結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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中編スタート!


特別編 結城 創真の暗殺教室×ロクでなし魔術講師と忍ばない暗殺者 中編

デュオは近くの森で珈琲を飲んでいた。

 

 

「ふぅ………」

 

 

その日の夜、デュオは残りのターゲットの10人の魂を回収し終えた。

 

 

「やることなくて暇なようだな?」

 

 

デュオは声がした方を振り向く。そこには黒コートで、フードを被った男……………………ノーネームが立っていた。

 

 

「あぁ、あの時………珈琲のお店にいた…………………ルークとか呼ばれてたな」

 

 

「あぁ、そうだよ………………………ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんでこいつ正体分かるのォォォォォォ!?)

 

 

ノーネームのフードは視認障害のスキルがある。だからノーネームの正体がルークだなんて分かるなど、有り得ないのだが。

 

 

「言っておくが…………死神に視認障害など通じないからな」

 

 

訊くより先に答えられた。こいつは死神の異名を持つって事か。

 

 

「そうかい………じゃ、本題入るけどよ。俺と闘え」

 

 

「何故?」

 

 

「お前に、あまり強くなさそうとか言われて、闘争心が湧いてな」

 

 

「……………………やれやれ。まぁ、暇だし良いが」

 

 

デュオは珈琲を飲み干し、すっと立ち上がる。

 

 

ノーネームはクリスタルウェポンの1つ、ファントムナイフを手に構える。

 

 

「行くぜ」

 

 

ノーネームは駆け出し、ナイフを振るう。デュオは僅かに体をずらして、軽々と避ける。

 

 

「やるじゃねぇか。お前からも来いよ」

 

 

「良いのか?なら、行くぞ」

 

 

その瞬間、デュオの拳がノーネームの目の前にあった。

 

 

「(速い!)」

 

 

威力のあまり吹き飛んで木に叩きつけられる。

 

 

「ふぅ…………拳を使うのは久しいな」

 

 

デュオが指を鳴らしながら近づく。

 

 

「…………ふい~。流石大口叩くだけの事はある。防御した腕がもげるかと思ったぜ」

 

 

(寸前で腕を上げてガードか…………攻撃を読まれてたか)

 

 

意外と手強いな、とデュオは心の中で呟く。

 

 

「言っとくが、俺はこの稼業を何年もやってる。だから格闘術もそこらの奴と一緒にするなよ?」

 

 

「昨日のは前言撤回だな。君は聞いていた以上に手強い奴だ」

 

 

「そりゃ…………どーも!!《業火よ》」

 

 

詠唱と伴に、追尾式の火球が放たれる。魔術だ。

 

 

「魔術か………俺は基本的に使わないんだよな……」

 

 

独り呟き、デュオは余裕で避ける。そして、鎌を出現させノーネームに襲いかかる………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が、

 

 

「くっ!?」

 

 

火球がデュオの背中に命中した。さっき言った通り、『追尾式』だ。予想外の攻撃にガード出来る筈もなく、デュオは膝をついた。その隙を狙って、ノーネームは音もなく近より、デュオ目掛けてナイフを振り下ろした…………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………!?」

 

 

ノーネームは困惑した。何故なら自分のナイフが見えない障壁に阻まれたからだ。

 

 

「……………誇って良い。俺にこの奥の手その1を使わせた奴は久しぶりだ」

 

 

デュオの呟きと伴に、外套から影のような黒獣が飛び出した。ノーネームは何とかナイフで弾く。

 

 

「なんだこの攻撃…………………魔術か?」

 

 

「魔術ではない。敢えて言うなら………………『異能力』。まぁ、この国の異能とは関係ないが。この外套からは布が出てくる。それはどんなものにも姿を変える」

 

 

「なんじゃそりゃ…………」

 

 

「使うつもりはなかったが…………しょうがない」

 

 

「別に構わないぜ。魔術使えないなら、その位のハンデは」

 

 

「ならば……………遠慮は無用!」

 

 

デュオは外套から先端が獣の首である布を飛ばす。

 

 

「《透けろ》」

 

 

そう詠唱した瞬間、ノーネームの姿が消えた。

 

 

「透明化か…………チッ」

 

 

デュオは辺りを見回すが、見つかる筈もない。

 

 

(後ろからか…………?正面からか………?それとも上からか来るか………?)

 

 

その答えは……………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュオの目の前にナイフが来た。ノーネームの姿も正面に見えた。

 

 

「(この距離では鎌は使えん!)空間断絶!!」

 

 

再び見えない障壁がノーネームを阻む。

 

 

「オラオラオラオラオラ!!」

 

 

何を思ったか、ノーネームはナイフを使って障壁に斬撃を続ける。数秒後、障壁が消え、デュオにナイフが届いた。しかし、デュオは大きく後ろに移動し、鎌の斬撃範囲ギリギリで鎌を振るが、受け止められた。

 

 

「やっぱな。その壁はずっと続くわけではないな」

 

 

「(もう見破ったか……………恐ろしい奴だ)」

 

 

再び彼等は鎌とナイフを交える。

 

 

「本当におもしれぇ!ここまで強い奴とは戦った事はなかった!」

 

 

「確かに、な。お前は俺が出会ってきた強い奴のなかでも4位に入る」

 

 

「1位じゃねぇのかよ…………まぁ、良い。そろそろ終わらせるぜ!」

 

 

ノーネームは新たにファントムソードに持ち替えて、攻撃を続ける。剣と鎌がぶつかり合う度に大きな衝撃波が発生する…………!!

 

 

デュオはあの布を飛ばした。ノーネームはそれを切り刻んでいくが、余りにも数が多すぎる。

 

 

「!!しまった………!!」

 

 

ノーネームの腕に布が巻かれた。デュオはそれを引き寄せ、自分の方へ飛んできた所で、蹴りを喰らわす。

 

 

「うぐ…………」

 

 

ノーネームは呻き声をあげ、倒れる。

 

 

「降伏するか?」

 

 

「そりゃ最悪な選択だ。ところでお前は気づかなかったか?俺がわざとこの至近距離に接近したことに。

 

 

「!?」

 

 

「《白き冬の嵐よ》」

 

 

唱えた瞬間、ノーネームの目の前に冷たい風が吹いた。

 

 

「なっ……………足が地面ごと凍った!?」

 

 

ノーネームは自分を拘束している布を切り、距離をとる。

 

 

「《集え・皆を照らす・希望の光》………アルテマ!!」

 

 

その瞬間………………デュオの目の前が眩い光で染まった………………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が収まると、さっきまであった木々が跡形もなく消え去っていた。アルテマ…………全ての事象、物を破壊する……………最強の呪文と言っても過言ではない。

 

 

「殺さない程度に加減はしたが、どうだ………ん?」

 

 

ノーネームはデュオが木にもたれているのを見つけた。

 

 

近寄ってみると……………デュオは静かに目を瞑っていた。

 

 

「……………えっ、まさか殺っちまったのか?」

 

 

「んなわけあるか」

 

 

デュオはふらつきながらも、しっかりと立ち上がった。

 

 

「空間断絶そのものを消し飛ばされた直後、この布を使って丸いドームを作った。だが、力を使い果たしてもう布を使って攻撃出来ん…………」

 

 

デュオはため息をつく。

 

 

「だが…………負けるつもりはないっ!!」

 

 

すると、デュオの全身を赤いエネルギーが走った。そして、赤く発光し始める。

 

 

「なんだ……………!?」

 

 

デュオは足を1歩ずつ進める。その度に…………地面に亀裂が入る。

 

 

「さぁ……………俺のターンだ」

 

 

デュオは大きく足を天に向け………………振り下ろした。大きな衝撃波がノーネームを襲う!

 

 

「くそ…………!!」

 

 

衝撃に耐えながら、ノーネームはファントムアローを構え、遠距離からの攻撃を加える。デュオは走りながら、ポケットの中から珈琲豆を取り出し、軽く投げた。そして、デュオは大きくジャンプした。珈琲豆を土台にして。

 

 

「な!?」

 

 

目の前で起こってるのが現実とは、ノーネームには思えなかった。

 

 

「何か絶対ヤバそうだな気がするぜ。ならこっちは『コンボブレイク』だな」

 

 

コンボブレイク………自分の武器に魔力を込めて放つ連続技。が、途中で中断されると、自身の魔力が大幅に減少すると言う、デメリットも存在する。

 

 

「「これで決める!!」」

 

 

デュオが空中から落ちてくる勢いを利用して、蹴りを放つ!それをノーネームはファントムソードで迎え撃つ!

 

 

「グッ……………なんつー重さ………!!」

 

 

「どうした?来ないならこっちから行こうか」

 

 

そう言うと、デュオは自分の足に赤い光を集中させ、さらに回転し始めた……………………!!そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パキン!

 

 

「な…………ファントムソードが砕けた……………!?」

 

 

「これで終わりだ」

 

 

デュオは側に生えていた花を土台に軽くジャンプし、さっきとは比べ物にならない速さで回し蹴りを放った。防御が間に合わず、ノーネームは吹っ飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそ………指一本動かねぇ…………」

 

 

立ち上がろうとする意志はあるものの、身体が言うことを聞かない。そこへデュオが近づく。

 

 

「おい…………あの赤い光……………ありゃなんだ?」

 

 

「…………俺の奥の手その2、『重力操作』。俺が触れたものの重力とベクトルを操る。ちなみに自分のも操作できる。さっきは珈琲豆や花より自分の体重を低くなるように調整した」

 

 

「そうか…………くそっ俺の負けか…………」

 

 

「じゃあ、俺は帰る。あぁ、それと。俺の幼馴染みがお前を治しにやってくるからよろしくな。それじゃ、また明日」

 

 

そう言い残すとデュオは闇のなかに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、5分後。

 

 

「おーいたいた。君だよね………………ほい、治った」

 

 

全身真っ白コーデのそいつは、ほんの10秒で俺の怪我を治した。

 

 

「わりぃな、見ず知らずの奴に」

 

 

「いいのいいの。ところで君、デュオと互角の闘いを繰り広げたんだって?凄いな~」

 

 

「んなことねぇよ。奥の手を最初から使ってたら俺は一瞬で負けてた」

 

 

「勝てないのは当然だ。だって人間じゃないもの」

 

 

「そーか。人間じゃないのか。なら当然だよな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってはぁ!?どう見ても人間だろ!?」

 

 

「リアクション遅いね………あいつは死神だよ」

 

 

「ま、マジかよ…………あー、なんか急に疲れてきた…………明日は学校だしもう帰るか……………じゃ、ありがとな」

 

 

「いえいえ。じゃーね~」

 

 

ノーネームは足早に去っていった。

 

 

「ま、どーせ直ぐにデュオと再会することになるよ。だって、君の治療と引き換えにある条件をデュオに出して承諾してくれたしね!明日が楽しみー!!」

 

 

真っ白コーデの少年、ホリーはニヤリと笑った。




THE NEXT spacial story 4/1 PM 19:00


デュオの黒獣のモチーフは、文豪ストレイドックス羅生門と画像で検索すれば出てくるので気になった方はどうぞ!

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