ファンの方から4件要望が来まして。しかも、同じ異能力を。
次の話で登場します!
クローバーは、2人を隣の部屋にある……………『コレクションルーム』に案内した。
「!!」
ノーネームは一目見ただけで驚愕した。
天井、壁にずらりと赤い結晶が並んでいたのだ。
「どうかな?これが私のコレクションだ。この霧の中で、分離したもう1人の自分に殺されれば、結晶となってここに転送される。しかし、弱点もある。分離したもう1人の自分は霧の中でのみしか活動できない」
ノーネームはクローバーが話すのを上の空で聞いていた。
自分も相当な量の屍を築き上げてきたが、クローバーは同等以上だった。
「素晴らしいコレクションだ。悪魔も羨ましがるだろうね」
「ジャティス君にそう言われると妙に説得力があるね」
「どうだか…………………」
すると彼等の目の前で、結晶が転送されてきた。
「どうやら、この霧の中でまた誰か死んだようだね……………だが、私が求めている結晶ではない」
クローバーは結晶を手に取り、そして直ぐに戻した。
「つまらないね………………では、私は失礼するよ。魔物の増援を送らないといけない頃合いだろうしね。後は好きにした前」
「おい、待てよ」
去ろうとするクローバーの背中にノーネームは声を掛ける。
「あんた、そう簡単にこの国の魔術師が殺られると思ってんのか?」
「………………ノーネーム君」
クローバーは振り向き、不敵な笑みを浮かべながら言った。
「自分自身に勝てる者など…………いるのかね?」
「いやー……………強すぎるね」
珍しく弱音を吐く創真。
ルミアとシスティーナの偽者を相手しているのだが、超すばしっこい。
元々運動神経が良いのだろう。
絶体絶命……………………と、思いきや
(奥の手使うか?いや、アレはな……………疲れるし、ここで使うのも勿体ない…………なら、別の手を使うか)
まだ手がある様子。
そう考え、創真は2人に指示を出す。
「フィーベルちゃん、ルミアちゃん!10秒稼いで!」
「「え!?」」
「さっき渡した球体に押すとこあるでしょ?そこ押して投げて。5秒後にドッカーンってなるから!」
そして、創真は森の中に姿を消した。
「わ、分かった!」
「押して投げれば良いんだよね?任せて!」
ルミアとフィーベルは、先程渡された球体のスイッチを押した。
起動した爆弾は、ピッ、ピッ、と電子音を奏でる。
すぐさま偽者に向かって投げる。
残り4秒!
パシッ。
「「え?」」
まさかのキャッチ。
残り3秒
からの、投げ返された!?
残り2秒
「させぬ!」
「やらせない!」
タイミング良く、キョウヤとリィエルが間に割って入り、剣でバットの如く、打ち返した!
残り1秒…………………!!
ドコ────────────ン!!
大爆発。
リィエルとキョウヤは爆風で吹き飛ばされる。
「2人共大丈夫!?それと、偽者はどうなったの!?もしかして、あなた達が偽者!?」
「る、ルミア殿、一旦落ち着くのじゃ…………偽者はさっき漸く倒した。リィエル殿もな。そして、儂達は正真正銘本物じゃよ」
その言葉に、ホッとした表情を浮かべるルミア。
「しかし………………………………」
キョウヤは爆発で出来たクレーターを見つめる。
すると、偽者の2人が出てきた。
「………………簡単には殺られぬか」
キョウヤはガーベラストレートを握りしめ、2人と対峙する。
「………………君達、下がりたまえ」
そんな声が聞こえたかと思えば、いつの間に現れたのか、創真がいた。
しかし、その姿は異様だった。
足は虎化し、さらに布化した黒獣が形成した黒い外套を身に纏い、手も布で覆われ、強大な禍禍しい爪が特徴的だった。
「これが奥の手。月下獣羅生門…………《黒虎絶爪》」
そう云うと、虎の足の瞬発力を活かして一気に接近する。
『───────────────!!』
偽フィーベルは慌てる素振りを見せず、詠唱をする。
どうやら、本物より肝が座ってるようだ。
手の平の魔方陣から高エネルギーの光が放たれる。
イクスティクション・レイ。光線みたいな物だ。
破壊力抜群の高度な呪文だ。
「危ない!!避けて!!」
その魔術を知っていたフィーベルが声をあげる。
「避けるまでもないよ、あんなの!」
そう言って、創真はそのまま突っ込んでいく…………!
「…………………え!?」
目の前で起こっていることが、誰も信じられなかった。
なんと、光線を真っ二つに裂いたのだ。
月下獣の虎の爪には、魔術を切り裂く効果がある。
さらに羅生門の布化させた黒獣をまきつけ、その効果を拡張させれば……………防御不能の神刃となる。
「……………創真殿、お主は何者なんじゃ………」
呆然としたキョウヤがポツリと呟く。
「ちょっと頭の回転が早い……皆は私を天才と呼ぶ」
光線を完全に受け流した創真は、腕を大きく振った。
その瞬間、近くの木も巻き添えに偽者を切り裂く。
切られた偽者は霧散し、粒子となった。
そのまま、淡い光を放ちながらフィーベルとルミアの身体の中に入っていった。
「…………これで魔術が戻ったの?」
「試してみなよ。ショックボルトとかで。それが手っ取り早い」
「「『雷精の紫電よ』」」
フィーベルとルミアは同時に詠唱をする。
すると、2人の手のひらの魔方陣から電撃が放たれた。
「や、やった!魔術が戻った!!」
「よ、良かった……………」
反応はそれぞれ、2人は喜びの声をあげる。
「ねぇ、2人とも。前を見て」
リィエルに促されて2人が前を見ると……………………そこには、禍禍しい雰囲気の城が立っていた。
「ここが目的地……………?」
「そう。骸砦、と呼ばれてる廃棄された高層建築物…………ここにルーク君がいるはず…………ねぇ、皆。仮にルーク君がこっちを殺そうとしたらさ………
殺すから」
「……………ッ!!ダメ!そんな事許さない!!」
フィーベルが大声をあげる。
「何より……………お主では殺せぬ。お主に魔術が効かぬとしても、あいつにはまだ切り札がたくさんある……………『神』とかのう」
「………………ハハッ」
しかし、創真は余裕そうな笑みを浮かべる。
「悪いけど、その神を以てしても……………勝てるかな?あの異能力に」
創真には恐るべき秘密兵器が隠されている。
最強の異能力……………………『天衣無縫』
そして……………………あの、『重力の化身』
「……………兎に角、あいつは殺すな。あいつが敵側につくなどあり得ん」
「……………それは良いよ。今でもよく分からないんだよね。ルークは敵か?味方か?………もし完全に敵側だと分かったら………………容赦しない」
そう言って、創真は独り骸砦に向かっていく。
その創真の後を少し距離を取りながら、キョウヤ達もついていくのだった。
「……………………どうやら、お客が来たようですね」
クローバーは紅茶の入ったティーカップを静かに置く。
そして、通信機に向かって話し掛ける。
「ノーネーム君、お客さんが来たので手厚く歓迎してあげてください」
『……………分かった』
「あと20分程でアレが完成するんですけどねぇ。あぁ、それとですね」
『なんだよ』
「皆殺しでお願いします」
『…………………了解』
そして、通信は切れた。
「フフフ…………皆殺しと言ったはものの、彼は本当にするのですかね………………?まぁ、どちらにせよ私の計画通りです……………それにしても、彼は面白い人です。何故なら……………………………
彼が『龍』を目覚めさせる鍵なのですからね」
文ストファンの心境?『織田作──────!!』
artisanさんは恐らく知らないであろう、謎の異能力。調べん方が楽しみは増しますよ?
誰も『未来』は読めませんよね?
THE NEXT story 6/15 PM 22:00
14日は模試なので、すみません!