結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

152 / 201
お待たせしました。


それではどうぞ!


第145話 迷いの時間

殺せんせーの過去は想像以上に悲しすぎた。

 

 

唯一の弟子……………今の2代目に裏切られ、シロ…………いや、柳沢が主任の反物質の研究のモルモットとして囚われることになった。そこの監視役となったのは、茅野の姉であり、元E組の担任だった雪村 あぐり先生だった。死神は当初、興味の欠片もなかったが…………彼女の性格や明るさに惹かれ、打ち解けていった。

 

 

だが、1年後………………月が爆発した。

 

 

柳沢が老朽の早いネズミを使って反物質の研究をしたときの事故だった。哺乳類のマウスが爆発した…………なら、同じ人間にも爆発が起きる。

 

 

時期は3月24日。

 

 

そして、柳沢は死神の息の根を止めることを決断した。だが、それを雪村先生は偶然知ってしまい、それを死神に漏らした。どうせ死ぬなら、実験で手に入れた力を使わなければ勿体ない………………そう思い、死神は研究所を暴れ、破壊し始めた。

 

 

それが、一生悔やむ程の間違いだった。

 

 

破壊を続けようとした死神を止めるために、雪村先生が抱きついた瞬間、触手地雷という兵器により、重傷を負った。そして………………死の間際、彼女はこう言った。

 

 

『もし……………あなたの時間をくれるなら、あの子達を教えて上げて…………』

 

 

死神はその約束を引き受けた。そして、死神………………いや、殺せんせーはE組へやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………以上が私の過去です」

 

 

殺せんせーが話終えたとき、皆は軽く青ざめていた。この先生を殺さなくちゃならないなか…………と気付いたからだ。

 

 

創真も…………隼も……………碧海も………氷室も……………ホリー、デュオ、キバットも。

 

 

「もし……………先生が殺されるなら、他でもない…………………君達に殺して欲しいものです………」

 

 

殺せんせーはそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…………………」」」

 

 

創真、碧海、氷室は終始何も話さず帰宅した。

 

 

ホリーは茅野をおんぶして創真の家に帰ってきた。

 

 

自分の魔法で全快とまではいかないが、治癒を早くする程度までには出来ると、烏間先生と殺せんせーを説得して了承を得た。創真は自宅に着くと、すぐ自室に引っ込んでしまった。

 

 

「創真君………………元気ないね」

 

 

「そう言う碧海ちゃんも…………」

 

 

茅野の指摘に、碧海は力なく笑う。ホリーは茅野をソファに降ろす。

 

 

「……………僕らは明日、ちょっと留守にするよ」

 

 

「何処か行くんですか?」

 

 

氷室の質問にデュオがああ、と答える。

 

 

「ちょっと会ってみたい人がいるんでな」

 

 

「分かりました。後で創真様には伝えておきます」

 

 

「じゃ、俺は少しの間夜風に当たってくる」

 

 

頼む、と言ってデュオは窓を開けて飛び去る。

 

 

「…………ごめんなさい。全部私のせいだ」

 

 

「何言ってやがる?茅野ちゃんは何も悪くねぇだろ」

 

 

「でも、私のせいで皆は殺せんせーの過去を…………」

 

 

「……………………………」

 

 

掛ける言葉が見つからず、キバットも黙ってしまった。

 

 

今度は氷室が口を開いた。

 

 

「私に言えるのは一般論だけですが。やってしまった事はもう取り返しようがありません。だから、その後をどうすれば良いか……………それを考えるのが最優先だとは思います………………私に言えるのはここまでです。後はご自分で……………それでは」

 

 

そう言って氷室は隣に帰っていった。

 

 

「取り敢えず碧海ちゃん。茅野ちゃんをお風呂に入らせておいて。そしたら、後は僕が何とかしておく」

 

 

「オッケー。任せといて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………う…………ん………」

 

 

いつの間にか眠っていたのだろう。茅野はソファーベッド目を覚ました。横を見ると、ホリーとキバットが天井にぶら下がって寝ていた。

 

 

デュオはまだ戻っていなかった。時刻は夜中の1時を回っていた。

 

 

(確かお風呂から出たあと、ホリー君が頭に手を当てた瞬間に眠くなって…………)

 

 

ホリーが何か施してくれたのだろう、身体が大分楽になっていた。隣を見ると、創真がパソコンをいじっていた。

 

 

「……………まだ1時だよ?」

 

 

「…………創真君。私、創真君に言っとかないといけないことが………」

 

 

「攻撃してごめん系なら良いよ、別に」

 

 

「でも私…………創真君に酷いことを………」

 

 

「もー無傷だったから気にしなくて良いんだよ!」

 

 

何故か茅野が怒られた。

 

 

「創真君は優しいね……………」

 

 

「よく言われるよ」

 

 

創真が笑いながら答える。そして、パソコンを閉じた。

 

 

「……………寝よう」

 

 

切り替えが早すぎだよ…………と茅野は心の中で突っ込む。

 

 

「あぁ、それと…………………自分を憐れむな。自分を憐れめば、人生は終わりなき悪夢だよ。じゃ、早く寝ろよ」

 

 

去り際にアドバイスし、茅野の反応を待たず、創真は自室へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、創真が起きると茅野の置き手紙があった。

 

 

『病院行ってくるね。昨日はアドバイスありがとう!』

 

 

「………………………………大したことは言ってないけどね。さて、これからどうしたものか…………」

 

 

to be continue……………




THE NEXT story 5/1 PM 22:00


明日はホリーとデュオとキバットしか会えないあの人が登場!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。