モンスターハンター 閃耀の頂   作:生姜

34 / 58
第三十三話 戦刃は塵の中に

 

 未知の鳥竜イグルエイビスは、地上を駆けるハンター達と視線を揃え、嘴を突き出しながら翼を広げた。

 確実に、撃龍槍はイグルエイビスを捉えていた。しかし直撃したはずの嘴からは、僅かに欠けた黒色の破片が落ちるのみ。黒色の外皮が削げ落ちたその奥には薄黄色い嘴本来の色が覗いているものの。どうやら撃龍槍による刺突ですら、古龍級の生物にとっては致命打とならなかったらしい。

 着地場所へと距離を詰める狩人らの目前で、鳥竜が後ろへ細かく後退した。嘴の間から炎の欠片が漏れ出している。直線上にいたヒシュとダレンは、頃合を見計らって左右に飛んだ。

 青白さが先ほどまでのダレンの位置を覆い潰す。

 

「っ……奴の炎弾かっ」

 

 大剣『竜の(あぎと)』を地面に突き立て、辛うじて風圧を遮りながら、ダレンは歯を食いしばった。

 凄まじいのは炎だけではない。炎弾に込められた(火炎液を束ねていた)風圧が、着弾周囲1メートルの全てを吹飛ばして見せたのだ。飛び散った砂や小石が『竜の顎』の側面にばちばちとぶつかる音を聞きながら、ダレンは体勢を立て直すべく脚に力を込める。

 そのダレンの3メートル横。炎の影響を受けず、数の優位を嵩にきて、警戒域を抜け出したヒシュがイグルエイビスの懐へと疾風の様に飛び込んで行く。

 

「ふっ」

 

 身を低くしたまま左の『へビィバング』を振るう。

 鳥竜は攻撃の気配を鋭敏に察知すると、身体を僅かに浮かせて飛び退った。

 追撃。ククリ刀の重さを活かして更に身体を捻る。『へビィバング』よりも2回り外側の軌道を描いて振られた右の『闘士の剣(オデッセイ)』が、鳥竜の身体を捉えた。

 かちん、という軽い音。

 手応えは無い。翼に……黒い外皮に『闘士の剣』の濃翠の刃が弾かれている。帯水機構によって噴出した水も、同様。

 驚いている暇も、身体を留めておく猶予も無い。反撃にと、鳥竜は鋭い爪を持つ足を突き出した。ヒシュは身体を逸らし、それでも近場に張り付いたまま機を図る。

 

「うわ、硬いですねっ……!」

 

 重弩を引きながらノレッジが思わず呻いた。ヒシュに狙いが集中している間にノレッジも通常弾を撃ち放ったのだが、それらを全て受け止めて、イグルエイビスは微動だにしていないのである。

 射撃は牽制程度にはなっているだろうか ―― 続けてダレンが走りこむ。背中の大剣を振り抜き、振り下ろす。

 大剣の質量も、味気ない音と共に弾かれた。刃は全く沈まない。それでも、重さを活かして鳥竜の翼を押さえ込む事には成功していた。

 

「く、むっ」

「―― ジュェッ」

 

 間近に翼と大剣とが鍔迫り合い、紫苑の棘とダレンの瞳とが睨み合う。

 イグルエイビスの体高はダレンと大剣を合わせたものよりやや大きい程度。大剣は元より、その重さを活かして「叩き切る」為の武器。上方から大剣を押し付け、鳥竜の翼を使った足回りを抑えようという狙いである。

 しかし、鳥竜の武器は足と爪だけではない。飛んでくる弾丸を弾きながら、嘴がダレンの側を向いた。

 

「させない」

 

 接近戦は続く。2脚の間を潜って前方へ転がり出たヒシュが、右の楯を押し付けて嘴に張り付いた。炎を吐く動作の機先を、嘴の開閉を封じている。

 これでノレッジとネコが役割として浮く分、ハンター達が有利になる。その筈である。が。

 

「―― ジュェッ」

 

 鳥竜は油断をしていないハンターらの前で身体を沈ませると、そのまま地面を(・・・)転がった(・・・・)

 

「う、おっ!?」

「っ!」

 

 予期せぬ行動に、ダレンとヒシュの身体も引き摺られるように沈む。嘴を抑えていた楯が空を切り、翼に当てられていた大剣が地面に刺さる。

 上から押さえつけられているのならば下に動けば良い。理に則った発想である。体勢を崩したハンター達の目の前で、イグルエイビスは悠々と空へ舞い戻って見せた。

 

「……く、まさか転がるとは」

「連携は上手く行ってる。上々」

 

 旋回している間に、ヒシュとダレンは合流した。互いに空を見上げたまま小声でやり取りを交わす。

 撃龍槍の解体を終えたネコが駆け寄るより早く、鳥竜が再び飛来する。

 

「―― ジュェァァ゛!!」

 

 脚の爪を振り翳し、身を低くしたヒシュを牽制して空へ。嘴を直上から突き立てて、ダレンを襲って空へ。

 樹林帯を陣取ったのは、イグルエイビスに有利に働く。木々の中へ駆け込む猶予を与えないつもりなのだろう。鳥竜は狩人らを、空から怒濤と攻め立てた。

 一撃離脱を体現した鳥竜の強襲。地の利が生きる、小回りの利く翼と鳥脚。森の中で相手が出来れば上等だったが、その前に被害を出していても仕方が無い。いずれにせよ距離を取られれば炎もある。相手の舞台に上るしかないだろう。

 

「仕方があるまい。後退しながら相手だ」

「ん、賛成」

 

 判断を下したダレンは大剣の切先を鳥竜に向けながら、じりじりと後ずさりを始めた。

 鳥竜は空を統べ、猛禽の如く鋭い赤い瞳を光らす。此方を……いや、ヒシュはとうに相手のお眼鏡に敵っている。だとすれば隣にいる此方を、ダレン・ディーノを値踏みしているのだろうか。

 

(策の変更は悟られた、か。ならば次手だ)

 

 イグルエイビスが直線状に降下を始める。ダレンは思考を切り替え、再び歯を食いしばった。

 半身に。足は自然に前へ。大上段を通り過ぎ。大剣が肩から背に沿う。目を見開く。力を、僅かに込め。

 狙い寸分の狂いなく振り下ろされる大剣 ―― 擦りあった嘴と『竜の顎』との間で火花が散る。

 

「お、ぐ……はぁっ!!」

 

 1秒に満たない交差。がりがりと音をたてる刃と嘴。果して、剣は押し切られる事なく振り切られ、嘴と、翼と、鳥竜の身体が真横をすれ違って行った。

 ダレンは体勢を直す間を待たず、振り向いて相手の姿を確認する。

 傷は視認出来ず。それでもイグルエイビスの軌道は逸らされ、見事、地面に脚を着けさせた(・・・)

 空から引き摺り下ろさなければ、「対等」という言葉すら夢のまた夢。策と呼ぶのも傲慢な……強引な一手の成功を、ダレンは一先ず安堵する。

 頭の中、地面に爪を突き立て制動を試みる相手を観察しながら推論を並べ立ててゆく。

 鳥竜種の特徴とは、やはりその「軽さ」に集約されている。代表的な飛竜種との差異として上げるべきは、脚部と翼の発達具合。上位の捕食者に抗うか否か。牙や炎といった飛竜を代表する器官は、武器を選ぶ過程で強いられた分岐の結果である。

 だとすれば目前のこの生物は、いずれにおいても中途半端(・・・・)であると評する他無い。

 

(上位捕食者をも諦めない……強欲な鳥竜、か)

 

 戦闘に対する意欲が際立つのも、その辺りから来ているのだろうか。

 空を制する生物といえば、やはり飛竜。空の王者リオレウスを筆頭とする、高度な滞空性を有する種族である。学術院が選定する飛竜種という括りでは規模が大きくなるため、特徴的なワイバーンは除外するが、それでも、空というフィールドにおいて彼ら彼女等は圧倒的な優位性を獲得している。

 その点イグルエイビスはこの個体に特有の硬さを除くと、種族としてワイバーンらに勝利するのは難しいと断じざるを得ない。個体としての堅牢さが違い過ぎるのだ。となると繁殖数で勝るしか方法はないが、それも空という生活圏で争う以上は困窮する事になるだろう。

 物事に慎重なダレンにしては珍しい事に、この予測は正鵠を射ている自身があった。何しろ、証明しているのは歴史である。だからこそ、この荒々しくも輝きに塗れた世紀においてイグルエイビスはその姿を残してはおらず、血筋を伝えるに留まっているのだから。

 

「―― ふっ」

 

 大剣を構え直すダレンの横を走り抜け、隊の中で最も身軽に猟場を疾駆するヒシュが鳥竜へと迫る。合間を埋めるノレッジの援護射撃はまたも弾かれるが、反転しきる前に獲物を剣域に捉えることに成功した。

 『へビィバング』と『闘士の剣』の2振りを、確実に振るう。ダレンの知るギルドで主流の双剣型とも、新たに知ったペルセイズ固有の対空剣技とも違う、ヒシュに独自の爪と牙。

 しかしそのどれもが鳥竜を傷つけるには至らない。覆してみせるのは、他ならぬ黒色の外皮である。

 

「ど、おおっ!」

 

 ダレンが気合の咆哮。走り、再び翼の上から『竜の顎』を叩き付けた。

 嘴は兎も角、翼は押さえつけられる。先ほどと同様の流れ ―― しかしダレンは動きを変える。鳥竜に対応される前に。

 外皮と剣とが擦れる音。ダレンは振り下ろした剣を擦りながらずらしてゆく。

 骨剣のしなやかな刃が翼を振り切った瞬間、腰溜めに力を解放し、大剣を薙いだ。

 薙いだ大剣の直上。ヒシュに向けて振るわれていた最中の嘴を、勢いに勝るダレンの膂力が押し返す。

 

「ないすっ」

「お任せを」

 

 硬直した替わりに隙を生み出したダレンの横、ヒシュが今度はネコを伴って攻勢へと移る。

 緩く弧を描き、注意を惹きながら身を低く。後手に、狙いは嘴とのハンドサインを出している。

 何となく、思考の順路は読めてきた。黒い外皮が零れている、鳥竜本来の色が見えている部位……嘴から崩してゆく積りなのだろう。回り込んでいたノレッジも、嘴の動きを制限する為の射撃を試みる。

 此方の狙いを悟れぬ鳥竜ではない。

 ヒシュの速度を重視した一撃を嘴に受け、抱えた唯一の傷を狙われていると知るや否や、イグルエイビスは動きを変えた。方向転換や爪脚、炎による攻撃を混ぜ込み始めた。

 そのものが矛であり炎の発射口でもある嘴。狙うとすれば、当然、炎の危険にも晒される。狙いは殊更慎重に定めなければならない。

 

「かく乱を」

「了解」

 

 叫びあうと、ダレンはネコと共に遊撃に走った。嘴を狙いに掛かるヒシュへの援護である。警戒されているとは言え、嘴にしか傷がないのならば、少しの成果も出さないまま諦めるのは口惜しい。

 火炎袋の構造として、炎ばかりを吐き出す事は出来ない筈だ。着火する為の粉塵や火炎液の残量。それまでを耐え切るのみ。

 反転した先を読み、着地した場所で待ち構え、振り下ろす機を先取っては嘴を付け狙う。

 かと思えば入れ替わり、ヒシュが囮となり、ノレッジの射撃を援護する。

 ダレンとヒシュばかりに気を向けていると、ネコが間近に迫っている。

 執拗な、という言葉を体現する連携。行動を共にしなかった4ヶ月などものともせず、むしろ完成度は上がっている。武具、身体、士気。個々の動きの精度が増しているのも大きな要因であろう。

 ならば。

 イグルエイビスは特に樹林帯に固執している訳ではないらしい。ただでさえテロス密林、高嶺の山中は起伏に富んでいる。小高い草原の丘や突き出した岩場で距離を測りつつ、ハンター等を追い立ててゆく方針だろうか。

 

「追うぞ」

「了解ですっ」

 

 距離を取られたならば、ハンターは追いかけなければならない。一方的に炎に晒されるという展開を避けるべく、一隊は山中を登り始めた。

 吹き出される炎弾を避けながら草原や砂利道を駆け、草原を丘を越えてゆく。中途、丘を抜ける最中に見上げた空は、半分以上が暗い雲に包まれていた。

 三方から慎重に追いたてた先。生えあしの短い草原で、漸くと鳥竜を捉えかける。

 

「先」

 

 ぽつりと呟くと、地面を這う影が隊列を飛び出した。迂回を挟んだ距離から、思い切って先陣、ヒシュが直線距離を飛び込んだのである。

 ネコがその3歩横を駆ける。更に後ろから駆けた勢いそのまま、ダレンは背負った大剣を握り締め。

 

「ん、ぐ!」

「―― ジュァッ」

 

 ヒシュの剣が飛び立つ直前の鳥竜を捉える。崩した身体へ雪崩れ込む様にノレッジの射撃、ネコ、ダレンと続く。

 それら連携によって紡がれた攻撃全てを受け止め、或いは軽やかに避けながら、鳥竜は自らの間合いと呼吸を整え直す。

 

「援護を」

 

 ならば道具と、回りこんだネコが「落とし穴」を仕掛ける。ニトロダケ炸薬により小規模な穴を抉じ開け、クモの巣と蔦の葉によって編まれたネットを組み込んだトラップツールを展開させる。

 鳥竜が後退した場所、寸分違わず。脚が一瞬、偽装された地面に掛かり ―― それすら。

 

「飛んだ、かっ!」

 

 正面の攻勢を目眩ましだと感づいてか。トラップツールによって大きく広げられた大穴を、イグルエイビスは翼を軽く動かした一動作によって、嘲笑うかのように回避してみせた。

 隣のヒシュが小さく「やっぱり」と呟く。落とし穴は獲物の自重を利用した罠である。ジャンボ村に集めた王立学術院の報告書の中にも、黒狼鳥に代表される身が軽く賢い竜などは、落とし穴を回避する行動がみられると報告があった。「賢しい」という範囲を超えたこのイグルエイビスならば、それも頷けるというもの。

 黒狼鳥の身の軽さ。走竜の跳躍力。怪鳥の耳の良さ。毒怪鳥はといえば、不気味さであろうか。兎に角、そういった鳥竜という枠組みの全てを用いて、イグルエイビスはハンターらを迎えうっているのだ。

 鳥竜を束ねた頂。それは決して分化した生物の全てを持っているという意味では有り得ない。しかしながらこれまでの攻防を鑑みるに、イグルエイビスの持つ動きも思考も、既存の鳥竜の一歩先を行くものであることは疑いようがない。これこそが特異性。混沌とした、未知と呼ばれるべき個性なのであろう。

 

 躱されたのならば、次を。

 罠を含めた道具と、数の差を駆使し、ハンターらは鳥竜の動きを阻害する事に終始する。動きさえ鈍れば、ヒシュが鳥竜に先んじるからだ。

 鳥竜は徐々に動きを狭められ、本来の動き……天地を広く扱う攻防が出来なくなってゆく。狩人達にとっては狙い通りの展開である。

 

 彼の色は好敵手をこそ待ち望んだ。だからこそ、闘争を歓喜に。

 頭蓋から覗く瞳に火が灯る。紫苑の体色に薄く禍々しい赤色が残光を描き始める。

 接近、混戦の中。ダレンは嘴に向けて、しかし援護として狙いは甘いまま、大剣を振り下ろす。

 

「キュェッ」

 

 瞬間、イグルエイビスは純粋な脚力で持って飛び上がり、後退した。

 これまでの流れを無視した強引な後退だった。故に、予期せず、大剣は嘴の傷を捉えた。ダレンの手に返るぐしゃりという手応え。『竜の顎』の刃に僅かながら黒い外皮がこびり付く。

 傷を押し広げる事は叶った ―― が。

 鳥竜が取った距離は、僅かに数歩分。飛び上がる前に押さえつける事も可能だろう。

 それでも、達成感に勝る違和感が拭えない。ノレッジは脚を止め。ダレンは大剣を正眼に構え。

 

 最も近くにいたヒシュは、両手の剣を放り捨て丸楯を突き出しながら思い返していた。

 密林での、この鳥竜との、出会い頭の一撃を。焦土を生み出す蒼い炎を。

 炎弾(・・)ではなく ―― 放射(ブレス)

 

 辺りを闇に染めた原因は明白だった。

 鳥竜を追いかけてきたのだろうか。山の切先を覆っていた真黒な雲が溢れ流れ、いつしか狩人らの頭上、山の中腹にまで達していた。

 暗雲垂れ込め、視界が薄暗く変わりつつ在る。

 万理が霧中。鳥竜の赤い双眸が獰猛な色を纏い、巨大な嘴だけが確たる熱と光を放つ。

 ハンターらの脳裏を危険信号が過り。

 

 空気の爆発。

 頬を揺さぶる炸裂音。

 嘴が、色の薄い炎が辺りを蹂躙した。

 

 ハンターらの思考も余裕も作戦も吹き飛ばす炎熱が襲う。

 ダレンは大剣を楯にしながら可能な限り横へ飛び、難を逃れた。ネコは耐熱布の外套を広げながら敢えて吹飛ばされる事で衝撃をいなす。

 2者が再び瞼を開いた時、そこには凄惨な光景が広がっていた。嘴から前方20メートル程が、放射状に、跡形もなく吹き飛んでいたのである。

 未だ炎熱が燻る中、イグルエイビスは嘴を揺すって炎の欠片を振り落とす。直後、戦いは未だと視線を再び持ち上げた。

 今のブレスによる衝撃を免れたのは、十字砲火を意識して横側へ回り込んでいたノレッジと、あくまで攻勢をと、炎を潜り前進を試みたヒシュ。

 

(―― 今は、援護をっ)

 

 だからこそ最も早く動いたのは、ノレッジであった。

 前進したヒシュを援護すべく、ノレッジはヒシュの斜め後方へと回り込む。ノレッジがこの局面で動く事が出来たのは、自らをあの時のヒシュと重ね合わせていたからであろう。以前は庇われた。今度こそはという気持ちもあった。

 未知との遭遇戦。蒼い炎を面に立ち向かうヒシュの背中は、正しくノレッジにとっての英雄だった。この場合の英雄とは、愛や勇気や、そういう輝かしいものを綴った童話の主人公である。

 射手とは本来数の優位を生かし、攻撃の目標にされないよう立ち回るべき役目である。しかし今、脚は動く。射線は通っている。動きたい。ならば動こう。条件と意思とが揃い、ノレッジを攻撃にと動かした。

 

 ただ。

 人間という生き物は、残念ながら、心根や想いだけで強くなれはしない。

 

 「ヒシュの援護を」という漠然とした思考。隊の中で唯一高山の空気に慣らされておらず、心肺の疲労を隠していたノレッジは、鈍った思考のまま「鳥竜の嘴を十分に狙える位置」……つまりは「鳥竜からも狙われる位置」へと侵入していた。この大胆な行動は、莫大な範囲を焼き払うブレスによる攻撃の直後、暫く炎は扱えないであろうという予測の元に実行されている。

 ダレンもまた、ノレッジを止める事を躊躇った。

 ダレン自身が炎を遮った体勢から立て直せていなかったというのも理由の1つ。加えて、目の前で暴れる生物は、未知という呼び名に相応しく底の見えない生命力を持っている。果ての無い闘争だった。故に、攻撃の機があるのならば逃したくはないという欲が捨てきれていなかった。

 ヒシュの意識は、違和感で埋め尽くされていた。

 これだけ向かい合っていても底の見えない、鳥竜に対する違和感である。闇に埋め尽くされている鳥竜の、底深さに対する興味でもある。炎を潜り抜けた今、目前の鳥竜に全ては向けられ、後方の射手は意識の外にあった。

 辺りを包む暗さは、此方へと淀み流れてきた雲によるものだけではない。

 そう気付いたのは、つまり、遊撃から支援を試み、状況を俯瞰し続けていた只1者のみ。

 

「ッ!? ノレッジ女史、退いてくださいッッ!!」

 

 猟場を貫く弾丸のように、ネコの声が高々と響く。

 その声すらも遮って。全てを覆い隠す黒の瘴気が暴れ呻く。

 

「あ、れ」

 

 視界が暗転した ―― と思わせる程の明暗。気づいた時、正面から壁のように降り注いだ暗さによって、ノレッジは腰を地面に着けていた。

 ブレスではない。鳥竜自身に全く動作がみられないまま、瘴気を纏った風が勢い付き、豪風となって狩人らを吹飛ばした。

 否応なく。前方に居たヒシュ、そしてヒシュに合わせるべく直線上を位置取ったノレッジの脚が静止を余儀なくされる。

 黒の暴風を従え一層の黒さ。一段深く底へと沈んだ鳥竜は、ぎしりと身体を軋ませると赤い気炎を昇り燻らせ、ノレッジに狙いを定めて炎弾を吐き出した。

 炎が迫る。やられた。ノレッジ・フォールは、しくじった。

 最大のブレスすらも呼び水に、此方を確実に仕留めようという策。鳥竜の賢しさに出し抜かれたのだ。

 咄嗟に突き出した左腕。一角竜亜種の腕甲の向こう側で、黒く、蒼く燃え上がる炎弾が炸裂する。「受身を」という思考は中途のままで投げ出され、後に続くことも叶わない。

 視界が途切れる。意識が千切れる。

 

「―― ノレッジ殿っっ!?」

 

 最も先に駆け寄ったのはネコであった。

 呼びかける。が、倒れたノレッジからの反応はない。だらりと弛緩し、そのままだ。

 脈はある。出血はない。炎による傷は、鎧の上からでは判らない。衝撃による昏倒か ―― ここまでを確認した所でヒシュとダレンが鳥竜との直線上に割り入り、ノレッジを覆い隠す。

 

「脈あり。呼吸も確か。意識は在りませぬ」

「後退するぞ」

「ん」

 

 ネコからの簡素な報告には、隊長たるダレンがいち早く口を開いた。頷いたヒシュがノレッジを担ぎ上げ、ダレンに背負わせる。

 ぐったりと持たれかかるノレッジを背に、ダレンは思考を回す。外傷が無いとは言え後退し、荷車で拠点まで運び、少なくとも安静にしている必要はあるだろう。

 焦土となった一面を、黒い風は戯れるように吹き抜けた。瘴気が再び空へ舞い上がったのを見届け、イグルエイビスは瞳を揺らす。

 風がなくなると、イグルエイビスの異形がまたも変化した事が見て取れる。炎を吐いたあの瞬間であろう。身体の節々から伸びた紫苑の棘は赤みを帯び、発光していた。眼には強烈な赤さが宿り、底知れない戦意をどうどうと吐き出している。

 黒さが引けて霧が晴れたような、それでも薄暗い山道。ヒシュが1歩、正面へと進み出る。

 

「ジブン、殿(しんがり)

「やれるのか?」

「だいじょぶ。時間を稼ぐ。……ダレン」

「……判った。万全にして(・・・・・)この場へと戻ってこよう。頼んだぞ、ヒシュ」

 

 短いやり取りを交わし、ダレンは一歩ずつ後退を始めた。

 興味の大半がヒシュに向けられているのが幸いしてか、鳥竜が其方を追いかける事は無く、2人の姿は岩場へと紛れて消える。

 

「ネコ」

「お供致します」

 

 短いやり取り。此方も、断るつもりは毛頭ない。

 頼もしいアイルーをお伴に、ヒシュは素早く前に出る。黒い闇に埋もれた、塗りつぶされた鳥竜に対峙する。

 これまでの攻防を振り返っても、目前、決して狩ることが敵わぬ相手ではないと思う。

 ただそれは、数年単位で計画した狩りを行う場合の話だ。

 かつて老山龍(ラオシャンロン)を追い回して各地で迎撃し、「空腹に寄る衰弱」を基点として止めを刺した、自らの師匠ハイランド・グリーズ。古龍種の「討伐」としてドンドルマに記録されている初の事例である。

 ヒシュ自身も古龍種と対峙したことはある。丸1年ほど前の話ではあるが、ロックラックにぶつかる順路をとったジエン・モーランという生物の、討伐隊の一員として参加をしていた。

 正しく砂の海という光景のロックラック周辺。そこでは「撃龍船」と呼ばれる帆船が移動手段として機能する。撃龍船に乗った討伐船団は5日ほどかけて、砂中を遊泳するジエン・モーランに対する「嫌がらせ」を慣行したのだが、遂にジエン・モーランの進路変更は叶わず。帆船の順路を飛び出した場所で、最も近かったヒシュ達の船が偶然に1番乗りを果たしたというのが事の流れである。

 ロックラックにおけるハンター間の訓示に、街に近付く生物の討伐には、最も近くに居たハンター達が選ばれるというものがある。それは山ほどの体駆を持つ古龍種が相手だとしても例外ではなく、また、ヒシュ達にはハンターランクという確かな資格もあった。

 そして、代表としてジエン・モーランの討伐を請け負った。後から聞いたのだが、必死で戦う4者を他所に、街はお祭り騒ぎであったそうだ。……それはそれであの街らしい(・・・・・・)と、腹の底から笑ったものである。

 勿論この場合ならば、ヒシュらが敗れたとしても次のハンターが立ち向かう。ロックラックを背にしたあの砂漠ではそうだった。ヒシュと、同行したネコ。街でよく組んでいた大槌使いと軽弩使いのハンターも、その点について理解出来ていた。だからこそのお祭り騒ぎである。

 

(用意してた策は、他にも、ある。いちおうは。……でもそれは、メンバーが揃っていないと只の賭けでしかない、から。今は、封印)

 

 被り者は仮面の内から蠢動する黒色を睨む。

 今はロックラックの時とは違う。後は無い。ヒシュら自身の奥の手の他、ミナガルデによる副案はあるが、大砲で焼き晒すのではハンターが居る意味が無い。この山が焼かれるという事は、山を水源とする周辺一帯の密林を。生物を。テロス密林から恩恵を授かっているジャンボ村をも枯渇させるという結末を孕む。

 ダレンに曰く「人間は無事」だと、ミナガルデ卿は言うらしい。ジャンボ村の人々は疎開させるつもりなのだろう。

 けれど被り者の視点からすれば。人々は生き永らえながらも、「ジャンボ村」という村が死ぬ事に変わりは無い。

 それは被り者が思い描く我侭 ―― 最善からは程遠い。むしろ対峙してみて、この生物が(たかが)砲撃によって死滅する可能性は低いと見ている。何分鳥竜は、飛ぶだけで巨砲の射程から逃れることも出来るのだ。成長著しいというのに、それでは、ジャンボ村の死に損である。

 

 どうにかすべき。イグルエイビス ―― しゃんたく(ジョンの貴族位を持つ同僚サー・ベイヌ氏が描いた「しゃんたく鳥」なる怪物を想起したため、ヒシュが勝手にそう呼んでいる)を打ち破る手段を探るべく、ヒシュはロックラックでの戦いを記憶の箱ごとひっくり返した。

 強敵と言えば、やはりジエン・モーランが適当だろうか。かの巨龍の狩猟においては、師であるハイランドの老山龍退治に倣い、休む間もなく、波状に攻め立てていた。航路上の鉱石(エサ)を出来る限り排除するという途方も無い作業も行った。

 ……それとて、この相手。明らかに歪な鳥竜に兵糧攻めが通じるだろうか?

 食事を摂取しているのかどうかも定かではない。ジエン・モーランの場合は、岩竜バサルモスなどの実例から、鉱石に含まれる微生物をエネルギー源としているのだろうという予測がされていた。しかしこの古鳥竜はそれら前例を覆し、よもや霞でも食べて生きているのではないか……と思わせる不気味さを兼ね備えている。

 

 ―― 明らかに攻撃用途に特化した嘴と足。瞬間的にはともかく、長距離を飛ぶには頼りない翼。そもそも今の世に、この鳥竜に似合う食べ物は存在するのかな? そして……うーんむ。もし、この鳥の野性というものが何らかの拍子で失われているのであれば。それらを持って、野性に勝る何かを与えられているのだと仮定すれば。……まぁ要は山上で食っちゃ寝しながら自分と戦うに相応しいハンターを待つのがこの鳥竜が現界した使命なんなら、下手をすればエネルギー源を消費し尽くすまで動き続けて、最後には空腹で息絶えるんじゃあないかい?

 

 とは、絵面を見たギュスターヴ・ロンの談。

 暴れに暴れ、戦いの中に生き、補給をせずに息絶える。

 それはそれでこの生物には「似合っている」のではないか。皮肉ではなく、それに近い実例も(あれは寧ろ暴食であったが)以前の大陸で体験したことがあった。だから似合っているというのは、被り者特有の素直で率直で歯に衣着せぬ、ただの感想である。

 戦う為に生きる。生命として外れてはいるが、最低限、世の理には背いていない。……とはいえいずれにせよ1週かひと月か、そこらで尽きるエネルギーではないのだろう。被り者らがここに来るまで、イグルエイビスは可能な限りのエネルギーを温存していたに違いないのだから。

 死んでも死なない生物の伝説がある程、この世界は未知に満ちている。ジブンらより明らかに強靭な生物に相対するにあたっては、それ位の心積もりでいるのが丁度良い。

 心を奮い立たせると、ヒシュは自らを再び剣に染める。

 

 頭には思考を。右手に剣を。左手に呪鉈を。腰の鞄の中に吐息(ブレス)代わりの火薬を仕込み、形だけは目前の怪物と対等に整え、狩人は獲物に立ち抗う。

 底の見えぬ相手に、例え、見分が未だ十分ではないとしても。

 

「ん。行く。あとの援護、宜しく」

「ご武運を」

 

 呟くと、身を低く駆け出した。

 機先の動作も無く、先手で仕掛けたのは鳥竜。駆け出した直後のヒシュは、可能な限りの反応で身を翻す。

 身を翻す最中、ヒシュは仮面の内で驚愕する。すぐ傍で、突進を嗾けた筈の巨体が、慣性を振り切ってぴたりと制止していた。

 疑問と、衝撃と。

 

「―― ぐ、ぅっ」

 

 薙ぎ払われた鳥脚を避けきれず、臓腑を吐き出しそうな衝撃が被り者を襲う。1度地面にぶつかり、反動。手を着いた4つ脚の姿勢で素早く姿勢を立て直す。

 痛みによって炉心に薪がくべられる。身を染め心を沈め、相手に近付いて行く感覚。

 ふと、いつもの迷いが、仮面の狩人の脳裏を過る。

 仮面の狩人の懊悩を知る由もなく。迷い惑う人間にこそ、怪物は嘴を突き立てる。

 宙に羽ばたいて旋回。身を低くした相手を狙い、高さを活かし振り下ろす。嘴を杭の様に突き立て地面を抉り、勢いのまま空へと戻る。

 この一連の流れにヒシュが割り込む余地は無い。空も陸も、鳥竜の領域だった。進化の過程で天地の両方に適応しようと試みた生物。一度は失われ、再生の過程にあった、とある時勢における食物連鎖の頂点。それこそが鳥と竜との中間を象る、イグルエイビスの在るべき姿。

 それでも、ヒシュは狩人である。立ち塞がるのは、せめてもの自分の意思だ。

 

 先ずは当然、試すべき事を試す。

 ヒシュは地面に投げた武器の中から『飛竜刀』を選び、その手に握る。相手は生物だ、生命だと見得を切ったのはヒシュ自身。この相手とて苦手な物くらいは存在するであろう。相手の接近に合わせて構える。脚爪と噛み合い、炎が外皮を溶かす事は無く、続いた嘴により刀がくの字に折れ曲がった。

 『闘士の剣』―― 水は初っ端に試している。氷は、ジャンボ村周辺では手に入れるのが難しかった。電は、最終手段。

 

 次に、ならば毒だ。

 小剣として作成した波打つ刃の『フランベロジュ』を毒で満たした腰の鞘から抜き出し、嘴の「撃龍槍によって欠けた部分」を狙い噛み合わせる。

 果して傷を押し広げる事は叶わず、小剣は弾き飛ばされた。

 身体の大きさから予測をするに、毒の容量は足りる筈。が、何時ぞやの自分が言い放ったように、外皮を貫けなければ体内に毒を循環させる事も不可能である。仕方が無い。

 

 三度、打撃を。

 低空飛行を始めた鳥竜の翼を、ヒシュが持つ最高硬度の武器である『闘士の剣』で叩き(・・)、地面に引き摺り下ろす。降下と同時に嘴が振り下ろされ、弾き飛ばされた丸楯を捨て置き、骨の『大槌』を拾い上げた勢いそのままに振り上げる。骨と下顎がぶつかり、鳥竜の身体は僅かに浮き上がり、しかし、傷も怯みも無く。鳥竜はそのまま、再び空へと舞い戻った。

 

 事態は常に頭の中で咀嚼、反芻してゆく。

 鳥竜の例に漏れず、このイグルエイビスも身体が軽い。単純明快な理由、空を飛ぶ為である。

 それも体駆の小さなヒシュの打撃ですら僅かに浮くとすれば、イャンクックより軽量であるかも知れない。動作の静止を容易にしているのも、この辺りの軽さが要因か。

 だのに、撃龍槍を弾く程の硬さが在るという。堅牢ではなく強固でもなく、硬質というのが肝。『軽さ』と『硬さ』ならば両立できる。

 硬さの種は、やはり黒い外皮に寄るものとみる。ならば『大槌』による衝撃は通っていると考えて良いか。いや、だとしても。

 

(ぐる、る。衝撃は通じる、かも、とはいえ。……だとすると、ぐ、ぅ。……ジブンとの相性は、良くない)

 

 1対1の攻防により火の入ってしまった……ふらつく思考を辛うじて支えながら、仮面の狩人は筋道の咀嚼と反芻を繰り返す。

 重さによる打撃は、隊の中ではダレンが得意とする役目である。手の中の骨の『大槌』は重量も在るが、ヒシュの体駆と筋力では足回りがかなり鈍る。使っている筋力も違うもの。ダレンならば有効打を持ち得たかも知れない……というのは、この場に居ない以上遅い後悔ではあるが。

 いや、いずれにせよ自分とネコでなければ足止めは難しかった。思考を切り纏め、ヒシュは対抗の手段を練り直す。

 せめてと打撃にも長けた武器を選んで拾い、薄い下生えの地面を蹴り進む。中空から突き出された脚が脇腹を掠めながらも、鉱石製のククリ刀『へビィバング』を下腹目掛けて打ちつける。

 手応えは、無い。黒く赤い鳥竜の動作は止まらない。嘴で突貫、脚を交互に踏み鳴らし地面を抉った。ヒシュは振り来る爪と嘴の雨を辛うじて避け……外側へと身を投げ出す。

 これだけの動作の後にも隙は無い。隙を埋めるのは、無色に近い蒼の炎。地面に向けて放たれた炎の放射が周囲一帯、股下を潜り背後を取った筈の仮面の狩人をも吹飛ばした。

 

「……っ、は。ぐ、ぅ、るる……」

 

 腕で視界を確保しながら、ヒシュは再び立ち上がる。

 着弾点からの距離も在った。黒狼鳥の鎧がギリギリで炎熱を防いでくれたが、やはり炎は直撃を避けなければならない。爪より嘴より頻度は低くとも、その一撃が致命的な結果を生み出し得る。

 吹き荒ぶ熱風に立ち向かい、両の拳の具合を確かめる。握力はある。しかしヒシュが「気炎」と呼ぶ熱は、今はまだ無い。イグルエイビスが怒色を孕んでいないからだ。目の前の鳥竜にとって、これらやり取りは前戯に過ぎないのだろう。

 比べて、ヒシュは頭も体も常に動かす事を余儀なくされている。闘いに魂を燃やす以外、むしろ、相手を「視る」事によって戦い方を変化させてゆく流れこそ、仮面の狩人の最も得意とする所である。

 視る。そして判る。一般的な視覚に限らず、感覚に近い、ヒシュに特有の第六感。

 鳥竜が反転するまでの間を大切に使う。炎弾を放った後の整息、位置取りを確認する。ネコは反対側。つまりイグルエイビスが此方を向けば、一層辿り着き易く(・・・・・・)なる筈。

 

(ぐ。……なんとか、耐える゛)

 

 翼も嘴も脚も、尋常ならざる硬質さ。奥の手も含めれば、此方の攻撃が通じない訳ではないが、それも外皮を貫かなければ命を奪うには至らない。

 当然の帰結、持久戦。

 黒い外皮は撃龍槍程の威力であれば貫けると証明されたとはいえ、よりにもよって命中したのは鳥竜の楯にして矛……最も頑強な嘴である。他の部位が貫けていれば掘り進む(・・・・)策もまだ容易であった、とは、流石に夢想に過ぎるものの。

 好敵手と見初めた仮面の狩人との戦いを心底楽しむかのように、鳥竜は空を飛びまわり地面を駆けた。

 仮面の狩人は向かい立ち、攻防を繰り広げ。

 

「―― ジュ」

 

 突如。

 攻防の最中、鳥竜の動きが止まっていた。瞳に疑問の色が見え、首を擡げている。

 何かを ―― 自分が時間を稼いでいる内にこの場を離れているネコを探しているのだと気付くと同時、ヒシュは鳥竜に猛然と切りかかっていた。

 

「―― っ! ぐ、るるっ!!」

 

 それも弾かれ、爪によってあしらわれてしまう。

 防戦に切り替えたヒシュの気配を、鳥竜は敏感に察知していた。

 実の所、2者の連携の主体はネコの側にある。通常、野性の生物は身体も気配も(アイルー種と比べると)大きな、ヒシュの側を主として狙う。だからこそ圧力の少ないネコが俯瞰をし易く、回り込み易く、搦手を講じ易い。ヒシュが好き勝手に動きつつ、ネコの支援に合わせて行く形なのである。

 勘の良い鳥竜は、これまでの攻防から先ず(・・)ネコの側を狙うべきと看破したのであろう。山道を軽快に駆けてゆく。

 

「ぐ、るっ……ネ、……コッ!」

 

 慌てて割り込んだヒシュが前方に回り込む。切りかかるも、同様、鳥竜の突撃を止めるには至らない。

 障害物だと認識されたのか。イグルエイビスが翼を上下させず、脚力でもって跳び上がる。翼を使わない分動作が早い。剣を振るうヒシュの頭上を飛び越え、その後ろ。ネコへ向けて爪と嘴の連撃を仕掛けた。

 

「くっ……!」

 

 小さな体駆。

 落下、嘴は横へ飛んで避け。

 一足、薙いだ爪は草へと埋もれ、腹ばいに屈んで潜り。

 跳び上がったまま、黒い風を纏った鳥竜は空中で静止した。後方宙返り ―― 2度目の脚爪。遂に、避けきれない。

 

「っ、んニャッ ―― !?」

 

 ネコが蹴飛ばされ、草原すれすれを吹き飛んでゆく。追いつけない。そのまま草原の起伏、丘陵の向こうへと転がり落ちてしまった。

 鳥竜を照らす暗雲の下。残されたヒシュへ向けて軽快に1跳び、イグルエイビスは造作もなく振り返る。

 ヒシュは仮面の下、僅かに口元を歪めた。ネコの状態を確認する猶予もなく、正真正銘の1対1となって、ぶつかり合いは再開される。

 黒い風は、今まで弱点と見ていた軽さをも、鳥竜の武器へと変貌させている。全身で風を受けたイグルエイビスは、空中で芸術的ですら不可思議な機動を可能とするのだ。

 凄まじいまでの機動力。間違いなく怪物。必死で喰らい付くに値する。ハンターとして、狩人として生きてきた中でも最速の衝撃をぎりぎりでいなしながら、被り者は歓喜に心が怖気立つのを感じていた。

 

 歓喜ながらに、畏れを。

 この歓喜は、恐らく、目の前の鳥竜のものである。

 

 物事を断定するのが、被り者は嫌いであった。その性分は師匠らに、他の道を閉ざしてしまう事を勿体無いと感じる欲張り気質だと評されている。

 だが。こうしてジャンボ村に逗留し始めてから得た経験に照らし合わせ……今は、違う。

 向こう側から流れ出る他の意識を、本来分離してしかるべき水と油を ―― 被り者の心は相異なく受け入れる。これは明らかな異常なのだと、知ることが出来ていた。

 爪を受ける。

 欲張りなのではなく、確固とした自分が無い。無味無臭。良くも悪くも染まりやすいだけ。それでいて染まる事を躊躇う、臆病者。ノレッジが倒れ、ネコが傷を負ったというのに闘争の歓喜に染まりつつある心が、ジブンは嫌いなのだ。

 剣を振るう。

 この大陸へ渡ってからというもの、仮面の狩人は変わるべく努力を重ねていた。変わりたいと願っている。それら自分の願いを否定されたくは無かった。つまりこれは、切望でもある。

 嘴を躱す。

 だがどうだろう。自分は結局、こうして鏡写しに目の前の相手を真似るだけ。仮面越しの怪物にすら成り果てる。

 嫌だった。変われていない。自分の色を持たずして何が人間か。戦いに歓喜を感じる事自体、人間の理性から外れているのではないか。それはただの獣で、目の前のモンスターと何ら変わりないのではないか。

 炎から遠ざかる。

 それら疑問すらも。強大な相手とぶつかり合う度、擦れ合う度、仮面の狩人として形作られていた何かは剥がれ落ち、削げ落ちてゆく。

 

「ジュェァァッ!」

「ぐ、る……!!」

 

 自分の境界を保ちながら、『闘士の剣』を楯剣として振るう。身を捩りながら爪の直撃を避け、次手に備えた。

 後悔ばかりをしていても始まらない。戦いに、深く高く思考を染める。獣に寄せる。いつでも人間らの考えを超えてくる生物 ―― モンスターに対する無機的な観察に終始する。

 爪からの連激。首を引いた。前駆動作、嘴。イグルエイビスの全体重を乗せた、刺突。

 仮面の狩人は漫然と、しかし今までの経験をなぞりながら、再び楯剣を掲げる。

 頑強な『闘士の剣』が額面通り、嘴を弾くべく横面から捉え。

 

「ジュェッ ――」

 

 鳥竜が、それら思考を止めた獣の一歩先を行く。

 嘴と剣とが組み合った瞬間、鳥竜は跳ねた。

 羽を絢爛に揺らし、黒い風が呻く。風を翼に受け止め、中空で横転。

 結果として、突き出された嘴に回転が加わる。

 只の突きでは、なかった。瘴気を纏った風は、イグルエイビスの空中機動を後押しするのだ。

 防御を貫く二段構え。体重が掛かっている。押し切られる。慌てて身を引きながら左の剣を添えるも、間に合わず。

 楯剣が火花を散らし、回転する嘴に捻じ込まれる。気づいた時には、正中を激しく強く押し突かれていた。

 

「がっ、はっ、……ぐ、ぅ」

 

 吹き飛んだ。痛みに衝撃が勝る。暗転する視界。明滅する意識。黒狼鳥の甲殻が飛び散った感覚。辛うじて、貫かれてはいない。

 転がった先で這い蹲って身体を支えるも、地面には膝が着く。立ち上がる為の時間が足りていない。ポーチに手を伸ばす時間が。

 必死に息を吸い込む狩人の目前に、黒色の鳥竜が軽快に降り立つ。

 知る事敵わず。嘴を振り上げ。

 

「―― なりませんっ!」

 

 沈み行く意識の中、りんと澄んだ音が仮面の狩人の意識を繋ぎとめる。

 蹴飛ばされた先の傷も癒えない内から、首元の鈴を鳴らし、ネコが丘陵の端 ―― 大型弩(バリスタ)砲台に辿り着いていた。

 このバリスタを仕掛けたのは、先遣隊としてふた月前にこの場を訪れ鳥竜と対峙したペルセイズとモービン。先遣隊として秘密裏に偵察を行った際、ひっそりと分解して持ち込んでいたもの。猟場で戦う隙を見て組み立て、こうしてネコらへと托したのである。

 整備は十分。スコープを覗く必要は無い。射角は整えてある。ネコが引き金を引くと、極大の鏃が次々と撃ち出された。

 質量も威力も十分なバリスタですら、黒色の外皮を貫くには至らない。が、これら機構を利用した兵器は体駆の小さなネコが繰り出せる最大の攻撃である。少なくとも衝撃は通る。体勢を崩すには、十分に有効と言えた。

 ヒシュを狙った鳥竜の嘴が鏃の直撃を受けて逸れ、地面に突き刺さる。

 ならばと脚を突き出すが、1足になった瞬間に射撃され、体勢を崩して地面を転がる。

 素早く起き上がり、睨む。視線は遂にネコへと向けられた。

 

「今の内です、我が主っ、お気を確かにっ……!」

 

 ネコが時間を稼いでくれているのだ ―― と気付いた瞬間、僅かだが畏れが抜けてゆくのが感じられた。

 気付きはした。が、既に意識は暗闇の中へと片足を突っ込んでいる。ひたすらに上だけを見ていた反動、必然の罰。視界一杯の暗雲に包まれた空。掴む場所も無い。まるで底なしの沼のように、端から徐々に沈んでゆく。

 鳥竜が浮き上がり、ネコが立つバリスタ砲台へと爪脚を振るう。木製の砲台が凹み、砕け、巻き込まれたネコが宙を舞った。

 

「ぐ、ニャッ……!」

 

 爪の直撃は免れたらしい。それでも外套が貫かれ、削れた鎖帷子が周囲に散らばっている。

 肢体を軟らかく着地して、間もなくネコは膝を着く。その横腹からは血が滲んでいた。

 苦悶の表情を、隠す事すら出来ず。

 

「主殿、一旦、撤退……を!」

 

 だというのに。自らの状態を捨て置き、ネコは主を優先する。

 だというのに。動けない。何をやっているのだ。ジブンは。

 自戒も、後悔も、纏めて一緒くた。

 明滅する意識の間隔が段々と延長する。

 延長し、遂には真黒に塗りつぶされる。

 

 

 ■■

 

 

 どぶり。

 意識を保てずに身体が沈んでゆく。視界が端から侵食されてゆく。

 また(・・)、だ。仮面の狩人にとっての原初の風景。一面の退廃の沼。

 手足は重油の様な暗闇の鎖に絡め取られて動かす事が出来ない。狭まってゆく。苦く苦しい。ここには音も匂いも届かない。闇の中では何故か、ぽつりと独り、仮面の狩人の輪郭だけが取り残されるのである。

 底へ到る道中へと投げ出されたのだ。この力を使い過ぎるといつもこうだ。やはり成長していない。意識を辛うじて保てるのは、慣れ故の惰性である。言葉を忘れてしまうのは、省みず獣に近付いた人間への戒めである。

 ここまでか。

 結局、変わったのは表面だけだったのだ。自分の無いジブンが、今まで狩人として強敵に立ち向かってこられたのも、きっと……献身的なネコや、真っ直ぐなダレンや、誰より明るいノレッジらが居て、支えてくれていたからに違いない。

 狩人たれと、ハンターならばと、外を見知らぬ子供心に憧れた。

 だがそれも、ジブンはきっと、ジブンだけでは ――

 

 ―― さっさと立つにゃぁっ、我が友ッッ!!

 

 ―― 頼んだぞ、ヒシュ。

 

 狭まり続ける視界に一筋、ぴしりと楔が打ち込まれる。

 張り上げられた声には、厳しさよりも確かに明るい何がしかが含まれている。

 思わず姿勢を正す。上を見る。

 ……ここまでは、少しでも友が誇れるジブンで在るべく進んできたのだ。

 ジブンだけでは。

 そうだ。だから最後まで、被り者は手を伸ばす。

 上を見上げる。暗闇の中から伸ばされた手は崖の端、懸命に突き出された彼らの手に辛うじて絡まった。

 しかし当然、人1人を引き上げるには力が不足していた。境界線がある。手の主が引きずり込まれることはないが、それでも、均衡のまま握力だけが失われてゆく。

 沼の中に浸かったままの身体が(ほど)けてゆく。意識の輪郭がじんわりと広がり始めた。

 上に。前に。右に、左に、後ろに。

 

 ―― 今度は、わたしにお手伝いさせてください。

 

 声は隣から。暖かさは真下から。

 闇の中 ―― 沼の底。小さな掌がぽつり、被り者の背に添えられていた。

 予期せぬ増援に、被り者は目を見開いた。忘れはしない。この掌は鳥竜の炎を受け先に「沈んだ」少女のものだ。闇に無縁の温もりが伝わってくる。少女の得た力強さも、同様に。

 出逢った頃の少女は、好奇心旺盛ではあるがハンターとしては未熟な一少女であった。それを、少女を、この「底」へと引き込んだのはジブン。巻き込んだのもジブンである。ジャンボ村に帰ってきた少女と自室で話した折、実の所、被り者はお守りを渡した事をそんな風に悔いてもいた。

 だがそれは独り善がりなのだと。

 自身が選んだ道を侮辱してくれるなと。

 彼女の世界はそんなジブンのお陰で広がったのだと。

 それら、伝えきれない万感の想いを込めて、少女は被り者の背中を押す。

 

 

 □□

 

 無垢は装い、更から荒へ。白から黒へ、闇から光へ。

 身体は泥を抜けた。足元は確か。力は、今度こそ拳の中に。

 

 がくりと仮面を揺らす。瞼を開く。見えた風景は薄暗く、色味は少ないが、少なくとも暗闇ではない。

 山中の景色へと戻ってきた ―― ヒシュは猛然と周囲を確認する。

 ネコの姿が見えない。丘の向こうだ。考える暇も惜しい。意識をはっきりと取り戻すと、手近な武器を手に取り駆けた。

 身体は十分に動く。上りきる。縁の丘を越え、真っ先に視界に飛び込んでくるのは黒色の鳥竜。下り路を滑る様に駆け下り、両手を添える。

 仮面の狩人は手に持った武器を地面に押し付けて身体を持ち上げ、高く、高く跳び上がった。

 

「ん ―― んん゛っっ!」

 

 目まぐるしく移る景色の中に確と目標を捉え、全体重を乗せた『棍棒』を翼へと叩き付ける。

 勢いが勝る。衝撃に押され、鳥竜が地面を転がった。傷は無い。着地と同時に『棍棒』を右手から腰にかけてぴたりと制動させる。

 この隙に。立ち塞がるヒシュの足元、ネコは自身の傷に化膿止めの軟膏をぶちまけ、抗炎症鎮痛作用を持つアオキノコの乾物を口の中で噛みながら、立ち上がる。

 

「……んぐニャッ。……我が主っ、しかし、代償はっ……」

「ダイジョブ。……ありがと、ネコ。目は覚めた。頭は冷えた」

 

 ネコを安心させるべく、真っ先に、ヒシュは訛りの無い王国的な発音で「言葉」を口にしてみせた。

 驚きに染まるネコの隣で、だらりと脱力。力を抜いて空けた分の場所(スペース)を、今度こそ気力で満たしてゆく。

 理由は判らない。今までに無い感覚だった。握った刃の先までも神経が張り巡らされ、両腕は、明らかな熱を帯びている。

 

 右拳に、力を解放した青い炎を。

 

 左拳に、闘魂を燃やす赤い炎を。

 

 それらを束ね瞳には、蒙を一閃切り拓く光源、御名が如し匕首(あいくち)を。

 

 抜き身の刃は、しかし事この場においては一介の武器に留まらず、闇を裂く閃きへ ―― 希望を兼ねた灯火へと変貌し得る。

 要は刃物の使い方だ。しっくり来ている。仮面の狩人として積み重ねてきた体術が、心と拮抗しながらもつり合っている感覚だ。今ならば。熱も、炎も、灯火も、全てを引き出してみせる。

 昂ぶりに呼応し。そんな自信を肯定するかの様に、或いは未知への雪辱を雪ぐのだとばかりに、黒狼鳥を模した被り物の嘴がカチカチと戦慄いた。

 ヒシュは腰の『呪鉈』を抜き放ち、左拳に握る。

 

「行けるよ。今なら。今度は、ちゃんと、負けずに視る(・・)よ」

 

 見違えたその様子に、ネコは暫し驚いてしまったものの。

 主の良い方向への変調を読み取り、髭を伸ばすと、外套の中で再び小刀を構えた。

 

「……なれば、彼奴めに見せてやりましょう」

「ん」

 

 転がり、受身を取って。距離は開いたが、2者の前で、原初の鳥竜は何事もなく立ち上がる。

 鋭い風音。すぐさま空を滑り、イグルエイビスは仕掛けた。ヒシュとネコとが、迎え撃つ。

 防戦という形で一致をみせた2者の連携は他の追随を許さず。加えて、「視る」事を決め込んだヒシュの動きが変わっていた。

 回避。防御。いなす。逸らす。初動を封じる。空振りを誘う。そして攻勢。鳥竜の嘴も爪も翼も炎も、悠々とまでは行かずとも、確実に凌いでみせた。

 攻防と称するからには、攻勢を切らしたくは無い。バリスタは破壊されてしまった。だとすれば「次」だ。ダレンに曰く、彼らが用意してくれた設備はこれだけではないらしい。

 ここまでの山道ではバリスタの砲台を見かけていない。だとすればペルセイズとモービンが鳥竜に遭遇したのも同様にこの場、開けた山道とみるのが妥当であろう。

 つまりは、バリスタの設置が開始されたのが密林高山の中層だとすれば。

 ヒシュとネコが迎撃にバリスタを使用し、それらが鳥竜に破壊される……という応酬を繰り返す限り、狩人らの脚は必然的にペルセイズとモービンの影を追う事になる。

 砂利道を抜け、草原を抜け。

 より上方へ、より高嶺へ。

 空を覆う、暗雲の只中へ。

 密林の(きざはし)を上り、狩人らは頂へと近付いて行く。

 

 





 主人公ですから……!
 ので、もう一山か二山か。なんとこれまた(アウトラインプロセッサカウント)2万字を超えまして、未知戦の前編をお送りしました。
 個人的には(にわかですが)イグルエイビスは真or古鳥類に恐鳥類のイメージを足して折半しているのだと考えています。ある時代に滅されず、走る飛ぶの中間を貫いた生き物という感じでしょうか。いずれにせよイグルエイビスが微妙な時勢の生物であったことには間違いなく。飛べる竜となると、遡って、有名所は翼竜プテラノドン。あれも確か体重が低めと予測されていますね。なので体重を軽く設定しました。始祖鳥なんかもミステリーの塊だったり。
 竜盤、鳥盤といった区分けはまぁ置いておきましょう。嘴と脚の爪がどうにも区分けのミスリードを誘います。歯はあるのでしょうか……? 嘴的には胃石なのでしょうけれども。
 戦い方については悩みながら書いております。
 ナンバリングシリーズの各種使えそうな動きをミックスしているのですが、文章にするとこれがまた難しい。「機先の動作も無く」=ノーモーション突進。「後方宙返り」=サマーソルト。「空中旋回+脚爪」=旋風脚。
 ……あれ、肉弾戦が目立ちます。どちらかというと飛竜セルレギオス……?
 とはいえブレスがあるうえに嘴を目立たせているので、イメージは違いますけれどね。イグルエイビスは尻尾、使えなさそうですし。むしろ脚をばしばし突き出す辺り、ドスマッカオとか。ヒプノックとか。
 因みに関係ないですが必殺技に指定しましたた「嘴でもって捻り突く」=「ドリルくちばし」ですね。着想どころかまんまでした。
 ……切り札は未だ残していますが……。
 オデッセイ。
 ヒシュが強化を重ねていた1本。モンハン世界の『ハンターナイフ』系統の行き着く場所。何故か水属性を帯びたり帯びなかったりする。意訳をどうするか悩んだ末、同種片手剣である「闘士の剣」を拝借しました。「長き放浪の剣」とかだと、なんと言うか、中二心がくすぐられるというか……。
 厳密に言えば。
 ヒシュと匕首は(区分けの大きさが)違うものですね。暗器の一種の意味合いを強く持たせたかったので。本来は短刀とか書いて表すのが筋なのでしょうけれども、名前の由来的に匕首と書いておきたかった。ただの我侭です。
 ……だって日本版にすると、匕首(ドス)とかの方がしっくりきてしまう……(ぉぃ。
 黒い風。
 アマツさんの下位互換ではなく(ぉぃ
 ドス古龍さんの一角はさておき。イグルエイビスではなく固有の特殊さとして、空中でおかしな動きをさせたいと、演出で加えたものです。イメージ的にセルレギオスの話に戻ってしまいますが、空中であんな機動が出来るなんて、なんて変態……(涎。
 なので陸上は軽快に、空すらもフリーダムに飛び回る鳥竜が居てもいいんじゃないでしょうか、という感じです。同時に、鳥竜の軽さがあってこその芸当でもあります。風で身体を浮かすのも、モンハン世界なら可能。だからアマツさんはきっと軽いのだと信じたい。
 瘴気とか何とか言ってるのは、初めっからの××です。この辺りまで読んでくださった皆様ならば既に感づいている筈かと。ですからゴマさんは関係有りません、本当ですよ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。