結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

150 / 201
茅野VS殺せんせーor………………?


やはり、この主人公は黙って見てる訳がない。


第143話 守る時間

茅野が跳び去った方向を創真は暫く見ていたが、準備室の屋根から飛び降りて、皆の元へ行った。

 

 

「そ、創真君……………カエデちゃんに殺されかけたって本当?」

 

 

「うん。崖から突き落とされた」

 

 

その言葉に、皆は表情を暗くする。茅野が創真を本気で殺そうとしたことが信じられなかったのだ。デュオが憑依を解除して口を開く。

 

 

「それにしても、彼女は最初から触手を隠し持っていたのだろうな。体に負担が大きすぎたんじゃないのか?」

 

 

「……………メンテもせずに触手を表情も変えずに隠し持てる筈がない。あれは地獄の苦しみだ。脳の中を棘だらけの虫が暴れまわる感じが絶えず続く」

 

 

かつて触手を持っていたイトナが言うのなら、相当の苦しみなのだろう。

 

 

「あのー……………さっき茅野ちゃんが言ってた雪村 あぐりって誰?」

 

 

碧海だけでなく、創真や隼も同じ気持ちだった。

 

 

「俺らの前の担任だよ。碧海さん達は知らないけど、2年の三学期の間だけ、担任をやってたんだ」

 

 

「で、今その先生は何処に?」

 

 

創真は磯貝に訊くが、磯貝は首を横に振る。

 

 

「ちょっと良いか?」

 

 

そう言ったのは三村だった。

 

 

「茅野を何処かで見たことがあるって気がしてたんだ………で、さっき髪を下ろしてたのと、きつめの表情で思い出した」

 

 

三村はスマホを操作して、ある画像を見せる。

 

 

「磨瀬 棒名って天才子役がいたんだ。今は休業してて…………雰囲気も全然違うし、分からなかった」

 

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

 

創真は1人、王の間で玉座に座っていた。あの後、茅野から連絡が来て、7時に椚ヶ丘のすすき野まで来いとのこと。特にすることもないので、一時解散となったのだ。

 

 

当然、ここの空気も重い。

 

 

「………………創真。茅野ちゃんが許せないか?」

 

 

何故そんなことを訊く、と言った目で創真はホリーをチラッと見る。

 

 

「茅野ちゃんは……………今まで楽しいことをしてきたのも、多分全部演技だったんだよ……………だから……………その……………」

 

 

ホリーもこれ以上は言葉が出なかった。

 

 

「……………確かにホリーの言う通りかも」

 

 

そう言って創真は静かに立ち上がる。

 

 

「欺かれてたのは確かに良い気持ちじゃないね」

 

 

「……………創真はどうする?」

 

 

デュオの問いに創真はもちろん、と続ける。

 

 

「茅野ちゃんの暗殺を止める。命に関わるからな。多分殺せんせーには茅野ちゃんが知らない何かしらの事情があるはず。もし、殺せんせーが殺されたら…………茅野ちゃんは真相を知れないし、後々後悔するだろうからね」

 

 

「……………で、どんな作戦で行く?」

 

 

「作戦としては、茅野ちゃんの攻撃を受け止めつつ、触手を抜く方法を探す。これが基本コンセプトだ…………あと、イトナ君にも触手について色々聞いておこう。さて…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、7時。

 

 

「来たみたいだね!じゃ、終わらそっか」

 

 

すすき野に集まった皆の前で、茅野は笑顔でそう言う。

 

 

「茅野ちゃん。メンテもせず持っていたその触手……………すぐ撤去しないと…………死ぬよ?」

 

 

「うるさいな、創真君は!!いちいち首を突っ込まないでよ!!」

 

 

「君は大事なクラスメイトなんでね。そうは行かない」

 

 

「………………ほんと、創真君はうざったい………な!」

 

 

ボウッ!!

 

 

触手が炎を纏い、円を描いた。すると、炎のリングが出現する。皆は驚いているが、創真は無言で茅野を見据える。

 

 

「これで最後にするが…………その状態では、身体に大きな負担が掛かる………………やめるんだ」

 

 

「私はやると決めたら一直線なの!絶対に!!」

 

 

「……………そう。なら、僕もやるとしましょう」

 

 

そう呟き、創真も炎のリングに足を進めた。

 

 

「創真君!!」

 

 

「大丈夫だよ、陽菜乃」

 

 

心配する倉橋に頬笑み、前を向いて茅野を見据える。

 

 

「……………殺されたいの?」

 

 

「どうかな………仮に死にたくても、君じゃ僕は殺せない」

 

 

「言ってくれるね……………!!殺せんせーの前に出るなら、創真君から殺してあげるよ!!」

 

 

「…………デュオ」

 

 

後ろにいたデュオは首肯き、創真に憑依する。纏った黒外套から黒獣が2体出てきて、大きく唸る。

 

 

「殺し合い………と言うのが今の状況にぴったりかな?さぁ、始めようか!!」

 

 

創真の叫びに応えるように、黒獣も吠える。

 

 

茅野VS創真の死闘が………………幕を開けた。




THE NEXT story 4/28 or 29 PM 22:00

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。