結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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ましなタイトルが思い付かねぇなぁ…………。


電車・自転車でGO!

暗殺者を撃退して、無事にレアを駅につれてくる事が出来た渚達。そして、改札前に全員が集合した。

 

 

「ん?あ、創真君からメッセージが………………ふーん、なるほど」

 

 

メッセージを見た碧海は、渚達に口を開く。

 

 

「創真君からの作戦の指示。王女の周りを固める人間を変えて、中村さんを先に電車で行かせて、次に来る電車に王女を乗せろ、だって」

 

 

「その作戦に異論はない。それで、誰を王女の回りに付かせるんだ?」

 

 

浅野が続きを促す。

 

 

「えっとね……………渚君と浅野君と私が王女の回りに。磯貝君、前原君、村松君、吉田君が前後の車両で見張りをして。他のメンバーは………………」

 

 

碧海が指示を出すなか、渚のスマホにメールが入った。片岡からである。情報収集の為に、竹林や不破らと大使館に忍び込んだところ、ビッチ先生と遭遇したと言うのだ。

 

 

「何でビッチ先生、大使館にいるんだろう?」

 

 

渚の声に他の生徒らも驚いた。

 

 

「誰か連絡したか?」

 

 

「にしても、早すぎじゃね?」

 

 

「渚、もっと詳しいことが分かったら連絡するようにメールしてくれ」

 

 

磯貝の指示通り、渚はメールを返信して詳細を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中村を中心としたチームが都心に向かう電車に乗り込んだ後、レアと浅野と渚、碧海らは次の電車を待っていた。

 

 

「線路に突き落とされる可能性もある。気を付けよう」

 

 

浅野の声に碧海と渚は頷き、膳ってレアと共にベンチに座る。レアは駅構内を珍しそうに見回す。

 

 

『乗客、多いのね』

 

 

『上り方面はいつも混んでるよ。それに今は帰宅ラッシュの時間帯だからね』

 

 

渚がレアの呟きに答える。

 

 

『それにしても、こんなに多いといくら警戒してもキリがないな』

 

 

浅野が少し苛立ちげに呟く。レアはそんな浅野の顔を心配そうに見つめる。そんなレアの横顔にも緊張が現れていた。

 

 

『大丈夫。僕は近付いてくる非との気配を察知するのが得意だから、任せてリラックスしてよ』

 

 

渚の言葉にレアはホッと息をついた。間もなく、電車がホームに滑り込んできた。渚らは、磯貝や村松らと目配せをして電車に乗り込む。レア達3人は、ドアの端に固まる。レアは窓の外に広がる一面の住宅街を見つめて黙っていた。渚達も黙って、回りの警戒をする。

 

 

『それにしても、ソウマは大丈夫かしら?』

 

 

暫くして、レアがポツリと呟いた。

 

 

『大丈夫だって。創真君は凄いんだから』

 

 

『ソウマって、やっぱり凄いの?』

 

 

『凄いよ、ほんと。自作の発明品も作っちゃうし、頭良くて運動も出来るし、完璧な人間と言っても過言じゃないよ。ね、渚君』

 

 

『うん。あんな頭脳を僕も持ってみたいけどなぁ………』

 

 

『へー……………それしても、発明品って言うのは見てみたいわね。具体的にはどんなの?』

 

 

『そうだね…………例えば、カブト虫型の』

 

 

すると、渚が突然口を閉ざした。そして、後ろを振り向いてある一点を凝視する。

 

 

『どうした?』

 

 

『あの優先席の前に立ってる男、多分暗殺者だよ』

 

 

『あの男が?そうには見えないが……………』

 

 

『いや、暗殺者だよ。そう感じるんだ』

 

 

浅野は渚に何処か不気味なものがあるのに気付いた。

 

 

『………………そうか』

 

 

『応援を呼ぶ?』

 

 

碧海の提案に、浅野は首を振る。

 

 

『ああやって様子を伺っているのは、暗殺のチャンスを探っているんだろう。何か書くものは持っているか?』

 

 

すると渚がポケットを探ると殺せんせー用のメモが。碧海のポケットからはガムが出てきた。

 

 

「このメモじゃ小さいな」

 

 

浅野はレアにも尋ねる。

 

 

『何か書くものは持っていませんか?』

 

 

『書くものは………………』

 

 

レアがショルダーバックを漁ると、白いハンカチと口紅を取り出した。

 

 

『これを使わせてもらっても良いですか?』

 

 

『え?これを?構わないけど、何に?』

 

 

浅野はレアのハンカチを渚の背中に広げ、口紅で文字を書く。それを見た碧海は、なるほどねぇ、と浅野の意図を理解し、渚に出番だよ、と呟く。

 

 

「それ、あの男に張り付けるんだよね?だったら、任せて」

 

 

浅野からハンカチを受け取った渚は、碧海からガムを貰って口に放り込む。そして、男の方へ近付く。男の横を通り過ぎた後、渚はフッと手を挙げて男の背中にガムでハンカチを貼りつけた。男はまったく気付かず、そのまま立っていた。浅野は背中がゾクッとした。渚は笑顔で戻って来た。

 

 

『上手く行ったね?直ぐに効果が現れるよ』

 

 

浅野は渚を不思議そうに見つめた。

 

 

「……………君はいったい…………?」

 

 

そして、効果は直ぐ現れた。座席に座っていた男が吹き出した。連れの若い女が「笑っちゃダメ!」と言いながらも笑いを堪えている。その笑いは直ぐに他の乗客にも伝染する。男も様子がおかしいのに気付き、殺気を消そうと努めるが、それでも注目を浴びてしまい困惑した。男が困れば困るほど、笑いは大きくなり、暗殺どころでは無くなった。

 

 

「上手く行ったね」

 

 

「あぁ。間もなく目的の駅だ」

 

 

電車がホームに滑り込む。ドアが開いて、乗客が乗り込むと、発車ベルが鳴る。渚らはドアが閉まる直前のタイミングで、レア達は電車を降りた。

 

 

『何とか逃げ切れたわね。それにしても、ガクシュー。さっき、何て書いたの?』

 

 

『はじめてのおつかい中、と書きました』

 

 

キャハハハ、とレアは笑う。

 

 

『なーんだ。普通にユーモアのセンスがあるじゃない』

 

 

それを聞いた浅野はホテルでの失態を挽回できて、ホッとした。そのまま渚らが改札を出ると、そこには創真とデュオが待っていた。

 

 

「やっほー。計画通りだね。他の皆は?」

 

 

「先に進んでた中村さんらと、降り損ねた磯貝君らは呼び戻したよ。もうすぐ来ると思う」

 

 

「そう。なら良いや。で、遭遇したかい?」

 

 

「あぁ。だが、撃退した」

 

 

浅野が少し得意気に答えた。創真はふーん、と反応する。

 

 

「中々やるじゃん。しっかし、ここまで来ると妙だな………………」

 

 

「何が妙なの?」

 

 

渚の疑問に対して創真は云う。

 

 

「僕らに撃退される位だから、暗殺者は大したことないのに、足取りだけが完全に読まれている…………」

 

 

「…………………確かにそうだな」

 

 

「発信器かと思って、服も交換したのにダメだった。となると……………」

 

 

創真はレアのバックをチラッと見て云う。

 

 

『レアちゃん、バックの中を見せてくれる?』

 

 

レアは承諾し、バックの中身を見せる。中には口紅と手鏡とスマホしか出てこなかった。

 

 

『怪しいのはスマホだな……………ちょっとスマホ借りても良い?』

 

 

『良いわよ』

 

 

創真はカバンからタブレット型のパソコンとケーブルを取り出した、レアのスマホとタブレットPCを繋ぐ。そして、猛スピードでキーボードを操作する。そこへ磯貝もやって来た。

 

 

「何をしてるんだ創真?」

 

 

「レアちゃんのスマホに何か仕込まれてないかを確認中」

 

 

「お前、ほんと何でも出来るな………………」

 

 

「そりゃどーも………………おっと?」

 

 

創真は手を止めて画面を凝視する。

 

 

『どうしたの、ソウマ?』

 

 

『………………位置情報を発信するアプリが巧妙に隠されているね』

 

 

『え!?』

 

 

それを聞いたレアや浅野らも驚いた。

 

 

『創真。その位置情報を誰か見てるとかは分からないのか?』

 

 

カルマが尋ねると、珍しく険しそうな表情を創真は浮かべる。

 

 

『それが中々厄介でね。位置情報を受信している端末の位置情報を検索したんだけど、ベルリンやら中国やら日本やら、果てには国際宇宙ステーションやら、色々出てきて分からないんだよね。どれが本当のなのかを割り出すには少々時間が掛かりそうだね。まっ、これは律に任せるとして』

 

 

創真はタブレットPCを鞄にしまって立ち上がる。

 

 

『そろそろ、僕らも行こうか』

 

 

『ここからは徒歩だな』

 

 

『と、思っていたんだがね。良いもん見つけたんで、作戦変更。アレを使う』

 

 

創真が指差した方向には、自転車のレンタルサービスを行う店の看板があった。

 

 

「自転車かー。小回りも効いて逃げやすいし、良いんじゃね」

 

 

カルマは創真の意見に賛成する。

 

 

「よし、大使館まで自転車で目指そう」

 

 

浅野らはお金を払って、自転車を借りた。創真はレアの方を向いて云う。

 

 

『僕の後ろに乗る?』

 

 

『えぇ、勿論!』

 

 

そして、その会話を聞いた倉橋はまたムッとつまらさそうな表情を浮かべる。創真は自転車のペダルを漕いで、自転車を前に進める。

 

 

「ひゃー、気持ちいいな!自転車使うの、約3年ぶりだなー!」

 

 

「お前、事故ったら責任重大だからな!」

 

 

「分かってるって隼。そんなに心配することはないよ」

 

 

創真は笑いながら云後ろのレアにも創真は話し掛ける。

 

 

『どう、レアちゃん?』

 

 

『すっごく気持ち良い!ねぇねぇ、もっと飛ばして!』

 

 

『王女様のお頼みとあらば、断るわけにもいきませんなぁ。安全運転で、スピードアップ!』

 

 

創真はギアを上げて、さらにスピードを上げる。レアは創真に掴まりながら楽しそうに笑う。自転車に乗った集団は冬の冷たい路面を駆けて行った───────────。




近いうちにまた投稿するかも。

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