよりはましに違いない。大体排泄はどうするのだ。下が水場だから良いという問題ではない。だからそもそも排泄する必要があるのか判らないのだが……堂々巡りのため、一先ずは思考をここで区切ってしまう。

 

「う゛」

「はいはい、ちょっと手出しは不要ですよー」

 

 少なくとも見ている此方が(・・・)苦しいのは確かなのだ。決めたら後は動くのみ。唸る当人を無視しながら、ノレッジは手早く周囲の蔦を叩き切ってしまう。

 太い部分だけを切り捨て、手足が動くようになったであろう頃合いを見て、ノレッジは未だ警戒したままの当人から距離を取った。

 

「……」

 

 自由になった子どもは早速と水場の地面に四肢を着き、獣の様相でノレッジを見上げてくる。

 言葉は……通じる物か。呼び名にも困る。とりあえず、この子どもはヒシュだという事にしておこう。恐らく、多分、間違いではないだろうから。

 

「それで、ええと……ヒシュさん」

 

 一歩を踏み出す。

 

「っ!!」

 

 子どもの腕が振り上げられ。

 

「―― はいはい」

 

「っ!?」

 

 ノレッジ・フォールという少女は、両親に手を握られ、その間で足をぶらぶらさせるという意味のない動作が好きだった。

 だから、躊躇などなく、振り上げられたその手を握った。

 

「判ってください。いえ、ヒシュさんなら判りますよね? ……・わたしを傷つけて倒したところで美味しくありません。人体はリンを含んでいますから……」

 

「……」

 

「あー、突っ込み待ちは辛いですね……ではなく。ええと、貴方を害するつもりもありません。これでご理解いただけないでしょうか?」

 

 手を握り、無言のままで水音だけが響き続ける。

 今のやりとりで、この子どもが、少なくともノレッジが知るヒシュではないというのは理解できた。ヒシュにしては敵意があり過ぎるからだ。とはいえ肝心要、此方に害意がないと伝わったのかは、自らの迂遠な冗談によって彼方へと葬られたのだが。

 

 ノレッジはそのまま手を握り続ける。

 解かれはしない。

 解かれはしない……と思いきや、握った手がだらりと下げられる。子どもの側からだ。

 力強く払われなかったと言うことは、伝わったとみて良いだろう。心なしか、ヒシュの(まなじり)からも険がとれているように感じられた。

 ノレッジも力を抜いて、その手を離す。

 すると、子どもは視線を少しずつ上へとずらし。

 

「この上……ですか?」

 

 視線の先には、ノレッジの降りてきた蔦が垂れ下がっていた。この地下から外へ出たいのだろうか、とノレッジは捉えた。

 何故。如何して。疑問は幾つも浮かぶが、ともあれ、今の今まで雁字搦めにされていたのだ。自由になったからには、広い場所へ。まだ見ぬ地へ。未知で未開で好奇心をそそられる場所へ……というのは、当然の心持ちのようにノレッジには思えた。

 話は早い。ノレッジはヒシュを強引に方向転換させると、蔦の張った壁の前へと移動させる。

 

「はい、ここを登れば出られますよ? わたしはヒシュさんに今まで、ここまで、沢山お世話になりました。そしてこれからも。沢山お世話になります予定ですから……」

 

 この時のノレッジにとって、小部屋からの脱出という一時は、頭の中から抜け落ちてしまっていたが。

 真っ直ぐな感謝の念を込めて、少女は手掌を突き出してゆく。

 最後の一押し。

 

「 ―― 今度はわたしにお手伝いさせてください」

 

 追い続けてきたその背。

 今は小さなその背を、少女は両の掌で支え、前へと優しく押し出して見せた。

 

「……う゛」

 

 背に手を添えられたヒシュが、蔦に手をかけながら振り返る。

 ……じっと数秒見つめた後に、かくり。やはり見慣れた動作で頷いて、恐る恐るながら、蔦を登り始めてくれた。

 

「うんうん。やっぱり、思い切りの良さは流石のヒシュさんですね。……では、わたしも」

 

 満足そうに息を吐き出し、ノレッジもその後を追う。

 蔦は思ったよりも頑丈だった。先ほど容易く切れたのは別の種類の蔦だったからだろうか、とどうでも良いことを考えながら、身体を持ち上げてゆく。

 小柄なヒシュは思ったよりも身軽であった。ノレッジよりも数秒先に上層へと登り出て、その姿が……背が何かを振り切ったように一瞬消えて。

 最後、壁の端に手をかけて、ノレッジも体を持ち上げる。

 

「―― よっと。さて、ヒシュさん……あれ?」

 

 しかし蔦を登り出た先、荒れ果てた遺跡のような小部屋の中に、ヒシュの姿は既に無かった。

 ……ふと、薄まり薄まった透明に近い仄かな光が天に向かって消えて行ったような気がして、ノレッジの視線が後を追って天井を見上げる。

 すると姿がない代わりに、上から小さな星光が差し込んでいた。天井の、先ほどまでは無かった裂け目からだ。

 

「これは……」

 

 天井の裂け目の真下に立って、ノレッジは頭上を見上げた。

 裂け目の奥。

 木々の葉と枝のさらに奥。

 底冷えのする闇と、積層した陰鬱な空気を貫き、星々の輝きを超えて ―― その奥にまで吸い込まれるような感覚に襲われる。

 

 

 

 

 

 上へ。

 

 宙へ。

 

 空へ。

 

 上る。

 

 昇る。

 

 暗闇を越えて。

 

 静海を越えて。

 

 星々を越えて。

 

 穢れを突き抜け。

 

 そして、光り耀く天頂までも。

 

 

 

 

 

 ぱちり。

 ノレッジ・フォールが瞼を開くと、今度は、横たわっていた身体も意識も小気味良い程に覚醒していた。

 

「―― ここは?」

 

「目が覚めたかニャ? ノレッジ・フォール三等書士」

 

 開口一番呟いた言葉に、獣人の細く高い鳴き声が返答した。

 痛む体をおして、ノレッジは上半身を起こす。左腕の……イグルエイビスの炎弾を受け止めた痛みが残っていることからして、どうやら先ほどの空間から戻ってくることが出来たらしい。

 質問に対し、傍にいた2匹のアイルー……では、ない。

 

「メラルー……もしかして、カルカさん?」

 

「おう、久しぶりだニャ。フシフも居るけど、今は哨戒してるから呼び戻すニャ」

 

 獣人族(メラルー)のカルカは、殊更陽気な口調でそう答えていた。

 彼は「橙の村」と呼ばれる村の出身で、ノレッジがセクメーア砂漠で修行をしていた際に「野良金冠ガノトトスの狩猟」をした事件において友人となった獣人である。

 鎧を着ているこの獣人をメラルーだと一発で判断できたのは、白を基調とした毛色のアイルーに対して、メラルーは黒を基調としたものになるからだ。アイルーとメラルーは骨格や背格好がほぼ同様であるためこれは猫種としての違いなのだが、ノレッジの知る限り、部族として区分けするのは間違いではない……らしい。故ジョン・アーサー筆頭書士官の書き物に曰く。

 ただ、「アイルー」ではなく「メラルー」が現地の補佐を任されているという事態は、(ノレッジ的には不快感は無く)疑問が残るのだが……。

 

「まってるニャ、ノレッジ。装備を持ってくるニャ!」

 

 すぐにでも動き出したい旨を汲んでくれているのだろう。カルカはノレッジが意識清明であることを確認すると、手早くソリを引いて出て行った。

 ひとり残された詰所の中、ノレッジは上体を起こす。自分は小さな木々で組まれたオトモアイルーの詰所の中に寝かせられていたらしい。

 どうやら人員はカルカと、哨戒中のフシフのみ。これがギルドからよこされた最低限の依頼応援員、という事なのだろう。部族としての特徴である盗み癖と手癖の悪さから、メラルーとハンターズギルドは相性が悪い。好奇心旺盛だが職務には忠実で人文化の理解もあるアイルーと違い、言ってしまえば、メラルーと言う種族には信用がないのである。

 そんな風に人と折り合いが悪い(と、ギルドでは見做されている)メラルーを現場に出すという事からして、この2匹は、ドンドルマのお上の方々等々が秘密裏に動かしている人員なのかも知れないが。

 

「お待たせニャ」

 

 考えている内に、程なくしてノレッジの鎧と『流星(ミーティア)(スワム)』を抱えたカルカが戻ってくる。それらをノレッジはベッドの端に腰かけたまま、礼を言って受け取る。

 

「ありがとうございます。……よ……っと」

 

 すぐさま鎧を身に付け始める。

 上下の鎧を留め、阿吽の呼吸で差し出される弾薬鞄を腰と脚に巻き、あの炎を受けて尚曇ることのない白銀の腕甲を装着し、頭に傘を被って、重弩を背負う。

 どうせ簡易の詰所に専用の工具はない。装備の不備は道中で確認しようと決め込んで、ノレッジは立ち上がった。

 

「重ねて、ありがとうございました、カルカさん!」

 

「此方こそ、だニャ。……時間も押してるだろニャ? 戦場(いくさば)までの道案内は ―― フシフ、頼んだニャ。ノレッジはオレらの現状も知りたいみたいだし、道中でニャ」

 

「はいですニャ!」

 

 いつの間にか、入り口にもう1匹のメラルーが辿り着いていた。カルカの(つがい)猫、フシフである。

 頭を1つ小さく下げると、フシフは早速ノレッジの前方10メートル程を先取りながら駆けだした。ノレッジもカルカにありがとうと告げ、その小さな姿の後を追う。

 1度来た道を再び登る。樹林帯を抜けると、あの鳥竜と遭遇した……自らが気絶させられた山道へと辿り着く。

 陽光の下、改めて見ても山道は酷い有様だった。所々が抉られ、焼け爛れ、砕けたバリスタの砲台が転がり、地形が変わっている場所すらもある。ノレッジの記憶にないものは、自分が気絶した後にもヒシュとネコとダレンが闘争を続けた痕跡であろう。

 その少し先。斥候を兼ねて先行していたフシフが、丘を越えた所で立ち止まる。

 

「発煙筒を使った往信によりますと、2時間前には、この先数キロの花畑になっている地点でお仲間が戦闘をして居たはずですニャ」

 

 指差された区域(・・)は、頂上の僅かに手前。頂上の周辺(・・)と言える場所だった。

 それらを曖昧に表現したのには理由がある。

 

「―― あの暗雲の最中に、ですか」

 

 ノレッジが睨む。

 そう。視線の先……山の頂上は殆どが黒い靄によって覆われ、観測不能となっていたのだ。

 その漆黒の靄はジャンボ村から観測した時よりも遥かに肥大し、今にも溢れんとばかりに胎動を繰り返している。

 

「だろう、という憶測になるのは申し訳ないですニャ。定期往診も途切れがちなのを鑑みるに、まだ激しい狩猟の最中だと予測はできますけどニャ」

 

 横で双眼鏡を覗いていたフシフが申し訳ないと項垂れる。ノレッジは慌てて手と首を振った。

 

「大丈夫、大丈夫ですよフシフさん。なにせ隊長と師匠たちです。そう簡単に倒れる筈がありませんから!」

 

「ニャ、そう言って頂けるとありがたいです。わたしも、狩猟のお邪魔にはなりたくありませんからニャァ……」

 

 顔を上げたフシフに笑顔を見せて、ノレッジはむんと意気込んで見せる。

 再び山頂に視線を戻し、渦巻く黒の色を見据え。

 

「場所を変えたということは、師匠たちが相手を動かしている(・・・・・・)という事だと解釈できます。なにせあのお相手は、黒い風を自らの意思で動かすことが出来ていたんです。あれだけ戦い易かった山道を態々自分から進んで離れる必要は、ないと思いますから。……ならばきっと、あの場所で戦っているというのは、ヒシュさん達が最低互角に渡り合っているという考えで良いと思うんです」

 

 ノレッジはフシフを励ます言葉を並べながら、頭の別の場所で、未知の鳥竜の特徴について思い返していた。

 カルカとフシフ。そして砂漠での出来事を思い出したおかげで、あの「黒い硬皮」について、試したい事が1つ、浮かんだのだ。

 

(……これをご教授くださった「山菜お爺さん」は、今も何処からか、わたし達を見ているのでしょうか……?)

 

 そう、関連付けながらも。

 頬が、口角が、自然と吊り上がってしまう。腹の底で空腹の虫と飢狼とが騒ぎ出す。

 理由は明白だ。たった今、ノレッジにはやりたいことが出来たのだ。

 その一事が、ノレッジの心の瑞々しい部分を奮い立てていた。もっと心情に寄せて表現すれば、ノレッジ・フォールは鳥竜との闘争を前に「わくわくしている」とまで言えるだろう。

 待ってはいられない。師匠らを待たせていても仕方がない。ここからは狩人の、そしてハンターの領分である。重弩を背負い直し、後ろのフシフへ振り返りながら、ノレッジは山頂へ向けて脚を踏み出す。

 

「行ってきます。後をお願いしますね!」

 

 段々と加速をつけて、少女は走り出す。

 駆けだしたその背を追うことは無く、フシフはびしりと敬礼を返して見送る。

 丘の向こう。少女の姿が消えた尾根伝いの岩崖の奥を見つたまま、フシフはぽつにゃんと零した。

 

「自分とカルカがオトモとして、またギルド務めのオトモとして出願したのは、それは、切っ掛けはノレッジに助けられた事かもしれないです。ですがそれも、紛れもない、自分の意志ですからニャ。ハンターさん達を助けたいと、思っています」

 

 山頂を包む、黒く分厚い、正しく底の見えない暗雲。

 補佐としての役目を担っているフシフは業務上、ハンター達が命の危機に陥った場合を除いて、狩猟地域の周囲に近づくことが禁止されていた。

 ギルドに入って日が浅く実力を持たないフシフとカルカの2匹では、ハンターの脚を引っ張りかねないというのが1つ。また、現在任されている救護のための駐屯地を離れる訳にはいかないという理由も存在した。

 いずれにせよ彼ら彼女らの届かない場所へ、あどけなく、少女然とした顔を持つ、それでいて魚竜をも単独で討ち果たすハンターでもあるノレッジ・フォールは駆けてゆく。

 其処は先の見えぬ暗闇だ。果てなど無いかも知れない、未知だ。

 フシフにとって、また、カルカにとっても。未知とは未だ、恐怖の代名詞なのだ。

 少女はその中へ嬉々として、喜びすらも覗かせて駆けてゆく。

 まるで、暗闇の中でこそ輝く下等の星々もあるのだと知らしめるように。

 その無頓着さを、好奇心を、人間臭さを。メラルーはこの時、初めて、羨ましくも感じてしまっていた。 

 

「自分の力の無さが、口惜しい。誰かに託さなければならない立場は、やっぱり、悔しいものですニャ……」

 

 立ち竦むメラルーの頭上。

 何処までも続く暗闇の中天を ―― 南西から北へ ―― 白い流星が滑り落ちてゆく。

 テロスの高峰の頂を彩る冠が如き、黒く果てない暗闇。

 ハンターらを歓迎するかのように。或いは、狩猟の終幕を待ちかねたように。

 黒さは昂ぶり喜び、苛烈さを際限なく増しながら、ちっぽけな獣人の目の前で蠢き続けている。

 

 





 お待たせしてしまいました。
 随分と間が空いてしまいましたが、これにて何とか残り2話+αとなりました。御拝読をありがとうございます。ひと先ずは更新と、休みの全てをつぎ込んでモンハンを仕上げました。
 さて。いきなりですが、書き方を少々変えております。具体的に言えば、会話文が連続した際にも1行余計に改行を入れてみています。ハーメルン様の機能も充実していまして、縦読み機能もありますし個人での調整も出来るのは知っているのですが、なんとなーく、やはり、横書きだと1行空いている方がやり取りを組みやすい気がするのですよね。完全に私的な意見ですけれども。
 これについてはよっぽどのご意見が無い限りは(基本的に)全て改変の予定でして、1章が終わり次第投稿分にも改変を加えたいと思います。
 他にもいくつかあるのですが、取り急ぎは改行だけで。もしかしたら1章を終えた時点で、各章のあとがきの移行(ひとまとめ)とかを考えるかもしれません。

 以下、小ネタ雑談。

 ―― 花畑が燃えてるって
 テロス密林禁足地はそんなに高地ではありません設定。燃えます。
 原作は火山でも活動出来るんですよね……。流石に今作におきましては、鎧以外の部分でマグマを浴びたらやばいという程度にはなっていますが。

 ―― 小部屋って。
 はい、その通り。お借りしたイメージは4Gギルドクエストのお宝部屋ですね。
 何かと意味深ですが、とりあえず不思議な雰囲気が出せていれば成功です……。

 ―― メラルーって。
 次の章か、もしくは最終章辺りまで流す設定。
 合間合間に入れているモンハン用語の説明がクドイですかね……? 今話で言えばメラルー種族説明がそれにあたるのですが、砂漠でも一応書いた気がしないでもないですし、二次創作だからってばっさり省くのもありといえばありなのではと愚考で愚行している最中だったりします。

 ―― ぽつにゃんって。
 誤字ではありません。
 いつでも可愛げを忘れない、メラルー一流の心遣いです。


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