創真side
「うーむ………」
突然だが、悩んでます。
「創真君、どうしたの?」
「ああ、渚君か。奥田さんが毒殺を試みてただろ?他の種類でも殺せる毒はないかなーって思ってね」
「なるほど…」
奥田さんはお得意の化学で毒殺を試みたが、それは殺せんせーの表情を変えるしか、効果がなかった。で、殺せんせーと一緒に新たな毒薬を作ったのだが、それは殺せんせーの細胞を活性化させる物だった。
殺せんせーが言いたかった事は、毒を渡すためには奥田さんが苦手な国語力も必要。今回のように鵜呑みしては標的に利用されて終わり。創意工夫をする必要がある。君の理科の才能は将来皆の役に立つ。それを多くの人に分かりやすく伝えるために、毒を渡す国語力も鍛えてください……って言ってた。
しかしその件で思ったのは、他の毒はどうなのかな?って事。
毒殺も良い選択肢だと思う。とりあえず考えては見るが…………角が映えたり、顔色が変化するだけで終わりそうな気がしなくもないのだが。朝のホームルームのため、教室に殺せんせーと烏間先生と………誰だあの金髪の女の人は?
「今日からE組の外国語の臨時講師を紹介する」
「イリーナ・イエラビッチと申します。みんなよろしく!」
まず、なんで殺せんせーとべたべたしてる………?
「本格的な外国語に触れさせたい……それが学校の意向だ。英語の半分は受持ちさせるが、いいな?」
「仕方ないですねぇ」
………ん?そーいえば、人間じゃない殺せんせーが女の人にべたべたされたら…………どうなるのかな?
「にゅやぁ………………」
結論。普通にデレデレだった。やはり、先生も男だ。
「ああ、見れば見るほど素敵ですわ。その正露丸のようなつぶらな瞳。曖昧な関節。私、虜になってしまいそう」
「いやあ、お恥ずかしい」
殺せんせー、デレデレしすぎだろ…………しかし、この女は裏がありそうだ。
だがその前に…………頼むから殺せんせー、そんな見え見えの女に引っ掛からないでくれ。見てるこっちが何か情けなってくる……………。
休み時間、殺せんせーと暗殺サッカーをやってるのだが……………意外と楽しいが、殺すことはできない。今のところ誰もダメージを与えられてない。
そこにイリーナ先生が来た。
「殺せんせー!聞きましたわ。足がすごく早いんですって?」
「いや~それほどでも」
マッハ20は十分速いとは思うんだが。
「実は私一度本場のベトナムコーヒーが飲みたくて。私の授業の間に買ってきてくださらない?」
「もちろんです。良い店を知ってますから」
そう言うと殺せんせーはマッハで飛び立って行った。それと同時にチャイムが鳴った。
「…えーと……イリーナ先生?授業だし教室に戻りますか?」
磯貝君が声を掛けると──────
「授業?適当に自習でもしてなさい。あと気安くファーストネームで呼ばないでくれる?……そうね、『イエラビッチお姉様』と呼びなさい」
──────豹変ぶりが凄かった。まぁ、こんなもんかと薄々思ってはいたが。
「………で、どうすんのビッチ姉さん」
「略すな!」
ナイスだ、カルマ。
「あんた殺し屋なんでしょ?クラス全員で殺せないモンスターをあんた一人で殺せるの?」
「ガキが。大人には、大人のやり方があるのよ。…潮田 渚ってあんたでしょ?」
そのまま流れるようにビッチ姉さんは渚にディープキスをした。数秒で渚は骨抜きされ、その場に崩れ落ちる。
「後で職員室に来なさい。あんたが調べた情報を聞きたいわ。他にも情報を持ってる子は来なさい。プロは技術も人脈もすべてあるのよ。無能なガキは外野で大人しく拝んでなさい。……あと少しでも邪魔したら殺すわよ」
やって来た屈強な男から銃を受け取って、そう言い放った。
「ふーん………僕の予想ではあなたの暗殺は失敗に終わる。ま、確率としてはまだ50%だがな」
「そう。なら決行までに100%にしてやるわ……って聞け!!」
最後まで聞く時間が勿体ないので教室に戻った。
とりあえずこの先生は……嫌いだ。僕も含め皆はそう思った。
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