果たして隼は何故創真と仲良くなったのか…………?
この過去編で分かります!
では、どうぞ!!
時は中学2年の春。隼が横浜にいたときの話だ。
「隼、また1番かよ。ほんとに敵わねぇな」
「別に大したことねぇよ」
隼は友達とそんな会話をしていた。彼等が見ていたのは、先日受けた定期テストのトップ100のランキング表だ。隼の学校では、テストの上位者は廊下に名前が張り出される。
で、いつも1番のスペースを占領しているのは、月城 隼、と言う訳だ。
「別にテストの事なんてどーでも良いんだよ。それより、久しぶりにサッカーでもやろうぜ」
「いーね!行こうぜ!」
友達は教室にいる別の友達に声をかけ、直ぐに教室を飛び出していった。
で、隼が家に帰ると 待っているのは…………
「おっ帰り~!!隼、テストどうだった?」
俺の姉である碧海だ。唐突だが、隼の家は三人暮しだ。父親と隼と碧海の三人暮しだ。母親は隼らが小さい頃に病気で亡くなっていた。
「普通に学年1位だよ。お前はどーせ満点だろ?」
「まーね~」
碧海は女子校に通っているため、隼とは別の学校だ。ちなみに、隼は公立。碧海は私立。どーしても行きたかった所であるそう。
「そう言えば、もうすぐ夏だね~。夏は何処かに行きたいところあるの?」
「涼しけりゃ何処でもいいわ」
「相変わらず大雑把だね…………」
こんな平和な会話、は間もなく無くなると言う事を知らなかった。この時点では。
そして、月日はどんどん過ぎ、6月も後半戦に差し掛かったある日。いまは全校集会の最中だ。
「zzzzzzzzzzzzzzzz」
隼はうたた寝しながら、立っていた。深夜アニメを見るために夜更ししたので、猛烈に眠いのだ。
「おい、隼…………寝るなよ………」
隼の後ろの友達が肩を叩いて起こす。
「んあ?眠いんだよこっちは。少しは察しろよ………」
「あのなぁ……………」
友達が何かを言いかけた所で──────
「それでは最後に、2年の転校生を紹介します」
校長の言葉に隼は目を薄く開ける。
(転校生…………………この時期に来るなんて珍しいな………………)
ぼんやりとそんな事を考えていると、転校生が壇上に上がって、マイクを手に取る。
「僕の名は結城 創真。まぁ、取り敢えずよろしくって事で………………」
短い自己紹介を終え、彼はペコリとお辞儀をした。
集会が終わり、隼達は教室で転校生について話していた。
「なーあの転校生どうよ?」
「どうよって何がだ?」
隼が聞き返す。
「だから、俺らの隣のクラスに来た転校生の事だよ。どんな奴だと思う?」
「そうだな……………あんまり口数が少ない系のキャラっぽいか?」
「あー、分からなくもねーな」
「んなことより、お前らテスト勉強仕上がってる?」
隼が皆に訊く。
「あーそう言えば明日か…………」
「あーやだやだ。俺、社会捨てたわ~」
ちなみに作者はこの前のテストで物理を捨てた。
「まぁ、どうせ1位は隼だろ?」
「さーな。まぁ、死守したいけどな」
そして、1週間後。
「おい、隼!」
「なんだ?そんなに慌てて」
隼は読んでいた漫画を閉じて友達らに目を向ける。
「この前のテストのランキング張り出されてたんだよ!」
「…………あーそれか。そういや、今日だったな」
隼は腰をあげ、ランキングを見に行く。
「さーて………………俺の名前………………は?」
彼の名前は確かにあった。但し……………………かつていた順位の1個下に。
「2位………………じゃあ1位は誰………………が………?」
かつての隼がいた順位を奪ったのは………結城 創真。転校翌日から始まったテストで、全教科100点を取っていた。
「へぇ…………この学校は順位が出るんだ。初めて見たなぁ、こう言うの」
皆が声がした方を見ると、そこには転校生、否。創真がいた。
「おい………………確か創真、って言ったよな?…………」
「…………………ん?君は?」
創真は視線だけを隼に向ける。
「あ、俺は月城 隼って言う」
「隼君、か。あぁ、ランキングにもいるね、僕の1個下に」
まるで隼をバカにするような口振りに、皆は嫌悪の目を一瞬向ける。
「お前、全教科満点とはやるじねぇか。どれくらい勉強したんだ?」
「一時間行ったか行かないか位かな」
「それは一教科辺り、か?」
「ちがうちがう。全教科の合計、だよ」
「………………………………………え?じゃあ、たった一時間やっただけで、満点だって言うのか?」
「別にやんなくても良かったんだけど、まぁ念には念を、って事で。あの程度では、僕の守備範囲だ。僕の前にいた学校の方が3倍は難しかったねぇ………あのテストは難しいには入らない」
その独り言は、創真より下の者を嘲笑うかのように聞こえた。まぁ、本人はそんなつもりは一歳無かったのだが。
「おいおい転校生。テメー調子乗ってんのか?」
その声の主は、大きな体格を持ち、ネックレスやピアスを付け、外見からしてTHE不良の、男子だった。
「調子乗ってんのか、ねぇ。あんた、誰だか知らんけど、そんな学校にピアスとかネックレスしてるあんたの方が、調子に乗ってると思うけど?」
THE正論に、隼は心の中で『あ、確かに』と思わず納得してしまう
「テメェ………………俺に口答えするとどうなるか分かってんのか!?」
「知らんがな。まだ転校してからさほど経ってないし」
「こうなるんだよ!」
予兆もなく、いきなり彼は創真に拳を向けた……………!!
「なっ……………!?」
「「「え!?」」」
殴ろうとした彼の手は創真の手によって受け止められていた。
「やれやれ、危ないじゃないか。にしても、これで全力?」
「うるせぇ!」
彼はさらに力を込めるが、それでもビクともしない。
「……………………よっ」
創真は彼の手を捻り上げる。
「イタタタタタタタタタ!痛い、痛い、痛い!!」
「どーします?まだやりますか?」
「わ、分かった分かった!俺が悪かった!だから、止めてくれ!」
「はい、良く言えました」
すんなりと創真は彼を解放してあげた。
「…………………なーんてな!」
解放された途端、彼は至近距離から再びパンチを放つが、創真は余裕そうに避け、後ろに回り込み、膝カックンで、彼を転ばせた。
「もーめんどいなぁ」
「くそったれがァァァァ!!」
発狂した彼は勢い良く突っ込む。激突する瞬間に、創真は横へスッと避けつつ、足を軽く出す。彼は勢い良く転ぶ。
「あららら、痛そう」
「くそっ…………………覚えてろ!」
「負け惜しみ、お疲れ」
逃げるように去っていく彼に、創真は嫌みで応酬するのだった。
「やれやれ、だ。この学校にはめんどくさいやつがいるもんだね……………さて、隼君」
「な……………なんだ?」
「次のテスト、頑張ってねー。まぁ、こっちも負けるつもりは一切ないけど」
「上等だよ、次でリベンジだ!」
創真は不敵な笑みを隼に残して、何処かに去っていった。
「何だよあいつ。隼、あんな奴の煽りに乗らない方が良いぞ?」
「え?そうか?別に俺はそんな気になんなかったけどな。てか、そんな悪い奴には見えなかったけど」
「何言ってんだよ、お前馬鹿にされてたぞ、完全に」
「そーそ。てか、あいつ自分が天才だとでも思ってるんじゃないの」
「くそうぜぇー、あの天才アピール」
蔑む声や、悪口もあちこちから聞こえてきた。皆は創真に対して敵意剥き出しだった。見下してるように見えたからだろう。あとは嫉妬か─────────。皆がそんな事をぐちぐち言うのを創真は物陰から聞いていた。
「別に馬鹿にしたつもりも、天才アピールをしたつもりも無いんだけどねぇ。にしても、隼君みたいな秀才と会うのは初めてかもなぁ。そう言う相手がいると、僕も燃えてくるねぇ…………」
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