永遠の美少女になって永遠の闘病生活に入った件   作:名無し野ハゲ豚

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初めての家族旅行 1日目 浩介くんのマッサージフルコース

「いらっしゃいませー」

 

 旅館の自動ドアを入ると、中年の女将さんが頭を下げてくれる。

 

「すみません、予約した篠原です」

 

「はい、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」

 

 宿泊料金をまず支払ってから、女将さんに部屋を案内してもらう。

 旅館はとても真新しい感じで、最近になって移転したということがよく分かるわね。

 

「こちらが、篠原様のお部屋になります。大浴場はここから左に行きまして──」

 

 部屋の中は和室で、4人用ということで、大きめの個室と小さめの個室、小さなユニットバスと洗面所に、更に独立した個室にトイレがついていた。

 トイレもウォシュレットつきで、本当に手厚いわ。

 

「ふー、疲れたー!」

 

 膝下のロングスカートなので、あまりパンツ見えることを気にせずに、横になれる。

 とにかく、大学での疲れも併せて、まずは休んで取りたいわね。

 

「優子ちゃん、大丈夫?」

 

「あーうん、かなり疲れちゃったわ」

 

 あたしも途中でバテてしまったこともあってお義母さんが心配そうに声をかけてくれる。

 

「そうでしょう? お義母さんたちはお風呂に入ってるから、優子たちは休んでいなさい」

 

「うん、そうさせてもらうわ」

 

 お義母さんたちはお風呂セットを手早く取り出して、部屋から出ていった。

 

「優子ちゃん、マッサージしてあげようか?」

 

「え!? いいの? やったー!」

 

 お義母さんとお義父さんがお風呂に行くと、浩介くんがマッサージしてくれると言ってきてくれた。

 浩介くんのマッサージ、気持ちいいのよね。

 

「肩こってるだろ? うつ伏せになってよ」

 

「うん」

 

 あたしは、言われるがままにゴロンと横になって半回転する。

 

「よし、ここだな」

 

  ぐいっ

 

「んあっ! ああー! いっ……んー気持ちいいわー!」

 

 浩介くんの指圧が、あたしの凝り固まった肩をほぐしていく。

 浩介くんは時折さするような感じで、特にこっている部分を重点的に押していく。

 あー、この痛いのが何とも言えない至福の時間だわー!

 

「ねえねえ優子ちゃん、有料だけど、肩だけじゃなくて全身マッサージしてあげようか?」

 

「え!? 全身マッサージ?」

 

 何となく、嫌な予感もするわね。

 

「ああ、肩だけじゃなくて腰とかとのバランスの問題もあると思うんだ」

 

「あー、じゃあお願いしていいかしら?」

 

 あたしは、嫌な予感なんて忘れて軽い気持ちでつい承諾してしまう。

 

「よっしゃ! じゃあフルコースだ!」

 

 浩介くんがテンション高そうに言うと、肩甲骨よりも更に下側の、背中に近い部分を押す。

 

「ほら、ここがこってるだろ?」

 

「うん」

 

 実際、背中もどうしても猫背になりがちなので、マッサージされると気持ちいいわ。

 

「こういう凝りが、上っていって肩に達するんだ」

 

「へえー」

 

 本当にそうかは知らないけど、ここは普段マッサージされてないので、気持ちいいことには代わりはない。

 

「優子ちゃん、ちょっと体持ち上げるね」

 

「う、うん……わあ!」

 

 あたしは、浩介くんに、右肩の方を持ち上げられる。

 

「腕を下に下ろして……そう……ここだっ!」

 

  ゴリゴリゴリッ!

 

「いたたたたたた!!!」

 

 浩介くんの指が、容赦なくあたしの凝りをほぐしていく。

 

「我慢して! ほぐれるから」

 

「痛い痛い痛い!!!」

 

「それっ!」

 

「うー、痛いけど気持ちいいわ……ひぐっ……」

 

 浩介くんが更にほぐすと、一旦解放してくれる。

 

「もー、泣き虫な優子ちゃんかわいいね」

 

 気持ちいいのは気持ちいいけど、痛みもすごくて、あたしは浩介くんに泣かされてしまう。

 

「このやり方じゃ不完全だな。優子ちゃん、悪いんだけど前屈みに座ってくれる?」

 

「う、うん……」

 

 あたしは一旦起き上がって、女の子座りになり、前に屈む。

 

「肩を前に出す感じで、ほら。ここが優子ちゃんのこりの源だよ」

 

 浩介くんが、肘をあたしの肩に当てる。

 

「待って浩介くん、肘はうんぁぁぁっ!」

 

 浩介くんが、ゆっくりと丁寧に肘を回していく。

 

「よいしょっと!」

 

「んっ!!!」

 

 さっき泣かせてしまった反省からか、慎重に慎重を期している。

 コリッコリッと軽快な音がして、肩がどんどんほぐれていく。

 

「ふう、こんなものかな?」

 

「うん、ありがとう」

 

 うん、大分ほぐれたわ。

 

「よし、じゃあ次のコースだ。もう一度うつ伏せなってくれるか?」

 

「こう?」

 

 あたしは、また浩介くんに言われるがままにうつ伏せになる。

 

「よしっここだ」

 

  もみっもみっ。

 

「んえ!?」

 

 浩介くんが揉んできたのは、脚のふくらはぎの部分で、肩もみのようにマッサージしてくれる。

 

「ここ、結構こるんだぜ」

 

「ああうん、あー確かに気持ちいいわ」

 

 肩ほどではないけど、筋肉が固まっているらしく、さっきよりはかなり優しい手つきでマッサージしてくれる。

 浩介くんも、あまりマッサージしたこと無いのか慎重そうにしてくれる。

 

「さて、ここはこのくらいかな? 肩と違って普段はあまり揉んでいないからな」

 

「そう? ありがとう」

 

 ともあれ、今はこれでいいわね。

 

「よし、じゃあ次だ」

 

  モゾモゾ

 

「え!? きゃあ!? ちょっと浩介くん!」

 

 いきなりスカートがめくれあがる感覚がしたと思ったら、浩介くんに頭をスカートの中に入れられてしまう。

 

「何してるに浩介くん!?」

 

「何って……『おしりマッサージ』に決まってるじゃないか。スカートの中に潜って、パンツの上から新鮮にマッサージしてあげるぜ」

 

「い、要らないって! きゃぅ!」

 

 浩介くんの手があたしの大きなお尻を掴んでくる。

 

「フルコースだっていっただろ? お尻にだって筋肉があるんだ。きちんとほぐしてあげないと、バランスが悪いしお尻が可哀想だろ!?」

 

「やっやだ、恥ずかしいよお!」

 

 そうだとしても、どうしてスカートの中に潜られなきゃいけないのよ。

 

「恥ずかしがらなくていいって、マッサージなんだから」

 

 とか言っても、浩介くんの手つきはいつも通りのいやらしさ。

 揉み揉みされるだけではなく、手のひらでパンツの上をわさわさと素早く触られる動作もあって、明らかにマッサージ目的じゃないわよね。

 

「あうー、浩介くんのえっちー!」

 

「ふひひ、何とでも言え! 有料だって、さっきも言っただろ!?」

 

「うっ」

 

 浩介くんがあたしに鋭い指摘をして来る。

 というか、もう隠そうともしてないわね。

 

  すりすり

 

 あたしが怯むと、浩介くんに容赦なく、パンツの上から頬擦りされてしまう。

 あたしはとっくに全身が火照ってしまい、湿度も急上昇している。

 

「優子ちゃんも興奮してるんだね」

 

「もー! 愛する旦那にこんなことされたら、当たり前じゃないの」

 

「結局優子ちゃんの方がえっちなんだよね」

 

 あっという間に浩介くんに論破されてしまう。うー、悔しいわ。

 

「うー!」

 

「さてと、『おしりマッサージ』はこの辺にして、最後にバストアップマッサージをしようか」

 

 浩介くんがひょいとあたしのスカートの中から顔を出し、そんなことを言う。

 

「え!? 胸大きくするの?」

 

「ああ、女の子は大好きな男に胸を揉まれて感じると、女性ホルモンが出て胸が大きくなるんだぜ?」

 

 確かに、その話は優一の頃から知ってたし、実際に結婚して大きくなった気もするけど。

 

「わ、分かったわ」

 

「うひょー! 優子ちゃん大好き!」

 

「うっ」

 

 突然の直球的な告白に、あたしは胸がどきりとしてしまう。

 本当にもう、浩介くんはずるいわね。

 

 あたしは再び女の子座りをし、浩介くんの前に胸を出す。

 

「じゃあ、ゆっくり揉むぞ。痛かったら言うんだぞ」

 

「う、うん」

 

 浩介くんの手が延びる。

 

  もみんっ

 

「ぁん」

 

 堪えきれずにあたしが小さくあえぐと、浩介くんに両胸を掴まれてぐるぐると回され始める。

 

「んんっ……ああんっ!」

 

 浩介くんに優しくさわられて、あたしも気持ちよくなってしまう。

 

「真面目な話、胸もきちんとマッサージしねえと、肩こりの改善には繋がらねえからな」

 

「もうっ、何も今……んんっ……言わなくても……あん……いいじゃないの」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

 もう、こんな雰囲気なのに急に真面目な話しちゃって。

 

「ふう、これでフルコースおしまい。じゃあ、料金ね」

 

「え!? お金取るの?」

 

 有料って、そのことなの?

 

「お金な訳ねえだろ。ほら、ここ、個室2部屋あるだろ!?」

 

「う、うん……」

 

 ま、まさか?

 

「今夜、優子ちゃんの体で、支払ってほしいな」

 

「うー!」

 

 もう! 言い方は最低なのに、あたしがしたくてたまらなくて、これじゃ有料どころか最後まで至れり尽くせりのサービスじゃないの。

 浩介くんの「体で支払う」という独特の言い方で、あたしはあっという間に全身が興奮してしまう。

 

「ふふ、さ、親が帰って来る前に、平常心でいろよ」

 

「浩介くんこそ、その大きくなったの、ちゃんと抜かずに鎮めてね」

 

 とか何とか言って、あたしも目が話せなくなっちゃってるけど。

 

「う、うん。分かったよ」

 

 あたしたちはテレビをつけ、ニュースを見て平常心を保つことにした。

 

 

「ただいまー、優子ちゃんたちも入ってきたら?」

 

「あ、うん。どうだった?」

 

「ええ、絶景な上に泉質も、思ったよりよかったわ」

 

 お義母さんによれば、悪くないらしい。

 泉質が変わってしまっても、今度は絶景で売り出すと言うわけね。まあ、あのダムを見たら予想はつくけど。

 

「そう? じゃああたし行ってくるわね」

 

 あたしは荷物からお風呂セットを取り出して立ち上がる。

 お、体が軽いわね。

 

「行ってらっしゃーい」

 

 あたしは部屋から出て女将さんの言っていた言葉や案内を頼りに進む。

 本当にもう、えっちなマッサージの癖に効果ばかりは絶大なんだから。ある意味でたちが悪いわね。

 

 あたしは女湯の暖簾を潜り、服を脱いでから髪をお団子に縛り上げて、タオルを巻いていつものスタイルで脱衣場を出る。

 

「うわー」

 

 思わず声が漏れそうな絶景だった。

 眼前に迫り、こっちに来そうなくらいに近いダムの水や、奥にわずかに見える森林はまさに「絶景の露天風呂」だった。

 

 このダムの湖底には、かつて温泉街があった。

 湖底に沈む前の温泉街の様子はさっき資料館で見た。

 あれが全て、今はもうこの深いダムの底にあるなんて……そんなこと、想像もつかないわね。

 

 

「すごいわね」

 

「水はこんなにたまるのね」

 

「でもこれで、水不足も少しは解消されるかしら?」

 

 

 このダムはまだ出来たばかりで他の観光客も、ダムを見て感激している。

 今世界では、水不足が叫ばれている。

 一方で高温多湿で雨が多い日本では、「水と安全はタダ」「水道水はガブガブ飲める」というのが常識のようにまかり通っていた。

 

 だけど、今でも時折夏場に水不足として、節水の呼び掛けが出たり、場合によっては「断水」という2文字がニュースに躍り出ることもある。

 四国には、溜池がたくさんあると小中学校で学んだ。

 

 ここのダムもまた、様々な恩恵をあたしたちにもたらしてくれるのよね。

 

「ふー、熱いわね」

 

 5月と言っても、山中は寒さが残る。雪こそ溶けたけれど春がようやく訪れはじめたという程度でしかなく、春も終わりに近付いているあたしたちの地域とは、大分様相が違う。

 湯船から出ると、肌についた温泉を介して、物凄い勢いで熱が奪われていく。

 

「ふー、気持ちいいわ」

 

 一通り熱を逃がしたら、ダムの絶景を見ながらもう一度湯船へと入る。

 本当は、急激な温度変化は体によくないけれど、あたしはついつい楽しんでしまう。

 この温泉、景色はいいけど、そういうお風呂って覗かれやすいのよね。

 まあ、あたしが覗かれていいのは、浩介くんだけだけど。

 

 

「ねえ、あの子見た?」

 

「羨ましいわよねえ、あのナイスバディ」

 

「顔もすごいかわいいし、もしかしてアイドルとか?」

 

「いやあ、アイドルでもあそこまでかわいくないよね」

 

 

 女湯にいた若い2人組の女性があたしを羨ましそうに見ている。

 胸への視線と言えば、男からのが圧倒的に多いけど、こうして貧乳の女性からも、羨ましさと恨めしさの混じった視線で見られることがある。

 まあ、それはそれで、宿命と諦めなきゃいけないけど……そうだわ!

 

「うーん!」

 

 あたしは、自分の左手を右肩に当てて、セルフマッサージをする。

 あたしの肩こりはとても広範囲かつ頑固で、浩介くんのフルコースマッサージでも、完全にほぐしきれてはいない。

 浩介くんがほぐし漏らしたところを、重点的に指圧していく。

 

 

「あ、肩揉み初めたわよ」

 

「そうよね、あんだけ大きいのぶら下げてたら凝りそうよね」

 

「大きい人にも大きい人なりの悩みがあるのね」

 

 

 あたしの様子を見た女性たちは、途端に巨乳なりの悩みを考えるようになった。

 その手のひらの返しっぷりはどうかと思うけど、肩こりに悩んでそうな仕草をすると、貧乳の女性の視線は、和らぐか更に殺意が増すかのどっちかだったりする。

 

「そろそろ出ようかしら?」

 

 あたしは湯船から起き上がり、素早く体を拭いて脱衣場に行く。

 新婚旅行の時ほどじゃないけど、寒い中での温泉は、気持ちはいいけど、素早く行動しないと冷えちゃうのが欠点ね。

 

 あたしは脱衣場でパジャマに着替え、部屋に戻った。

 ちょっとみっともないかもと思ったけど、浩介くんに覗かれるよりはいいわね。

 

「ただいまー!」

 

「あ、優子ちゃんお帰りなさい。さ、ご飯にするわよ」

 

 部屋には、既に布団が敷かれていた。

 でも、2枚しかないような?

 まあ、今はいいわ。ご飯もあるし。

 

 あたしたちはテーブルの前に思い思いに座る。あたしも座布団の上にペタんと女の子座りをする。

 

「「「いただきます」」」

 

 ここに来る途中で買ったお弁当を食べる。

 

「明日は8時前に電車に乗らないといけないから、みんな7時には起きてね」

 

「うん、じゃあ今日は早めに寝ようかしら?」

 

「ええ」

 

 明日は出立が早いので朝食はなくて代わりに栄養ドリンクを飲むことになっている。

 なので、今日はカロリーが多目のお弁当を買ったというわけ。

 

「それにしても、景色最高だったな」

 

「うんうん」

 

 とにかく、ダムの絶景は素晴らしかった。

 そういった温泉施設は、しばしば「景色だけ」という状態になりやすく、温泉本来の良さや、その他のサービスがおろそかにされがちだけどこの温泉はそういったこともなく、あたしたちはおおむね満足が行く結果になった。

 

「「「ごちそうさまでした」」」

 

 お弁当を食べ終わったら、テレビをつけて時間を潰すことにする。

 

「そうそう、母さんたちは奥の部屋で寝るわね」

 

「あ、うん。そっちに敷いたんだ」

 

 ふと奥の部屋を見ると、少し狭そうに布団が並んでいた。

 

「仲居さん、気が利く人だわ。優子ちゃんも浩介も、声を出しすぎないように注意してね」

 

「もうっ! 母さん!?」

 

 また始まったわ。もちろん、浩介くんのは大好きだけど、妊娠はまだ後でいいのよ。

 

「あらあら、ごめんなさいねー。でも、私たちは気にしないから、隣に聞こえない範囲で、声を出しなさい」

 

「はいはい」

 

 浩介くんも、すっかりいつものこととして受け流す。

 あたしはと言えば、ほんの少しだけ、不安が頭の中をよぎっていた。

 あたしもあたしで、お風呂に入って少し落ち着いたとは言え、さっき浩介くんにマッサージと称してエッチなことをされたために、体が火照って仕方がなかった。

 

「さて、次のニュースです。オリンピックまで残り3ヶ月となった東京、聖火リレーも始まり外国人観光客で盛り上がる中、こんな指摘も出ています──」

 

 ニュースでは、オリンピックが近付くにつれて、外国人観光客のニュースが流れ続けている。

 思えば、この手のニュースはあたしがまだ優一だった頃、中学に入ってからこの手のニュースが続いていて、かれこれ7年のロングスパンになっているわね。

 

「それにしても、どこまで増え続けるのかしら?」

 

「本当だよなあ。このダムのここは、メインストリートから外れてたお陰か、ほとんど外国人を見なかったけど」

 

「そうねえ」

 

 聞くところによれば、こういった外国人観光客の少ない場所こそが「穴場の名所」であり、特に中国の団体客が来ない場所は、とても評判がいいらしい。

 数年前、中国人観光客が政治的な問題でとあるホテルをボイコットした結果、「中国人がいないホテル」と評判になり、日本人の宿泊客が殺到して、帰って稼働率が上がったらしい。

 ここ数年、ホテル業界はどこも大盛況で、様々な販売戦略がなされているんだそうだ。

 

 もちろん、このテレビはそんなことおくびにも出さないけどね。

 

「まあ、逆に今までの訪日客が少なすぎたという意見もあるけどな」

 

 確かに、以前の日本は他の先進国と比べて観光客が少なすぎたが、あるきっかけで一気に爆発したという所よね。

 

「うん」

 

 ともあれ、今日の宿は静かに夜を明かせそうね。

 明日も明日で、穴場の名所をめぐることになっていて、どこをめぐるのか楽しみだわ。

 今回の旅行は、お義母さんと永原先生で相談して決めたらしく、今日の予定はある程度聞かされていたけど、明日はほとんど聞かされていない。

 どんな予定になるのか、今から楽しみだわ。

 

「ニュースをお伝えいたしました」

 

「ふー疲れたわ」

 

 あたしはテレビを消して横になる。

 大学の講義もあったし、今日は早めに寝たいわ。

 

「ねえ優子ちゃん。その、さ」

 

「うん」

 

「俺、マッサージし忘れた場所があるんだ」

 

 浩介くんが、またあたしを回りくどく誘う。

 

「言わなくてもいいわ。あたしも、えっちなこと、したくてたまらないもの」

 

「うっ……!」

 

 浩介くんが、唾を飲み込む。

 

「ちょっと待っててね……あれ!?」

 

 あたしは、鞄の中にてを突っ込んで、違和感に気づく。

 

「どうしたの?」

 

「浩介くん、ゴムがないわ!」

 

 どうしよう……

 

「え!? 何だって!?」

 

 浩介くんもとても驚いた様子で言う。

 だって、行くときはちゃんと持っていったのに!

 

「親父とお袋が隠したんだ!」

 

「うー、じゃあそのままする?」

 

「暴発しない自信がない」

 

 浩介くんが弱々しそうに言う。

 

「もー、お義母さんにも困ったものだわ」

 

 あたしは仕方なく、パジャマのトップスを脱ぎ、ブラジャーをはずす。

 

「仕方ないわ。代わりのことをしてあげる」

 

「いやちょっと待って! 優子ちゃん、まず優子ちゃんから、気持ちよくなってね」

 

「やあん!」

 

 浩介くんに押し倒され、パジャマを脱がされる。

 あたしたちは、出来る範囲で、この場を楽しむことにした。




八ッ場ダムは2020年に完成予定という見解が多いですが、国土交通省管理の公式サイトだと平成31年度中完成予定となっているので、この小説では当部分の時系列である2020年5月には既に完成しているという設定になっています。
このくらいの「微妙な近未来」って20年後とかと比べても本当に書きにくいです。特に総理大臣を実在のA氏にするかどうかとか(笑)

それにしても主人公たちは東日本大震災や民主党政権時代にはまだ幼い子供だったとか9・11の時は生まれてはいたけど物心もついてないとか、作者も2000年生まれの主人公たちよりは年上なので主人公たちと結構ジェネレーションギャップを感じてます(笑)

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