今月俺、しょっちゅう書いてますな…………。
まぁ、楽しんでください!
「あーまったく。ひどい目にあったぜ昨日は」
E組が演じた新桃太郎。取り敢えず隼はかなりボコボコにされたとでも言っておこう。
「それ、昨日の質問コーナーの時にもそれっぽいこと言ってたよね………所で隼、創真君は何処に?」
「知らねーよ。暇だから散歩してくるって、言って何処か行った」
「もー………今から皆で一緒に冬休みの暗殺の計画たてようと思ってたのに」
そう言えば、と隼は思う。
(碧海もすっかり馴染んだな…………)
最初はどうなるかと思ったが、碧海は皆とすっかり仲良くなれたみたいだ。
「ねぇ、隼君。今度ゲームセンターに行かない?」
そう声をかけてきたのは神崎だった。
「え?あー………良いぜ。冬休み中にでも行こうか」
ちなみに……………こいつらできてるんじゃね、と言う噂はとっくに立ってる。神崎はその噂に気づいてるかはいざ知らず、隼はバレてないと思ってる。
「冬休みが楽しみだな…………………にしても、創真の野郎は何処に行ったんだ?」
一方、渚は茅野に連れられて体育準備室へ来ていた。
「ありゃりゃ………だいぶ散らかしちゃったね」
床には昨日の劇で使かったビーズが散らかっていた。
「片付けてたら手が滑って…………」
「なら手伝うよ。一緒にやった方が早いし」
「ありがとー!皆が暗殺の計画立ててるの邪魔したくなくて」
と、そこへ
「先生も手伝いましょうか?」
殺せんせーも準備室へ来た。
「んー…………じゃあ、お願いしようかな?」
「ヌルフフフフフフ。任せてください」
殺せんせーと一緒に、談笑しながら渚と茅野もビーズを拾っていく。
……………そこから10分前。
創真side
「あー暇だ暇だ。退屈だなぁ………」
僕は独り、森の端の崖に来ていた。
「お…………ここはカルマが飛び降りた所だったな」
何故か懐かしさを感じる。今、ホリー達は新宿に行って映画を見に行ってる。
キバットは映画館に入れないので、まぁ、美女観察だろう。あと15分位で帰ってくる筈。あぁ、そう言えばね…………………マシンフロッグをこの前作ったのだが、暗殺用ではなく、完全に遊び道具と化したのだ。
活動報告欄で、見てれば分かるが、あらかじめポットにサプリングされている人物の音声で再生して遊んでたりする………………意外と面白いそうで。
他にもマシンアルマジロも、サッカーのボール代わりにされると言う形に落ち着いた。まぁ、この時期になるとさ……………もう偵察用の作ってもあんまり意味がないんだよね。もう殺せんせーの事は色々知れてるから。だから、今度はガチで仕留める、最高にして最強の1体を作る。ホリー達の世界の技術も総動員して。
……………話すネタがなくなった。
「あ、いたいた。創真君、何してるの?」
声の主は茅野ちゃんだった。
「やることなくて暇なだけ。茅野ちゃんは何しに?」
「私はちょっと気分転換に…………ここは風が気持ちいいって言ってたからね。そう言えば、ここってカルマ君が飛び降りた場所だよね?」
「そうだね」
「どのくらい高さがあるんだろう…………?私だったら怖くて足がすくむかな………」
「それは僕もだな………」
スッと立ち上がって、僕は崖を覗き込んでみる。
「うん………………やっぱ怖い」
「……………そう言えばホリー君達は?」
「映画を見に行きに新宿へ。あと15分位で帰ってくる筈」
「そう……………………………………
なら良かった。それだけあれば充分」
何が……………と、聞く前に、手ではなく、何かに背中を押され、空中へ身を躍らせていた。
「な…………………!?」
空中で身体が1回転したとき、彼女のうなじから生えていた物をを見て全て合点がいった。
「……………なるほど」
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「じゃあね、創真君」
落ちていく創真を見つめながら、茅野はそう呟いた。
そして、現在。
茅野はビーズ拾いを続けていた。
「色んな事があったね…………この1年。春には渚が自爆を仕掛けたり、創真君が転校してきたり……………夏は島に行ったり………あと、創真君の学力には驚かされたり」
「うん…………そうだね。ほんと、濃い1年だったよ。でも、ここでの行事は終わりだね」
「渚くん。まだ、入試が残ってますよ?」
「あー……………そうだね………」
苦笑いする渚。
(私もこの教室で色んな事やれたなぁ…………)
手を後ろにくんで思い出に浸る茅野。
そのうなじから………徐々に………徐々に………髪とは違うものが生えてきた。
「気づかなかったね……………最期まで」
「見つけたぞ、茅野!!」
茅野がそう言うのと、準備室に黒外套を纏った創真が入って来たのは同時だった。
ドォンッ!!
茅野が床にそれ………………触手で攻撃すると、床の一部が崩れ、殺せんせーは落ちていく。そして、茅野も続く。
「………………渚君、離れておけ」
「え、創真君何する気!?」
渚の問に答えず、創真も飛び込んだ。
殺せんせーは劣勢を強いられていた。動揺してるに加え、茅野に触手の動きを全て読まれている。なすすべがなく、落ちていく殺せんせー。
(この穴の下は………………対先生用BB弾のプール!)
殺せんせーは自分の触手を落とし穴の壁にくっつけ、落下を止めた。
(あと一撃!!)
茅野がとどめを刺そうと、触手の一撃が殺せんせーを襲う………………!!
「…………!?」
触手が見えない壁に阻まれた。殺せんせーの目の前には龍を思わせるような黒獣が。
(これ………………まさか……………!?)
その黒獣を辿ると、茅野の上に、黒獣を壁に突き刺して浮いている創真の姿があった。
「ホリー達がいないなら、僕は飛べない。だから、崖から落としたら僕を殺せる………………そう思ってた?」
一体どうやって……………そう訊こうとした茅野は後ろから差す光に気付いた。振り向くと、殺せんせーが触手を一点に合わせていた。
(エネルギー砲………!?まずい、防御を……)
だが、殺せんせーは照準を茅野から落とし穴の壁に向け、ビームを発射した。
殺せんせーは空いた穴から脱出した。
「殺せんせー…………今のは…………!?」
渚にでも呼ばれたのか、又は音に気付いたのか、集まった誰かの質問を遮るように、準備室の天井を突き破って2つの人影が現れた。創真と茅野だ。
「全く、さっきはやってくれたね。お陰で死にかけた」
「ごめんね。創真君がいたら暗殺を邪魔されてたかも知れないから……………一体どうやって戻ってきたの?」
「それはね…………………」
「うっひょー、危ない危ない……………」
創真は崖に落とされ、茅野の姿が見えなくなったのを見計らって、ワイヤー銃を取り出し、引き金を引いた。先端のアンカーは崖につきささり、創真の落下は何とか止まった。
「ワイヤー銃を持ってて良かった……………持ってなかったら死んでたわ」
ホッとする創真。だが、いつまでもこうしてる訳にもいかず、スマホを取り出してホリーに電話を掛ける。
『もー、どうしたの創真?折角映画の余韻に浸ってたのに』
不満そうなホリー。創真はカメラ通話に切り替え、今の自分の現状を見せると、ホリーの声に緊張が走った。
『ど、どうしたの創真!?』
「どうしたもこうしたも、崖から落とされて死にかけたのを何とか回避したんだよ。今、E組の崖の所にいるから早く来てくれないか?」
『わ、分かった!3人で今すぐ行くからね!』
「……………………ま、こんな感じ。残念だったね、殺せなくて。爪が甘かったね」
「ッ!!」
「それと……………これは勘だけど茅野カエデって、本当の名前か?」
「違うよ。私の名は雪村 あかり。雪村 あぐりの妹。お姉ちゃんを知ってるでしょ?人殺しの殺せんせー」
「…………………!!」
殺せんせーが息を呑むのが創真にも分かった。
「また殺るよ、殺せんせー。場所は後で指定する。それと…………創真君。今の状態だと私はあなたに負ける気がしない。私の暗殺を邪魔するなら、殺すよ?」
その言葉に、創真も冷徹な笑みを浮かべて言う。
「殺ってみろよ。殺れるもんなら、ね」
その言葉を受けた茅野はフッと笑い、触手を木に巻き付け、跳躍をして去っていった。
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