結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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タイトル、我ながら変やなぁ………………。


では、どうぞ!


第163話 親子対決(!?)の時間

「て言うか、どうしてここに?」

 

 

「おいおい。お前は俺の息子だぞ?息子の行動パターンを予測するなんて容易いものよ」

 

 

「卒業式までに戻ってくるとは確かに聞いてたけど、このタイミングでか……………僕らを捕まえに来たの?」

 

 

「……………………………」

 

 

創真の父親は何も言わない。

 

 

「………………親と言えども容赦はしないよ、邪魔するなら」

 

 

創真の宣言と同時に、ホリーとデュオは剣と鎌を構える。まさに一色即発の雰囲気だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アーハッハッハ!」

 

 

そんな雰囲気を破ったのは、創真の父親の高笑いだった。

 

 

「心配すんな。俺はお前らを捕まえに来た訳じゃねぇよ。協力しに来たんだよ」

 

 

「ほんとかどうかはさておき、何で協力しようと?」

 

 

「そりゃ、国相手に全面対決してんだろ?そんな面白いこと、俺抜きでやるなんて言わせねぇぜ!」

 

 

「………………………」

 

 

それを聞いても創真はその真意を探るような目で父親を見ていたが、やがて、はぁ、とため息をついて、デュオとホリーに武器を下ろすようにハンドサインを出した。

 

 

「………………どーやら、嘘じゃなさそうだ」

 

 

「良いの?そう簡単に信じて」

 

 

「嘘を言ってるようには見えないし。それに、捕らえる気なら待ち伏せなんてしないだろうしよ」

 

 

「そうだな。捕らえる気なら、俺は麻酔銃でも使って、一発で終わらせるな。後ろの2人の人外君も、そう警戒するなよ」

 

 

「!!何でそれを…………」

 

 

デュオが珍しく動揺の声を漏らす。

 

 

「……………話は後だ。取り敢えず、もっと安全な場所に移ろうぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして場所を、横浜にある創真の父親の会社のビルに移る。このビル、高さが他のよりも群を抜いてる。

 

 

「さて、父さん。ホリーとデュオの事を何故知ってる?」

 

 

「フッフッフッ。そんなこと、俺に掛かればすぐ分かることよ。少し侮りすぎたんじゃないのか?」

 

 

「……………まぁ、良い。じゃ、2つ目。殺せんせーの事は初めから知ってたのか?」

 

 

「知ったのは最近さ。それに、俺はとある人物からその事を聞いた」

 

 

────────とある人物、ね。

 

 

「大体そのとある人物が誰か想像はつくけど…………そう言えば、暗殺の事は母さんも知ってる系?」

 

 

「おう、ばっちし」

 

 

「ふぅん………………」

 

 

質問は終わったのか、創真はジュースをストローで啜る。

 

 

「あの…………ここ、安全なんですか?」

 

 

「心配すんなよ、碧海さん。この窓ガラスなんて防弾仕様だからなー!すげーだろー!!な!!」

 

 

「は、はぁ…………」

 

 

創真の父さんのテンションに、若干碧海は引き気味だ。

 

 

「所で創真。お前、他のクラスメイトはどうしてんだ?」

 

 

「今、バリア周辺を探っている筈だよ。夜になったら電話掛けて、色々情報貰ってからこれからの行動を考えようと思ってたよ」

 

 

「……………なるほど、な。にしても、あの声明発表?嘘ばっかだろ。最近の大人は嘘を平気で付くから嫌なんだよな…………」

 

 

創真の父は沈み行く夕日を眺めながら呟く。

 

 

「……………なんだ碧海だけか。隼もいれば、直ぐに渡せていたのだがな………」

 

 

皆が声のする方を振り向く。

 

 

「お父様?」

 

 

そこには隼と碧海の父がいた。

 

 

「おい、父さん。殺せんせーの事、この人から聞いたんじゃないの?」

 

 

「流石創真、察しが良いな。やっぱ、裏社会に精通してるだけの事はあるぜ。にしても、3分遅刻だぞ」

 

 

「こっちは普通に仕事あんだよ。テメー見たいに海外を楽しく回る暇すらねぇ」

 

 

「ったく、酷い言い方だ。俺だってただ遊んでるだけじゃないのだよ」

 

 

「そう言えば……………渡す、って何をだ?」

 

 

デュオが訊ねると、隼と碧海の父親はダルそうに答える。

 

 

「柳沢の最終兵器対策の武器だよ。そこの海外大好き人間から聞いてないのか?」

 

 

「柳沢?何でその名が?」

 

 

「お、そうだった。良いか創真、柳沢って奴が何かヤバイ兵器を導入してくるらしい」

 

 

「ヤバイ兵器…………………………」

 

 

「まぁ、具体的に何なのかまでは分からないが……………取り敢えず怪物レベルだとか。警戒しとけよ?凄い力を持つお前しか対抗手段がない」

 

 

「そこまで知ってんのかよ………………いや、この際どうでも良いや」

 

 

「そーそ、この際どーでもいんだよ。さて、次にすべきことは…………………」

 

 

「すべきことは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腹減ったから、宅配ピザを注文しよう」

 

 

「「「…………………………」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM 7:00

 

 

一通り周辺の調査を終えた皆は、集合場所のコインパーキングに集まっていた。

 

 

「…………創真君達、大丈夫かな?」

 

 

「心配すんなよ渚。あいつらがそんな簡単に捕まんねーよ……………っと、噂をすれば……………」

 

 

隼は渚に着信相手の創真の名前を見せ、電話に出る。

 

 

『やぁ、隼。色々探れた?』

 

 

「それを今から報告しあうんだよ」

 

 

隼はスピーカーモードにして、創真にも皆の声が聞こえるようにする。そして、報告会がスタートする。

 

 

「バリアの回りには武装した大量の兵隊。外部から遮断するためだろう」

 

 

「マスコミや野次馬を防ぐだけでなく、テロの防止も含まれてるだろうね」

 

 

「各地の基地からどんどん人が集まってる。明日になれば、どう足掻いてもバリアの内部には入れなくなる……………」

 

 

『フムフム』

 

 

「なら、今夜のうちに強行突破っしょ。創真、こっちにすぐ来れる?」

 

 

『安心しろカルマ。3分で着く。皆も、装備整えとけよ?』

 

 

「うん!その後、ちゃんと世間に説明しよう!私達がどんな気持ちでやってき……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===================

 

 

『うん!その後、ちゃんと世間に説明しよう!私達がどんな気持ちでやってき……………』

 

 

この矢田の声の後、唐突に電話が切れた。切れた電話を無言で創真は見つめる。

 

 

「どうしたの創真君?」

 

 

碧海が不思議そうに創真に尋ねる。

 

 

「何か急に切れた」

 

 

「え、何で?」

 

 

「僕に言われても……………」

 

 

困惑気味の創真がそう呟いた所で、再び隼から電話が掛かってきた。すぐに創真は出る。

 

 

「もしもし、隼?まったく、急に切れるもんだからどうしたのかと」

 

 

『こんばんは、創真君』

 

 

突然、知らない男の声が創真の耳に入ってきた。

 

 

「……………あんた誰?隼や他の皆はどうした?」

 

 

『保護しただけさ。彼等の安全は私が保証しよう。ああ、言い忘れていたが、私の名はホウジョウだ。一概の傭兵だ』

 

 

「……………ホウジョウさん。保護って言うより、正しくは拉致じゃないんですかね?」

 

 

『どういう風に受け取って貰っても構わない。彼等は、計画が完了するまで我々の管理下に置かれる』

 

 

「偵察行為によって、計画の支障になると判断された、って所か…………なら、次は僕らを捕まえに来るかい?まぁ、何処にいるか分からないだろうけど」

 

 

『確かにそうだ。実は君達E組のスマホには現在位置を我々に発信するプログラムをこっそり仕掛けておいたのだが、どうも君達2人だけ、位置情報が消えていてね』

 

 

「そりゃドンマイ」

 

 

『どういう手品を使っているのかは知らないが、我々もこのまま黙って君達を野放しにしておくわけにはいかなくてね。不本意だが、少し手荒に行かせて貰うよ』

 

 

「…………………どういう意味?」

 

 

『明日の朝の7時までに、君と碧海さん、そして人外の3人は我々の指定する場所に来て、おとなしく捕まりに来たまえ。これに従わなければ、君達の仲間の安全は保証しない。あと、E組の山に張られているバリアを破壊等をした場合は、同じくしかるべき対処を取らせて貰う』

 

 

「なにぃ…………生徒を人質に、ってことか」

 

 

『そう言うことだ。では、諸君の懸命な判断を期待しているよ。場所は───────────────だ。では、失礼』

 

 

そして通話は終わった。

 

 

「どうでした?」

 

氷室の問い掛けに、創真はポツリと答えた。

 

 

「………………我々が自首しに行かないと、皆が危ない目に遇うかもだとよ」

 

 

「……………………どうするんです?」

 

 

「どうもこうも、行かないと皆が何されるか分からないからねぇ。捕まりに行くしかないか………………でも、奴は朝の7時までに来ないと、と言っていた。裏を返せば、あと10時間程は猶予があるってことになりますねぇ」

 

 

「その10時間で何かするのか?」

 

 

「勿論。幸い、やることは幾らでもある。徹夜で色々とやらなきゃ」

 

 

「よっしゃあ!俺も気合い入れてやるぞ!」

 

 

創真の父親は乗り気だ。

 

 

「だが、具体的には何をするんだ?」

 

 

冷静な隼と碧海の父親の問い掛けに、創真は答える。

 

 

「奴が指定した場所の調査、後は僕の作ってるマシンを出来るだけ進めたり、後は脱出出来たときの後の事も、使えるマシンの調整だったり、その他色々」

 

 

「やること多くね?何か、一気にやる気なくしたわ」

 

 

「さっきまでのやる気はどうした」

 

 

隼と碧海の父親が、一気に意気消沈した創真の父親にツッコミを入れる。

 

 

「兎に角、役割り分担してやれる限りの事をやろう。皆、協力してくれる?」

 

 

「しゃーない。息子のためだ、やってやろうじゃん!」

 

 

「私に出来る事なら、喜んで」

 

 

「よーし、僕は最新のマシンの調整をやろう!」

 

 

「なら、俺は既存のマシンの調整だな」

 

 

「俺様は創真の秘密兵器のアレを調整するぜ。本来なら1週間は掛かるだろうが、俺様の気合いで何とかするぜ!」

 

 

「無論、創真様。この氷室も協力いたします」

 

 

「不本意だが………………………今回は手を貸してやる」

 

 

それぞれの反応を聞いた創真は嬉しそうに笑う。

 

 

「最ッ高だな!よっし、やるぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、拉致された皆は防衛省の施設を借りた作戦本部室に連れて来られていた。そこで司令官から、自分達は暗殺終了まで監視下に置かれること。既に親御さんには連絡済みと伝えられた。

 

 

「ま、待ってください!私たちはそれでもいいから殺せんせーを殺すのは…………!!」

 

 

「子供には分からないだろうが…………1%でも爆発の可能性があれば、大衆は殺せと云うさ。それにね……………1%という数字は地球を掛けるには重すぎるんだよ」

 

 

それは正しいと言わざるを得なかった。

 

 

「それに、奴の前世は恐ろしい殺し屋だったのだろう?殺された人の身にもなったらどうだい?要するに、奴が死ぬのは自業自…………」

 

 

「ごもっともな正論であのタコを語るんじゃねぇぞ!」

 

 

寺坂の蹴りが炸裂する。

 

 

「き、貴様…………この司令官である私に何て事を…………ホウジョウ、連れていけ!!」

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

AM 7:00

 

 

その場所に多くの自衛隊員と待機していたのは烏間だった。そこへ音もなく創真と碧海、ホリーらが現れる。待機していた自衛隊員達は、一切に銃を向ける。

 

 

「どうもご無沙汰してますね、烏間先生」

 

 

「………………………創真君、碧海さん。それにホリー君達も、協力に感謝する」

 

 

烏間は実に事務的にそう告げた。それを聞いたホリーは、つまらなさそうに云う。

 

 

「別に協力した覚えはないけどねー。皆が人質に取られてるから、しょうがなく来ただけだし」

 

 

すると、創真も不敵な笑みを浮かべて云う。

 

 

「それに、もしかしてこれ自体が僕の作戦って事もあり得るからねぇ?もしかして、あなた方は全部僕の手で踊らされてるだけかもしれませんよ?」

 

 

それを聞いた自衛隊員らに緊張が走るが、当の烏間は何の反応も見せなかった。

 

 

「…………………では、ついて来てくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何とも頑丈そうな部屋だねぇ…………………」

 

 

創真、ホリー、デュオは、キバットは烏間に連れられて、とある施設にやってきた。そこからさらに地下に降り、連れてこられたのが白い部屋だった。そこには生活に必用最低限の施設しかない、何とも寂しい部屋だった。

 

 

「創真君のがこの部屋だ。では、入ってくれ」

 

 

「はいはい」

 

 

素直に部屋に入る創真。入ったのを確認した後に、烏間はボタンを押す。すると、頑丈そうな扉が閉まる。

 

 

「そして、ホリー君らは隣のだ」

 

 

ホリーらも同じような部屋に入れられる。

 

 

「ちなみに、創真君や君達が何か怪しげな行動を取ると、創真君の部屋に高圧電流が流れることになる。あそこにある監視カメラから全部見られているからな」

 

 

「なるほど。確かにそう言われたら、俺達は何もしないと考えたんだな。確かにそうだが」

 

 

「では、失礼する。あと1週間、すまないが耐えてくれ」

 

 

扉を閉め、烏間が去ろうとするとキバットが口を開いた。

 

 

「待てよ。何で創真含め俺らの私服を没収したんだよ?」

 

 

「服に何か仕込んでるかもしれないと警戒したからだ。さらに、君達は人ならざる者。服にも何か特殊な能力があったら厄介との国の判断だ。現に、デュオ君にはあの黒い外套を変化させる能力があるだろ?」

 

 

「ふーん…………………なら、1週間、ダサいこいつらを見なきゃいけねぇのかよ」

 

 

「誰がダサいじゃ、ゴラァ!?」

 

 

「ダサェだろうが!」

 

 

「また始まった……………うるさくなるから、今のうちに行った方が良いぞ、先生」

 

 

「あ、あぁ。そうさせて貰う」

 

 

烏間はそう言って去っていった。デュオは喧嘩をする2人を放っておいて、ベットに寝転がる。

 

 

(…………………創真。作戦に変更はあるか?)

 

 

デュオはテレパシーでそう話し掛けた─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(…………………無いね。全部計画通りだ)」

 

 

創真はニヤリと笑った。




THE NEXT story 5/25 PM 22:00


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