え?デジモンっていつからハッキングプログラムになったの?   作:作者B

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作中にデジモンの解説が入りますが、CV平田広明で脳内再生してください。


進化の光!ブイモン

EDENの運営の目も届かない無法地帯『クーロン』。そこで『デジモンキャプチャー』なるものを勝手にインストールされたアラタとノキア、そして手に入れ損ねた俺。そんな俺達を遠くから覗いていた人影を追うために、一人先に行ってしまったアラタ。そして、それを追うべく俺とノキアは歩き出した。

出したのだが……

 

「きゃぅわいぃ~~~☆」

 

絶賛足止めを食らっていた。

 

 

 

 

 

 

そもそもこんなことになった原因は、ガラクタ公園を出て直ぐ、とある2体の生き物に絡まれたことにある。

 

「ねえねえ、君達!名前、なんていうの?」

 

ノキアが頬を緩ませながら、目の前の2体の生き物に尋ねた。

一体は黄色い身体をした、丁度人間の腰ぐらいの背丈の恐竜みたいな生き物。もう一体は青色の狼の毛皮を被った、これも腰ぐらいの背丈の生き物。

俺とこいつらは初対面。だけど、俺はこいつらの名前を知っている。

 

「ボク、アグモン!」

 

 

 

アグモン

成長期・爬虫類型・ワクチン種

成長して二足歩行ができるようになった、小型の恐竜の様な姿をした爬虫類型デジモン。必殺技は口から火炎の息を吐き敵を攻撃する『ベビーフレイム』

 

 

 

「オレは、ガブモン……」

 

 

 

ガブモン

成長期・爬虫類型・データ種

毛皮を被っているが、れっきとした爬虫類型デジモン。とても臆病で恥ずかしがりやな為、いつも毛皮をかぶっている。必殺技は『プチファイアー』

 

 

 

「アグモン君にガブモン君かぁ。あたしは白峰ノキア。で、こっちは相羽ケンスケ。よろしくね!」

「うん!よろしく!ノキア、ケンスケ!」

「お、おう。よろしく」

 

取り敢えず、流されるままに挨拶する俺。ってちょっと待てぇーい!なんでこの人あっさりこの状況受け入れてるの!?普通得体の知れない奴が出てきたら警戒するだろ!

 

「え、えっと、ノキア?」

「うりうり~可愛いやつめ~……って何?」

「その、なんというか、怖くないのか?そいつら」

「えぇ~!それマジで言ってるのケンスケ?こ~んなラブリーな子たち、怖いわけないじゃん!」

 

そ、そうか。何と言うか、細かいことを気にしないタイプなんだな。取り敢えず忠告だけでもしておくか。

 

「あー、ノキア。一応言っておくけど、そいつらデジモンだぞ」

「へ~そうなんだ。デジモンね~。デジモン、デジモン…………へ?」

 

あ、ノキアが固まった。

 

「うえぇぇぇっ!この子たち、デジモンなの!?」

「うん、そうだよ。なあ、アグモン」

「ボクらはデジモンっていうんだ。よく知ってるね、ケンスケ」

 

アグモンとガブモンが自ら肯定したのを聞くと、ノキアは二体をじぃっと見つめ始めた。

 

「ん?どうしたの?ノキア」

「そんなに見られると恥ずかしいよ」

「ああ、ごめんごめん。なんかデジモンってヤバいプログラムって聞いてたけど、話と違うなって思って」

 

まあ、デジモンも人間と同じように個性ってものがあるから、その認識も一概に間違いってわけでもないんだけどな。

 

「それよりもアグモンにガブモン。お前たち、なんでノキアに絡んできたんだ?」

 

そう。これこそが、ここで足止めを食らっている理由だ。なんだかよくわからないが向こうの方から走ってきた二体がノキアを視界に捉えた途端、一目散にこっちに向かってきたのだ。あとはご覧のとおり、一目で気に入ったノキアが2体とキャッキャウフフと戯れて今に至るというわけである。

 

「えっとね、さっきまでハッカーから隠れるように移動してたんだけど、その途中で懐かしい匂いを感じたんだ」

「それで、その匂いを辿ってみたら、ノキアが居たってわけ」

「匂い?嘘っ!あたし変な匂いしてるかなぁ?」

 

そう言って服の袖を嗅ぐノキア。ここはデジタル空間だから匂いなんてするわけないんだが……。

それにしても匂い、か。これってもしかして、二体がノキアのパートナーデジモンって展開なんじゃね?アニメでも、パートナーデジモンは何となくパートナーの事を感じ取ってるような描写があったし。

でも、もしそうだとしたら、デジモンのアニメ、アグモンとガブモン、そして今回のハッカー事件……なんだか嫌な予感がしてきたな。

まっ、今はそんなことを考えてもしょうがない。

 

「ねえねえ。ノキアはここで何してたの?」

「あたし?あたしは一人で先に行っちゃったアラタを絶賛追い掛け中なの。あっ、アラタっていうのはね、なんかこう、キッとした目付きの悪いヤツでね~、それでいてオタクっぽいってゆーか―――」

 

本人が居ないのを良いことに言いたい放題だな。おーい、後でアラタにチクるぞー。

 

「それじゃあさ、ボクもついて行ってもいい?」

「え?あたし達に?」

「うん。オレ達もノキアと一緒に居たい。駄目、かな?」

「え、えっと、あたしとしては即断即決したいレベルで嬉しいんだけど、でも……」

 

ノキアは不安げに俺の方を見る。もしかして、これ以上大所帯になると俺に迷惑がかかると思ってるのか?

 

「心配するな。俺ら2人だけよりも、こいつらが一緒の方が安全だ。むしろ大歓迎だぞ」

「ホント!?それじゃ一緒に行こ!」

「やったー!」

「ありがとう!ケンスケ!」

 

ノキア、それにアグモンとガブモンは無邪気に喜んでる。まったく、今俺達は閉じ込められてるってのに……まあ、今は元気になってくれたから良しとするか。

 

「それじゃ!いざ、アラタを探しにレッツゴー!」

「「おーっ!」」

「あ!おい、ちょっと待てって!勝手に先行くな!」

 

……やっぱり元気になりすぎたのはまずかったか。

 

 

 

 

―――――――――――――――

――――――――――

―――――

 

 

 

 

 

そんなこんなでクーロンのそこそこ奥までやってきた俺達。確かにアラタの言う通り、ここまで誰一人として会うことはなかった。それにしても、アラタは何処までいったんだ。

 

「―――ぁ――は―――はぁ――……」

 

ノキアとアグモン・ガブモンは相変わらずワイワイと賑やかに話している。何が潜んでいるかも分からないんだから少しは自重して欲しいもんだけど、この手の相手には言うだけ無駄だろうなぁ。

 

「は――ぁ――はぁ、―ぁ――……」

 

それにしても本当に拍子抜けだな。ここまで何も出ないと、ノキアじゃないけど緊張感もなにもあったもんじゃない。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ――ッ!」

 

そんな気の抜けた俺に目掛けて突然、バスケットボールぐらいの大きさの何かが飛び込んできた。

 

「ッ!?ぐふッ!」

「うわっ!」

 

その何かは俺の腹部にクリーンヒットし、俺共々後ろに転がった。

 

「ちょ、ちょっと!ケンスケ、大丈夫っ!?」

 

痛ててて……何なんだ、今のは?

心配そうに見つめるノキア達を余所に、俺は今だに腹の上にいるなにかに視線を向ける。

 

「うぅ~……痛い……」

 

俺の上にいるソイツは、頭に角のような耳のような2本の突起物が生えた、青い身体にお腹と顔の部分が白色をした2等身サイズの生き物だった。

ん?こいつ、どこかで見覚えが……?

 

「あれ?ケンスケ、これデジモンだよ?」

「あ、本当だ」

 

アグモンとガブモンが、俺に乗っかっている奴を見ながらそう言った。

 

「まったく、なんだ?オイラの邪魔をしたのは?」

 

痛みも引いてきて思考がクリアになっていく。自分からぶつかってきてなんとも偉そうな発言だが、そんなことがどうでもよくなるぐらいの事実に気がついた。

 

「お前……チビモン?」

「ん?オイラは確かにチビモンだけど、よく知ってんなお前」

 

 

 

チビモン

幼年期II・幼竜型

幼年期のデジモンには珍しく、胴体と両手足を持っている。また、小さな両手で物をつかんだり、両足でぴょんぴょん跳ねながら移動することができる。必殺技はぴょんぴょん跳ねながら相手に体当たりをする『ホップアタック』

 

 

 

マジか!まさか、アグモン・ガブモンに続いてチビモンにも会うことになるとは……こんなに良いことがあると、逆に後が怖いな。

 

「ねえねえケンスケ!このラブリーでチャーミングな子もデジモンなの!?」

「え?あ、ああ。こいつはチビモンっていって「きゃー!カワイイー!ぷにぷにしてるー!」最後まで聞けよ」

 

ノキアが俺の上にいたチビモンを抱きあげて頬ずりを始めた。離せよー、と苦しそうにしているチビモンを横目に見ながら、俺はその場に立ち上がった。

 

「ふぅ。ノキア、取り敢えず離してやれ。聞きたいことがある」

「えぇー!もう、しょうがないなぁ」

 

文句を垂れるノキアから、俺はチビモンを取り上げる。

 

「おいチビモン。お前、何のつもりで俺に突っ込んできんだよ」

「ん?そんなの、お前が走ってるオイラの前に居たからだろ?オイラの方こそ逃げるのを邪魔され―――」

 

そこまで言うと、チビモンのただでさえ青い身体がさらに真っ青になった。

 

「お、おい。急にどうし―――」

「大変だ!こんなことしてる場合じゃない!早く逃げないと!」

 

逃げる?逃げるって一体……?

 

「ほら!もう来た!」

 

チビモンが焦燥した様子で俺の後ろを指さす。おいおい、この展開ってまさか!

俺は恐る恐る振り返ると、そこには人間大の大きさの、胸と額に相当する部分にトゲのついた繭のような奴がいた。

こ、こいつは……ッ!

 

「ノキア!こいつ、クリサリモンだ!」

 

 

 

クリサリモン

成熟期・種族不明・属性不明

蛹のような姿をした成熟期デジモン。硬い外皮に守られ、背部から伸びる触手で敵を攻撃できる。必殺技は背部から伸びる触手で相手の構成データを破壊する『データクラッシャー』

 

 

 

アグモンが叫ぶや否や、俺はチビモンを左脇に抱え、右手でノキアの手を引いて走り出した。

 

「え!ちょっ!何!?なんなの!?」

「逃げるぞノキア!こいつ相手じゃ分が悪い!」

 

未だに状況が呑み込めてないノキアを引っ張り、アグモンとガブモンを引き連れてクーロンエリアの更に奥へと走る。

 

「待った待ったちょっと待ぁーった!あの凶悪フォルム全開のアイツもデジモンなんでしょ!?何で逃げるの!?」

「それは追われてたチビモンに聞いてくれ!」

「オイラだって知らないよ!そもそもクリサリモンが積極的に動くことなんて珍しいのに!」

 

言われてみれば、そもそもクリサリモンはインフェルモンに進化するための、いうなれば蛹の状態。それがチビモンを狙うなんて……もしかして、ナビットくんを嗾けたやつの仕業なのか?いや、今はそんなことはどうでもいい!何とかしてこいつを撒かないと!

 

「ってしまった!道が!」

 

角を曲がると、そこには壁が立ちふさがっていた。まずい!うっかり行き止まりに来ちまった……ッ!

 

「嘘!これって、もしかしなくてもヤバい感じ!?」

「ちッ!とにかく戻―――くそッ!」

 

俺が振り返ると、そこには既にクリサリモンが退路を塞ぐように立っていた。

 

「こうなったら、僕たちがなんとかする!行くよ!ガブモン!」

「おう!」

 

お、おい!それは流石に無茶―――

 

「【ベビーフレイム】!!」

「【プチファイアー】!!」

 

アグモンとガブモンが同時に放った必殺技が、クリサリモンにあっさりと命中した。

 

「やった!なーんだ。別に大したことなかったじゃん!」

「いや……」

 

歓喜の声を上げるノキア。だけど、確かこいつは……

そんなことを思っていると、必殺技の爆発で起こった煙が晴れていく。

 

「え……っ?嘘、確かにアグモン達の攻撃は当たったはずなのに……」

 

そこには、やはりというべきか無傷のクリサリモンがいた。

 

「……駄目だ。クリサリモンはアグモン達成長期よりも1つ上の段階の成熟期デジモン。その上、クリサリモンは成熟期の中でも特に防御力の高いデジモンだ。成長期の技程度じゃ、びくともしない」

 

俺たちが愕然としていると、クリサリモンは先端が鋭くなっている6本の触手の標準をアグモン達に合わせた。

 

【データクラッシャー】

 

「うわッ!」

「ぐぅッ!」

「ッ!?アグモン!ガブモン!」

 

クリサリモンの攻撃がアグモンとガブモンに襲い掛かった。まずい!今のはまともに入ったぞ!

 

「……ぐっ……ノキア、逃げ……」

「……か、身体が、自由に……」

 

倒れているアグモンとガブモンを尻目に、クリサリモンは俺たちににじり寄ってくる。

 

「け、ケンスケ……どうするの?」

「くッ!」

 

こうも道の中央に陣取られちゃ、脇を抜けて逃げられもしない。本格的にヤバい!どうする!どうすれば……ッ!

 

「ぐぐぐ……えいッ!」

「あ、おいッ!」

 

俺が焦っていると、チビモンが俺の腕から抜け出てクリサリモンの前に立ちふさがった。

 

「ケンスケ!こいつはオイラが引き付ける!だからその間に!」

「引き付けるって……相手は成熟期だぞ!幼年期のお前じゃ……ッ!」

「そ、そうだよ!よくわかんないけど、そんな小さな体じゃ無茶だって!」

 

俺とノキアの呼びかけを無視し、チビモンは只々クリサリモンを睨みつける。

 

「いいんだ。もとはといえばオイラが蒔いた種。お前らを巻き込めないよ」

 

それに、とチビモンは続けた。

 

「それに、オイラわかったんだ。抱えられてた時、ケンスケは絶対にオイラを離そうとしなかったのを。オイラを見捨てれば、逃げるのだって簡単だったはずなのに、見ず知らずのオイラを助けてくれたんだ」

「チビモン……」

「安心しろって!オイラにも勝算はあるしさ!」

 

やめてくれよ……それじゃまるで、死ににいくようなもんじゃないか……

 

「それじゃ……行くぞ!クリサリモン!」

 

チビモンがクリサリモンに向かって無謀な突進を始めた。あいつ……ッ!やっぱり!

 

「よせっ!チビモォォォォォンッ!!」

 

無慈悲にも、クリサリモンの触手がチビモンを襲おうとした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、辺り一帯に光が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何ッ!?なんなのこの光!?」

 

ノキアが光を腕で遮りながら声を荒げる。そんな中、俺は自らの腰のあたりから放たれている光源らしきものを手に取った。

 

「デジヴァイスが……光ってる?」

 

それは、先ほどデジモンキャプチャーをインストールし損ねた、俺の愛用するデジヴァイスだった。

 

「■■■■■■■■■■ッ!!」

 

この光に怯んだのか、クリサリモンは近づくのを止め数歩程度の距離を下がる。

 

「……なんだ?この光」

「……暖かい。力が湧いてくる!」

 

そして、一方でデジヴァイスの光を浴びたアグモンとガブモンが、さっきまで満身創痍だったとは思えないほど、力強く立ち上がった。

これは、もしかして―――

 

「進化の光?」

 

すると、デジヴァイスから放たれていた輝きが収束し、一筋の光となってチビモンを照らした。

 

 

 

 

 

『チビモン進化ぁーッ!ブイモン!』

 

 

 

 

 

ブイモン

成長期・小竜型・フリー

デジタルワールドの創世記に繁栄した種族の生き残りである小竜型デジモン。得意技は両腕をグルグル振り回し、相手を殴る『ブンブンパンチ』。必殺技は強烈な頭突きで相手を倒す『ブイモンヘッド』だ

 

 

 

「【ブンブンパンチ】!」

「■■■ッ!?」

 

ブイモンから放たれた拳が、クリサリモンの身体を僅かに後退させた。

 

「え!?何あれ!チビモンの姿が変わってる!?」

 

ノキアが興奮しながらブイモンを指さす。

 

「……チビモンが、進化した」

「し、進化?」

「ああ。幼年期のチビモンはパワーアップして、アグモン達と同じ成長期に進化した」

 

だけど、このままじゃ……

 

「くっそー!せっかく進化したのに、めちゃくちゃ固いなアイツ!」

 

ブイモンが殴った手を痛そうにふらふらと振る。後退こそしたものの、クリサリモンにはダメージを負った様子が見受けられない。

 

「いくら進化しても、今のままじゃ結局さっきと状況が変わらない」

「えぇ!?じゃあじゃあ、どーすんのよこれッ!」

 

進化したブイモンの力でも、少し後退させることしかできない。こんなんじゃ、通路の向こう側まで押し出すなんてできるわけが―――

 

「……まてよ」

 

何もあっちまで押し出す必要なんてないんじゃ……

 

「……ッ!そうか!」

「何か思いついたの!?」

「ああ。ブイモン!クリサリモンの脇に回り込んで、奴を壁に叩き付けろ!」

「おう!」

 

俺の指示を聞いたブイモンは、襲い掛かる6本の触手を避けつつクリサリモンの懐に入り込んだ。

 

「【ブイモンヘッド】!」

「■■■ッ!」

 

至近距離からの必殺技にクリサリモンは為すすべなく、そのまま壁に叩き付けられた。

 

「今だ!アグモン、ガブモン!クリサリモンに必殺技を撃ち続けるんだ!」

「わかった!【ベビーフレイム】!」

「【プチファイアー】!」

 

アグモンとガブモンはブイモンとクリサリモンの間に立ち、必殺技を放つ。体勢を崩したクリサリモンは、アグモンとガブモンの炎によって身動きが封じられた。よし、今がチャンス!

 

「ノキア!逃げるぞ!」

「え!?う、うん!」

 

俺とノキアはアグモンとガブモンの後ろを通り抜け、一目散に通路から脱出した。

 

「よし!アグモン、ガブモン、ブイモン!お前らも来るんだ!」

 

攻撃を止めたアグモンとガブモンは、ブイモンと共に俺たちの後に続く。

 

「走れ!」

 

俺たちは無我夢中でその場を去る。

こうして俺の、人生初のデジモンバトルは終わりを告げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

~interlude~

「■■■ッ!」

 

ケンスケ達が居なくなってから数刻後、1体のクリサリモンがクーロンを彷徨っていた。さっきまで自分が追いつめていた、青いデジモンとその仲間たちを倒すために。

 

(ムゲン)キャノン】

 

しかし、その目的は叶うことなく、突如として放たれたエネルギー波によってクリサリモンは跡形もなく消滅した。

 

「……デジモンキャプチャーを使用せずにデジモンを仲間に加えた少女に、デジモンを進化させた少年、か」

 

そこには、先ほどのエネルギー波を放ったと思われる機械仕掛けの竜と、その傍らに立つ白い服を着た黒髪の少年が居た。

 

「少女の方は稀にあるが、少年の方は初めて見る事例だ」

 

機械竜は少年の言葉に答えることなく、ただ悠然と立っていた。

 

「……今はまだ傍観に徹するとしよう。願わくば、彼らがEDENの秩序のためにあらんことを」

 

そうして少年と機械竜は、クーロンから姿を消した。

 

 

 

 

 


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