結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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今から3分前に書き終わりましたw


第167話 ハッピーバースデーの時間

「なぁ、殺せんせー。完全防御形態であのビーム防げる?」

 

 

「恐らく無理でしょうねぇ…………所で、ホリー君達は?」

 

 

「別行動してる。何してるかは知らんが」

 

 

創真は、はぁ、とため息をつく。

 

 

「殺せんせー、何とかして逃げよ!!私たちが人質にでも何でもなるから!」

 

 

倉橋の訴えに、殺せんせーは首を振る。

 

 

「ここまで来てしまった以上、もう止めないでしょう。地球の命運が掛かってますから」

 

 

ふと、創真は殺せんせーに聞いてみたい事が出来た。

 

 

「殺せんせー、あなたはこうなることを予期してたんじゃないか?」

 

 

「まぁ………………仮に爆発せずとも、これだけ強大な力を持つ怪物は殺しておきたいと世界が考えるのは当然てすから」

 

 

「…………まぁ、そうだな」

 

 

「それほどまでにこの作戦は完璧でした。世界の技術と英知が先生の能力を上回ったことに敬意を感じ、ターゲットであったことにすら栄誉に感じます」

 

 

しかし、皆は納得できない。出来る筈がなかった。

 

 

「じゃあ…………私達が今までやってきたことは無駄だったの…………?」

 

 

矢田が本音を漏らすが、殺せんせーは否定する。

 

 

「そんな訳ありません。君達のお陰で先生が爆発する確率が1%以下と分かり、そこから沈んでいたE組の明るさが戻り、1ヶ月間短かったですが非常に楽しかった。その過程が、心が大事なのです」

 

 

「……………………この暗殺計画もそうだが、社会の渦とは嫌なものだな、全く」

 

 

「ヌルフフフフフフ。創真君、皆さん。もうひとつ先生からアドバイスをしましょう」

 

 

そう言って殺せんせーは語りだす。

 

 

「この先、社会の壁に阻まれて思うような結果が出せないことがあるでしょう。しかし、社会に原因を求めたり、否定してはいけません。世の中そういうもんだ、と悔しい気持ちをなんとかやり過ごしてください。その後で考えるのです。社会の激流が自分を翻弄するなら、その中で自分はどう泳げばいいのかを」

 

 

殺せんせーは続ける。

 

 

「やり方は学んだはずですよ?色んな戦い方はこの暗殺教室でたっぷり学びました。やる気をもって試行錯誤すれば、必ず素晴らしい結果がついてくるはずです。君達は優秀な暗殺者なのですから」

 

 

「けっ、ここでも授業かよ」

 

 

そんな皆の気持ちを代弁するかの如く、寺坂が呟く。教育者たるもの、チャンスは見逃しませんよ、と殺せんせーはいつもの調子で云う。

 

 

「それに、君達が私を助けようとしてくれたこと、涙を堪えてた位嬉しかったですよ」

 

 

(…………………何でそんなに落ち着いてられるんだよ、殺せんせー)

 

 

渚は心の中で殺せんせーに問い掛ける。

 

 

(E組に来なければ、普通に生きれたかも知れないのに。僕らは──────────────)

 

 

「所で中村さん。何やら甘い匂いがするのですが?」

 

 

甘党日本代表(?)殺せんせーがわくわく、と言った表情で問い掛ける。

 

 

「確か雪村先生は今日を殺せんせーの誕生日にしたんだよね。だから、バースデーケーキを持ってきたんだよ」

 

 

その姿を見せると、殺せんせーは顔を輝かせる。

 

 

「それ、中々高いんだよね。中村さんが崩さないように持ってきたんだから、感謝しな……………聞いてないな」

 

 

創真の言葉にウンともスンとも反応しない。今の殺せんせーの頭はケーキの事しかないようだな。

 

 

「ちょ、よだれが垂れる!皆、早く歌うよ!」

 

 

蝋燭に火をつけ、皆でバースデーソングを歌う。歌う彼等を、烏間らより早く着いた氷室と、創真の、隼と碧海の父親が微笑ましく見つめる。

 

 

「おら、早く消せって殺せんせー!1本しかないから慎重にな!」

 

 

その言葉通り、殺せんせーは息をすうっと吸って、蝋燭の火を─────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッピーバースデー。世界一残酷な死をプレゼントしよう」

 

 

何かがバースデーケーキを撃ち抜いた。

 

 

そして、今の声の主は柳沢だった。そして、飛んでくる3つの影。

 

 

1人は──────────化け物。あとの2人は──────────────ホリーとデュオだった。満身創痍の姿の、だ。

 

 

「……………まさか……………お前ら、先走りやがったな?」

 

 

「悪いね、創真……………止められると思ったが、甘くはなかったよ」

 

 

ホリーが力なく笑う。

 

 

「先生、ボクがダレだかワカルヨネ?」

 

 

「ッッ…………………!!」

 

 

2代目死神の変わり果てた姿に殺せんせーは息を呑む。

 

 

「いやー……………どうやったら、こんな化け物になるんだろうね」

 

 

「そのタコと同じ改造を施しただけさ。想像できるか?人間の時ですら、君達を圧倒した男が、比類なき憎悪と触手を手に入れた…………その破壊力を!」

 

 

そして次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………は?」

 

 

創真らの体が宙に浮いていた。何をされたのか、すぐには分からなかった。

 

 

「ホリー!!デュオ!!」

 

 

創真が叫ぶと、ボロボロだが、それでも2人は宙に浮く創真の体に向けて翔ぶ。憑依し……………白と黒の翼を広げ、綺麗に着地する。

 

 

「今のは………………ソニックブームだな?」

 

 

「流石は創真君だ。彼の初速はマッハ2。最高瞬間速度は、マッハ40!!」

 

 

2代目死神は殺せんせーに向けて触手のラッシュを開始する。悔しいが、ホリーの力があろうとそれでは殺せんせーを援護できない。

 

 

「2代目の動体視力と直感力は、触手によって超音速の世界にも容易く順応した。最大の違いは継続的運用を入れない設計!消滅時にも爆発の心配はない。完璧で安全な兵器だ!!」

 

 

「要は、2代目も使い捨てって事か」

 

 

「そうやっていつも………………!!」

 

 

怒りの籠った声とともに、茅野が言い放つ。

 

 

「他人ばっかり傷付けて、自分は安全なところから!!」

 

 

そして、創真も云う。

 

 

「やはり、君には救済が必要だな」

 

 

「……………誰がこの俺を救済できると?」

 

 

「さぁ………………天使か……………それとも悪魔か」

 

 

「クククククク………………面白い」

 

 

そう言って柳沢は注射器を取り出し、首筋に突き刺す。

 

 

「…………………まさか」

 

 

「命などどうでも良い。全てを奪った奴さえ殺せればな!全身ではなく、体の要所に触手を埋め込めば、人間の機能を保ったまま超人になれる!モルモット、お前を可愛い生徒の前で死なせてやる!」

 

 

そして、殺せんせーの背後を取り、攻撃しようとする。

 

 

 

 

ドカアッ!!突如、柳沢は吹き飛ばされる。

 

 

「……………やはり邪魔をするか、結城 創真」

 

 

「まぁね。殺せんせーを殺したければ、僕を倒してから行き給え!」

 

 

「ほう。面白い……………ならば、殺してやろう!!」

 

 

「殺れるもんなら殺ってみろよ!!」

 

 

柳沢VS創真の戦いも始まった。




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