結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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本格的にシリアス?



では、どうぞ!


第119話 死神の時間

あれからもう3日。

 

 

ビッチ先生の行方は誰も知らない。創真は倉橋に頼まれて、東京中をマシンプテラで飛び回っているが、未だに出掛かり1つ掴めぬ。マシンプテラとは、最近お気に入り登録した人のために説明しとくと、創真が発明したとんでもなくヤバイ兵器………いや、発明品。

 

 

活動報告欄にある通り、超音波を出したり、翼は対殺せんせー用になっている大型のマシン。あまりのジエットの出力に、創真自身がマシンプテラに乗って移動できちゃうと言う、かなり危険な代物。まだフライボードみたく乗れる事は生徒以外には明かしてはいない。創真曰く、ばれたら烏間先生になんか言われるだろうし。

 

 

ちなみに、原理的にはちょっと前に有名になったジェットエンジン搭載のフライボードとほぼ同じである。なお、暗殺に使ったら、全ての攻撃を避けられて、ピカピカに磨かれた。

 

 

「イリーナ先生に動きがあったら電話してくださいね。先生はブラジルにサッカー観戦に行ってくるので」

 

 

そう言い残し、殺せんせーはマッハで飛び行く。

 

 

「じゃ、行ってくるわ」

 

 

「創真君、大丈夫?疲れてるなら良いよ?」

 

 

倉橋が心配そうに云うが、創真は、大丈夫だよと答える。

 

 

「ホリー、デュオ、キバット、行くよ。まったく、あのビッチめ。どこ行ったんだよ………」

 

 

創真もマッハほどではないが、マシンプテラに乗って飛び立った。

 

 

「……………創真君もご苦労様だね~」

 

 

「つーか、あいつ倉橋には結構甘いよな~」

 

 

碧海の呟きに隼がニヤリと笑いながら答えた。

 

 

「にしても、あのビッチどこ行きやがったんだよ。電話も出ないし、烏間先生も気にしてなさそうだし」

 

 

隼の呟き通り、烏間は今日も特に気にすることなく、殺し屋との面談のために先に帰った。ちなみに、氷室も授業が終わって直ぐに飛び出していった。ビッチ先生が訪ねてそうなお店などを訪問して、お店の人に聞いてみるとか。こちらは結構心配してる様子。

 

 

「まさか、こんなことでさよならとか無いよな」

 

 

「そんなこと無いよ。彼女にはまだやってもらうことがあるからね」

 

 

千葉の不安に答えたのは、花屋の青年だった。

 

 

「だよねー。何だかんだ一緒にいたら楽しいもん」

 

 

岡野の言葉に、彼はそう、と続ける。

 

 

「君達と彼女との間には充分な絆が出来ている。僕はそれを利用させてもらうだけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!!?」」」

 

 

ここでようやく、皆はおかしいことに気付いた。

 

 

「僕は『死神』と呼ばれている殺し屋です。今から、授業をします」

 

 

皆は驚きのあまり何も発する事ができず、無言で次の言葉を待つ。

 

 

「花はその美しさにより、人の心を開く。でも、花が美しく芳しく進化してきた本来の目的は虫をおびき寄せるため」

 

 

「……………お前がビッチになんかしたのか?」

 

 

隼が問い掛けると同時に、律の画面に手紙が表示された。

 

 

「律さん、画像を表示して。隼君も、皆も見てくれ」

 

 

律は画像を表示する。そこには、拘束されているビッチ先生が写っていた。

 

 

「「「!!!!」」」

 

 

「彼女の命を守りたいなら、ここにいるメンバーだけで、僕が指定する場所に来てください。別に来なくても構わない。その時は、小分けにして全員に届けます。そして、次の花は、君たちのうちの誰かに送るでしょう」

 

 

そう笑顔で語る死神。そひて、碧海は自分が信じられなかった。

 

 

(……………こいつは殺し屋。恐ろしいことを平然と口にしているのに、それが嘘じゃないの位分かってる……………でも、どうして………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんなに安心できるの……………?)

 

 

隼も、夏休みに神崎に話していたことを思い出した。警戒できないのが、1番恐い……………確か自分はそう言っていた。まさにその通りだ。

 

 

「…………あんたの言ってることは理解したよ。けどさ、ここから無事に帰れる……………そう思ってるの?」

 

 

本音を言えば、話すだけでもかなりの勇気が必要だったが、それでも碧海は立ち上がり、机から銃を取り出す。

 

 

「…………BB弾で倒せると?」

 

 

「あんたが話してる間に、中身を催眠弾に変えた。いくら死神でも、人間でしょ?そもそも、私達がビッチ先生を助ける義理があると?」

 

 

「どうかな?君達は自分達で思ってる以上に彼女が好きだ。話し合っても見捨てると言う結論は出せない……………違うかい?」

 

 

「…………………………」

 

 

碧海は黙って、銃の引き金に手を掛ける。死神は持っていた花を空中に撒き散らす。

 

 

「畏れるなかれ。死神が人を刈り取るのを」

 

 

碧海の銃から弾丸が飛び出した。が、その弾は空を切り、黒板に催眠液が飛び散った。

 

 

「消えた!?」

 

 

碧海は教室の窓から辺りを見回すが、どこにもその姿はなかった。

 

 

「……………逃がしちゃったか」

 

 

碧海は苦虫を潰したような表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、3日前の花束に盗聴機が仕込んであったのが分かった。破壊したものの、無意味だろう。木村が、落としていった紙に書いてある文を読む。

 

 

「今夜18時までに指定の場所へ来てください。今、ここにいる全員以外の人間が知った時点でビッチ先生の命はありません……………か」

 

 

「私達を人質にして殺せんせーを誘きだそうって言う魂胆が見え見えだね。ま、そう分かってても来ざるを得ない………………ってのが狙いか……………ま、確かに戦略的には正しいね」

 

 

壁に寄りかかっている碧海が冷静に分析する。

 

 

「これ使うか?」

 

 

寺坂が取り出したのは、超体操着だった。

 

 

「守るために使うって決めたのに、今着ないでどうすんの」

 

 

「あんなビッチでも世話になってんしな」

 

 

中村と岡島が賛同し、一気にそれが伝染する。

 

 

「あ!創真君達………………」

 

 

「「「あ」」」

 

 

碧海に言われて、ようやく皆は彼等の存在を思い出した。それにしても、創真の留守も死神を狙っていたのだろう。未知の力を持っている事も死神は察知していて、そんな彼を相手にするのを警戒したのか。

 

 

「…………やべ。ここにいる俺ら以外に知られたら…………」

 

 

「あ、多分大丈夫!創真君、今日は夜遅くまで捜索するって言ってた!氷室先生も同じ感じ!」

 

 

倉橋の言う通りなら、問題ないだろう。皆はそう結論付けた。

 

 

「こんなとき、創真君ならなんて言うかな?」

 

 

碧海の疑問に、倉橋が答える。

 

 

「すべきことをしろ…………とかかな?」

 

 

「絶対そう言いそうだね~」

 

 

碧海が笑みを浮かべる。

 

 

「よし、一泡吹かせてやろうぜ!」

 

 

「「「おー!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、氷室は

 

 

「そんな客は来てない?そうですか、ありがとうございました」

 

 

「ねぇーお兄さん、うちとそこのホテルで楽しいことしな………」

 

 

「結構です」

 

 

甘い誘惑をきっぱり断って、氷室はランボルギーニに乗り込み、発進させる。そして、電話を掛ける。

 

 

「創真様がピックアップしたお店などなどを全て訪ねましたが、ビッチ先生らしき客は来てないそうです」

 

 

『そうですか。うーん…………氷室さん、無茶言っていいですか?』

 

 

「結構、いつも無茶なこと言ってません?構いませんが」

 

 

『助かります。範囲を、神奈川まで広げたいのですが』

 

 

氷室は思わずブレーキを強く踏む。

 

 

「なるほど。これは至上最高に無茶な要求ですね…………ですが、私そう言う無茶、嫌いではないですよ」

 

 

『ほんとすみません……………今月はボーナス期待しといて下さい。親に頼んどきます』

 

 

「楽しみにしてますよ」

 

 

氷室は通話を終え、ランボルギーニのハンドルを握り直す。

 

 

「とりあえず、似た系統の店を地道に調べますかね?」

 

 

独り呟き、アクセルを踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その会話からさらに1時間半後、創真はと言うと

 

 

「……………さてさて、監視カメラよ。我に真実を教えてっちょ」

 

 

椚ヶ丘周辺のあらゆる監視カメラをハッキンクして、カメラの映像を見ていた。

 

 

「創真、無駄だろ。もう何度もやっただろ?」

 

 

「……………………まーね。あーあ、お手上げだ。どうすればビッチを見つけられる?あ、デュオ。前言ってた人間の色々を見れるアレは?」

 

 

「………直ぐには無理だ」

 

 

「そうなのー?はぁ」

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

唐突に電話が鳴った。

 

 

「電話~?誰だよ……………殺せんせー?もしもし?」

 

 

『あ、やっと繋がりました!創真君、何やら胸騒ぎです』

 

 

「はい?」

 

 

『創真君以外の皆との連絡が取れなかったんです………』

 

 

それを聞いた創真は訝しげな表情を浮かべた。創真はホリーに適当に誰かに電話を掛けるように指示する。数秒後、ホリーは首を横に振った。

 

 

「1度、学校に戻ってみます。1時間以内に殺せんせーも来れますよね?」

 

 

『急いで戻ります!では!』

 

 

通話を終えた創真は険しい顔をしていた。そして、ホリー達の方を振り向く。

 

 

「嫌な予感がする。今すぐ椚ヶ丘に戻るよ。それと、氷室さんと烏間先生に連絡を」




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