結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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最終章………………スタート。


第161話 最終計画の時間

E組の皆は教卓に殺到していた。経緯を説明すると、殺せんせーが、E組オリジナルのアルバムを作ろうと言い出したのだ。そこは良いのだが、これまでにこっそり撮られていた写真が、誰かにとっては中々知られたくない物まで写っていた。

 

 

と、言うわけで黒歴史を明かされないうちに、自分の写真はビリビリにして処分しようと言う感じだ。

 

 

「創真は無いのか?そういうスキャンダルネタは」

 

 

「甘いな磯貝君。僕はスキャンダルには敏感なのだ。タコの盗撮も大体回避でき」

 

 

「ねぇ、創真!この写真さ…………」

 

 

ホリーの手に握られている1枚の写真。よくよく見れば、それは昨日の倉橋とのデート時のだった。

 

 

「…………………やられた。警戒心を緩くしすぎたか。とは言え、中々上手く撮れてるのでこれは貰っておこう」

 

 

すると、殺せんさーは難しそうな顔をしながらこんなことを言い出した。

 

 

「うーむ…………撮り溜めていた分では足りません。目標は1万ページのアルバムを作ることなのに!」

 

 

「目標がエグいな」

 

 

「皆さん、外に出てください!衣装を着て、バリエーションを増やすのです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、生物史とか日本史とか宗教史とか…………色んなお題の写真を撮りまくった。

 

 

「やれやれ…………気合い入りすぎだろ」

 

 

隼がコスプレ衣装を脱ぎながら云う。

 

 

「それにしても、この2月は殺せんせー結構やりたい放題だったね?」

 

 

「うん…………」

 

 

「もはや暴走に近いけどな」

 

 

悪魔のコスプレをしている茅野と渚、そして黒外套を纏っている創真が隅の方で話していると、烏間先生が話に入ってきた。

 

 

「多分、君達に甘えているのだろう。君達は充分に育った。だから、今度は自分が甘えたいと思っているのかもな」

 

 

「ねぇねぇ、烏間先生にとって皆はそういう人になれた?」

 

 

ホリーの問いに、烏間はフッと笑みを浮かべ、

 

 

「そうだな。もし、俺が困ったら迷わず皆を信頼して任せるな」

 

 

「それは嬉しいお言葉で」

 

 

創真も何処か嬉しそうな表情を見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、烏間先生とビッチ先生の試着が行われた。皆、冷やかしてたのは言うまでもない。

 

 

そして、最後の面談もあった。創真は前に云った通りの進路に変わりは無いことを伝えた。

 

 

そんな彼に殺せんせーは言っていた。

 

 

『君の才能は色んな分野に生かせます。世界一の大物になれることを期待してますよ』…………………と。

 

 

言われずとも世界に名を轟かせてやる、と言うとヌルフフフフフフ、と殺せんせーは笑った。

 

 

「ねー創真君!ちょっと一緒に来てくれない?」

 

 

数時間前の学校の事に思い耽っていると、碧海が創真に話しかけた。

 

 

「ん?何処に行くの?」

 

 

「あのねー、隼にプレゼント渡しに行くんだ」

 

 

「プレゼント?」

 

 

「前に隼を危険な目に遭わせちゃったでしょ?だから、そのお詫びの意味も込めて、ね」

 

 

「なるほど。だいぶ前の事にはなるが、その案は悪くないと思うよ。まぁ、高校の入学手続き関連はほぼ終わってるし、暇だから行こうかなー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創真と碧海は歩きながら会話を弾ませる。

 

 

「前にさ、デュオが死神時代だった時の話を聞いたろ?」

 

 

※詳しくはコラボの話をどうぞ。

 

 

「僕は大変興味が湧いてね…………今度行ってみるよ」

 

 

「あー確か魔術があるとか言ってたよね?」

 

 

「そう。ホリーに教えてもらって、僕も自分専用の魔術を作成中でね」

 

 

「へー…………今も制作中とか?」

 

 

「そうだね。今は使えない。調整中でね。あと2週間は欲しいところだ……………」

 

 

「そうなんだ…………あ、創真君。私、中学卒業したら、お父さんの新居に移ることになったの。そこから通うほうが近いからね」

 

 

「あ、そうなの?じゃ、僕の家とはおさらばか。何か寂しくなるねぇ………」

 

 

「あ、でもちょくちょく遊びに行くからね?2日に1回は行くよ!」

 

 

いや、それは多すぎじゃね……………?

 

 

創真がそう言おうと思ったその時だった。

 

 

「おい、何だアレ!?」

 

 

誰かのそんな声が聞こえた。声のした方を2人が向くと、山に赤い光線が降り注いでいた。その光が消えると、山の一部がオレンジのドームに覆われた。

 

 

「E組の山が……………覆われている…………」

 

 

「ねぇ、創真君…………何か嫌な予感がする」

 

 

「同感だね………………」

 

 

その時、2人を呼ぶ声がした。振り向くと、烏間の部下の園川と鶴田、鵜飼がいた。

 

 

「何でここに…………いや、それよりもあのドームは一体何です?」

 

 

「……………創真君。付いて来てください」

 

 

碧海の質問には答えず、園川はそう告げる。

 

 

「……………何で?」

 

 

「国の命令です」

 

 

その言葉を聞いて、創真はなるほど、と呟く。

 

 

「大体判ってきた。あのドームとさっきの光は殺せんせーを殺す何かの兵器だね?」

 

 

「……………………」

 

 

園川は何も言わない。

 

 

「可能性が1%以下でも、地球の末をかけるチップとしては大きすぎる……………やはり、殺すと言うわけか。それで、強大な力を持つ僕を捕獲しておこうと言うわけですか。万が一の事を考えて……………そう言えば、ホリー達はどうしたんです?あいつらも国からしたら不穏分子だろうし」

 

 

「………………ホリー君達の方には、傭兵部隊を送らせました。殺しはしません。確保が目的なので。さぁ、創真君。大人しく来てください」

 

 

「それは聞けない相談だね」

 

 

「……………なら仕方がありません」

 

 

すると、回りからスタンガンを持った男達が現れる。

 

 

(…………強行、って訳か。しっかし、不味いな……………手練れのプロがこんなにいては、碧海さんと2人でどうにか出来るレベルじゃない)

 

 

万事休す…………………?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目ェ瞑りやがれ2人共!!」

 

 

───────やはりまだ万事休すじゃなさそうだ。

 

 

目を閉じた瞬間、バァァァンという音と伴に強烈な光が放たれた。閃光手榴弾である。

 

 

「行くぞ創真、碧海!!」

 

 

目を開けるとホリーとデュオが赤いバイクに乗っていた。園川達を含め回りの人達は目を押さえている。相当効果があったのだろう。2人がバイクの後ろに乗った瞬間、スロットルを回して急発進させる。

 

 

「いやー、無事でなりよりだぜ創真。こっちは大変だったぜ。傭兵部隊が殺す気かよって感じで襲い掛かって来たんだから。ま、逃げたんだけどな。そんでよーく考えたらお前にも危険が迫ってるかも、と思ってな」

 

 

「いや、本当にナイスタイミングだったよ」

 

 

「自衛隊がぞろぞろ沸いてきてやがる。どうする?」

 

 

ホリーのフードの中のキバットが訊ねる。

 

 

「………………取り敢えず、最寄りの駅に行け。今は帰宅ラッシュ。カメラの映像を解析しても、人混みの多さが幸いして、何処に向かったかは直ぐにバレないだろう」

 

 

「え?このままバイクで行った方が………」

 

 

「バイクでも良いけど、道には監視カメラがたくさんある。ましてや、自衛隊の皆さんがたくさんいるなら、道路の規制も一部で既に行われてる可能性もある。確率的には、電車を使う方が捕まりにくいだろう」

 

 

「あのー私は!?」

 

 

「碧海さんも付いてこい。智恵は多い方が役立つ」

 

 

こうして、『終わりの始まり』が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………始まったな」

 

 

創真の父はE組の山に出現したドームを見て、そう呟く。

 

 

「じゃ、行くぜ氷室」

 

 

「ええ」

 

 

氷室と創真の父親はライカンとランボルギーニにそれぞれ乗り込み、爆音を鳴らしてその場を後にした。




THE NEXT story 5/23 PM 22:00

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