結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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今回、一気に終わらせます!


いつもより長いですが、どうぞ!


第111話 体育祭の時間

「きゃーカッコいい!木村君、もっとカメラ目線で!そう、ジャスティス!」

 

 

100m走の最中、親バカ殺せんせーはカメラを連写しながらギャーギャー言っていた。

 

 

「にしても、観客席は競技場から近くて良いですね。保護者達は全員本部の近くからしか見れないと思うと、ちょっと贅沢です」

 

 

「まぁ、そうですね。所で、氷室さんの親戚の子とか来てるんですか?」

 

 

「ええ。友達と一緒に」

 

 

「へー」

 

 

「にしても、皆さん大活躍ですねぇ。100m走だって、陸上部相手に奮闘してます。日頃の訓練の成果が生かされてます」

 

 

少し紹介すると、原さんがパンを飲み込んだり、茅野が身体の特性(?)を生かして網抜けで1位だったり、前原と岡野が二人三脚で見事な走りを披露したりと。

 

 

「さて…………僕の出番か」

 

 

創真が出るのは借り物競争。創真はストレッチをして準備する。

 

 

ピストルの音がなって、選手達は紙へ殺到する。

 

 

「僕のお題は……………『腕相撲が強そうな人』……………ナニコレ?」

 

 

結構変なお題に突っ込むのはさておき、腕相撲が強そうな人。創真はある人に駆け寄る。無論、氷室だ。

 

 

「来ると思ってましたよ創真様。それでお題は……………腕相撲が強そうな人?変なお題ですね」

 

 

「全く、その通りですよ。まぁ、ちゃっちゃと終わらせましょう」

 

 

「了解です」

 

 

氷室を連れてゴールへ行く。係りの人にお題を見せると、本部から本校舎の先生が机を持って出てきた。

 

 

「お題を見て察しが付くと思うが、俺と腕相撲で勝てたらゴールだ。勝てなかったらやり直しだ」

 

 

(よし。勝ったな)

 

 

内心創真は勝利を確信するなか、2人は構える。

 

 

「では………レディー………ゴー!」

 

 

ガン!!

 

 

なんの音か?察しが付くと思うが、氷室が相手の手を机に叩きつけた音である。

 

 

「──────────!!」

 

 

先生は声にならない悲鳴をあげる。相当痛かったんだろう。

 

 

「ちょっと本気を出しすぎましたね………」

 

 

…………何はともあれ、創真は1位でゴールした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、キバットは

 

 

「いや~暇だぜ。どこかに美しい美女はいないものかね~」

 

 

キバットがあまり面白くなさそうに競技を見つめる。

 

 

『続いては、A組対D組の綱引き!レディー………ゴーッ………!?』

 

 

始まった瞬間、D組の生徒が、羽毛のように空へ舞い上がった。

 

 

「な!?」

 

 

流石にキバットも驚きの声を漏らしてしまった。

 

 

『つ………強すぎるー!!A組、瞬殺だァァ!』

 

 

瞬殺の訳は明確。後ろの4人…………浅野が呼び寄せたムッキムッキの外国人助っ人がヤバイのだ。

 

 

「こりゃ手強そうだな。さて………創真はどう感じたのやら………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、創真!大丈夫なのかよ!?あそこまでヤバイ外国人助っ人なんて聞いてないぞ!!」

 

 

「そだねー」

 

 

「お前余裕そうだな…………そんなに良い作戦ってことか?」

 

 

「そだねー」

 

 

「………聞いてるか?」

 

 

「そだねー」

 

 

隼の問い掛けに作戦書を読みながら適当に答える創真。

 

 

「さっきから、そだねー、ばっか言ってんじゃねぇ!本当の所どうなんだよ?」

 

 

創真は作戦書を見るのを止めて、真剣な目で隼の方を向いた。

 

 

「ぶっちゃけ、ここまでヤバイ助っ人とは思ってなかった。それでも、やることは変わらない。ね、磯貝君」

 

 

創真が磯貝の方を向くと、その顔には不安が入り交じっていた。

 

 

「…………どうした?」

 

 

「やっぱり浅野は凄い奴だよ………………到底及ばないんじゃ…………」

 

 

弱気な磯貝に何か言葉を掛けようと模索していると、それより先に殺せんせーが喋りだした。

 

 

「確かにその通りです。彼はまさに傑物。磯貝君がいくら万能でも、社会に出れば君より上はいます」

 

 

「……………もし、俺のせいで皆が………」

 

 

「ですが、君が浅野くんより上回っている所もあるじゃないですか!」

 

 

「…………え?」

 

 

「ほら、創真君。答えて下さい!」

 

 

え、ここで僕に振るの……………、と言いたげな表情を創真は浮かべる。しかし、それも一瞬で、直ぐに創真は答えた。

 

 

「仲間を率いて戦う力…………かな?磯貝君、もし君がピンチに陥ったならば、皆がそれを共有して戦ってくれる。と、言うわけで何も心配しなくていいんですよ」

 

 

「創真君の言う通りです…………兎に角、最後まで諦めず、いつも通り殺る気をもっていけば、必ず勝てますよ」

 

 

「……………はい!」

 

 

返事をした磯貝の顔はいつも通りイケメンスマイルで、殺る気満々だった。

 

 

「よっし…………皆殺るぞ!」

 

 

「「「おー!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創真side

 

 

『さぁ、続いては棒倒し!なんとE組がA組に挑戦状を叩きつけてきた!負けるな、A組!!』

 

 

うるせぇ放送だ。とりあえず、陣形を組む。

 

 

『…………なんだE組!?攻める奴が誰もいないぞ!全員守りについている!こんな初期陣形は見たことがない!!』

 

 

本当にいちいちうるさいし、暑苦しい放送だ。間もなく、開始のピストルの音が鳴り響いた。

 

 

すると、外国人助っ人が含まれる攻撃部隊が棒に向かって突撃を開始した。

 

 

「くそが!」

 

 

「無抵抗でやられっかよ!!」

 

 

勇敢にも、村松と吉田が飛び出すが…………タックルで吹き飛ばされた。客席まで飛ぶ大記録だ。

 

 

『カメみたいに守ってないで攻めたらどうだ?…………どうせ通じないか』

 

 

『フフフ、お馬鹿め。怯えたからカメみたいにやってるとでも思ったか?いいから、攻めてこいよ。そしたら、驚きの余り泣くよ』

 

 

僕の英語に、彼は獰猛な笑みを浮かべる。

 

 

『ほう…………なら、見せてみろ!!』

 

 

棒に向かって突っ込んできた奴等を見た磯貝が指示を出す。

 

 

「今だ!全員、『触手』だ!!」

 

 

棒の防御が全員ジャンプし、攻撃をかわしながら押さえ込んだ。そして、棒を半分倒してガッチリ固める。

 

 

『どうだい?涙を拭くテイッシュは欲しいかい?』

 

 

『黙れ!!からかうな!!』

 

 

『からかうの楽しいわ~』

 

 

しかし、ただからかって楽しんでるだけの僕ではない。横目で敵の救援部隊が来てるのを確認した。

 

 

「どうする磯貝君?」

 

 

「真ん中に隙がある………敵戦力が分断されてきた今がチャンス。よし、攻撃部隊出るぞ!作戦は『粘液』だ!」

 

 

磯貝の指示で、僕、磯貝、隼、カルマ、前原、岡島、杉野、木村が真ん中を突破を図る─────────!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

===================

 

 

 

「かかったな…………!!」

 

 

浅野の呟き通り、彼等が真ん中を抜けた瞬間、方向転換してきた。

 

 

「やっぱフェイクだよね~。そんで真ん中にはヤバそうな助っ人達。サンドイッチにでもしようという事か」

 

 

創真が辺りを見回して誰ともなしに呟く。

 

 

「この場合の最適解は…………アレか?」

 

 

「奇遇だね磯貝君。僕もアレを提案しようと思ってたよ。皆、良いね?」

 

 

創真の言葉に皆は頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー囲まれた囲まれた」

 

 

「リンチタイムだな」

 

 

かの有名なD組のモブ二人組みがスナック菓子を摘まみながら呟く。

 

 

そこへ

 

 

「お邪魔するぞ~!!」

 

 

何故か皆さん、観客席に突っ込んできた。

 

 

「え、ちょ、なんで全員こっちに来んの!?」

 

 

2人はお菓子の袋を抱えながら慌てて避難する。

 

 

『ほら、来いよ!この学校全ての場所が競技場だ!!』

 

 

創真の挑発に、助っ人も含めてA組生徒がE組生徒に襲いかかるが、椅子を器用に使ったりするに加えて、すばしっこくて捕まえられない。

 

 

「ほらほら、鬼さんこっちだぞ」

 

 

隼も椅子をピョンピョン跳びながら挑発する。

 

 

(棒倒しの中で1番警戒すべきは、先端に取りつかれること……あいつらは運動神経が優れてる奴等ばかり………なら)

 

 

浅野は少し思考し、口を開く。

 

 

「橋爪、田中、横川!混線の中から飛び出す奴を警戒しろ!」

 

 

確かに正しい選択だ。だがE組の作戦上、それは余り意味を成さない。

 

 

そう分析した創真はニヤリと笑う。

 

 

「ここまでは予定通り。それでは、次の手だ」

 

 

突然、A組の棒が大きく揺れた。誰かに取り付かれたのだ。

 

 

「へへ、あんなタックルで終わるとでも思ったか?」

 

 

「客席に飛ぶ演技だけ苦労したぜ」

 

 

先程吹き飛ばされた吉田と村松だ。

 

 

(そうか!負傷退場のふりをして………!!)

 

 

ようやく、浅野も頭が追い付いた。

 

 

「よし、作戦『音速』だ!創真と隼も頼むぞ!」

 

 

「「了解!!」」

 

 

そして、創真と隼以外の皆は追っ手を振り切り………

 

 

『ああ!懐に入られた!!」

 

 

放送から悲痛の声が流れた。

 

 

「どーよ!人数差があろうと、これなら……」

 

 

しかし浅野は不敵な笑みを浮かべ、身に付けていたヘッドギアを捨てたかと思うと────────

 

 

「うぉ!?」

 

 

吉田の腕を掴み、放り投げた。続けて岡島も蹴り飛ばす。

 

 

「君達ごときが僕と同じステージに立つ………蹴り落とされる覚悟は当然できてるんだろうね?」

 

 

浅野は棒を使って、E組に蹴りを加えて落とそうとする。磯貝も懸命に避けてたが、遂に落とされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────作戦通り。

 

 

「なっ………!?」

 

 

再び棒が大きく揺れた。浅野は目を見張った。E組にさらに増援が来たからだ。蛇足かも知れないが、磯貝をジャンプ台にして、一気に飛んできたのだ。

 

 

「おい、E組の守りは二人だけだぞ!?」

 

 

「どうやって支えてんだ!?」

 

 

いまさら気付いたようだ。

 

 

竹林が皆の疑問に答えた。テコの原理さ…………と。皆は納得したような、しないような表情を浮かべるが、そこはどうでも良い。

 

 

浅野としては、相手にする人数が増えたため、指示を出す余裕がない。指示がないため、A組の面々は棒からE組の奴等を剥がすのが最優先と考え、E組の連中を引っ張る。

 

 

「「今だ二人とも!!」」

 

 

その声の主達──────磯貝と隼が一緒に叫ぶ。

 

 

その言葉に、奥で待ち構えていたイトナと創真が走りだしたす。2人は磯貝と隼の手前でジャンプし、それぞれの手に乗り、そして、磯貝と隼はその手を思いっきり上へ投げるようにして放り投げた。

 

 

創真、その後ろのイトナがA組の棒に迫り来る!!

 

 

「僕らの勝ちだ、浅野君!」

 

 

創真は棒を強く蹴った。棒は大きく傾き、創真は反動でさらに上へ飛び上がる。その下をイトナが通り、ダメ押しとばかりに棒を摑んで、自分の体重と勢いを乗せて一気に畳み掛ける────────────!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドン!!

 

 

その音は、E組にとっては勝利を示すもので、A組にとっては敗北を示すものであった。

 

 

『え、A組が…………………』

 

 

放送も狼狽えている中、放送席へといつのまにか来た創真がマイクを取って、宣言する。

 

 

『棒倒し対決は……………E組の勝ちだ!!』

 

 

「「「よっしゃあー!!」」」




THE NEXT story 3/21or22 PM 22:00

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