モンスターハンター 閃耀の頂   作:生姜

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第二十一話 白陽の下

 ノレッジ・フォールが狩人として砂漠で過ごす日々は、実に実り多きものだった。

 レクサーラでの朝。ノレッジはまず、集会酒場で持ち運びできる朝食を買い込み、奥にある鍜治場……工房で骨銃の組み立てを行う。ノレッジは狩りから戻る度の重弩の分解を習慣としている。整備にしろ清掃にしろその方が経験を積む事が出来るというのも一因だが、これはヒシュから受けた大切な教えの1つでもある。実際ジャンボ村では、仮面の狩人とネコは借家しているハンターハウスの二階で毎日の様に武器と道具を広げていた。曰く、「武器の事を知ることが出来る」のだそうだ。

 ノレッジとて自らの重弩を漫然と扱っている訳ではない。狩人が活動する場は辺鄙な辺境の僻地である。その環境は例外なく劣悪であるため、弩の機構上、暴発や弾詰まりには最大限注意を払わなければならない。いざという時のために命を懸ける武器の内容についての知識は重要なものである。

 武器の整備に関しては工房の職人に任せる事も可能ではあるのだが、ノレッジは工具だけを借りて自力で行う事に拘った。弩の整備は、ヒシュにつられてジャンボ村での修行の間からずっと続けていた習慣であり、今では目隠しをしていても分解と組み立てを行える自信がある。初日にノレッジの整備を眺めていた工房頭の鉄爺が、下手な弟子よりずぅっと早くて的確だ、と太鼓判を押してくれる程には上達するという成果も上げることが出来ている。

 組み立てと道具の確認を終えると、ここで同時に朝食も終了する。黒パンとアプケロスの肉とオニオニオンのサンドイッチを咀嚼して硬茶【千年】によって流す様に飲み込むと、部屋の隅で鎧を着込み、礼を告げながら工房を出て受付へと脚を向ける。

 ……整備と準備に時間をかけるのは、狩人達が一斉に動き出す時間帯との競合を避けるためでもある。これら日課を終えて集会酒場へと戻る頃には殆どの狩人が出立した後となっており、行動がし易いのだ。

 ノレッジは先までと比べれば席の空いた酒場の中を悠々とした足取りでもって進み、受付へと声をかける。何時もの通り受付嬢の姉妹と談笑や食事の約束などを交わし、買い付けたアプケロスの竜車を引いて砂漠へと発つ。

 数日の後に猟場に着けばそこでは狩猟が待っている。地図に書き込み、帳面を鉛筆で埋め、弩を持って砂漠を駆け回る。管轄地にて依頼をこなし、今度はレクサーラへと帰投する。宿に戻れば師匠ら及びダレンへの手紙を書き進め、モンスターのスケッチや生態観察についての筆を進め……その中途で泥の様に眠る。

 これら、酒場と砂漠と宿を往復する日々。ノレッジの身体には硝煙と返り血の匂いとが染み付き、水浴びを重ねても鼻の奥に生臭い感覚が残っている。

 それでもと少女を突き動かすのは、知への探究心に他ならない。

 

 修行の期間は感覚的に、とても早く過ぎた。少女がレクサーラに逗留し始め、既に8週目を迎えていた。

 依頼をこなす間に、ノレッジは砂漠との間を幾度となく往復している。こなした依頼は狩猟依頼が16件、納品依頼は50件にも上る。これは駆け出しのハンターとしては上々に過ぎる立ち上がりであり、ギルドのノレッジへの評価も上向きの傾向にあった。

 しかしこれだけの件数が短い期間でこなせたのには、ギルドのノレッジに対する評価が上がり依頼が次々と舞い込んでいる……以外にも理由が存在する。

 それが「期限」。

 セクメーア砂漠は温暖期に入ると砂漠に熱が篭り、ハンターの危険度が跳ね上がるため、出入りが制限されるのである。故に出入り制限の前に「駆け込みの需要」が存在し、ノレッジだけでなく他のハンター達も、毎日忙しなく動き回っているのであった。

 ただし、暦だけでいうならば季節は既に温暖期へと差し掛かっている。砂漠への立ち入りが規制されていてもおかしくは無い……のだが、依然としてギルドは砂漠での狩りを制限しては居なかった。気温が危険域まで上昇するまでは制限がかからないのである。何しろレクサーラという村にとって、砂漠からの収入源は文字通りの生命線。砂漠への立ち入り期間は出来る限り短くしなくてはならない。そのため、この合間の期間においては、あくまで自主規制をするよう呼びかけがされる程度。今年はまだ勧告がされていない事もあり、砂漠へと向かう者は未だ多く存在していた。

 ……聞くに、どうやら今年のセクメーア砂漠は温暖期の到来が遅れているらしい。

 つい先日、セクメーア砂漠の西部では10年ぶりの雨が観測されたという。その他、観測隊の報告によれば珍しく雨雲も出来上がっていたらしい。レクサーラの上空にはからからに晴れた何時も通りの光景が広がっているのだが、それら気象のずれがひと月近くも温暖期の到来を遅らせている ―― というのが、ドンドルマにおかれた気象庁の見解であった。

 

 いずれにせよ。狩人の砂漠における狩りは、多少ばかり長い盛栄を迎えている。

 そんな中へ。少女は今日も砂漠へと足を踏み入れるため、酒場を訪れ ――

 

 

 

 

 

 ―― 暑い、熱い。

 吐き出す息は一層の熱を帯びている。

 走る、奔る。

 脚は重く、転ばそうと散らばる礫には悪意すら感じるか。

 考える限り最悪だ、と。レクサーラのハンターズギルド支部に身を置く青年、クライフ・シェパードは背後から迫る脅威から必死の想いで距離を空けながら、脳内で悪態をついていた。

 直後に冷たさが背筋をぞくりと駆け上る。拙い……と判断し砂を蹴って身を投げれば、背後で凄まじい風斬り音をたてながら赤い鋏が空を切った。同時にクライフの脚を縫い付けるような威圧感が降って沸く。ふと辺りが暗くなり、川の泥臭さが鼻の奥を刺激する。気付けば砂地を好む甲殻種、盾蟹 ―― ダイミョウザザミの巨体がクライフの真上に陰を落としていた。

 

「―― クライフっ、そのまま頭を低くしてろ、オオオオッ!!」

「ギチチッ」

 

 黒い皮鎧……皮と表すに、一角竜の外皮を素材としたそれはまるで岩塊であったが……を震わし、巨男の豪叫。巨男・バルバロが大上段から振り下ろした大剣『バルバロイブレイド』による一撃は、盾蟹を側面へと突き飛ばす事に成功した。

 衝撃と剣の巻き上げた火花とが舞って、突き飛ばされた盾蟹が砂の地面に倒れ込む。いくら盾蟹だとて、衝撃に痺れた左の脚にすぐに力は入るまい。この好機を逃すべきではない。身体を叱咤し、クライフは『鉄槍』を構え直して、盾蟹へと駆けた。

 接近すれば、思わずモンスターの大きさに目を見張る。視界の全てが盾蟹で埋まっていて。

 

「おおおっ!!」

 

 そこへ、クライフは立ち向かう。見慣れない青い血液……または体液が異臭を放つ中、クライフは腹を目掛けて一心に槍を突いてゆく。脚と脚とに挟まれないよう慎重に位置を取りながら、その甲殻を全力を込めた槍の鋩で少しずつ「掘り進める」。地道にも迂遠にも思えるこの作業が、しかしクライフは決して嫌いではなかった。

 

「クライフ! ザザミはもうすぐ立ち上がるから注意する、ね!」

 

 軋む関節の音に遮られる事ない高い女声。この隊の指揮官による、反対側からの注意喚起である。

 引き際は肝心だ、と心に深く留めてある。最後に腹を三度突いて、その反作用を利用して後ろに跳ね、クライフは盾蟹の脚の届く範囲の外へと後退する。

 ぎしぎし、みちみちという音をたてながら大サボテンを背負ったダイミョウザザミが立ち上がった。最後に両の挟を掲げて鳴らすと、口から泡を吹き出し始める。盾蟹がその怒りを顕にした証左である。

 注意を促した女性・ヤンフィの隣まで戻り、クライフは気を引き締めなおす。と、その前に大きく息を吐き出した。

 

「ツイてねえ……ツイてねえよ。特殊個体の調査だって言うから来てみれば、通常個体より遥かにタフじゃねえか、コイツ!」

「ニャハハ! ダイミョウザザミはレクサーラにとって貴重な獲物だから、ね。その特殊個体となれば、ダンナが駆り出されるのは当然だし。それでもってダンナがとなればクライフ坊ちゃんもワタシも受諾するのがYES、ね!」

 

 此方へと走る最中、ヤンフィが叩くいつもの軽口は右から左へ。視界を防ぎかねない汗を兜の内の綿地でこすり付けるように拭いながら、クライフは盾蟹の隙を窺う。その視界の内で、ヤンフィはクライフの居る側へと移動していた。笑みを絶やさず、しかしヤンフィの足運びは確かな経験と技量に裏打ちされた精緻なもの。鋏を振り回す盾蟹の足元を苦もなく抜けて、クライフの隣へと並んでみせた。

 

「……相変わらず見事な手前で」

「まーね。ワタシは曲がり形にも指揮官でクライフより場数を踏んでないの事。ランクも1つ上だし、ね」

 

 ヤンフィは言いながら、ぱっと手を開いて楯と片手剣とを構えなおした。

 ハンターとしての力量を客観的に評価する制度の1つに、ハンターランクというものが在る。ハンターランクにおける評価は単純に数字が大きいほど高いというもので、ギルドに登録した時点でのランクは1。ハンターとしてギルドに貢献した度合いによって功績が積まれ、一定の功績をあげるとハンターランクが上がるといった具合である。

 クライフ青年のドンドルマギルドにおけるハンターランクは「3」。資格を示すハンターカードは、そのランクを示す「ゲネポスの皮」を素材としたものになっている。

 ランク「3」ともなると、中堅所のハンターである。クライフの4つ年上でレクサーラのギルドの実質を取り仕切っているヤンフィのランクが「4」。クライフが二十歳に満たない身空である点を鑑みれば、3というハンターランクはかなり早期の昇格といえた。が、それでもヤンフィとの間にある「1」という実力の差は、こうして足運び一つをとっても確かな技量として表れているのである。

 しかし ――

 

「ほっほう! よォしよし、まだ来るか。芯の通った良いザザミである。やはり、そうでなくてはならん!」

 

 いつでも、今回も。隣で嬉しそうに大声をあげている父・バルバロの挙動にクライフは溜息を吐き出した。この能天気で馬鹿力で嫁に逃げられるような親父のハンターランクが「6」だというのだから手に負えない。

 とはいえその馬鹿親父の持つ実力こそが、今回クライフの所属する班が特殊個体の狩猟を依頼された所以でもあるのだが。

 

「ギチチチ……ジャッ、ジャッ」

 

 大サボテンを背負うダイミョウザザミがクライフの目前で鋏を掲げて擦り鳴らす。

 通常、ダイミョウザザミは成体になると自らの身体に合った「ヤド」を背負う。それは大型モンスターの頭蓋であったり、自らが切り出した岩塊であったりするのだが、この個体は言葉の通りに違っていた。長らく放置されていた第五管轄地から表れたこの盾蟹は、ともすれば自らよりも巨大な大サボテンを背負っていたのである。

 セクメーア砂漠でこの特殊な盾蟹の個体が発見され、調査を含めた討伐の依頼が頒布されたのが四日前。セクメーア砂漠の最も奥まった位置に存在する第五管轄地に出現したという事もあり、討伐の遠征費用もばかにならず、言外に「成功すること」を前提とした依頼に変わったのが三日前。そうなると、当然レクサーラに逗留するハンター達は依頼の受諾を渋り始める。それらハンター達の反応をみたギルドが学術院の費用を使った依頼に切り替え、バルバロを擁する団へと依頼を回した……というのが事のあらましである。

 

 失敗の無い狩猟と言うのは有り得ないが、それでも腕の在るハンターが居れば成功率は格段に上がる。バルバロが居るからこそレクサーラのギルドは回っている……というのは過大な評価かも知れないが、この大酒飲みで大雑把な父が「レクサーラの剣雄」と呼ばれる程の功績をあげているのは純然たる事実でもあった。

 バルバロはレクサーラ創設からの一員であり、街に出れば人々から声をかけられ、こうして重要な依頼にも名指しの召集を受ける。そんな父の偉大さには、勿論誇らしい思いもある。だがそれ故のプレッシャーと言うものも当然ながら存在し……七光りの無い、一人の男としての自身はどこにも居ないのではないかなどと、昔は本気で悩んだこともあった。

 今では苦い思い出である。幸い最後の悩みについては少年の域を脱すると共に多少吹っ切れはしたものの。しかしどこか心の中で整理できないまま、今もまだクライフはハンターとしての活動を続けているのである。

 また、思わず悪態が口を突いて出る。

 

「……ちっ、まだか……まだ倒れねえのか」

 

 潰されるのではないか。殺されるのではないか。命のやり取りをする狩猟の現場、その真っ只中でクライフは生きてきた。それでも。少なくとも、自分が死にたくないという普通の感性は持ち合わせている(またそれが普通であるとの感性も)。

 だが、例えばヤンフィはどうだろう。この女はクライフに近い感性ではあるが、それも僅かに「傾いている」。どこか死を覚悟している節があるのだ。しかし彼女は指揮官でもある。これは人の上に立つ者に必要な要素であると言ってしまえば、そうなのかも知れない。

 例えば父、バルバロはどうだろう……いや。余地も無いか。あれは、命のやり取りを……自らの命を迷いなく天秤に置く事の出来る人間だ。この無謀を狩人としての覚悟があるのだと言い切ってしまえば、そうなのかも知れない。

 父もヤンフィも、多少の大小はあれどクライフよりも長い年月をハンターとして過ごしている。少年を脱したばかりのクライフとは違い、人間として完成されていると言い換えても良いだろう。

 

 ―― 故に。類稀なる射手としての腕を持ち、齢16にしてモンスターの威圧感をまるで正面から受け止める()の少女こそが、クライフにとって最大の異質であった。

 

 後方より前へ滑って遠ざかる、聞き慣れた ―― 重弩に特徴的な甲高く鈍い射出音。

 完全に動きを取り戻した盾蟹が横歩きにクライフ達へと近付こうとした瞬間の出来事であった。20メートルは離れている盾蟹の背部……大サボテンとの接面部位を縫うように、銃弾が襲った。

 着弾した幾つかは時間差で爆発を起こした。背後からどつく様な衝撃によって盾蟹が前へとバランスを崩すと、今度は足元で次々と爆発。崩した体勢。だのに足元がおぼつかず、受身を取れず、その結果として盾蟹は前へと倒れ込んでいった。

 たとえ声は聞こえなくとも、想像は容易であった。きっとこの状況を作り出した件の射手は、紫の泡を吹き怒りに染まる盾蟹を見て、命の危険を感じるその前に……「攻勢の機、です!」などと呟いていたに違いないのだ。

 四者の(・・・)意識が盾蟹へと集中する。

 青年らの背後では、薄桃色の長髪が砂漠の風に揺れて。

 

「行くぞ、息子! ヤンフィ! ―― ノレッジ!」

「ちぃっ、判ってんだよ親父!」

「OKダンナ、ここでケリを着けるのね!」

「はい! 皆さん、援護します!!」

 

 その背を押すように吹き付けた風に乗って、狩人達が駆けて行く。

 セクメーア砂漠に盾蟹の節々が織り成す悲鳴と、ハンター達の歓声とが綯い交ぜに湧き上がるのは、この半刻後の出来事である。

 

 

□■□■□■□■□

 

 

「ほう? ノレッジに男の影があるとな!?」

 

 太く重い声がレクサーラの集会酒場の端までを震わした。クライフが切り出した話題を聞いての、バルバロの第一声であった。

 盾蟹の狩猟を成したクライフ達はいつもの如くレクサーラの集会酒場に帰還し、夕食をとっている最中である。

 砂漠の出入りが禁止となる温暖期の目前とあって、酒場はハンター達で賑わっている。砂漠特有の香草をふんだんに使用した食事の香気が胃袋を刺激し、酒気とが混ざり合った雰囲気に加え、人々の活気に満ちていた。

 そんな中、父の上げた大声によって集まった視線に居心地の悪さを感じはしたものの、そこかしこから喧騒があがっているためか、何事かと集めた視線も足を止めたアイルー達も、すぐに各々の業務や食事へと興味を戻していった。

 周囲の様子にクライフはほっと胸を撫で下ろしながら、元凶たる自らの父バルバロへと苦言を呈する。

 

「声が大きいんだよ、親父。……頼むからもう少し声量をおとしてくれよ」

「ダンナさんの声が大きいのはいつもの事。気にしないのがOKだと思うんだけど、ね」

 

 クライフが呆れ顔で酒瓶から酒を注ぎ、ヤンフィはそれを両手で受け取りながら、近場の者達へ気にしないでくれと手を振った。

 

「……でもあのノレッジに男の影だなんてならワタシも気になる話題、ね?」

「っ……だから男かどうかすら判らねえんだって」

 

 ヤンフィが隣のクライフへと流し目を送る。眼鏡を指で押すように直し、頭の上部で左右に結われたギザミシックルが揺れる。視線を逸らせば今度は首元から褐色の肌が胸元まで顔を覗かせており、クライフは遂に首ごと杯を煽った。

 猟場においても楽観的な明るさが売りのヤンフィであるが、酒場においては尚更である。こうして積極的に話題に絡んでくるのは何時もの事。彼女の妙な色香にたじろぎながらも、興味を集めることには成功したのだと何とか思い直し、クライフは事の仔細を語る事に決め込む。

 まずは酒を置いて。

 

「あまり期待するなよ。……この間、ノレッジが出していた手紙をちらっと見ちまったんだよ。ドンドルマ行きの宛名ダレン・ディーノっていうのが一つ。でも、ジャンボ村宛の手紙が三通(・・)あったんだ」

「へぇ。ダレン・ディーノは書士隊の上司だって聞いたけど?」

 

 近くの席に座っていた同年代の男ハンターが聞き耳を立てていたらしく相槌を挟んだ。クライフはそれに頷いて、続ける。

 

「まあその通り、一通は上司宛だろうな。けどその上司がドンドルマに居るとなると、ジャンボ村に三通も手紙を送る理由が無いだろ。一つは村長、一つはいつも言っているお師匠にで済む筈なんだ。それが誰宛の手紙なのか、って話しをしていたら親父が男だと決めつけやがってな」

「はっはぁ……興味深い話ではあるな」

 

 語り終わると、先ほど退けた筈の周囲から視線が圧し掛かるのに気が付いた。色恋沙汰は酒の摘み。様は馬鹿話の類でもある。いつの間にか聞き耳を立てていたレクサーラのハンター達がクライフを囲み、ぐるりと人垣が出来上がっていた。

 

「……なんでこんなに人が集まってんだ? 暇人どもめ」

 

 クライフが呆れた声でたしなめるも、

 

「まぁまぁ、クライフ坊ちゃんよ。あの(・・)ノレッジの嬢ちゃんに男が居るってんならさ、そらぁもうレクサーラの一大事だわな」

「そらそうよ。なんせあの(・・)、ノレッジ嬢ちゃんだぜ?」

「まぁねー。あの娘、あたし達が飲みに誘えば断りはしないけど、その後に朝まで研究資料を眺めてるのよ? お洒落の話題はふぅんで済ますのに、新しいモンスターの話題には食い気味に飛びつくし。そんな娘に男の噂と来たら、そりゃあねえ」

「絶好の摘み……じゃなかった。話の種……ん? これもちょっと違うか」

「まぁ兎に角、興味を持っている奴等は大勢居るぜってことだ。そうだろ皆ぁ?」

「おうよ!」

 

 男女入り混じった聴衆が、一斉に騒ぎながら口々に肯定の言葉を発してゆく。ある者は笑みを、ある者は興味を隠さない関心を、ある者は真剣な眼差しを……と様々な反応を浮べながらである。

 レクサーラにおいても変わらず、ノレッジの性格は良くも悪くも「研究者」といった形に納まるものである。しかし今、ノレッジという一人の人間はレクサーラのギルドおよびそこに属する人々には概ね以上に好意的に受け入れられていた。

 まず、ノレッジは良い意味で壁が無い。誰にでも気さくに話しかけ、誰とでも気軽に会話が出来る。その人辺りの良さたるや、一月前には稀代の堅物「鉄爺」が懐柔されたと言うレクサーラにおいて知らない人は居ない逸話も出来上がる程だ。少女が毎朝工房で老翁から弩の素材や構造やらについて教えを請うている姿は、既にレクサーラの風物詩ですらある。

 そして、ノレッジはハンター……とりわけ射手としての腕が良い。その評価の切欠は間違いなくひと月程前の「金冠大ガノトトス」の狩猟であろう。だがその後。ギルドからの評価が上がる中にあっても、ガノトトスの狩猟が決して偶然ではない事を裏付けるように、ノレッジは着々と依頼をこなし続けている。当然幾つかの些細な失敗は含まれるものの、ノレッジは素材の切り出しや解体が上手く、更には生物の生態に関する知識もあってか「依頼の好き嫌い」が存在しない。つまり参入した一団の側にしてみればノレッジを加えても「減算がない」のである。その様なノレッジの万能性はハンターズギルドという組織を運営するに当たって、非常に有用な人材であると言えた。

 その上、ノレッジは大きな組織には属しておらず、結果として組織の垣根なく重宝される人材となっている。昇り調子の評価によって呼び込んだ大山の依頼を達成することにより、ギルドからの評価も一層上がる……という相乗効果の形が出来上がっているのであった。

 加えて。

 

「それにまぁ、何しろノレッジの嬢ちゃんは素朴な魅力があるからな。興味のある奴等はごまんといるだろうぜ」

 

 囃し立てていた男があっけらかんと言い放つ。

 言う通りノレッジ・フォールという少女は若く……少なくともクライフや同ギルドに籍を置くハンター達から見て、容姿も並以上のものであった。16歳という年齢はハンターの市井においては若すぎるきらいがあり、ノレッジ自身にあまり外見に気を使っている様子が無いと言えば無いが、それならば気を使ったとすればより一層……などという想像を繰り広げる何とは言わずたくましい(・・・・・)男連中も少なからず居る、らしい。この場合「らしい」というのはクライフが、ノレッジがそういった事に興味を持てる性分ではない事を知っており、無駄だと断じていたからに過ぎないのだが。

 

「まあ可愛いとは言っても、おれみたいなおっさんにとっちゃあアイドルか娘みたいなもんだけどなァ」

「あっはっは! まあ気になる人の話を振ったところで、今の研究対象のモンスターの事をとくとくと語り出しそうだものね。あの娘ってば」

「それに書士隊員だって学術院だって肩書きがよ、この辺りの馬鹿な男共にとっちゃあインテリが過ぎるやな!」

 

 などと結局。ノレッジの人柄を知る連中には、美味い肴を有難うとばかりに笑い話として締められていた。

 

 さて。

 話題の中心、当のノレッジはというと。

 

「―― という概要です。つまりどうやら、今回の盾蟹は元々はサボテンの肥大化が見られた地域……第五管轄地周辺に縄張りをもつ個体であったようですね」

 

 同じ酒場の一角。しかしその中でも窓際から運河を望む一際豪華な席の面に立ち、今回狩猟を行った盾蟹の特殊個体についての報告を行っていた。

 報告の主だった内容は注意喚起とそれに準じる情報提供である。発見された生息地域や縄張り、行動の変態など。ノレッジは地図を使用した説明を終え、自らの三等書士隊員としての肩章を指して。

 

「件の大サボテンは流石に丸ごと持ってくるのは難しかったので、切り出した一部や種子の部分を採取して、検体として学術院と書士隊に配送しました。結果は後日レクサーラのギルドに直接届けられる手筈となっています。……ええと、これにてわたしからの説明は以上になります。ご清聴、ありがとうございました」

「ありがとう。だが少し、良いか」

 

 締め括りとしてノレッジがおずおずと頭を下げれば、正面で白髭を生やした初老の男が腕を組みながらその手を掲げた。

 男の向かいには同じく、羽振りの良い格好をした壮年の男や禿頭の老人等々、ノレッジと年齢の離れた面々が腰掛けている。彼等は何れもがギルドに駐留している上位書記官や調査隊の頭など、砂漠の村レクサーラにおける主要人物。要するに、報告によって至急に取り纏められた情報を共有しつつ、具体的な調査と討伐の方針を練っている最中なのである。

 手を掲げた初老の男にノレッジはびくりと身を竦めて反応しつつも、悪意がないと判断するやこくりと頷く。

 

「質問をしたい。ノレッジ三等書記官」

「その、どうぞっ」

 

 初老の男はおどおどとしたノレッジの反応自体は気にせず、主要人物達が腰掛けている卓にばさりと地図を広げた。レクサーラに隣接した「セクメーア砂漠」とその南部に位置する「デデ砂漠」とが含まれた、広範囲を描画した地図である。

 周囲の視線が集まったのを確認し、初老の男は地図の上で指を滑らせる。レクサーラから大地溝帯と書かれた地帯に沿って南下し、デデ砂漠の手前に存在する第五管轄地で指を止め、口を開く。

 

「盾蟹が背負っていた大サボテンは保水能力に非常に優れていると、君は話した。となるとそれに共生しているこの蟹は、報告にあった攻撃手段としての水鉄砲の多様さの他に、移動距離にも生かされるのではないか? この地図に示された ―― 大地溝帯前後の縄張りは、如何にも水庭がなさ過ぎると感じるのだが」

 

 男の鋭い質問にノレッジは首を傾けながら唸りしばし思案する。が、その内容については思案して答えの出る問題ではなく……また結論付けるのは時期尚早なのではないかという疑問も脳内を掠めたため、ノレッジは判りきっている事実のみを告げることにした。

 

「あの。仰る内容についてはレクサーラに配備されている書士隊員の内々でも比較はしてみたのですが……今回の個体に関して言えば、比べる限り通常個体との有意差は認められませんでした。水庭を離れたくない他に縄張りを広げられない理由が存在したのかもしれません、が、その辺りは何とも結論付け難い点ではあるかと思われます」

 

 締め括ると、別の老人がうんうんと頷いてノレッジへ着席を促す。それに頭を下げつつ、ノレッジは後ろへ(・・・)。出していた身体を地図の張られた薄板の後ろへと引っ込める。今度は目前で、お偉い方々の問答が始まった。

 

「ノレッジ三等書記官の言う通りだな。ただでさえ第五管轄地周辺の情報は不足している。ここ数ヶ月の間にモンスター達の縄張りが大きく変化していた……つまりそれらを把握する役割を担う我々の監督不足だと謂われても仕方が無い状況だ」

「とはいえ本来ならば護衛役を兼ねるハンター達が未だ猟繁期なのだから、ギルドとしての力が不足していた点は否めんよ。書士隊であるノレッジ女史の助力を得て初めて調査に乗り出す事が出来たのであるからして」

「……ああ。やはり情報が少なすぎる、か。盾蟹もそれ故の特殊個体だというのだから仕方があるまい。しかし大サボテンの異常繁殖が現実の事象として確認された以上、盾蟹の特殊個体が新たに発生する可能性は十分に在り得るぞ?」

「それらを憂慮したからこそノレッジ三等書記官だけでなく、六つ星のハンターであるバルバロ氏に調査を依頼したのであるからして。盾蟹の区画侵食は、その個体数の多さ故にセクメーア砂漠の……ひいてはレクサーラの一大事。場合によってはドンドルマのギルド本部へ救援要請する事も視野に入れねばならぬ事態だと、私は勝手に思うがね」

「救援要請に猟団の派遣か。確かに、それも一考が必要か。手続きを進めておくとしよう」

「そういう訳だ、ギルドガールズの諸君。私達上役で、仔細は近日中……いや。明後日までには纏めておこう。至急に体勢を整えられるよう、ドンドルマへの書簡を用意しておいてくれたまえ」

「はいはぁい。了解しましたよー」

 

 羽振りの良い格好の男に促され、会議内容を記録していたギルドガールズのリーが承諾の意を示す。役目を終え壇上から降りたノレッジへ向き直り、初老の男が笑いかけた。

 

「ご苦労だった、ノレッジ・フォール三等書記官。下がってくれたまえ」

「はい。失礼します」

 

 念入りに腰を折り、退席。事実上のトップ会談への参加を許されたノレッジは手元の分厚い書類を抱えると、一等席である展望席から階段を降りる。階段の途中でやっとの事、緊張しきった空気から解放されて息を吐いた。その横へ、同じく席を離れたリーがとことこと追いかけて並ぶ。

 

「大役をありがとうございました、ノレッジ」

「あー、いえ。良いのですよ、リー。これも書士隊員としての貴重な経験です。……ちょっと流石に、お偉い人の前で発表するのは緊張しましたけどね?」

「判ります判ります。わたしは脇役なので良いですけれど、ノレッジは正面に立ってましたからね~」

 

 心からの本音を吐露しつつ、ノレッジは隣を歩く姉受付嬢へと笑いかける。思わず苦笑となった笑顔にリーも笑顔でもって返すという慣れた様子のやり取りが、少女がレクサーラを訪れてから流れた濃密な時間を物語っている。

 

「でもレクサーラの爺様方は、基本的に良い人達ばかりですよ。やっぱり砂漠だと助け合わないといけないからなのか、どうしても親身になってくださっていて。村長とギルドマスターそれに一等学術員の方まで全員が漏れなく書類記載をやってくれるギルドなんて、このレクサーラくらいでしょうねー」

「へえ、そうなんですか?」

「はい。他の所は大体がギルドガールズもしくはお付の秘書に丸投げだと思います。その点、ここレクサーラではラー姉様くらいなんですよ、書類の期限をぶっちする人なんて」

 

 本来は職務怠慢だと頬を膨らませるリー。ノレッジとしては書類は期限を守ってこそだと思っていたのだが、こういった点は上司たるダレンの影響も大きかったのであろう。どうやら世間一般的にはダレンやノレッジの方が少数派であるらしい。

 そして、リーの発言にあった「ラーお姉さま」という人物に心当たりが無く……暫く自分の記憶力の問題かと頭を悩ませてはみたもののやはり手応えがない。と、諦めてリーへと尋ねる事にする。

 

「ねえリー。……その姉って言う人には会った事が無いんだけど、どんな人なのですか?」

「あ、そういえばノレッジはラー姉さまにはあった事が無いですね。ラー姉さまは竜人族で、わたし達姉妹の先輩にあたるお人です」

「姉? でもリーは竜人族じゃあありませんよね」

「はい。血の繋がりはないのですが、敬意を込めて姉様と呼ばせていただいているんです。ラー姉様は凄いんですよ。遠征が多くて今はレクサーラを離れていますが、あの観測所新設に携わった一員で、しかもここではギルドチーフも勤めている才媛なんです。……書類仕事が苦手なのが玉に瑕ですけれどぉ」

 

 リーは喜ばし気な表情を浮べながら話を続ける。

 書類が苦手なのに地位があるということは、それらを補って余りある才能を持っている人物なのであろう。会話にあった観測所とは、最近ドンドルマに開かれた大型モンスター観測の為の施設。各地を飛び回る気球はこの観測所に籍を置くものであり、そこに務める職員にはモンスターの生態から気候、ハンターの動向や果ては植生に到るまで様々な知識が必要とされる。

 そんな場所で中心を担う……未だ見ぬラー女史とはどの様な人物なのだろう。と考えるノレッジであったが、ここで抱えていた書類の重さに手が痺れてきていた。そのまま、書類の内容および調査の行く末について思索を伸ばす。

 

「……今回わたし達が集めてきた大サボテンの発生と盾蟹の特殊個体についての情報が、レクサーラの安全と今年度の砂漠の気象事象の解明に一役買ってくれれば嬉しいんですけれど」

「きっと、爺様達ならば生かしてくれますよ。……とはいえ気象のおかげで温暖期に入っても砂漠を歩き回れるというのは、わたし達レクサーラにしてみれば非常に嬉しいんですけれどね? 単純に増益なのでー」

「ああ、それもそうですね」

 

 気候について掛け合いをしながら、リーは手元の紙へと視線を移した。その内にもモンスターの分布予測の他、観測気球が集めた気象情報とその推移の予測を示したものが混じっている。

 

「ん~……実際、観測班からのデーターでも気温は上がりきっていないんですよー。まだ1週はイケるかも知れないです」

「おぉっと、それは嬉しい情報でした。一週もあれば、討伐依頼を二つは受けられますからっ!」

 

 聞いて、ノレッジはぐっと拳を握る。

 ノレッジは今の所、砂漠への立ち入りが制限されれば大地溝帯の北側に存在する峡谷へと猟場を移す予定としている。しかし峡谷は窮屈な環境であるからか大型モンスターの報告例が殆ど無く、そのため討伐依頼の件数は一挙に減少する。そのため狩人の修行としてジャンボ村を離れているノレッジにしてみれば、可能な限り砂漠で実践を積んでおきたいという見積もりがあったのである。

 

「さて……んん?」

「おおっ、来たなノレッジの嬢ちゃん」

 

 階段を降りきり酒場へと戻れば、その一角。群がったハンター達から一斉に視線が向けられた。

 ノレッジにとっては身に覚えの無い……理由と原因の察しがつかない視線なのだが、彼女自身、今しがたお偉い方々の前でどっと冷や汗をかいて来たばかりである。視線についての詮索はきりが無いと早々に打ち切ると、その一団へと脚を向けた。

 集団の内に混じっていたバルバロが真っ先に大声を上げる。

 

「ノレッジ。レクサーラの重役会議、ご苦労である!」

「はい、只今戻りましたバルバロさん。まだ皆さん方は奥で話し合いを続けるご様子でしたが、少なくとも三等書記官であるわたしの仕事は終了しましたから」

 

 バルバロに頭を下げたノレッジは、次いで所属している調査団の組員……クライフとヤンフィから声をかけられた。

 

「お疲れ様、ね。ノレッジ」

「……ぉぅ。お疲れ」

「ありがとうございますヤンフィさん、クライフさん。……でも、バルバロさんは後で呼ばれると思いますよ?」

「むぅ、やはり呼ばれるか」

 

 バルバロは腕を組んで困ったとばかりに唸る。地位を持っている彼は、幾ら一介のハンターだとはいえこうしたモンスターに関わる事案に関しては意見を問われるのが常である。実際、当のバルバロとしてはそういった場は得意としていないのだが。

 ノレッジが席にちょこんと座り、抱えていた書類を机の下にある棚へと置く。近場を走っていた給仕アイルーに飲み物の注文を飛ばすと。

 

「ところでノレッジ。アンタがこの間書いていた手紙って、誰宛のものだったの?」

 

 誰もが聞きたかったこの話題を真っ先にと切り出したのは、レクサーラにおいてノレッジとの親交も深い女ハンターであった。

 ノレッジは周囲から集められた興味と期待に満ちた視線を傾ぎながら受けつつ、質問の飛び様についてはとりあえずと置いておき。その内容へと答えを返すべく、何処ぞを見上げながら、先日追って投函した手紙の数を指折り。

 

「えーと、ディーノ隊長と村長、お師匠……あっ」

 

 そう。興味の向かう先は挙げられたそれら以外 ―― 残る1通の行く末だ。

 ノレッジは知る由も無いが、いつの間にか酒場に集まったレクサーラのハンター達どころか給仕の女性までが足を止めた。

 一斉に、ごくりと唾を飲み込む。

 期待を一身に……少女は表情を綻ばせて。

 

「あと、アイルーのネコ師匠にも送りましたね!」

 

 などという、色香の欠片も無い落ちで締め括られるのであった。

 人々がやっぱりな、という感想を抱くと同時。

 レクサーラにおけるノレッジ・フォールという少女についての認識を改める事態には、どうにもなりそうになかった。




 御拝読を下さった貴方の狩猟に、酒+チーズで最大なる御加護を。

 さて。
 ノレッジの場面へと立ち戻りまして。レクサーラでの新キャラを加えて、ここから1章の主題へと迫ります。
 ……漢数字とローマ数字表記、横書きだとどっちが読み易いのでしょう。その辺りはちょっと試行錯誤中です。
 さてさて。
 サボテンを背負った甲殻種はハンター大全より。ここにおいては元より予定の出演だったですが、4Gでの祝・復活を含めての御出演になったかも知れないですね。
 ……私のこういった気性は、実は、鳥竜種のアンノウンを出しているのにも関わらず、タグに「オリジナルモンスター」を付けていない理由であったりするのですが。
 さてさてさて。
 新キャラについては色々とアクセントを悩んでいたのですが、こういった形で纏まりました。構成的には特に、苦労人っぽいのに悪態つきのクライフの視点が重要になりますかと思われます。
 ……いえ、結構露骨なのですけれどね。ついでにハンターランクに関しても結構な悩み所だったのですが、限界突破はしない事にしました。きりが無いと思われますので。
 因みに。
 今話におきまして、節操無くもフラグをばら撒かせて頂いておりますので。それはもう、やたらめったら。
 では、では。

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