ではどうぞ!
創真side
「さて、皆さん!体育祭も終わって中間テストです!熱く行きましょう!熱く!!」
やれやれ、熱苦しいものだ。それと僕は完全に教える側に回った。
「…………えーっと、ここの文にヒントがあるよ。主人公がどう思ってるのかを思わすような文が。これを踏まえると、答えは何番?」
「えっと…………に、2番?」
「正解。よし、では次行こうか」
ちなみに今は奥田さんに国語を教えていた。それを見つめるホリー達の会話が聞こえてくる。
「中学生は勉強大変だね~。担任は熱いし。まぁ、体育祭を乗りきったから、集中できるんだろうけど」
「が………………何処か落ち着かなさそうだ」
「俺様、嫌な予感がするぜ………」
言われて、皆の方を見てみるが、確かに落ち着きが無さそうだった。
(何だろう…………………確かに焦ってる、って感じがするなぁ)
「創真君、どうかしたんですか?」
「あ、いや……………さて、次は……………」
==================
「あーあ。にしても、殺せんせーはテストの点を上げようと熱心だな」
下校してる隼が皆に聞こえるように呟いた。
「でもさ…………あと5ヶ月だよ?暗殺に集中するべきじゃないのかな?」
矢田の言葉に皆は賛同の色を見せる。
「でも、テストも良い点取りたいからな………なんか………こう、良いアイデアないもんかね………」
「クックック……………任せろよ隼。俺に良い考えがある。皆もちょっとついてこいよ」
岡島が皆を連れてきたのは、森だった。
「ここからフリーランニングで建物の屋根を渡っていけば、隣町の駅まで行けんだよ」
「確かに面白そうだが…………安全なのか?」
「心配すんなって。前行ったけど全然危険じゃなかった。今の俺らなら楽勝だって」
「ふーん。なら良いか」
隼はストレッチを始めた。気が早いとは、まさにこの事。
「でも烏間先生は裏山以外でやるなって言ってたじゃん」
「そうだよ。もし落ちたら………」
片岡と倉橋は口を揃えて言うが、もう既に皆はヤル気満々だった。
「なら、今行って安全と言うことを見せてやるよ。着いていきたい奴は来い!先導するぜ!」
その言葉に、何人かの生徒は岡島に続く。勿論、隼もだ。
「ちょっと待ってよ!」
片岡も慌てて着いていく。
一方その頃、創真は新宿に居た。
「これが1日100食の有名なクレープ…………!!」
まさかのクレープ目当てだった。同じくクレープを頬張るホリーがにしても、と呟く。
「碧海さんもクレープ好きなんだね。ほんと、2人は気が合うよね~」
「私も結構甘党なんだよね~。所でさ、この前の打ち上げで男子何か苦しそうだったよね?」
「あ、その事教えて欲しいんだけどさ…………隼の料理……………あれは何だ?生物兵器か?」
「……………まさか、隼の料理を食べたの?」
碧海の言い方は、まさかアレを食ったの的な言い方だった。碧海はクレープを食べる手を止めて話し出す。
「隼の料理はね…………味付けがヤバイんだよ。独特の味覚があるんだろうけどね。他の人には到底食える辛さや甘さじゃないんだよね………」
「よし…………今後一切、あいつには料理を作らせないようにしよう」
「それをお薦めするよ…………」
「碧海さんは上手いのにね…………姉弟なのにここまで違うものなんだねー」
創真が自分の料理の腕前を上手いと言ってくれたのを、碧海は嬉しく感じた。
「創真君ってさ…………優しいよね」
「そう?そりゃどーも」
創真はクレープを頬張った。
「いやっほーう!こりゃ気持ちいい!」
天井を蹴りながら隼は感想を漏らす。
「もう俺らは一般人とは違うんだよ!これを毎日やっていけば、勉強と暗殺の刃を同時に磨ける。最高だろ!」
「岡島の言う通りだな………これなら暗殺も夢じゃねぇ!」
皆は楽しそうに、天井を蹴って空を舞う。
「よっしゃ、1番乗り!!」
岡島と木村がゴール付近に着いた。そして、道路に飛び降りる。2人は飛び降りてから気づいた。
……………飛び降りた道路に、ちょうど自転車に乗ったおじいさんがいたことに。
ガシャン!!
「!!」
透明化していたキバットが椚ヶ丘の方面に顔を向けた。
「どったの、キバット?」
「……………自転車が倒れる音がした」
「あっそ……………………」
特に誰も興味なさそうだった。しかし、キバットは違った。
「なぁ、嫌な予感がする。戻らないか?」
「はぁ?折角創真と碧海さんとデート………あ、いや、何でもない」
創真からの視線を感じたホリーがゴホンゴホンと、業とらしく咳き込む。
「そんなに気になるなら戻る?特にやることないし」
「あぁ、そうしよう!俺様の勘が当たったかもしれねぇ」
目立たぬように、路地裏に入って、創真は碧海をお姫様だっこで抱え(碧海は凄く赤くなった)、ホリーは憑依してすぐに空へ飛び上がった。
「えーっと…………確かここら辺………」
キバットの先導の元、不吉な音がした場所を探す。
「あれだな」
創真は音のした場所から少し離れた場所に降りて、双眼鏡を取り出した。
「おじいさんが救急車で運ばれてる…………別に単なる事故じゃ……………………」
創真は言葉を失った。何故なら、救急車に運ばれているおじいさんから少し離れた場所に、E組のクラスメイトがいたからだ。
「……………なるほど。そういうことか…………」
E組の皆は病院前で待っていると、烏間と氷室が出てきた。
「右大腿骨の亀裂骨折。2週間ほどで完治だそうです。ただ、あなた達のことは国家機密。今、烏間先生の部下の人が説得中です」
氷室が感情を窺わせず、実に事務的に告げた。ここに来て、皆は事の重大さを理解した刹那、背後から殺気。
殺せんせーだった。
「だ、だってあんなところにチャリに乗ったじいさんがいるなんて考えねぇよ!」
「悪いとは思ってるけど…………自分達の力を磨くためにやったんだし………」
「地球を救う重圧がテメーに分かんのかよ」
皆の言い訳を全て一蹴するかのように、殺せんせーは皆にビンタをかました。
「お二人方、危害と報告しますか?」
「いいえ」
氷室は即答した。そして身を翻し、病院の中に入っていった。
「危険を承知で高度な訓練を取り入れたが、君達には早すぎたのかもしれない。俺の責任だ」
烏間も病院の中に入っていった。
「君達は強くなりすぎた。身に付けた力に酔い、弱い者の立場に立つことを忘れてしまった」
殺せんせーは言葉を続ける。
「と言うわけで、話しは変り………今日からテストまで、クラス全員のテスト勉強を禁じます」
「…………どういう意味だよ?」
「テストよりもやるべき授業をするだけですよ。先ずは被害者を説得してきます」
殺せんせーは去っていった。
「「「………………………」」」
一同は何も発さず、無言の空間が続いた。
『テデーン!全員、out!!』
無言の空間を貫いたのは、そんな気の抜けた声だった空から創真が碧海を抱えて音もなく現れる。
「創真……………………」
「ちょっと目を離した隙にやってくれたじゃないか」
創真の冷徹な視線が皆を射ぬいた。
「…………………悪かった」
隼がポツリと呟く。
「それは被害者に言え。……………何はともあれ、骨折で済んだのがせめてもの幸いだ。下手すれば死んでたかも知れないんだぞ…………………分かってんのか!!」
突然大きな声で創真は罵り、近くにいた碧海はビクッと身体を震わせた。
「そ、創真。ここ、病院の近くだから…………」
「………………あぁ、すまん。つい、カッとなった」
幾分か冷静になった創真は、ふぅと息をつく。
「で、何か殺せんせー言ってた?」
「………………クラス全員のテスト勉強を禁止で、テストよりも大切な授業を行うって言ってた」
それを聞いたデュオは、何か勘づいた様子でなるほどな、と呟く。
「殺せんせーが何をしようとしてるのか、大体分かった……………………いつまでもずっと突っ立ってたら、何も始まんないぞ。まず、被害者に謝りに行くのが当たり前だろうが」
デュオに促され、皆は足取りは重いものの病院へ入っていった。
「にしても、デュオがさっきなるほど、って言ってたけど、何が分かったの?」
「殺せんせーが教えようとしている事さ。どうせ、創真もその授業を受けるだろうから、すぐ分かるさ」
「そんなもんかねぇ………………さて、僕らも中に行って、謝ってくるか。一応、連帯責任って事で」
創真らも病院へ入っていった。
to be continue ………………
THE NEXT story3/24or25 PM 22:00