特務警察署の日々   作:宇垣秀康

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すみません。これだけキャラ入れるとなかなか進みません。
しかし、今回はある程度、導入くらいまでは書きます。
イライラしてる方々、すみません。


case.1-3 亀と龍と

各班が少しわいわいしているなか、尾行班から連絡が入る。

「こちら中川。伊達さんがもうそろそろそちらに着きそうです。…しかし、青島さん、僕が尾行でいいんですか?」

と、無線機の向こうから不安そうな声が聞こえる。

「大丈夫だって中川ちゃん。なんかあったらこっちのせいにすればいいから。」

と軽い返事を返す青島。

今、伊達を尾行している男は両津の後輩で、受付に両津が派出所に隠していた私物を届けに来ただけで、それを青島が変装させ、つけさせたのだった。

 

そして、暫くして公園に伊達と件の少女が入ってきた。まだ、二人の待ち人は来ていないようだ。二人はマイクの仕掛けられたベンチに座り待ち人を待つ。

周りの署員は前のめりで無線に集中している。

(秋葉の様子が少し怪しくなり、矢部が必死に押さえていることも確認できる。)

 

「…でも、伊達のおじちゃんも仕事場が別のところに変わったならそういってよ!おじさんは近くに来れないから探すのわたしだけなんだから!」

「すまんすまん遥。こっちも忙しくてな?ニューセレナにも暫く行けてないしなぁ。悪かった。」

「もぅ!私もおじさんも心配したんだから!おじさん花屋さんにまで確認しようとしたんだから!…だけど公園にも入れなかったけど…」

「そりゃあ悪かった!(真島の件か…)…それで、どうだった久しぶりの神室町は?」

「楽しかったよ!あのね!おじさんにぬいぐるみとってもらったし、ラーメンも食べたの!あと変なお兄さんたちをおじさんがこう…とりゃー!あたー!って感じで倒してたの!」

「…あいつの絡まれ癖は未だに健在か……後で所轄の連中に連絡しといてやるか…」

と、おじさんの話で盛り上がっている二人の会話を盗聴してる者達は肩透かしに会い、盛り下がっている。

 

「あちゃーこりゃあ警部殿の言うとおりっぽいわねー。」

「なーんだ。こりゃあ解散かねぇ。皆解散!以上!」

と婦警達が飽きて、怪しまれず署に戻り始める一向の中、伊達と同じ課の連中と残っている一部の警官は話の中の「おじさん」に興味を持ち始める。

「右京さん、どう思います?」

と、自分の感じるなにかを杉下に聞く神戸。そして他の者は、杉下のだす答えを聞くため黙り混む。

そして少し考えていた杉下は自身の考えを紡ぎだす。

 

「伊達さんは元々警視庁第四課の刑事です。しかしその前は第一課の刑事でした。花形の一課で彼は活躍していたが、一件の事件により…四課に左遷されたと聞きました。その事件とは…十年前起きた堂島組組長殺害事件…」

 

そこまで一気に話すと、それを無線で聞いていた矢部が、慌てて問いただす。

「十年前言うと、あの東城会傘下の組長が自分の手下に殺されたっちゅうやつですか?しかしあれは、その場にいた組員が捕まったって聞いちょりましたが…」

 

「ええ、しかし伊達さんは違った。警察の判断を否定し捜査する彼は、周りからも疎まれていたことは想像にかたくありません。だからこそ四課にとばされた…しかし、当時の伊達さんには好都合だった何よりこれで堂々と東城会について調べられる。そして、去年あの『100億円事件』が起きた…」

 

「あぁ~!あのやーさんのお金が盗まれたってやつっすね?あのときあちこち本庁のやつが動き回ってて和久さんも菫さんもイラついてたな~」

と、話を聞いていた青島が当時を思い出す。

まだ杉下の推理は終わらない。

 

「当時彼は最初の被害者である世良勝の殺害事件を担当していました。そして…そこから何らかの方法で100億円の行方、そして、犯人を探し当てた…その犯人が100億をマネーロンダリングしていたことも…」

 

「…あの神宮京平の闇金ですね…暫く新聞とかでとりだたされましたよね。うちのグループにも献金の要求が来てたからと取材の要求があったから覚えてますよ。」

不快感を隠さず一平はポツリと呟く。

 

「その件が露見したとき、神宮京平は自身の権力を使い東城会と協力し、目撃者を消そうとした。そのなかには幼い少女もいたが関係無い、なに、関係した者はすべて消せばいい…利用した後で…」

 

「そんな…そんなの酷すぎる…」

「ムカつくわね!そんな男の腐ったみたいな奴!」

「落ち着いて夏実!もう彼は死んでいるわ…しかしあの事件にそんな事が…!」

と嘆く二階堂、憤る辻本、宥めるが自身も少し憤っている小早川

 

杉下の言葉は続く。

「しかし、追い詰められた彼は東城会に何らかの要求をだし、内輪揉めが起きてしまい殺された。そして殺した組員はそんな汚い金と共に爆発…」

 

「あの年末…僕達も駆り出された『ミレニアムタワー爆破事件』ですね。あの時は寒かったなぁ…」

と、神戸は年末の忙しい頃に、爆破現場付近の被害者が入った医院を纏める仕事を押し付けられたことを思い出す。

「あの金が宙を舞ってたって奴か…わしもいけばよかった…」

まだ、少し守銭奴の気をだす両津であった。

 

そして杉下は自身の謎について話す。

「ここまでが、先を越して動いた伊達さんが上層部に嫌われ、特警と言われるここに来た理由です。

 

しかしここで疑問がいくつか…

 

…では、彼はどのように真相にたどり着いたのか?

 

また、彼は最後爆発があることを知らせに当時の部下にヘリを出させています。しかし警察の関係者は誰も動いていません。

つまり、組員や神宮を現場に押さえていなければいけない状態で、誰が彼らの相手をしていたのか?」

 

神戸が閃く。

 

「…そうか。内通者…」

 

「おそらく…」

杉下は神戸の閃きを肯定する。

 

 

この時、公園に残っていた全員は杉下の推理に集中し、公園に近づいてくる男に注意が回らなかった。

 

 

杉下は話を進める。

「つまり伊達さんは、内通者と共に真相に至った。しかしその人は助けを出さず解決しなければならない問題があり、それは神宮たちには不都合があり、向こうから相手にしてくる理由があった…

だからこそ、伊達さんは自身の部下を使ってまで、本庁たちより先に現場に急行した…」

 

 

歩いている男は精悍な体つきをしており、手には菊の花束を持って、パリッとしたグレーのスーツを来ている…

 

 

「先程の爆破現場には、さまざまな重火器や道具を使い争った形跡があったそうです。…では誰と?…」

 

 

伊達と話していた少女が公園に入ってきた男に気付き手を振っている。伊達も椅子から立ち上がり、煙草に火を付け懐かしそうに男を見ている。

 

 

「…伊達さんの執着していた堂島組の殺人事件の犯人が…ちょうど世良勝の事件の前に出所しているんですよ。」

杉下が少し微笑んでいる

 

 

「おじちゃん!」

遥は大きな声で男を呼び、駆けていき、男の膝に飛び付く。

 

 

 

「…その彼は、爆破事件のあと、東城会の会長となるのを拒否し、何処かに逃げました。神宮に狙われた少女と共に…

つまり…彼ですよ?」

と、集中していた皆の意識を伊達に戻させる。

そこでは男と伊達が仲良さそうに挨拶をしていた。

 

 

 

「そう、彼が…東城会元四代目会長…」

「…久しぶりだな…」

 

 

「「桐生 一馬…」」

 

 

男は、その体躯とは真逆の優しい眼をし、

 

「久しぶりだな…伊達さん…」

 

と答え静かに少女の頭を撫でた。

 

 

 

 

 

それを見ていた、聞いていた監視班は、数秒黙ったのち、隠れていることを忘れ大声を挙げてしまい尾行がばれ、伊達が深い深ーい溜め息をつき、天を仰いだ…

ここから今回の事件は始まる…




長くてすみません。
杉下さんの長台詞難しいです。
とりあえず墓参り行きたいです。

気づけばUA1000越え、有難うございます。

評価宜しくお願いします

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