プールにサメ……異様やな……。なんか展開早かったりするかも知れませんが…
どうぞ!
創真side
「……なるほど。そういう事ですか……」
片岡さんからの説明によると、前のクラスの多川 心菜と言う奴に海に行くから泳ぎを教えてと言われたが、プールで泳げるようになったから満足して練習をそれっきりにした結果、溺れたらしい。さらに片岡さんにその償いとして苦手教科を教えさせている……らしい。ならば彼女が泳げるようになれば良い、と言うわけで殺せんせー達が彼女に泳ぎを教えるそうで。
「何となく分かってたけど片岡さんって溜め込むタイプなんだね」
「何となくわかってたって……どうやって?」
「心理学かじってると分かるんだよね」
「何か、創真君に何でも見透かされそうな気がしてきた……………」
そんな会話をしてる間に殺せんせーが寝ている心菜をベットごと連れて戻ってきた。
「お待たせしました。それでは皆さんやりますよ」
「じゃあ僕は森の中に潜んでます」
「にゅや!?創真君の魚のコスプレを作ったのですが……」
「いらん」
そもそも僕はマシンシャークのスピーカーから話すだけだから要らないわ。森の中に入ると、氷室さんやホリー達がいた。
「おいおい創真~。彼女いるのにあの女子と結構話してたじゃないか~?」
「俺様、二股するのは良くないとは思うぜ」
あの2人は恋愛の心配をしてくれてるようだ。そんな心配無用だが。
「さーて、このマイクを使って喋るか」
「何で喋るの?」
「そりゃ、泳ぎを教えるなら喋らないと無理でしょ」
「なるほどな!だったら俺様がやるぜ!」
キバットがマイクの前に立った。
『ギャア!何このサメ!?』
おっと丁度良く他の皆の紹介が終わったらしいな。
「そーだな……俺様はジョーズ三世だぜ!よろしくな、お姉ちゃん!」
『喋った!?しかも軽い!』
ああ……皆に言っとけば良かった。
『創真君。今のは君が喋ってるのですか?』
殺せんせーも不思議に思ったのだろう、小声で聞いてきた。僕はキバットにホワイトボードにあることを書いて見せた。台本である。
『違うよ?えーっと……そのお姉……心菜にばれないように雰囲気を代えてるだけだ……ですので。あと声もスピーカーから出るのは加工してあるやつだから』
『なるほど、そういう事ですか。流石創真君の作品ですねぇ。そのような機能も備えついてるとは』
ここで一旦マイクを切った。
「おい、危なかったぞ今のは!」
「そんなに怒るなって、創真」
「いや、怒るわ!だって………」
「……なんか渦っぽいのに巻き込まれてないか?」
デュオに言われてカメラを見てみると…………………あらら、まずいな。早く脱出しよっと。と言うか殺せんせー、プールで渦を巻かないでくれ。コントローラを操作し、渦から脱出し、マイクの電源を再びつける。
『ずるいよ、魚キング!魚の水着で泳ぐなんて!』
『生身で泳ぐところを見たかったのに!』
これは渚と茅野の声だ。
『泳げますよ?生身でも』
方向転換して見てみると、殺せんせーが着ていたと思われる魚の水着を渚が持っていた。
「ん?生身で泳いでるのか?」
潜水させて見てみると
「いや、水を掻き出してるのかよ!」
珍しく突っ込んでしまった。
「おい、創真!あのお姉ちゃんの所に行け!泳ぎってものを教えてやるぜ!」
「キバット、水泳教えられるの?蝙蝠なのに?」
「早くしろ!」
「はいはい」
とりあえず慌てている心菜の横につけさせた。
「おい、落ち着け!泳ぐ方向を俺様がいる方向に代えろ!」
素直に心菜は従ってマシンシャークの方に泳ぐと───
『あれ!?流れが弱くなった?』
「そいつは離岸流って言ってな。岸に反射して沖に流れていく流れの事さ。こういう時は岸と平行に泳いで流れから抜けるのが得策なんだぜ!」
へぇ……キバットやけに詳しいな。
『あんた……随分と詳しいわね』
「そうかい?ありがとよ、お姉ちゃん!まぁ、一応サメだしな」
『ヌルフフフフ、知識だけでは駄目ですよ。朝まで死ぬほど泳いで魚のような泳ぎを身に付けましょう』
殺せんせーの声通り、特訓は朝まで続いた。よって、我々は徹夜である。くそっ、眠い。
「……そうか。泳げるようになったか」
翌日、片岡さんの報告によれば、彼女はすごく泳げるようになったらしい。
「これからは手を取って泳がせるだけではなく……厳しく手を離す時もあると覚えてくださいね」
「はい、殺せんせー」
「ところで先生。あなたは泳げるのか?」
「いいえ。水を含むと身動きがほとんど取れません。しかし、片岡さんや創真君のサメ位ならなんとか対処出来ますよ。ヌルフフフフ……」
「対処できるのかよ………………チェッ」
とりあえずE組のプールがオープン!
……で終われば良かったんだがな……このプールが新たな火種を呼び起こすとは誰も思わなかった…………。
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勝手ながら冬休みを頂きます!