特に理由はありません笑笑
えーふざけすぎました……それではどうぞ!
「……ダメだ。歩くふりをするので精一杯だ。30分で戦闘可能状態に戻るかどうか……」
「ガスを吸っても尚、意識があり、歩けるとは………烏間先生、恐ろしい限りです……」
(((氷室さんも十分恐ろしいけどね……)))
特筆すべきは判断力。息を止めてガスから出るのではなく、やられたふりをして、隙を伺うと言う。
「でも、烏間先生が戦闘出来ないなら……」
「私が常時前に出ます。が、私1人で対処できないほど強い殺し屋が来た時は皆さんの手も借りなければなりませんね」
氷室さんは少し苦々しい表情で云う。
「勿論です。僕らは3ヵ月近くも訓練してるんです。暗殺者の力を持っているのに氷室さんだけに任せっきりにする訳にはいきませんよ」
創真はやる気満々だが、他の皆は不安げな表情だった。確かに、氷室がいくら強くても、相手がそれ以上の実力があるという可能性がある。そういう状況を打破するためには……自分達もやるしかない。しかし、この先に待っているのは知識と経験を兼ね備えたプロの殺し屋。
果たして自分達が敵うのか……………
「いやぁ、これぞ夏休みですねぇ……」
意味深な事を殺たんせーは云う。
「………どこら辺が?」
殺たんせーに創真は尋ねた。
「夏休みとは自分達で行動します。先生と生徒のふれあいはありません。心配いりません。君達ならこの暗殺夏休みをクリアできますよ」
「私もそう思います。君達は心も体も非常に強いですから」
氷室もうんうん、と首肯く。
「ま……ここまで来たらやるしかないな……だが、その前に殺せんせー」
「にゅ?何ですか隼君?」
「1人だけ安全形態でそんなこと言われると腹立つんだよ!渚、振り回せ!」
「にゅやーー!!」
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そこから暫くは順調に進み、5階まで来た。展望通路に差し掛かった時、氷室が止まるようにハンドサインを出した。男が展望通路に寄りかかっていたのだ。
「……あの雰囲気」
「確実に殺る側の人間だ」
そんな会話が聞こえるなか、氷室は頭をフル回転させ、どうするかを考えていた。
(……さて……ここは見通しが良いため奇襲は意味がない……創真様のマシンシリーズのどれかがあれば他にも作戦は思い付くのですが………)
ビキビキ
突然そんな音がしたと思うと、男が寄りかかっていた窓ガラスに亀裂が入った。
「……つまらぬ。確か精鋭部隊出身の教師がいるはずなのぬだが……スモッグのガスでやられたようだぬ……いや相討ちぬといった所か。出てこい」
皆は素直に出てくる。
(毒使いのおっさんはスモッグって名前なのか。それと………多分皆も気になってると思うんだが……)
「『ぬ』多くねおじさん?」
創真らの内心をカルマが代表して言ってくれた。
「ぬ、を入れるとサムライ口調になると聞いたぬ。だから試してみたぬ」
「な、なるほど……あ、それと『なり』とか入れるともっとかっこよくなると思いますよ」
そう言ったのは氷室だった。
「……どういうときに使うぬ?」
「えーっと……我が名は〇〇なり、とか?」
(((あの……)))
「なるほど。確かに良いぬ。貴重な意見をどうもぬ」
(((なんだよこのやり取り!?)))
皆は心の中で氷室さんに突っ込んだ。
「では早速……我が名はグリップなり」
(((早速使ってる………)))
「グリップ………もしかして素手があなたの暗殺方法?」
「大当たりぬ、少年」
グリップは創真の指摘にすんなりと頷いた。
「こう見えて意外と需要あるぬ。身体検査に引っ掛からぬ。近づきさま、頸椎を一捻り。頭蓋骨もその気になればやれるが」
グリップは続ける。
「人殺しのスキルを極めれば不思議と闘い……即ち強敵との殺し合いをしたくなるもんだぬ。だが、お目当てがこれではつまらぬ。色々教えてくれた彼には悪いが、ボスと仲間を呼んで皆殺しぬ」
グリップは携帯を取り出して連絡をしようとする。
「そうはさせませ……」
氷室さんが止めようと動くが、もっと早く行動に移した奴がいた。
ガシャン!
カルマが造木を使い、携帯をガラスごと破壊した。
「ねぇ、おじさんぬ。ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ?それと……仲間をすぐ呼んじゃうあたり中坊にボコボコにされるのが怖いの?」
「待て、危険だ!」
「烏間先生、よーく見てください。顎が引けてます」
殺せんせーに言われて見てみると………確かに引けてる。これは油断せず相手を観察していると言うことを意味している。
「ふむ。ここは任せよう、氷室さん」
創真の進言を承けた氷室は少し考えてから──────
「では、カルマ君………任せましたよ」
─────カルマにこの場を任せた。
「オッケー。任しといてよ」
「面白いぬ。すこし付き合ってやるとするぬ」
次回、グリップVSカルマ!
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次回もお楽しみに!