ではどうぞ!
創真side
イトナ君が加入したその週の土曜日。この日も1秒のずれもなく、6時に起床した。最近、朝起きたらまず碧海さんの抱きしめと言うなの拘束から抜ける所から始まる。
…………………が、今日は拘束がなかった。僕より早く起きたと言うことか。起きてリビングに行くと、碧海さんは朝食を作っていた。
「おはよう。僕より早く起きるなんて珍しいね。いつもは僕が起こしてるのにね」
「そりゃあ、今日は約束した日だしね」
「や、約束………………?」
「あれ~?創真君、寝ぼけて約束忘れてる?」
約束………………………………あ。
「ちょ…………まだ買う気…………?」
「勿論だよ~!今日はたっぷり付き合ってね!」
既に僕の手には大量のお荷物が。しかも、僕だけではない。
「創真様………女子のお買い物にはこんなこと日常茶飯事です…………この程度で音をあげるようでは……まだまだです…………」
「そう言う氷室さんも、きつそうに見えるんですけど……?」
「おい…………僕はスピード専門だぞ………こんなに大量に持てるか…………!!」
憐れ、ホリーが嘆く。
「大したことないだろう。これくらい」
対してデュオは余裕そう。
「じゃ、次は洋服ね!」
「えー…………てか、服っている?昨日、父さんが君の親の電話番号を特定して教えてもらったから、着払いで良いから君の服を全部送ってもらうように言おうと思ってたんだけど……………」
「んー、まぁ心機一転って事で?」
「はぁ………………そう言えば聞いてなかったけど、お金大丈夫なの?」
「あぁ、それに関しては心配ご無用。銀行の自分の口座から引き落としてるから。前からかなり貯めてたから、かなりあるよー」
「左様ですか…………………」
その後も、洋服やら靴やら枕やら────────驚異的な行動力でショッピングモールを回り、それに男子諸君は振り回されまくった。流石に疲れたので、碧海さんがネックレスを見ている間、近くの椅子で僕らはジュースやらを飲んで、休憩していた。
「………………ここまで行動力があるとはね………」
「流石に疲れますね」
氷室は一気にジュースを飲みほす。
「でも、楽しそうだけどね~」
ホリーが飲んだジュースのペットボトルをゴミ箱に向かって投げた。回転しながら見事に中へ入った。
「まぁ、そうだな」
「彼女の表情はとても生き生きとしてるよ。すっごく楽しそう!」
ホリーに言われ、僕もチラリとネックレスを選んでいる碧海さんに目を向けてみる。
「……………そーだね。こう言うのをずっとしてみたかったんじゃないの?」
「なぁ、お前にとって碧海ちゃんってどんな存在だ?」
バックの中に隠れながらキバットが質問してきた。
「唐突な質問だな。まぁ………………居候だったり、後は……………………友達だったりするのかな?」
「いや、とっくのとうにお前ら友達だろ?俺的には、妹みたいな存在だと思うけどな」
「妹ねぇ…………………流石に大袈裟でしょ」
「何が大袈裟なの?」
思わずその場にいる全員が肩をビクッと震わせて、声の主を見ると、そこには買い物を済ませたと思われる碧海さんがいた。
「………………いや、何でも無いよ。それより、結構長かったね」
「あ、ごめん!良いのばかりで迷っちゃった」
「それで……………他に行きたい場所とかあったりする?」
「あ、もう大丈夫。買いたいものを全部買えて満足だよ。あ、そうそう。これあげる!」
碧海さんが小箱を渡してきた。
「これは………………?」
「開けてみて」
言われるがままに、箱を開ける。その中にあったのは、十字型のネックレスだった。
「ネックレス…………これは?」
「お礼だよ。色々お世話になったお礼」
「いや、どうせこれからもお世話になるでしょーが」
「ま、まぁ確かにそうなんだけど!その、わざわざ居候させてくれてるし、後は一緒に寝てくれてるし、まぁ、この数週間で色々とお世話になったから、そのお礼、って事で。ちなみに、私も同じの買ったから、お揃いだよ~」
「へー。何はともあれ、嬉しいなぁ。大切にするね」
「じゃあさ、早速付けてみてよ!」
「はいはい」
要望に答え、ネックレスを付けてみる。
「いいねぇ、こりゃ。創真のイケメンがさらに磨きが立つな」
「そう?……………………あー、確かに」
「いや、自分で認めちゃうのかよ」
ホリーからツッコミを入れられた。いつもは僕がツッコミ役なのに、これはかなりレアか。
「そう言えば、思ったんだけどよ、今、彼女は学校をずっと休んでる状態だろ?いつまでもそうしてる訳にはいかないだろ。どうすんだ?」
デュオの質問に氷室さんはニヤリと笑みを浮かべる。
「あぁ、その事に関してなんですが。烏間先生の意向もあって、碧海さんをE組に転入させる計画が進んでおりまして。色んな手続きは既に終わらせ、後は学費を負担するお父様からの許可があれはオッケーな状態だったんですが……………先程、昨日創真様のお父様が特定した電話番号に掛け、お父様からの許可を貰いました」
「へー。てか、よく了承しましたね」
「ええ。『どうせ学費はそんな変わらねえなら、どーぞ勝手に』と言ってました」
氷室さんは懐から紙を取り出し、碧海さんに渡す。
「E組への転級通知です。ようこそ、月城 碧海さん。3年E組、暗殺教室へ」
「これで、僕らの仲間入りと言う訳だ」
「おー!じゃあ、よろしくね!」
「さて、確かあと30分後に烏間先生が説明等の為に創真様の家に来られますので、そろそろ行くとしましょうか」
===================
創真宅にて
「…………………あのさぁ。なんで殺せんせーも来てるの?」
碧海に暗殺についての説明をしに来た烏間に加え、どういうわけか呼んでもいない殺せんせーもついてきた。
「良いじゃないてすか。彼女は月曜日から私の生徒になるんですし。ちょっと顔合わせしておきたかったのでね」
殺せんせーがピスケットを頬張りながら言う。
「…………すまないな創真君」
「別に烏間先生が謝る必要はないですよ。悪いのは訪問にアポを取らなかったこのタコです。死ねばいいのに」
「にゅや!?悪者扱いですか!!」
「そもそも地球壊す奴は、悪って言っても過言じゃなくないですかね?てか、そんなことより烏間先生、説明をお願いします」
「あぁ。さて、手短に言おう、月城 碧海さん。君は来週からE組に来るわけだが、既に聞いているかとは思うがE組の皆はこのタコを殺す任務を受けている。よって、君にも暗殺を依頼する」
「勿論、受けまーす」
「そうか。では、月曜日に会おう。それと───────くれぐれも生徒を危険な目に遭わせるような行動はしないように」
「…………………やーっぱり、まだ警戒はしますよね。別にしませんよ、私に利益がないし」
「なら良いんだ……………では、長居も迷惑だろうから失礼する」
烏間はさっさと帰っていった。
「おい、殺せんせーもとっとと帰れ」
「まだ10分も経ってませんよ。もう少し位良いじゃないですか。紅茶のおかわりをもら」
「「「帰れ」」」
創真とホリーとデュオの殺気の入り交じった声に殺せんせーはたじろぎ、窓を開けた。
「ああ、それと碧海さん」
「はい?」
「来週からよろしくお願いします。よく殺し、よく学びましょう」
「こちらこそよろしくお願いしま……………す!」
碧海は貰った銃の引き金を引くが、弾が当たる前には、殺せんせーの姿はなかった。
「ええ………速すぎだよ……」
「マッハ20だからな」
何度考えてもチート級の力だなと、創真はつくづく思う。
「まぁ、そのうち殺せれば良っか…………ねぇ、パーティやらない?私の暗殺教室加入の記念に」
「いーねぇ!宴だ!」
キバットも賛同する。
「……………しょーがないなぁ。まぁ、そんな事でも言い出すと思ってたんで、今日の買い物ですき焼きの材料を買っておいたんでね!」
「流ッ石、天才創真!すき焼きを選ぶとは、やりますねぇ!」
ホリーはガッツポーズを作って喜ぶ。
「良いですねぇ、すき焼き!なら、私も気合い度マックスで、料理しましょう!」
「って、氷室さん、いつのまにか料理服着替えてる!?」
(彼女がE組に入ることが予想通り決まった。しかし、彼女と皆との間には決定的な溝が出来ている。それを埋める第一歩として、姉弟の問題を解決するか…………)
THE NEXT story 3/6 PM 22:00
次回、碧海と隼が……………!!