智識無いから相手側の作品の話を全部読んだよ!面白かったよ、うん!!
早く読んで寝なさい!!
(まさか、本当に来ちまうとはな…………)
ノーネームはそう考えながら廊下を走る。
(あと10分だっつーのに……………あの兵器は起動した直後じゃなきゃ壊せないのに…………創真は恐らく手加減しちゃ勝てねぇ。だが、殺すのは───────)
「ノーネーム君」
振り返ると、そこにはクローバーがいた。
「なんだよ。今から出るところだが」
「いえ、私はちょっとしたプレゼントをあげようと思いまし…………………て!」
「!!くっ……………」
ノーネームの胸に、紫色に発光するナイフが突き刺さった。
「てめぇ……………何を…………………」
「考えたのですが……………君ではこれから来る友達を皆殺しに出来ません。何故なら、意外にも君は情が深い。あの学院でさらに強まった………………なので、君のマインドコントロールに加え、感情を完全に失わせていただきます」
「何だと!?」
「ご安心を。解除はします……………あなたが彼等を皆殺しにしてから」
それが、ノーネームの意識を失う前に聞いた最後の言葉だった。
「……………改めて見ると、本当に不気味ね」
フィーベルの言うとおり、近くに来て見ると禍禍しい。ラスボスがいそうな雰囲気だ。
「ここにルーク君が………………」
「敵かどうか、は別としてな。本音を言うと、敵じゃないことを祈ってる」
やはり、創真もルークが敵に回ったと信じたくはないんだろう。
「よし、中に入ってあやつを探すぞ」
キョウヤが足を一歩前に出したその時だった。
「『魔術を持つ自分に勝てる者がいるのか?』、と彼は言ったが……………どうやらいたようだね」
その声は上から降ってきた。
その人物を…………………フィーベルとキョウヤは知っていた。
「ジャティス・ロウファン……………!!お主もいたのか!」
「そうだよキョウヤ君」
「あー……あんたが誰だか知らないが、とりまルーク君は何処に?」
そう聞いた直後、ジャティスの後ろから足音が聞こえる。
ゆっくりと黒いフードを被った────────ルークが現れる。
「ルーク、本当にお主がクローバーをここに呼び寄せたのか!?」
「…………………………」
「…………………答えてよルーク!」
「…………………………」
無言。
「………………ねぇ、ルーク君………いつもと雰囲気が違う気がするんだが」
創真に言われ、ジャティスも顔を覗き込む。
「どうしたんだい、ルーク君。少しは何か喋り」
その言葉は最後まで続けられなかった。ジャティスが吹き飛ばされたからだ。
「……………痛いじゃないか。幾ら僕の事が嫌いでも一応仲間だろ?」
ジャティスが薄い笑みを浮かべながら言うが、ルークは何の反応も示さない。
「ふむ…………………『超推理』」
創真は眼鏡を掛けて、ルークをまじまじと観察する。
「…………マインドコントロールか」
「え!?」
「ルミアちゃん、残念だがこいつは操られてる」
だから様子がいつもと違ったのね。
「こいつは困ったね。今のあいつなら躊躇なく僕らを殺しに掛かるだろうねぇ」
「そのわりには余裕そうだが……………」
「一応まだ奥の手があるからね。通じれば良いんだが。キョウヤ君、3人をよろしく」
「まさかお主、1人でやる気なのか!?」
「頼んだよ」
その声はキョウヤに有無を言わせない迫力があった。
「了解した……………死ぬでないぞ?」
「僕、彼女いるから死ぬわけにもいかないんでね~」
そう言って創真は何か呟く。すると、創真の姿が初めて会ったときの姿に変わる。
「まったく、やはり君は何処かぬけてるな…………やれやれ。ポンコツか」
「…………………す」
「ん?何か言った?」
「コロ……………ス!!」
ノーネームはクリスタルウエポンを全て中に浮かせ、総攻撃を開始した!
創真side
一言で言うとなめてた。
こんな能力まであるとはね。
汚れちまった悲しみに、を使ってまでしても、こっちが劣勢だ。
「……………でも、負けないよ!」
横向きの重力で、一気に突っ込む。
「『天に登りし暁よ』」
すると、風の壁が出現し突進を相殺された。
そして放たれる火の球を顔面すれすれで避ける。
「創真殿、後ろじゃ!」
見ると、先程の火球が追ってきた。
追尾式か!?
ドォン!!
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「創真殿!?」
黒煙に包まれ視界が悪くなった中、キョウヤは叫ぶ。
しばらくすると、視界が晴れてきたが────────
「!!」
創真は生き延びていたが、服はボロボロで、怪我をしていた。
「咄嗟に自分の衣服を高密度化して、攻撃を防いだ。人間失格へと切り替えるには時間が足りなかったからね………………」
そう言って、創真は再び戦闘を開始する。
「……………創真、手加減してる?」
「当然だろうね」
リィエルの疑問に答えたのはジャティスだった。
「彼の目的はルーク君を無力化すること。ルーク君の目的は皆殺しにすること。根本的なゴールが違う……………キョウヤ君、助けに行ったらどうだい?」
「その間に3人に何かあったらいかんからのう」
ジャティスが敵なのか味方なのか……………ぶっちゃけ、前者の方の可能性が高いが…………まだはっきりしていないからだ。人質にでも取られたら最悪な状況になるに加え、創真から彼女らを託されている。だから、信じて見守るのだ。
「ガバッ!」
キョウヤ達の元へ来た──────いや、吹き飛ばされてきた創真。
「創真君、腕が!!」
腕にナイフが数本突き刺さっていた。いや、それだけでなく……………全身深手を負って血だらけだ。
「参ったね。君死給勿は瀕死じゃないと使えない……………まだ死なないねこれじゃ」
「ならば儂が……………」
「回復するまでの一瞬を狙ってくるな」
一瞬だけでも今使っている異能力を解除しなければならなくなるので、その間は殺りたい放題になる。
君死給勿は瀕死状態でのみ、外傷を完全に治せるが、それでも限度は存在する。
思考を練っていると、辺りを白い光が包んだ。
それが収まると、人間にも龍にも見えなくはない………………一言で言えば『神』が降臨していた。
ノーネームの切札、バハムートだ。
「不味いね。アレは僕を倒したものだ…………」
ジャティスが苦い表情を浮かべる。
「仕方ない。これは強大すぎるし、調整もまだ終わってなからったから封印していたが………………今が使うときだね」
ボロボロの創真。だが、その眼はいつも通り笑っている。
「………『メガフレア』」
ノーネームはそう言うと、バハムートは青い火球を10発以上放った。
それらは変則的な動きをしつつ、多方向から襲い掛かる!!
創真は慌てず、天空の剣を取りだし、しっかりと握る。
そして────────────
「異能力…………………『天衣無縫』」
最強の異能力の名前を呟く。
しかし、キョウヤ達から見れば、火球が勢いが止まる様子はない。
「くっ……………」
思わずキョウヤが悪態をついたその時だった。
「………………な!?」
創真は天空の剣を使って、初弾を破壊した。
そして、流れるような動作で、キョウヤに当たるはずだった火球を破壊していく。
次にルミア、そしてフィーベルと……………まるで、『誰にどの順番で火球が当たるか』を把握しているような動きだった。
この火球、無属性であるため弱点はなく、神に近い存在なため、火球を破壊するなど文豪の世界の威力を以てしても無理だろう。しかし、天空の剣はホリー達の世界の神から信託された剣。神の力には神の力を…………的な発想だ。
「……………流石だね」
そう呟くと、創真は急接近する。
バハムートはもう一度大量の火球を放つ。
しかし、創真の動きに迷いはない。
何故なら、どの火球が当たるのかを視てきたからだ。
「………………彼は未来を読んでいるようだね」
ジャティスの言う通り、天衣無縫は……………5秒以上6秒未満の未来を視る。
創真が急接近したことで、バハムートは大剣を振るうが……………もう彼に攻撃は通らなかった。
『グォォォォ!!』
そう叫びながら剣を降り下ろすバハムート。
「もう当たらないよ。当たる所を視てきたからね」
キョウヤ達から見れば高速で降り下ろされる大剣をすれすれで避ける創真。
「『オールデリート』」
天空の剣は赤く輝き、刃がバハムートを貫いた瞬間、霧散していった…………………。
それと同時に、ルークと創真は地面に倒れた。
「………………やっぱ天衣無縫はきついね」
創真は何とかだが、意識はある。
ルークに関しては完全に意識を失っている。
「そ、創真殿…………ルークは大丈夫なのか?」
「多分ね。マインドコントロールも解けてる」
「それはなりよりじゃ…………流石は創真殿」
「ええ、全くです」
全員が何処からともなく現れたその言葉の主、クローバーを直視する。
「ブラボーブラボー。創真君と言ったかね?よくぞ、邪魔者を倒してくれたね」
「…………邪魔者?」
「不思議そうな顔をしてるね。全て教えてあげるよ。ルーク君とジャティス君は今回のみ協力体制を取り、私に近づいた。本来なら、ルーク君が何処かのタイミングで私に仕掛け、その間にジャティス君が私の兵器を破壊するはずだった。しかし、君達が来たことにより、本来の作戦は実行できなかった。苦し紛れの足掻きか、いつのまにか爆弾が設置されていたが、外しておいたよ」
隣を見ると、ジャティスが苦い表情を浮かべている。
この推理はほぼ正解なのだろう。
「だが、私がルーク君を操って君達に差し向けてみた結果、私が手を下すまでもなく、ルーク君を無力化出来た………………」
「人の掌の上で踊らされたというのはなんか嫌だね……隼の気持ちが分かった気がするよ」
「ククク………では、ルーク君は貰っていくよ」
「させるか!!」
キョウヤが目に見えぬ速さで襲い掛かるが、クローバーはそれ以上に速かった。膝蹴りを喰らわせ、一瞬でダウンさせる。
「君は脆いな」
そう云うクローバーは指をパチんと鳴らすと、上空に赤いリンゴ型の巨大結晶が出現した。これが、彼の云う兵器なのだろう。そして、その赤い結晶はエネルギーを発生させ……………ルークは一瞬で飲み込まれる。
「さぁ………………『龍』が目覚める………!!」
クローバーが歓喜の声をあげる。
その言葉通り、ルークを飲み込んだエネルギーは形を変え………………龍となった。
「お主、何が目的じゃ………………!?」
「この世界の終焉さ…………この世はつまらないからね。今まで集めた結晶のエネルギーを凝縮し、さらに彼の特有の魔力を使ってエネルギーを暴走させ、産み出されるエネルギーが神を作り出す!私はもう神も当然……………手始めに、君達の町を滅ぼしてあげるよ!!」
クローバーは龍の頭に乗る。龍は一際大きな咆哮をあげ、町の方へ飛び去っていった…………………。
to be continue…………
『汝、陰鬱なる汚濁の許容よ。改めて我を目覚すことなかれ』
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