結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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第39話 相棒の時間

スイーツパーティーの帰りの車内で創真は今日の出来事を振り返っていた。

 

 

「まったく、あのデブはとんでもない野郎でしたね」

 

 

「ほんとですよ。中学生に暴力を躊躇い無く振るなど、あり得ませんよ、まったく!」

 

 

氷室も少々お怒り気味。

 

 

「それにしても、今日の渚君には驚かされましたね……」

 

 

「まー僕も大丈夫だとは思ってましたけど、やっぱり実際に鷹岡に勝ったときはホッとしましたね………」

 

 

「暗殺の才能……………しかし、これを伸ばしても将来に役立つ物なんですかね?」

 

 

「役立つと思いますよ?全てのツールは、幾多の道を切り開く鍵となりますからね…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー疲れた疲れた……」

 

 

氷室さんは大学の同級生と飲み会があるそうなので、創真だけ家に戻り、自室を開けると…………

 

 

「やぁ!待ってたよ!」

 

 

「………………」

 

 

「お~こいつが俺様達の相棒か?」

 

 

「…………………………」

 

 

見知らぬ2人+1匹が自室にいた為、創真はほんの一瞬思考がストップした。しかし、流石天才と云うべきか、すぐにスマホを取り出した。

 

 

「えー、不審者2人+コウモリ1匹………もしもしポリスメーン!!」

 

 

「ちょ、待って待って!!通報だけは止めて!!別に泥棒とかそんなんじゃないから!!」

 

 

白い格好をしている少年が、通報しようとしている創真の腕を掴んで止める。

 

 

「じゃあなにしに来たんだよ!?そもそも人の部屋に入ってる時点でoutなんだけど!不法侵入なんだけど!?」

 

 

「あ、そうだ!自己紹介するよ。僕の名はホリー!命の聖霊さ」

 

 

「そして聞いてない!!……………ん?命の聖霊?」

 

 

ホリーと名乗った少年は、全身真っ白コーデでしかも羽のマフラーが一際目立っていた。

 

 

「俺の名はデュオだ。元死神だ」

 

 

デュオはホリーと対照的に全身黒のコーデ。首につけてる無数の鎖似のネックレスが目立つな。

 

 

「俺様の名はキバットバットだぜ!ま、略してキバットとでも呼んでくれ」

 

 

コウモリがそう喋った。

 

 

「うーん。警察に、中二病の2人と喋るコウモリがいる、って信じてもらえるかなー?」

 

 

「だから、通報はやめなさい!!」

 

 

ホリーがお母さん口調で、何故か創真に命じる。

 

 

「いや、別に命令される筋合無いんですけど」

 

 

「え、いや……………そ、そうだ!面白いものを見せてあげるよ!」

 

 

「は?面白いもの、って何?」

 

 

「フッフッフ、魔法だよ!」

 

 

「よーし、警察に」

 

 

「だから、警察は待って!!もう、スマホ没収!」

 

 

半泣きのホリーは、手をスマホの方に向けると、創真の手からスマホが離れ、ホリーの手に渡った。

 

 

「…………今、勝手に手からスマホが離れた?」

 

 

「『サイコキネシス』、ってやつさ。君も漫画とかでそう言うのは聞いたことあるんじゃない?」

 

 

「あ………………うん……………ん────────?」

 

 

創真の目の前で起きた不可解な現象。流石の創真も直ぐには理解し難かったのか、唸り始めてしまった。

 

 

「にわかに信じがたいけどなぁ……………手品の類いじゃないの?」

 

 

「まぁ、直ぐには信じられないよねー。なら、もっと見せてあげるよ!」

 

 

明るく、楽しそうに言いながらホリーは指をパチンと鳴らす。すると、ホリーの隣に魔方陣が出現した。ホリーは魔方陣に手を突っ込む。数秒後、魔方陣から手を出したホリーの手には、肉まんがあった。

 

 

「…………………………………」

 

 

言葉の出ない創真を見たホリーが解説する。

 

 

「これはねー、『コネクト』と言う魔法だよ。空間と空間を繋ぐんだー」

 

 

「は、はぁ……………」

 

 

「ついでに、温めよっと。『スチーム』」

 

 

ホリーがそう呟くと、突然肉まんは蒸気を出し始める。

 

 

「あっつ!ちょっと魔法を強くしすぎたかな~。ま、美味しいけどねー!」

 

 

ホリーは肉まんを頬張りながら笑みを浮かべる。

 

 

「さーて、創真。これで少しは信じてもらえたかな?まだ物足りないなら、この部屋を凍らせたり、竜巻を起こしたりしても良いけど」

 

 

「…………………いや、もう充分だよ。とりあえず、手品の類いでは無さそうだし」

 

 

「いやー良かったよ、信じてくれて」

 

 

ホリーは満足そうにうんうん、と頷きながら肉まんを食べ終えた。

 

 

「で、君達さっき妙なこと言ってたよね?命の聖霊とか、元死神とかさ。あれもほんとなの?」

 

 

「まぁ、そうだね」

 

 

「ふーん……………まぁ、そう言うことにしておくか。ちなみに、デュオ…………君だっけ?君は何か出来るの?」

 

 

「俺か?俺の固有の能力としては、着ている服を不定形の獣に変身させる、だな」

 

 

すると、デュオの外套が揺らめき、外套の後ろからその名の通り、黒い獣が出てきた。そして、先端が針のように尖ったり、布のように変化した。

 

 

「ふーん。なんか、羅生門と同じみたいだね、文ストの異能力の」

 

 

「異能力?まぁ、そうも呼ばれてたりするが……………文スト?」

 

 

「まー、後で自分で調べれば分かるよ。さて、君達。ここからが本題だけど、何でわざわざ僕に接触を図ってきたの?」

 

 

「おーそうだったな。それを説明するのを忘れていたぜ!」

 

 

今まで会話に入ってこなかったキバットが喋りだす。

 

 

「まず、俺達が何処から来たかを教えるぜ。俺達はその、何だ?お前が分かりやすいように言うと、異世界から来たんだぜ」

 

 

「…………………………」

 

 

「俺達には任務、って言うか仕事があってな。それは、俺らの世界で選ばれた人間とパートナー関係、言い換えれば相棒となってその人間が死ぬまで守る、的な」

 

 

「変な仕事だねぇ……………」

 

 

「変な仕事って言うけどよ、実は俺らがいなきゃこの世界の歴史が変わってたかもしれないんだぜ?俺達が今まで守ってきた人物の中には、歴史を大きく動かしたら奴もいるんだぜ。例えば、徳川家康、とかアインシュタインとか」

 

 

「え、マジ?」

 

 

「マジマジ。良く良く考えたら、俺達が今まで守ってきた人物って、大概は後に歴史に名を刻んだりしてるんだよなー。偶然かは知らねぇけど。おっといけねぇ。話が逸れたな。さて、創真。一気に結論を言うぜ。お前は!次の俺達との契約対象に選ばれたってわけよ!」

 

 

「え」

 

 

「ちなみに、断ることも可能だ。別にそれでも良いぜ。そしたら、俺達はつぎの仕事があるまで100年近く暇になるだけだからな……………さー、創真氏!どうする?」

 

 

キバットが問い掛ける。創真は考える人のポーズを取り、黙り込む。2、3分して創真はスッと立ち上がった。3人が見守るなか、創真は口を開いた。

 

 

「じゃ、よろしくー」

 

 

「お…………そうか、分かったぜ。ちなみに、何で契約しようと思ったんだ?」

 

 

「理由?それはね、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何か面白そうだから」

 

 

「「「…………………」」」

 

 

創真の答えを聞いた3人は黙ってしまった。

 

 

「え…………何かいけないことでも言いました?」

 

 

「フフフッ……………アハハハハ!」

 

 

突然ホリーは笑い出した。

 

 

「面白い答えだね、創真!今までそんな理由で承認した奴なんていなかったよ。大体は、この国のため、とか堅苦しいて言うか、真面目なのばっかだった。まぁ、それが悪いとかそういうのじゃないよ。けどね……………面白そうだから、か。良いね、僕は創真の事気に入ったよ。じゃあ、これからよろしく創真!」

 

 

「あぁ、よろしく」

 

 

創真とホリーはハイタッチを交わした。

 

 

「それと、デュオとキバットもよろしく」

 

 

「あぁ」

 

 

「これからよろしくだぜー!」

 

 

デュオは微笑を浮かべながら、キバットは浮遊しながら云った。

 

 

「あ、そうだ。僕はいつも契約成立した時は記念に、貢ぎ物を用意してるんだよねー」

 

 

「要はプレゼントって事?」

 

 

「まぁ、その認識で合ってるよ。じゃあ、ちょっと移動するよ」

 

 

「へ?移動って何処」

 

 

創真が言い終える前に、ホリーは指をパチンと鳴らす。瞬間、彼等の姿は部屋から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………ん?」

 

 

気がつくと、創真は中世を思わせるような巨大な部屋にいた。

 

 

「ここは契約者のみが入れる部屋。と言っても、今までの契約者はほとんど使わなかったけど」

 

 

「ふーん。なんか、玉座の間、って感じがするね」

 

 

「その通りだ。この部屋は中世のとある城の内装をモチーフにして作られたんだぜ!中々良い造りだろ?」

 

 

キバットの問いかけに創真は、嫌いじゃないねと一言答える。そして、いかにも王が座りそうな椅子に腰を下ろす。それを見たキバットが感想を洩らす。

 

 

「おー、何か創真が魔王っぽく見えるぜ」

 

 

「魔王なの?正義の王様とかじゃなくて?」

 

 

「いや、こりゃ魔王にしか見えねぇなー」

 

 

「……………まぁ、何でも良いけど。所でプレゼント的なのは結局何なの?」

 

 

「あ、そうだそれを渡すためにわざわざこの部屋へと案内したんだった」

 

 

本来の目的を思い出したホリーは部屋を飛び出していった。そして数分後、何かを手にして戻ってきた。

 

 

「これだよ」

 

 

ホリーの右手には鞘に納められた剣が。左手にはホルスターに収まっている銃があった。創真はそれらを受け取り、まず剣を鞘から抜いてみる。

 

 

「おー、良い重さの剣だ。だが……………どっかで見たことあるような………………これ、銘とかあるの?」

 

 

「『天空の剣』だよ!」

 

 

「ドラクエのパクりじゃん!」

 

 

創真はホリーにツッコミを入れる。

 

 

「まー何でも良いじゃん、別に。かっこいいんだし」

 

 

「確かにかっこいいけどさぁ……………」

 

 

「ちなみに、それに神器に分類されるから。要は超凄いから」

 

 

「あーそうなの?まぁ、良いや。次は銃の方を見てみるか……………」

 

 

ホルスターから取り出し、創真は銃を握る。

 

 

「うーん……………………」

 

 

「どう?丁度良い重さでしょ?」

 

 

「まぁ、そうだね。でもさぁ…………これもまたどっかで見たことあるんだよなぁ……………この銃の名は?」

 

 

「『ドミネーター』」

 

 

「『Psycho-pass』に出てくるやつじゃん!これもパクりかい!」

 

 

またもやホリーに創真はツッコミを入れる。

 

 

「まったく、創真は文句が多いなぁ」

 

 

「文句って………………てか、これ何を参考にして作ったの?」

 

 

「え?ネットで、かっこいい剣、かっこいい銃、って調べて、僕がその中からかっこいいのを選んで、僕らの世界にある最高級の素材を使って作ったけど?」

 

 

「あぁ、そう……………まぁ、でも、ありがと」

 

 

「どういたしまして!」

 

 

ホリーは笑みを浮かべながら云った。

 

 

「おいおい、ホリー。結局あの剣と銃はネットの拾い物かよ~」

 

 

「うっさい、キバット!最初はオリジナルのを作ろうと思ったんだけど、デザインが思い浮かばなかったんだよ!!」

 

 

「まだまだだな、お前も」

 

 

「んだと、蝙蝠ごときが人間様に生意気言うな!」

 

 

「オメーは人間じゃなぇだろうが。アホか」

 

 

「誰がアホじゃあ!!」

 

 

途方もない言い争いをするホリーとキバット。そして、それを見つめるデュオと創真の構図が出来上がってしまった。

 

 

「やれやれ、また始まった。しょっちゅうあることだが」

 

 

「しょっちゅう喧嘩してるの?」

 

 

創真の問いかけにデュオは首肯く。

 

 

「1週間に5回の頻度でするな」

 

 

「それは多すぎだって……………」

 

 

「全くだ…………………はぁ」

 

 

デュオが大きなため息をつく。それを見て、デュオはこれまで苦労してたんだろうなぁ、と密かに同意するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そういやデュオ。うちの飼ってるペット2匹が頭のイカれたデブを止める程のヤバイ殺気を出したんですが、そう言う事が出来ちゃう事例ってあると思う?」

 

 

「あぁ、あの2匹はうちの世界の鳥だ。あいつらはその中でもトップクラスの戦闘力を誇るから、殺気で怯ませるぐらい余裕だろう。経緯は不明だが、かなり前にお前らの世界に迷いこんでしまったらしい」

 

 

「で、何故かペットショップに売られてたと……………元の世界に帰した 方が良いかな?」

 

 

「いや、その必要はないだろう。お前の事をかなり気に入ってる様子だったしな」

 

 

「そうかー、そりゃ良かった。……………所で、この喧嘩はいつまで続くの?」

 

 

「最長、3時間。最短で1時間だ」

 

 

「いや、ほんと長いな…………………」




めっちゃ改変したなぁ……………。

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