「………………来たか」
デュオの視線の先には、ゴーレムとか骸骨っぽい奴とか、まぁたくさんいる。
「ざっと……………1000体位か。1人200人がノルマかな?」
「あーあ。そりゃめんどくさい事で」
相変わらず面倒くさい宣言をするグレン。
「ま、この町を傷付けさせるのは見過ごし難いんでね。いっちょやりますか!」
さっきまでの発言とは正反対に、グレンは意外とやる気満。
「ちょ、ちょっと待ってよ!どういう作戦でいくの!?」
ホリーは一瞬黙考し、直ぐ口を開く。
「じゃ、僕とデュオで軍団に突っ込むからさ。殺りそびれた奴等を始末してもらって良い?セラさんは掩護射撃よろしく~。あ、こっちで避けるから、乱射で良いよ」
「任せろ!」
「分かった」
「了解!」
上から、グレン、アルベルト、セラである。
「さて…………パーティーの始まりだ」
「ぞくぞくするねぇ」
デュオは鎌を。ホリーは二刀の剣を持ち、魔物の軍団の中に突っ込んでいった。
突っ込んで間もなく、魔物の悲鳴やら叫び声が聞こえてくる。
「ほんと、人外の強さだよな…………あいつら」
「え、でも人じゃないんでしょ?」
「まぁ、そうなんだがな。見かけはどう見ても人なんだけどな………………」
「来たぞ」
アルベルトが話している2人に構えるように促す。
「よぉし!なら、この銃の威力を試してやるか!」
グレンはビームマグナムを構え、引き金を引いた瞬間、一瞬の間の後にビームの塊が放たれた。
見事に、魔物の胸部に直撃した………………………
だけでは終わらない。そのビームの塊は止まることなく、貫通。そして、別の魔物の胸部にもヒット。からの貫通…………………それが何度も繰り返される。
グレン達は分からないが、今ので80体程仕留めた。
「す、すげぇぜこの銃!!おい、見たかアルベルト!今の俺のかっこいい」
「自慢は後にしろ」
そう一蹴して、アルベルトもビームソード、ヒートロッドを振るって倒していく。
「そうだよグレン!今は戦いに集中して!それにしても、この銃凄く扱いやすい!」
創真が改造したグレネードランチャー。反動も銃声もほぼ無く、扱いやすい仕様になっている。
そんなこんなで、この時代にはない近未来兵器を駆使して、どんどん駆逐していく…………………
そんでもって、きっかり15分後。
一般的なカップラーメンのお湯を入れてからの待ち時間の5倍の時間が経った。
まさかの、討伐完了。
「よっしゃー!終わったー!」
「ホリー君、残りの魔物はいない?」
「索敵したけど、回りにはもういないね」
その言葉に、皆は安堵の表情を浮かべる。
だが、まだ終わった訳ではない。
「しかし、まだ肝心の魔術が戻った訳ではない…………どうすれば戻るのか……………」
アルベルトは考えてみるが……………見当がつかない様子。
「あ!!」
セラが何か思い付いた様子。
「どうしたのセラさん?」
「ねぇ……………キョウヤ君は魔術・錬金術を分離された偽者の自分に襲われただよね?」
「そう言ってたね…………それがどうかしたんです?」
ホリーはまだ気づいてない様子。
「その……………偽者の自分って今何処にいるのかなー───────って」
「「「………………あ」」」
その時、足音が聞こえた。
何か嫌なフラグが立った予感がして、後ろを振り向くと…………………
「「「出た────────────!!」」」
自分達の偽者がいた。
「くそ、本命を忘れてたぜ!セラ、その武器で倒してくれ!俺のは弾が切れた!」
確かに、まだ奴等との距離がある。
ここは中距離から遠距離向きの武器であるグレネードランチャーが有効だろう。
「わ、分かった!発射!!」
グレネードランチャーの銃口から炸裂弾が全弾、山なりの軌道に撃ち出される!
『……………………………!!』
偽セラが何か呟いたかと思うと…………大きな風が吹き荒れた。
その瞬間、炸裂弾の勢いが止まった。
「「「……………え?」」」
しかし、まだ終わらない。
何と、その弾丸………………まっすぐ戻ってくるではないか。
「ギャ─────────!!こっちに戻ってきた!!」
「ぐ、グレン!今までありがと!!」
「ざっけんな!!こんな所で人生終わってたまるか!」
「早く避けろ!」
「『空間断絶!!』」
「おお!それは使えるのか……………って、全部防げてねぇじゃねぇか!?」
「無念」
ドガーン!!
一方その頃………………………
「あー……………待ちぶせされてたか?」
ルーク達がいると思われる場所に急行している最中、あと少しで到着と言うところで、創真を除く4人の偽者が現れた。
「仕方ない。ここで倒していこう。それに、偽物を倒せば魔力戻るかも」
「ほんとに!?」
「まぁ仮説だけど………………」
そう呟きながら創真はキョウヤとリィエルの方を向く。
「キョウヤ君、リィエルちゃん。これあげる」
創真が指をならすと、2つの武器が転送されてきた。
「キョウヤ君には、この刀…………ガーベラストレートを」
「……………ふむ。良い刀じゃ」
「創真、これは?」
「ソードメイス。切れ味ヤバイ」
「ん。分かった」
「えっと創真君、私達のは!?」
「え………………ルミアちゃん達の?えっと………………じゃあこれ!」
創真は丸い物体を2人に1つずつ渡す。
「えっと……………これはどうやって使うの?」
「あ、それはね……………って、危な!!」
いきなり大剣が飛んでくる。
偽リィエルが投げたものだ。
「創真、ルミア達をお願い。あの偽者は私がやる!」
「儂も、けりをつけるかのう」
「じゃ、よろしく~」
創真はいきなり地面のなかに手を突っ込んだかと思うと、直ぐに創真専用の剣と銃…………天空の剣とドミネーターを取り出す。
「さぁ、始めよう。2人は下がってて」
「そ、創真君!死んじゃダメだよ?」
ルミアが心配そうに云う。心配そうなルミアの表情を見た創真はルミアの方を向いて、頭をポンポンと撫でた。
「ご安心を。僕が生きてる間は誰一人死なさない。絶対に」
不思議と、その言葉が虚勢じゃないとルミア達には分かった。心の中に安心感が生れた。
「よし……………行くか!」
戦闘開始!!
そして、ノーネームは長い廊下を歩いていた。
ここは、砦と城のミックスした、そんな場所。
長い廊下を抜け、大きな扉を開けると……………
「やぁ、ルーク君。遅かったね」
宿敵という言葉がお似合いの……………ジャティスがいた。
「…………軽々しく話し掛けるな。第1、何故ここにいるんだ?」
「彼がしようとしていることが、僕の正義に合っているからさ。だから、協力するんだよ…………君もだろ?」
「…………………………」
ノーネームは何も言わず、近くにあるガラス窓に歩み寄り、外の風景を眺める。
すると、第3者から新たな声が掛かる。
「つまらなくないのかね、ノーネーム君」
そこには、白髪の男……………いや、少年がいた。
「『クローバー』…………いや、暇じゃないさ。これから、この町を頂くからな」
「どうかな。彼は君を利用して裏切るだけかもよ?」
ジャティスが余計な口を挟む。
「どちらにせよ、私の予測を越えた者は誰一人いない。期待しているよ」
そして、クローバーは飾ってあった髑髏を手に取る。
「今回も、結果は見えている。今夜…………………
全ての術が私の物になるだろう」
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