結城 創真の暗殺教室   作:音速のノッブ

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では、どうぞ!


第109話 イケメンの時間

創真side

 

 

最近良い喫茶店喫茶店を見つけたのだ。そこの店はロールケーキと珈琲がなかなか美味なのだ。ただ、そこのお店で働いてるある人物がいる。彼は中学生だ。

 

 

その人物の名は──────────

 

 

「やぁ、磯貝君。相変わらず凄い働きぶりだね」

 

 

「お、創真か。注文はいつもので良いか?」

 

 

「うん。頼むわ」

 

 

そう答えて席に座る。

 

 

「おいおい、中学生がバイトしてて良いのか?」

 

 

ホリーの言うことはごもっともだ。中学生がバイトして良いわけがないが。

 

 

「磯貝君の家は貧しいからね………だから皆もバイトの事は黙ってるんだ」

 

 

「へ~。まぁ、僕でも他の人に言わないかな~?彼はとっても親切だしいい人だもの」

 

 

その通りである。カルマや前原みたいな危なっかしさはないし、友達には親切に。先生には敬意を持って接する。

 

 

友達としては最高と言える人物である。

 

 

「磯貝君ってE組でも結構モテるよね~。創真や前原君とかも……………あ、でも前原君は何股もしてるしうざいから除外にしとこっと」

 

 

「おい、それを本人がいる前で言うか?」

 

 

後ろからの声に振り向くと、すぐ後ろの席には前原、片岡さん、渚君、茅野さん、岡島がいた。

 

 

「あれ~?前原君いたんだ?」

 

 

「最初からいるの気付いてただろうが…………」

 

 

ホリーがわるいわるい、と言って言葉を続ける。

 

 

「そう言えば、磯貝君がE組に行く事になった理由って何?勉強出来るよね?」

 

 

「前にバイトがばれちゃったんだよね」

 

 

「あいつの欠点なんて貧乏な事くらいだけどよ、それすら、イケメンにしちゃうんだよね」

 

 

「………………と言うと?」

 

 

デュオが尋ねると、前原がその疑問に答えていく。

 

 

「私服は激安ショップで買った物なんだけどよ……………それすらも着こなすんだぜ」

 

 

───────イケメンだ。

 

 

「前に夏祭りで釣った金魚料理、食ってみたけどめっちゃ美味しかったぜ」

 

 

────────イケメンや。

 

 

「それと、あいつがトイレ使ったあと、紙が三角にたたんであった」

 

 

────────イケメンですな。

 

 

「あ、俺も紙三角にたたんであるぞ!」

 

 

岡島のには────────

 

 

「うぇ………言うなよ………気持ち悪りぃ」

 

 

────────ホリーもこの反応。

 

 

「なんだその酷い反応は!?」

 

 

もはやお約束だね。

 

 

「ほら、見ろよ。マダムにちやほやされてる」

 

 

うん、イケメンだ。

 

 

「あ………僕もよく近所のおばちゃんにおもちゃにされる」

 

 

「渚はしゃんとしろ」

 

 

「はい………………」

 

 

デュオの言葉には重みがあるなぁ。

 

 

「未だに本校舎の女子からラブレターを貰ってるらしい」

 

 

モテモテや。

 

 

「あ………それなら私も貰うな………」

 

 

片岡さんもイケメンだからな………良い恋とは言えるかは微妙だが。

 

 

「イケメンにしか似合わないこともあるんですよ。磯貝君や先生みたいに」

 

 

イケメ………………ん?

 

 

「いや、先生はイケメンに入らないか」

 

 

「にゅや!?それは無いでしょう創真君!ほら、見てください、このスタイリッシュな顔」

 

 

「丸書いてチョン、の顔だろうが。てかさ、先生はバイトの事をどうしてるの?」

 

 

「このハニートーストが絶品でね。これに免じて見ぬふりをしてます」

 

 

じゃあ、ハニートーストが販売中止になったら不味いんじゃね?………いや、中止になっても言わないか。

 

 

「でもさ~皆は磯貝君がイケメンでもさほどムカつかないでしょ?」

 

 

「まぁ………そうだな」

 

 

ホリーの質問に岡島が賛同の声を漏らす。

 

 

「それは何故?」

 

 

殺せんせーが訊ねると、前原は当たり前のように云う。

 

 

「だって、あいつ良い奴だし。それ以外に理由いる?」

 

 

前原が当然のように答え、他の面々も首肯く。その答えに殺せんせーは嬉しそな表情を浮かべ、ハニートーストを頬張った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=================

 

一方その頃、キバットは喫茶店の近くの木にぶら下がって目を瞑って仮眠を取っていた。

 

 

が、不意に誰かの喋り声が聞こえて目を開けた。

 

 

「な!?あいつらは…………!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

創真side

 

 

 

僕の耳に店のドアが開けられる音が入ってきた。

 

 

「……………おっと」

 

 

そこに居たのは、五英傑(創真からして雑魚)の面々が。

 

 

「情報通りだ。これで2度目の重大校則違反。見損なったよ、磯貝君」

 

 

浅野君か……………面倒くさい奴に見つかったものだ。

 

 

「店で話すのは迷惑だから、外で話そうか………」

 

 

そう言うあいつの目は何かを企んでいるように感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「浅野、この事は黙っといてくれないか?今月中には必要なお金は稼げるから」

 

 

「そうだな………僕もチャンスをあげようと思っていた」

 

 

僕も含め皆は磯貝と浅野のやり取りを見守る。

 

 

「では、こうしよう。違反を帳消しにするほどの闘志を示せたら見なかった事にする。その闘志を示すには、体育祭の棒倒し…………なんてどうかな?」

 

 

「…………明らかに不利ですね。人数的にまず劣ってる」

 

 

僕の発言に浅野はこう返した。

 

 

「だから、君達が挑戦状を叩きつけた事にすれば良い。それも勇気ある行動として賞賛されるだろうね」

 

 

「なるほど。面白そうだ。良いだろう。その挑戦受けてやる」

 

 

「お、おい創真!」

 

 

磯貝が食って掛かるが、創真は笑って返す。

 

 

「大丈夫だって。何故ならこのE組には磯貝君や僕、隼ら優秀な奴らがいる。僕を信じな」

 

 

「決まりだな。それでは、体育祭まで精精作戦を考えておくんだな」

 

 

浅野達が身を翻して帰ろうとすると、

 

 

「フフフ…………良いのかな~浅野君?」

 

 

そう言ったのはホリーだった。

 

 

「何がだい?」

 

 

「いやだから、負けると決まってるのにわざわざ戦おうとするから」

 

 

「…………君は僕らが負けるとでも言いたいのかい?」

 

 

浅野の言葉に、ホリーはニヤリと笑みを浮かべる。

 

 

「そうだね。だって君、何かスゲー雑魚そうなキャラだし」

 

 

ブオン!

 

 

風を斬る音がしたと思いきや、ホリーの目の前には浅野の拳があった。

 

 

「おー怒った怒った♪にしても、君のパンチは遅いねぇ。僕からしたら、亀の歩行速度のようだ………で、いつまで拳を僕の目の前に置いておく気だい?」

 

 

浅野はホリーを睨んでいたが、やがて拳を引っ込め、帰っていった。五英傑達も慌ててついていく。

 

 

「ありゃりゃ、完全に怒らせちゃったね」

 

 

「ホリー、派手にやってくれたもんだね。ま、勝つから良いけど」

 

 

「創真、浅野は何をするか分からない。やめといた方が………」

 

 

「仲間が窮地。なら、助けねばならぬ。当然だろ?」

 

 

「そうだぜ委員長!」

 

 

「俺らの力を思い知らせてやるか!」

 

 

これが、E組対A組の開戦1週間前の出来事である。




THE NEXT story 3/19 PM 22:00

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