結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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ついに決着!!


第124話 死神の時間 6時間目

「どういうことだ…………?どうやって檻から…………まぁ良い。なら、2、3人殺してマイクで脅せば出てくるはず!」

 

 

そう確信して、死神は2、3名の起爆ボタンを押す。すると、画面の中央で爆発が見えた。あの首輪型の爆弾が爆発したのだ。

 

 

「外して行っただと!?…………くそ!なら、振り出しに戻すまで!」

 

 

死神はドアの前から引き返して行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………首輪が爆発したよ。全部、計画通りだね」

 

 

ホリーが笑いながら呟く。

 

 

「これを見た死神は引き返す筈。結果が分かるまでこのまま待機だ」

 

 

死神に一泡吹かせようと、三村が考えた作戦はこうだ。

 

 

まず、キバットにビッチ先生が付けてた爆弾を持ってきてもらい、イトナが鑑定。

 

 

イトナ曰く、乱暴に外しても爆発しないとのこと。と、言うわけで爆弾は全部外した。

 

 

そして、次に檻の外にある監視カメラに注目。カメラ……………いや、盗撮のプロフェッショナルの岡島が言うには、強めの魚眼タイプである。そして、このタイプなら、正確に写らない場所があるとのこと。で、超体操着の迷彩を施して、そこに肩車で張りついて完成。ちなみに、殺せんせーは素っ裸で皆の隙間を自然に埋めてる。

 

 

「で、結局僕の出番は無しか」

 

 

透明化しているホリーが幾らか不満そうに呟く。

 

 

「てか、結局思い付いたのか?」

 

 

同じく透明化しているキバットが尋ねる。それに対してホリーは即答する。

 

 

「いや」

 

 

「…………………もういいわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………ん?」

 

 

「どうしたのデュオ?」

 

 

「戻ってきた」

 

 

ビッチ先生の手当てをしていたデュオがスッと立ち上がる。無論創真もだ。

 

 

「あのねービッチ先生。あなたが育った世界とは違うけど…………皆がいる世界にはあなたが必要だと思いますよ」

 

 

「……………!!」

 

 

創真の言葉にビッチ先生は大きく目を見開く。言いたいことを言い終わったのか、創真とデュオは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創真が去って間もなく、死神がビッチ先生の前に現れた。

 

 

「イリーナ。創真君は?」

 

 

「気付いたらもういなかったわ。ひどいじゃない、死神。私ごと爆破するなんて」

 

 

「…………いゃあ、ごめんよ。ああでもしなきゃ目的が達成できなくてね」

 

 

笑顔でさらっと言う死神を醒めた目で見つめるビッチ先生。

 

 

「…………別に良いわ。それと、あんたに1つ言っておきたかったんだけど」

 

 

「なんだい?」

 

 

「後ろの警戒もちゃんとした方が良いわよ」

 

 

「え………………?」

 

 

ガシッ!

 

 

「はい、捕まえた~。鬼ごっこは終わりだよ三流君。君のミスを教えよう。まず、1つ目。信頼できる仲間を作らなかったこと。2つ目。自分の技術を過信しすぎたこと。3つ目。僕を本気にさせたことさ!」

 

 

肩をつかんでる創真から離れようとするのだが

 

 

「あ、足が動かない…………!?」

 

 

「ビビっちゃった?なら、動かしてやるよ!」

 

 

その瞬間、死神の身体が勝手に後ろへ吹っ飛び、立坑へと身を躍らせる!

 

 

「さぁ、けりをつけよう」

 

 

創真も死神を追って、飛び降りる…………………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創真が立坑の底へと着地したとたん、コンクリートにヒビが入る。そして、創真は死神と対峙する。

 

 

「受け身は出来るみたいだね。にしても、あんたのスキルは種類は多彩だが、爪も脇も甘い。なんかブランクでもあっ………」

 

 

創真は言い掛けた所で、顔をしかめて言葉を止める。何故なら、水面に顔の皮が浮かんでたからだ。

 

 

「ガキのくせに言ってくれるじゃないか」

 

 

「うぇ…………気持ち悪ッ……………まだ夕飯食ってねぇのに、嫌なもん見せやがって……」

 

 

「変装の技術を身に付けるために顔の皮は剥いで捨てたよ。さぁ、お前を殺して顔の皮を頂こうか!」

 

 

「いや、それは絶対嫌だァァァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉ!!凄い!!凄いぞ、この戦いは!!」

 

 

「タコ!!何言ってんのか分からねぇぞ!!」

 

 

キバットの言葉に皆はうんうんと首肯く。

 

 

「まぁ、心配せずとも、創真君はやられないでしょう。何故なら、通常戦闘のスキルは死神と同等な上、デュオ君の能力で身体機能も強化されている」

 

 

ただ、と殺せんせーは少し顔を曇らせる。

 

 

「心配なのは、こんな状況でも、死神は秘密兵器を隠し持っていると言うこと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(チッ。流石は殺し屋。デュオの力を借りても、決定打を与える隙がない)

 

 

長引く戦闘に、少し苛立ちを感じていると、死神が口を開いた。

 

 

「創真君。なんで僕が殺し屋になったか教えてようか?」

 

 

いやご遠慮します……………と、言う前に死神は語りだす。

 

 

「僕の親は殺し屋に殺された。横暴だったから特に悲しくなかった。その代わり、親を瞬殺した殺し屋を見てこう思った。なんて美しい技術なんだろう………と」

 

 

「…………あっそ」

 

 

「暗殺とは美しい技術の集合体。人を殺せば技術が身に付き、更なる仕事と技術をもたらす」

 

 

そう言い、死神は懐に手を入れる。

 

 

(銃か…………!?最悪異能を使えば良い!)

 

 

死神が取り出したのは薔薇だった。そのまま、上へ投げる。思わず創真はそっちに目が行ってしまった。

 

 

プツン!!

 

 

そんな音がした。次の瞬間……………血が吹き出した。

 

 

(僅か10口径の弾丸を筋肉と骨の隙間に通し、大動脈に裂け目を入れれば、自らの血流圧で裂け目を広げ、大量出血で死に至る!!)

 

 

創真は崩れ落ちる。

 

 

「どうだい?死神にしかできない総合芸術は?」

 

 

そう言いながら近づく死神。そして、皆さんご存じの通りあることに気づいた。

 

 

(なんだ?皮膚と同じ色のチューブが血を噴いてる………………通路にまで続いてるこのチューブ…………まさか!?)

 

 

ズンッ!!

 

 

創真はたまたまをアッパーカットした!!死神は大切な部分を押さえて悶える。

 

 

「同じ男子として、少しは可哀相だが……まぁ、良い。男子の読者なら共感してくれるだろうな」

 

 

チューブ…………いや、触手を取って創真は呟く。

 

 

「ちなみに、殺せんせーは今の技術の正体見抜いた。で、僕にもそれを使ってくると思って、トマトジュース買ってた……………20%割引されてたのをね」

 

 

(最後の言う必要あったか…………?)

 

 

心の中で突っ込みを入れるデュオ。

 

 

「さぁて、お待ちかねの仕返しの時間だ」

 

 

「う、うるさい!死ね!!」

 

 

死神は銃を取り出し、創真に向けて引き金を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………無駄だね」

 

 

銃弾は、創真の手の平で全て止まっていた。当たると同時に、勢いを殺されたのだ。

 

 

「な、何なんだお前!?本当に人間なのか!?何者なんだ!?」

 

 

「あぁ、正式な自己紹介がまだだった…………ね!」

 

 

そう言って、フルパワーで拳を振り抜く。死神は2回転し、コンクリートに頭をぶつけて気絶する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕の名は結城 創真。E組の暗殺者さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、操作室にいた氷室と烏間をビッチ先生が連れてきて、死神を上へ運び、拘束した。死神のスマホを操作して、無事に皆を開放。

 

 

……………殺せんせーだけ閉じ込めれれば良かったのだが。

 

 

「創真君、大丈夫だった!?」

 

 

碧海が創真に近寄ってきた。

 

 

「全然。僕はそこまで弱くないよ」

 

 

「……………本当に良かった…………」

 

 

碧海は涙をこぼし始めた。さすがに創真もたじろいだ。

 

 

「本当に心配したんだから!もうこんな無茶はしなって約束して!!」

 

 

「え、いや、あー……………ごめん」

 

 

────まさか泣くとは…………………。

 

 

創真は自分の胸元で泣く碧海を見てそう思った。

 

 

「うわー泣かせちゃった」

 

 

「創真君が女の子泣かせちゃった」

 

 

「なんか皆酷くない!?(てか、また陽菜乃の目が怖いんてすけど…………)」

 

 

「……………にしても、この顔は気持ち悪いな。顔面兵器かよ」

 

 

ホリーが死神の顔面をdisる。

 

 

「影響を与えたものが愚かだったのです。これほどの才能なら、もっといろんな所で技術を使えた筈なのに」

 

 

その時、小石が転がる音がした。

 

 

「あ」

 

 

こっそり去ろうとしていたビッチ先生を皆は見つけた。

 

 

暫くビッチ先生は固まってたが、また静かに足を進める………………。

 

 

「テメー、なに逃げようとしてんだよ、おい!!」

 

 

ホリーが叫び、デュオは無言で外套から布を出して連れ戻し、完全拘束。

 

 

「ちょっ、デュオ!セクハラで訴えてやるわよ!!」

 

 

「そしたら名誉毀損で訴えてやる」

 

 

「もー良いわよ!裏切ったんだから制裁受けて当然よ!性的な暴力で何でもすれば良いじゃない!!」

 

 

「なんで性的なのに拘る?」

 

 

「おい、ビッチ。普通に学校来れば良いんだよ。ま、俺様からしたら賞味期限切れだけど、皆はあんたのことを必要としてるみたいだしな」

 

 

キバットの言葉に皆も口々に喋りだす。

 

 

「続き気になってたんだよね。アラブの王様たぶらかして戦争寸前まで行った話のさ」

 

 

「花男の仏語版を借りパクしちゃうよ?」

 

 

ビッチ先生からしてみれば、矢田と片岡の言葉が信じられなかった。

 

 

「殺す寸前まで行ったのよ…………今までヤバイこともしてきたのよ。なのに………」

 

 

「何か問題でも?裏切ったりヤバイことしたりする…………それでこそビッチじゃないか」

 

 

竹林が眼鏡をクイッとやりながら云う。

 

 

「イリーナ」

 

 

そこへ烏間先生。

 

 

「今回…………俺はプロの枠に拘りすぎて、思いやりが欠けていた。すまなかった」

 

 

「カラスマ……………ふん、別に良いわよ!最初から誕プレなんて期待してなかったもの!」

 

 

「素直じゃないね…………」

 

 

創真は小声で呟く。

 

 

「あの………………お取り込み中良いですか?」

 

 

割って入ったのは氷室さん。

 

 

「今後、このような危険に皆さんを巻き込むのはよろしくないです。烏間先生に是非、対策を練ってもらいたいですね」

 

 

「同感です。安心して殺し殺される環境作りをあなた方防衛省に要求します」

 

 

殺せんせーが珍しく強い口調で同意する。

 

 

「………ああ。分かっている」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、やぁっと解放された…………外の空気は美味しいね………」

 

 

取り敢えず解散になり、帰路に着く創真が呟く。

 

 

「そ・う・ま・く・ん?」

 

 

「……………おっと?」

 

 

引きつった笑顔で振り返ると………当然そこには陽菜乃。

 

 

「い、いや誤解されては困るよ。僕は陽菜乃一筋…………うん、絶対!」

 

 

「……………………」

 

 

陽菜乃は何も言わずに、創真に抱きつく。

 

 

「……………心配した」

 

 

「……………ごめん。お詫びに何か好きな願いを叶えるよ………………ダイヤモンドくれ、とかは止めてね?」

 

 

「ならさ………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日、創真君の家に一緒に泊まって良い?」

 

 

(な、何だって……………………!?)




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