特務警察署の日々   作:宇垣秀康

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リハビリから回復したので投稿しました。

見てくれる人いるかなぁ…
コメント等また宜しくです


今回は警察は出てこないです。


case 2-4 池袋に集まるは有象無象

ーマコトがダラーズに加入するより数日前ー

 

 

ーラーメン屋七生ー

 

 

「…はぁぁあ!?」

 

店主である元タカシのボディーガード、ツインタワー1号2号が、大声をあげ、立ち上がったマコトに睨む。

余程大声を上げていたのだろう。終電前の時間でもチラホラといた他の客が此方を凝視している。ばつが悪くなり、少し頭を下げるマコトを見て他の客はまた自分の拉麺に意識を戻していった。

いそいそと席に座り、隣に座って何事もなくラーメンをすすっているタカシを睨むマコト。

「…ったく。急にラーメンがうまく感じなくなったぜ。」

と、ボヤきながらも完食する。

食べ終わると一人前の拉麺を持ち帰りでもらい、店から出た二人はタカシの愛車メルセデスのRVに乗り、とある情報屋のいるファミレスに向かった。

 

24時間営業のファミレスにはいつも同じ席に座り、まるでファミレスの主であるようなハッカーがいる。ガス漏れのような声をし、宇宙からのメッセージをいつでも受け取れるように金属片をインプランティングして(埋め込んで)いる情報屋だ。

見た目はブッ飛んでいるが情報屋としては一流と言ってもいい。

 

マコトとタカシはまるで待ち合わせしていたかのようにそいつの前に座る。そしてマコトはハッカーに拉麺を渡すのだった。

 

「やぁ、マコト。やっぱり君が来たか。タカシには少し驚いたがね…」

と、独特のガス漏れのような声が聞こえる。その声は好きな拉麺が届いたこともあってかすこし浮かれているようにも聞こえる。

「久しぶりだなゼロワン。今日はあー…仲介というか、まぁ本題はタカシから聞いてくれ。」

と、半ば投げ槍な言い分を言うマコトだが、すでにゼロワンは渡された拉麺に手をつけており、聞いているのかどうか怪しい。

「…すまないな、マコトから君が一番当てになると言われてね…

情報屋、俺達はこの街に白い粉ばら蒔きやがった糞野郎を探してる。情報はなにかあるか?」

タカシは静かに、しかしその引き締まった身体に熱を帯びるような声で問いかける。

拉麺に夢中なゼロワンは食べ終わるとまた、話し始める。

「ヘブンスレイヴだな…来良大学の学生サークルらしい、末端と上層部は繋がっていないヤクの渡し役は飛ばしケータイで繋がってるからな。まぁ、トップの名前は…おっと…」

一息で情報をだすゼロワンだったが、肝心な所で止める。

それを聞いていたタカシは懐から厚みのある封筒をゼロワンに渡す。それを受け取りまた話し始める。

「トップの名前は奈倉。こいつが中心となって大学生の時に発足したらしいぞ。んで、本人は飽きたからかサークルからは抜けてるらしいんだがな。

今はこの街で情報屋をやってるな。

ただまぁ、こいつは多分名前使われるだけだろう。

こいつの情報漁っても特定の人と会うのもなかったし、電話も怪しい所はなかった。」

爪楊枝で歯を掃除しながらパソコンを弄るゼロワンはあちこちの監視カメラをハックし、電話のログを漁るなど何でもないのだ。

「…つまり、発足には関係したが今の活動は知らない。と?」

「そういうことだ。」

「つまりはサークルが勝手に一人歩きしてるってことか」

タカシとマコトは情報を元に整理する。

「んじゃあやっぱりサークルに残ってた奴等が好き勝手やってるってことか?」

マコトの閃きにゼロワンは頷く。タカシも静かにそれを聞いている。

 

「まぁ、中でも臭いのは四十万博人(しじまひろと)だ。家は金持ちのボンボンの暇潰しって所だな。」

ゼロワンがこちらに見せたパソコンの画面にはメガネをかけた小賢しそうな学生が映っていた。

マコトは隣のタカシから漏れる氷のような怒りを感じながら、画面に写る学生に哀れみの感情を覚えるのであった。

 

面白そうにしてたゼロワンだったが、マコトとタカシに思い出したように話し始める。

「そういやこのサークル、ヤーさんも目をつけてるから殺るなら急ぐなり協力するなりしとけよ?」

というと、とある公衆トイレでヤクザが学生を殴っている動画を見せてくる。どうやら変態野郎の盗撮カメラをハックしていた動画らしい。

「げっ!よりにもよって目出井組かぁ…」

マコトは片目が潰れている赤髪の男を見て呟く。過去に色々解決してきた中で、関わったことのない組だからだ。ましてや友人が対立している羽沢組にいるからなおのことたちが悪く見えてしまうだろう。

「まぁ、今回の件は羽沢組でも問題視されてるらしいし、この街でオイタしたガキ追い払うのに協力するんじゃねぇのか?」

と、ゼロワンはマコトに気を使ったのか友人に確認するように促すのであった。

一連のデータを貰い一息ついた一同であった。しかし

「情報屋、もうひとつ欲しい情報がある。」

と、タカシが切り出した。

「?おいおい、この話で来たんじゃねぇの?」

と、突然の行動に少し驚いているマコトと静かにコーヒーを飲むゼロワン。

「あぁ…この街の…G-boysの長としての依頼はな…

こっからは俺個人、安藤崇としての依頼だ。」

と、先程感じた怒りより強く感情を出したタカシにゼロワンは

「なんだ?言ってくれ。マコトとの付き合いだ。少しくらいサービスしてやるよ」

と、話を促す。

 

 

「…半年ほど前にあった平和島静雄の襲撃事件について知りたい。」

 

 

場が静まり返る。

半年前、よく聞くようになった平和島静雄の名前を更に広めた事件であり、タカシ達が警察達に更に警戒されるようになった事件である。

とある夜、平和島静雄が公園で襲われた。手に刃物を握った集団に。それも一貫性がないのだ。ギャルやサラリーマン、浮浪者まで手に刃物を持ち、平和島静雄を襲ったのである。

平和島静雄当人は持ち前の喧嘩センスで切り抜けたらしいが、彼の言い分では突然正気に戻ったように相手にならなくなったらしい。そして正気に戻った?とされる彼らは手に持った刃物を手放す。

それはまさに過去にタカシ達の抗争の最後を彷彿とさせたらしい。

それによりタカシもマコトも任意同行され、古馴染みの吉岡に何度も何度も確認されたのだった。

しかし、そこまではタカシにとっても何でもなかったのだ。ガキが俺達の真似をしているのかなぁ位だ。

しかし、静雄を襲ったとされるメンバーの中に思いがけない人物がいたのだ。

過去に兄のため、タカシを刺した女の子が…

彼女がいたことを知ったのは警察の取り調べが終わった後だった。

過去の抗争の後、病室で同室となった彼女の兄からの電話により…

そして彼女は自分のしていたことを思いだし、手に持っている物を見て発狂…

タカシが病院に駆けつけた時には精神を病んでいる可能性があり、自殺の可能性もあるため、手足はベッドに縛られていた。

半年たち、ある程度落ち着いた彼女からなんとか聞き出せたのは

事件の数日前に当時話題になっていた切り裂き魔に斬りつけられたが、血が出る程度だったこと、そして事件の日は誰かに命令されていた気がするということだった。

 

 

病室では静かに話を聞いていたタカシはキレていた。

それこそ何をしようと手を汚そうと…静観していた街の色塗りに参戦することになろうとも…

 

 

ゼロワンからもたらされる情報は

・平和島静雄を襲った奴等は前後の記憶があやふやである。

・周りで見ていたものも襲われ、襲われた人たちも刃物を持ち静雄を襲った。

・襲っていた人たちは目が赤く光っていた。

 

と言うものだった。

マコトもタカシも静かに聞いていたが、どうやら黒幕はわかっていないと言うことだった。

 

コーヒーのマドラーを咥え考えていたマコトは

「わかんねぇなぁ…なぁ、金払ったら黒幕教えてもらえるのか?」

と、ゼロワンに聞くが、ゼロワンは横に首を振る。

「黒幕は分からねぇなすまん。…ただあるサイトのチャットルームに怪しいのはあった。これを見てくれ」

 

ゼロワンはパソコンを弄るととあるサイトのチャットルームのログを見せる。

そこには「罪歌」というアカウントが平和島静雄を愛してる、殺すというログが並んでいた。

 

「これはこのサイトのメンバーにならないと参加できないチャットルームでな?まぁ、ログに関してはオフレコってことで」

ハックしたのであろうが、濁すゼロワン。

「それで、この罪歌(さいか)がバグってる時間が平和島静雄が襲われた時間なんだよ」

と、言われるがマコトはなんとも言えない顔で、タカシは穴が開くように見つめている。

「なぁ、なんかそこからこぅ…相手を特定とか出来ねぇの?」

と、投げやりなマコトはゼロワンに言うが

「ふん、俺は忙しいんだ。それこそいちいちチャットの相手まで探ってる暇はねぇぞ」

と、鼻で笑われてしまう。

 

静かだったタカシが懐から先程渡したものより更に厚い封筒をゼロワンに渡す。

「情報屋、悪いがマコトが言ったように相手を特定してくれ。当座の資金だ。報酬は別で渡す」

と言うとゼロワンも仕事を始める。

それを見て金はあるところにはあるんだなぁと感心していたマコトにタカシが依頼をだす。

「マコト、悪いがお前も協力して欲しい。ヘブンスレイヴは俺たちで何とかする。だが、この《切り裂き魔》の方を頼む」

と、チームのリーダーでもあるタカシは頭を下げる。

それを見てダルそうに

「取り敢えずこの[ダラーズ]?ってのに探り入れてみるわ…」

と、立ち上がりファミレスを出る。

タカシが送るかと聞いてきたが、やはり知っている女の子が被害者であることからマコトも怒っている。

出来ることから始める。どんなこともこつこつと…

何だか学校の目標みたいになったが、そんなことを思うマコトだった。

ポケットから携帯を出し、電話を掛ける。ダラーズについて知ってるであろう後輩に

 

 

 

prrrr…プッ

 

「あ?久しぶり渡草?いやいや、そんな改まんなくていいって…

聞きたいことがあってな?

 

ダラーズって知ってる? 」

 

 

 

 

 

この日、池袋は後輩のために道を譲り、眠っていたトラブルシューターと本当の「青」を起こしたのだった。

 




今回はリハビリも兼ねているのとスマホ壊れてデータ飛んだので更に書き直しました。見辛くてすみません。

あと、この駄作では
池袋ウエストゲートパークは小説順守です。
なのでタカシはキングですが、窪塚洋介ではありません。
漫画版のスルメとか好きなのもいいんですけどね…


池袋ウエストゲートパークアニメですって…テンション上がりますね…
やっぱり骨音とかやって欲しいです。
非正規レジスタンスとかも好きでしたしどこまでやってくれるんですかね…ワクワクですよ

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