更新遅くなりました。すみません。
翌日
ー特務署 交通課ー
前日の報告書を見ながら眠そうな目をしている男と、机ごしにたっている交通課の面々…
報告書を読み終わった隊長がめんどくさそうに問いだす。
後藤 「……なるほど?何やらよく分からん 黒バイク なる都市伝説を見て熊耳は倒れた…と…」
篠原 「はっ!その通りであります隊長!」
熊耳 「面目ありません…」
後藤 「…そんで?中嶋くんが追いかけて?マンションの壁を走って逃げたのね?」
中嶋 「はぁ…現地の白バイの応援要望がありましたので…」
後藤 「…そんで残りの泉達は皆元の仕事をしっかりこなしたのね?」
辻本・泉 「「はいっ!」」
後藤が報告書に目を戻し黙り混んだため、空気が張りつめ、隊員達は緊張していた。そして突然、
後藤「うん、おっけ~。お疲れさん。」
と、にこやかに後藤が書類にサインしたのを見て、隊員達は緊張を解いた。
辻本「ふぃ~怒られるのかと思った~。」
後藤 「心外だなぁ~皆しっかり仕事してたんでしょ?問題ないって。大丈夫、大丈夫。」
篠原「でも隊長、いつも署に戻ってからなのに急ぎで書類作成をさせたんですか?」
本来ならば勤務が終了し署に戻ってからやればいいはずであるのに、勤務から戻る途中後藤から連絡が入り、数人は車の中で書類を制作し提出することを求められた。
後藤「あぁ…いや、署の方に本庁からクレームが来てね?やれバイクを逃がしただの、責任をーとか言うからさ。現場の皆の意見が聞きたかっただーけ。
中嶋くんのお友達の葛原くん達からの報告書も向こうに行ってる筈だから。こっちに責任とか押し付けようとするならちゃーんと明らかにしないとね?
まっ、これで体裁も整えとけばこれ以上噛みついても来ないでしょ。はいお疲れさん。通常業務に戻ってくれ。」
と、怪しい…というか、妖しい笑いをした後藤を見た元レイバー隊は安心し、墨東署からの面子は少し引いていた。
さらに書類仕事のある熊耳を除き、執務室から出て車両整備に向かう面々は少し落ち着いたのか、池袋の話で盛り上がっている。
泉「でもさー池袋ってあんなに怖い場所だったんだね。あのバイク、壁なんかピゅーって走っちゃってさ、驚いたなぁ!」
中嶋「泉…あれは池袋だからとかじゃないぞ…あのバイクがおかしいんだ。」
小早川「でも、あのバイク壁走りするなんめどんなエンジン積んでるのかしら…気になるわ…」
辻本「それよ!あの技術を取り込めば私たちを止める手段なんてなくなるわ!」
と、小早川のすこしマッドな話に乗った辻本は二人で怪しい会話を子声で始めた。
それを見て呆れる篠原は、深いため息をつく。
篠原「はぁー…いいかお二人さん。あんな技術、篠原重工でも聞いたことないんだ。だとすると発表前の技術か、国家プロジェクトレベルの機密だぞ?おいそれと嫌われものの俺たちのとこに許可が降りるとは思えないね。」
泉「そっかぁ…前みたいに軍が関わってると面倒だしね。あーぁ、アルフォンスも壁走りとか出来るかもとか思ったのに!」
篠原「馬鹿者!レイバーほどの質量を持った物体が地面と平行に動けるかよ。ったく乃明はこれだから…」
泉「なんだよ!いいじゃん!夢見るくらい!」
篠原「出来ることと出来ないことくらい区別をつけぃ!」
辻本、小早川たちに言っていたはずなのに、結局泉と喧嘩を始める篠原であった。
と、ここまでの話にのって来ない男を思いだし、篠原は中嶋に問う。
篠原「そういえば、中嶋さんはどう思うんだ?」
小早川「そうね、追ってたのは中嶋くんだもの。」
と、軽い気持ちで聞いた所、下を向いていた中嶋は足を止め、小声で何か言っている。
中嶋「……だよ…」
辻本「へ?何て言った?中嶋くん声小さいよ!」
中嶋「…聞こえたんだよ」
小早川「…なにを?」
中嶋「…馬の嘶きが…あのバイクから!」
篠原「…ぷっ…ふははは!なんだよそれ!」
中嶋「いや!ホントなんだよ!奴を追ってるとき、時々馬の嘶きが聞こえて、壁に飛び付いたときなんて、大きく鳴いたんだ!」
篠原「はははっ!ならあのバイクは馬だってか?!それはさすがに…w」
中嶋「いや、ホントなんだ!信じてくれ!小早川!!」
辻本「あー…ごめん中嶋くん。美幸アウト。」
必死に説明する中嶋だったが、現場では耐えれた小早川も、話として聞いた途端、恐怖が打ち勝ち辻本に向かって倒れていた。
それを後目に篠原は余裕があり、笑っていた。
篠原「はんっ!中嶋さんには悪いけど、こんなに機械が発達した現代社会で、お化けだ都市伝説だなぞ信じられないっての!大方、どっかの企業のプロモを兼ねたテスターだろうな。」
と、自身達にも科学で説明できない現象が過去に起きたことも忘れ、中嶋をからかうように笑っていた。
一方その頃、執務室では
後藤「しっかし何なんだろうね…あいつらの言ってるバイクって…しのぶさん。なんか心当たりある?」
別件で来ていた元同僚の南雲しのぶ隊長に話しかける。
南雲「さぁ?でも私も壁を走るような技術は話すら聞いたことはないわね。でも、後ろめたいって噂の上層部は慌ててるらしいわね。…ステイツではどうなの?何か動きとかないの?」
更に報告書当日、別の場所を受け持っていた香貫花・クランシーに話をふる。
香貫花「sorry…私も分からないですね。ステイツでも聞いたこともないわ。でも、武緒!?ただの最新式バイクで怖がってちゃ指揮も取れないわよ?」
と、ライバルである香貫花に言われ、少しへこんでいる熊耳であった。
熊耳「そうね。あなたの言うとおりよ。ごめんなさい…
でも、これ見てもらえる?」
と、今まで調べていたというか、過去ログを漁っていたサイトを見るよう勧める。
それを観る為、集まる隊長たち。
後藤「おいおい…一応仕事だからね?変なサイトとか見ないでよ?」
熊耳「大丈夫です。ログを見ているだけですし、怪しいウィルス等は感知されませんでした。よっぽど隊長のパソコンのお気に入りの方が不健全ですが!?」
後藤「えっ!あっ!ちょっ!ち、違うよ?何だろうなーって見ただけだし…!
あれ?しのぶさーん?香貫花ー?隊長無視しないでー?」
腐った生ゴミでも見るような目を向ける女性陣と小さくなっている後藤
香貫花「ま、それはおいといて、武緒?これがなに?」
後藤「置いとかれちゃうのかー…」
熊耳「ここ見て、あのバイク数年前から結構話題になってて…これね。」
ーチャット画面ー
甘楽:そういえば見ましたよ例の黒いバイク…
田中太郎:黒いバイク?
セットン:あー…
…
チャットは盛り上がり、やれ人間じゃないだのやれ死神だの…荒唐無稽な話が続く。
怖がりながらも進めていく熊耳
そして、
熊耳「…これです。」
と、会話の中から「甘楽」と言うハンドルネームが言っているログを見せる。
後藤「こりゃ…なんとも…」
南雲「荒唐無稽ね…」
香貫花「ナンセンス…」
怖がりながらも見せたログにはこう書いてあったのだ。
甘楽:首がね…ないの
甘楽:首がきれいに無くなってるのに
甘楽:動いてるんだって…
ただのチャットのログではあるが、すっかり信じかけている女性陣を後目に、黒バイクについて情報をつかんでいるような「甘楽」に引っ掛かりを覚える後藤であった。
今後起こりうる事件が頭を使ういやーな事件になりそうな予感がした後藤はこそこそと喫煙所へと逃げるのであった…
後藤「はぁあ…なーんでこう色々重なるかねぇ…」
後藤は喫煙所で一人仲のいい刑事から送られてきた写真を見ていた。
後藤「まぁ…狙ってるんだろうけどね…面倒だなぁ…しのぶさんもいないし…頑張るしかないよねぇ…」
と、煙草を吹かしボーッとしている。
その手元の写真には、黒いレイバーの写真が写っていた。
遅くなりました。
もう一話は別面子のほうです。