登録者200人いかなくても、その話を見たいな…─────って人は感想欄とかで、さりげなーく言ってくれたら考えます……………では、どうぞ!
茅野は、何処か複雑な表情でチョコを見つめていた。
「はぁ……………」
「何ため息ついてるの~?」
「うわぁ!?」
茅野が後ろを振り向くと、そこにはホリーとキバット、さらにはカルマと中村もいた。
「び、びっくりさせないでよホリー君!」
「ごめんごめん。で、茅野ちゃん。そのチョコは誰に渡す気なの?」
「え!?」
茅野に興味津々の四人の目線が突き刺さる。
「ま、まだ決まってないよ!そもそもこれ義理だから…………」
「へー。てっきり俺はこの男に渡す気かと」
カルマは問題のキスシーンを見せる。
「あー渚か。あのキスは見応え抜群だったな」
キバットにも追い討ちされ、茅野は真っ赤になった顔を手で覆い隠す。
「フフフ。恋に悩む中学生って訳か。まぁ、茅野ちゃん取り敢えず放課後外にカモン!」
放課後、体育倉庫前に集合させられた茅野。既に4人は待ち構えている。
「にしても、茅野ちゃんは何に悩んでんだ?早く渡せば良いじゃねぇか」
「わ、渡し方が……………」
茅野の言葉に、ホリーは目を丸くして聞き返す。
「え、でもさ。茅野ちゃんは俳優業やってたんでしょ?こういう時何を言えば良いかとか分かるんじゃないの?」
「お、お芝居とリアルは全然別の話だよ!リアルで同級生好きになるなんて経験ないから…………」
「ふーん。なら、偵察しようぜ。隠密訓練の活かしどころだ」
「いいねーカルマ!よし、告白の仕方を勉強だ!」
case 隼
「え!?これ俺に!!マジか、やったー!!ありがとう!!」
「うんん。どうたしまして」
「いやー超うれしいわ!!食べてみていい?」
「うん、どうぞ!」
「ではでは………………うんうん!愛がこもってるわ~!」
隼は異常に喜んでる。
「狂喜の隼だ」
「見てるこっちからしたら怖えーな………」
中村の言うことも分からなくはない。
「こんな感じで探していこう。裏山ならチョコをこっそり渡すのに適してるからね。人間と言うものはこっそりチョコを渡す奴が多いからね」
ホリーに言われると、何故か説得力がある気がするようなしないよう
case 千葉・速水
千葉は的に向かって引き金を引く。
放たれたチョコ弾は全て中心に命中する。
「相変わらずの腕ね…………約束だから全部あげる。これからもよろしく」
「サンキュ」
「………………うーむ。中々独特的と言いますか…………面白いな」
木にぶら下がりながらキバットは感想を漏らす。
「でも真似できないよ………」
「………………よし次!」
case 創真
「うわぁ…………凄いデコレーションだね」
渡されたチョコを開けてみると、キバットを再現したチョコがあった。
「色んな目の色のバージョンを作るのに苦労したんだ~。家に帰ったらキバット君にも見さてあげてね!」
「多分喜びの余り発狂して死ぬな」
そう言って2人は笑う。そして、それを見ていた彼等は──────
「まず、陽菜乃ちゃんの料理の腕に目が行っちゃうね~」
カルマが苦笑しながら云う。
「でもすげぇぜありゃ!俺様そっくりだ!」
「ほんとだね~。あそこまで料理の腕があるとは……………恐れ入ったよ」
※ちなみに、キバットキャラ弁、と調べるとチョコではないが中々上手く出来てるキバットのキャラ弁があるので是非とも見て下さい!
case 片岡・磯貝
「こんなにたくさん良いのか!?」
「弟さん達と分けて食べてよ。それ買うのにチャリで往復4時間だったんだ」
「受験中なのに大丈夫なのか?」
「へーき。私の本命は公立…………磯貝君と同じとこだから」
「…………そっか。一緒に受かれたら嬉しいな!」
「…………良い雰囲気だ。見てるこっちも何処か心が温かく感じる」
微笑を浮かべながらデュオは感想を漏らすのだった。
「…………ね、渡しかたも目的も人それぞれでしょ?」
「言いたいこと添えれば、それで充分だぜ!」
中村とキバットのアトバイスに茅野はコクりと首肯く。
「ありがとう………4人共」
「うんん、良いの良いの!……………でも、問題はあの黄色いタコ」
ホリーの指差す方向には、恋愛ネタに飢える殺せんせーが。
「あーそれなら大丈夫。茅野ちゃん、例のアレ持ってきてくれた?」
「あ、うん」
茅野は何かを取り出し、カルマに渡す。
「それ使えば殺せんせーは封じれるから、安心して渡しておいで」
「俺宛のチョコがねぇ!クソォ、何処に行きやがった!?」
岡島が泣きながら飛び出して行くのを、苦笑いで見送る渚。さて、自分も帰ろうと鞄を持って教室を出ようとすると、自分の服を引っ張られた。
その引っ張った手の人物は茅野である。
「茅野?どうかしたの?」
「あ……………えっと……………」
ここに来て心拍数が上昇。どんな言葉でとか、もう考える余裕が無くなった。
取り敢えず何か言わなくては、と思い─────
「な、渚は進路とか決めた?」
「うーん………成りたいものは見えてきたけどなれるかどうか………」
多分先生だ、と茅野は心のなかで呟く。何で分かるか?当たり前だ。殺せんせーに先生としての憧れの目をしていたのを今まで見てきたからだ。
「…………あれ?木の上に殺せんせーがいる。何か見てる…………」
渚は銃を取り出し、窓を開けようと手を掛けて………止めた。
「……………射程外だよね。簡単に狙わせてくれないか」
この数秒の動作で茅野は全て理解した。自分が好きになったのは、渚のまっすぐな殺意なのだ。家族も復讐も失った心の穴を…………温かな殺意で埋めてくれた。
(なら、どんな顔で、言葉で渡せば良いか?)
────────もう決まった。
「………渚。ありがとう。1年間隣にいてくれて」
満面の笑顔で渚にチョコを渡した。渡された渚は少しポカンとしていた。自分に渡されると思ってなかったのだろう。
「あ、ありがとうって………お礼を言うのはこっちじゃ…………」
「また明日!合格通知来ると良いね!」
最後まで待たず、茅野は荷物を持って教室を出る。
そして、覗き見ていた4人に──────苦笑いと取るべきか──────────笑みを浮かべる。
「自分を殺して他人のために………雪村先生にそういうとこは似てるな」
「お姉ちゃん譲りだね~」
キバットとホリーの会話に、カルマと中村は疑問の表情を浮かべる。
「てか、2人は雪村先生と知り合いだったの?」
「ま、ちょっとしたね…………所で、カルマ。殺せんせーはなに見てんの?」
「雪村先生の水着写真。あんなに効くなら暗殺に組み込めば良かったな…………」
「やれやれ……………水着写真で骨抜きかい。だらしねぇな」
………美女に鼻の下を伸ばすようなキバットが言っても説得力が皆無なのだが。
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