結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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MPは何の略でしょうね~?


じゃ、どうぞ!


第127話 MPの時間

「僕の中で…………人の顔が明るいときは安全。暗いときは危険ってイメージがありました。鷹岡先生とやったときも、暗いときは攻撃を避けるのに徹してました。何となくですけど………」

 

 

 

殺せんせーはまだ無言だ。

 

 

「この前死神に受けた 技で、視界が一気に変わりました。僕が感じていた明暗は、意識の波長だったと分かりました。今なら、死神と同じことができると思う。…………大した長所もない僕には、この先望めない才能だと思います。だから殺せんせー……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は殺し屋になるべきでしょうか?」

 

 

気になってついて来たキバットも、この言葉には度肝を抜かれた。殺し屋を将来の選択肢に入れてしまうなど………普通はないからだ。

 

 

「…………渚君」

 

 

「………はい」

 

 

「正直に言うと、君に暗殺の才能があることは疑う余地もない。波長を見抜く観察眼に加え、どんな敵にも立ち向かう勇敢さも素晴らしい」

 

 

が、と殺せんせーは言葉を一旦切る。

 

 

「君の勇気には自棄が含まれている。『僕ごときどうなっても良い』、と」

 

 

殺せんせーの指摘に、渚は息を呑む。

 

 

「先ずは何故君がその才能を身に付けたか、よく見直しなさい。そうすることで、何故君がその才能を身に付けたか、誰のために使いたいか見えてくるはずです。もし、それでも君が殺し屋になりたいと思うなら、先生は全力でサポートします」

 

 

目を瞑って聞いていたキバットは廊下から静かに姿を消した。

 

 

(…………………さて……………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………渚が殺し屋?」

 

 

放課後、碧海と一緒に帰っていた創真はキバットの言葉に眉を潜める。

 

 

「そりゃまた危険な仕事を選んじゃってるね~。逆にすごいと思う………」

 

 

碧海は逆に感心している。

 

 

「…………………俺様が思うに、恐らく親が何か絡んでると見た」

 

 

「親?親と渚が殺し屋を希望するのに何の関係があると?」

 

 

「知るか、そんなこと!だが、俺様の勘がそう告げてる。と、言うわけで、今日渚の家にちょっくら行ってくるわ!そんじゃ」

 

 

キバットは創真から離れ、1人飛んでいった。

 

 

「…………意外と過保護だな、あいつ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PM 5:30

 

 

「まだ帰ってこないな。そんなに面白い話が聞けてんのかね?」

 

 

「どうだろうね~。どうせ、美女に目を奪われて何処かほっつき飛んでいるんじゃない?」

 

 

「碧海さんの説が最有力だな……………にしてもさ、僕らも暇だし行かない?誰かに捕まって、動物園にでも送られて面倒くさいし」

 

 

ホリーがケーキを食べながら提案する。

 

 

「えー…………まぁ、確かにトラブってたらやだし………行くか」

 

 

創真が嫌々腰を上げ、支度を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家から15秒で、渚の家付近に到着。

 

 

「んで、キバットは何処?」

 

 

「取り敢えず捜してみるか」

 

 

創真らは辺りを捜索する。が、何処にも姿が見当たらない。

 

 

「やれやれ。結局美女に目を奪われて何処かほっつき歩いてるみたいだな。あーこの時間無駄だったわ。じゃ、帰」

 

 

「お?お前ら何してんだよ」

 

 

聞き覚えのある声に振り向くと、そこには捜索対象のキバットがいた。

 

 

「ったく、何処行ってたんだよ?渋谷にでも行ってたのか?」

 

 

「なわけねぇだろ!それより、ちょっとそこの公園に行こうぜ。話したいことがある。色々分かったんだけどよ……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おっかねー…………渚の母ちゃん、モンスターペアレンツだったのかよ」

 

 

ホリーが怯えた表情をする。キバットの聞くところによると、渚の家の場所は知ってたが、部屋番号までは分からず途方にくれていると、突然ヒステリックに叫ぶ女の声がしたらしい。

 

 

で、叫び声がする部屋のベランダから覗くと、渚の髪を引っ張って叫ぶとんでもないババ……………いや、渚のお母さんがいたらしい。それで自慢の耳で暫く聞いていたそうだ。

 

 

「渚の観察眼の鋭さは、この母親が原因だな。大方、渚は母親の顔色伺って生きてきたから、観察眼に優れてるんだろうな」

 

 

「で、具体的にどんな話してたのか?」

 

 

「えっとな……………まとめると、どうもあの母ちゃんは渚をE組から抜けさせようとしてるらしくてな。まぁ、それに反対でもしたからキレたんだろうな。んで、明日殺せんせーに会いに行くんだとよ」

 

 

「そうかそうか………………殺せんせーに……………え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい───!!それヤバイだろ!!バレたらとんでもない事になるぞ!!」

 

 

「烏間先生は出張でいないし、あの痴女ビッチではダメだ」

 

 

「なら、氷室さん?いや、名目上の担任は烏間先生だし、ダメか」

 

 

「ぎりアウトだな」

 

 

「ちっ、詰んだわ!」

 

 

5人はあーでもない、こーでもないと議論を続けたが、良い解決策は出なかった。

 

 

「くそ、最低だ!あのバカタコじゃ、何かやらかすに決まってる!!くっそ、烏間先生がこういうときにいれば………………」

 

 

ホリーが殺せんせーをバカ呼ばわりする。

 

 

「はぁ…………………」

 

 

デュオはため息をつく。

 

 

「こりゃヤバイね~」

 

 

碧海さんはいつも通り。

 

 

公園の空気が若干重くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………あれ?創真君?それに碧海さんやホリー君たちも?」

 

 

顔を上げると、渚がいた。

 

 

「渚君………………何故ここに?」

 

 

「ちょっと気分転換したくて」

 

 

渚は創真の隣に座る。

 

 

「あの…………うちのキバットから聞いたんだけどさ………」

 

 

「うん。こっそり最後まで聞いてたの分かってたよ。姿がちらっと見えたんだ」

 

 

「……………バレてたのかよ。渚は苦労してるな」

 

 

「そんなことないよキバット君。普段は大したことないから」

 

 

「で、明日どうするの?面談に来るんでしょ?」

 

 

「うん。さっき殺せんせーに電話で言ったんだけど、任せろって豪語して…………」

 

 

「「「「「不安だ」」」」」

 

 

5人全員、意見一致。渚はアハハ………と、苦笑い。

 

 

「まぁ、1つアドバイスするなら、自分の気持ちは明日にでもしっかり伝えた方が良いかな。難しいかも知れないけど、言わなかったら後悔するかもよ?」

 

 

「……………うん。分かってくれるか分からないけど、やってみるよ」

 

 

「そう、それで良い。じゃ、僕らは帰るよ。おやすみ」

 

 

「うん。おやすみ」

 

 

創真は碧海を抱えて飛び去っていった。明日、上手く殺せんせーが説得してくれますように……………三日月に祈る渚であった。




THE NEXT story 4/11 PM 22:00



蛇足だけど、MPはモンスターペアレンツの略です………。

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