え?デジモンっていつからハッキングプログラムになったの?   作:作者B

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デジモンストーリー サイバースルゥースの続編が出るということで、テンションが上がって投稿した。反省はしていない。



ハッカー?冒険は仮想空間へ!

俺の名前は相場賢介。ごく普通の高校に通う、ごく普通の高校生。強いて違うところを挙げるとすれば、前世の記憶を持ってることくらいカナー。

前世ではいつ死んだのか、何故死んだのかさっぱり覚えてない。その上、ネット小説によくあるような『ファンタジーの世界に転生』や『神様に転生特典を貰う』なんてイベントも無く、俺は平和な日本に住む普通の一般家庭に生まれてきた。

転生したメリットなんて精々学校の勉強をしなくてすむぐらいのもので、下手に精神年齢が高い俺は歳相応の同級生達にどうしても馴染めず、家に一人で居ることが多くなった。

一人なのはともかく、何故家に引きこもるのか。それは、俺の前居た世界は唯一異なるといっていいものが、この世界には存在していたからだ。

 

電脳空間『EDEN』 カミシロ・エンタープライズが運用する商用最大ネットスペース

 

デジタル上にある仮想空間内で、自身の代理であるアバターを宛ら生身のように動かすことが出来る、まさに仮想現実(バーチャルリアリティ)だ。こんなSF小説でしか見たことないようなものが実在するだけで普通ならテンションが上がるけど、俺がこのEDENにのめり込むようになった原因は別にある。

 

 

 

そいつの名前は『デジモン』。

数年前からネット上で名前だけが飛び交ってる、謎のプログラム。しかし、俺は知っている。そいつらは、身体がデジタルで構成された、生きたモンスターだということを!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、実際に遭ったことないんだけどね……

それでも、初めてデジモンの存在を知った俺は、テンションがすぐに振り切れた。だってデジモンだぜ?デジモンっていえば俺の青春のバイブルだったといっても過言じゃないね!俺はゲームはやらずにアニメしか見てなかったが、それでもテレビシリーズは最新のものまですべて視聴した。更に俺は、それぞれの物語の裏設定もネットで見たりして、さらにのめり込んだ。

さらにさらに!この世界には『デジヴァイス』が存在する!その用途はただの通信端末だけど、俺の目は誤魔化せない!きっと、その中に本物が混じっていて、選ばれし子供達がデジタルワールドに行くに違いない!やべぇよコレ!もし俺が呼ばれたらどうしよう!マジテンション上がるFooooo!

 

 

 

そんな風におかしくなっていた翌日、俺は我に帰って枕に顔を埋めてジタバタするのだった。冷静に考えればそんなことは有り得ないんだが、あのときは妙なテンションになっていたんだから仕方がない。

まあ、それでもちゃっかり、俺はとあるデジヴァイスを愛用している。その名も、『デジヴァイスVer.02』!デジヴァイスが出回り始めただいぶ初期のころに発売されたもので、なんとその見た目はデジモンアドベンチャー02のデジヴァイスと瓜二つなのだ!でも、スペックは今販売されている最新型と比べると7と98くらいの差があり、正直実用性は殆どない。べ、別にいいもんね!俺は好き好んで使ってるだけなんだから、性能は二の次なんだからね!……本当は『デジヴァイスVer.01』、いわゆるデジモンアドベンチャー無印の方がよかったのはナイショだ。

 

そうこうしているうちに月日が経ち、選ばれし子供に選ばれるような年齢でもなくなり、されどデジモンの名前は見えども姿見えず、といった感じでただ何となく毎日を過ごしていた。

そんなある日、イラストのアバターを使いネット上の友達で集まってチャットをしていると、チャット仲間の一人が突然こんなことを言い出した。

 

 

 

「みんな!『デジモン』しってる!?」

 

 

 

この日が、俺を冒険へと誘う運命の日となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デジモン』

 

 

 

チャット仲間の一人『アッキーノ』が何の脈絡も無く言い放った言葉を見て、俺は一瞬思考が停止した。

 

(へ?デジモン?デジモンって、あの?)

 

これまでそれとなく調べてもよく分からなかった存在、それが急に出て来たことに俺は動揺を隠せなかった。

でも俺は、次の言葉を見てすぐに冷静になった。

 

「知ってる、『デジモン・プログラム』だろ?『ハッカー』が使ってる、ヤバいプログラムだ」

 

え?ハッカー?

俺がデジモン関係でおおよそ聞き慣れない単語を疑問に思っていると、さっき発言したチャット仲間の『ふぁんた爺』が詳しく話してくれた。

要約すると、ハッカーたちはそのデジモンプログラムを使って違法行為を行っているらしい。それって名前が似てるだけで、俺が思い描いているのとは違うものなのか?でも、そのデジモンプログラムはまるで生き物のように動くらしく、なんでも野良デジモンなんてものもいるらしい。

やっぱりデジモンなのか?それと別物なのか?そんな疑問が頭の中でグルグルと回っていた。

 

《『ナビットくん』がログインしました》

 

すると、突然チャット空間にEDEN公式マスコット『ナビットくん』が入ってきた。

 

「こんにちわ!ナビットくんだよ!」

 

な、なんだ?なんでこんなところに運営公式キャラが?

そんな当然の疑問がチャットルームの皆で広がっていると、ナビットくんはとんでもないことを言い出した。

 

「ぼくはナビットくんだよ!ハッカーだよ!」

 

……ハッカー?ハッカーって、今まさに話題に上がってた、あの?

 

「君達に"すてきなプレゼント"があるんだ!明日EDENにログインしてね!

 絶対だよ!ログインしてくれなきゃハッキングしちゃうよ! じゃね☆」

 

《『ナビットくん』がログアウトしました》

 

俺達が呆けていると、ナビットくんは言いたいことを言い終えたのか、そのままログアウトして出ていってしまった。

 

「何だったんだ?今の」

「マジもんのハッカー?」

「まっさかーそんなわけないっしょ」

 

……本当に何だったんだ?運営の宣伝か?それとも本物?

だとしたらこのままだとやばくないか?いや、でもアカウントの奪取なんて、そんなこと、いや、そもそもただの悪戯かも……

 

皆がさっきのナビットくんのことであーだこーだと話していると、アッキーノが再び爆弾を投下してきた。

 

「おもしろそうじゃん!行ってみよ!」

 

……お前は何を言ってるんだ。

アッキーノ以外の皆は多分、俺と同じことを思ったに違いない。いや、なんでそうなるんだよ!さっきは悪戯かもとか思ってたけど、普通に考えて本物のハッカーかも知れない奴の言うこと聞くか!?

 

「……アッキーノ、本当に行く気か?本物のハッカーだったらどうする?」

 

ほら!ブルーボックスもそう言ってるじゃん!他の皆もうんうんって頷いてるよ!顔見えないけど。

 

「大丈夫だって!どうせ運営のイベントでしょ?ま、ホンモノの方がオモシロそうだけど!」

 

随分楽観的だな……まあ、仕方ないのかもしれないけど。俺だって実感湧いてないし。まあ、そこはブルーボックスが上手く説得してくれるでしょ。

俺?俺はヤだよ。そんな面倒臭そうな役回り。

 

「これ以上言っても聞かなそうだな……仕方ない。俺もついて行ってやる」

 

えぇ!ちょと折れるの早過ぎじゃありませんでしょうか!何!?ブルーボックスも面倒臭くなっちゃったの!?

諦めんなよ、諦めんなよお前!どうして止めるんだそこで!頑張れ頑張れ出来る出来る頑張れもっとやれるって(ry

 

「ほかにだれか一緒にいく人はー?」

「今ちょっと片腹が痛くて……」

「じびょーのしゃくが」

「ひざに矢をうけたので病院に行かないと」

「頭の具合が悪いので遠慮するでござる」

「ちょwwwあんたたちwww」

 

ぬるま湯に浸かってんじゃねぇよお前!今日からお前は富士山だ―――ってあれ?いつの間にか俺とアッキーノとブルーボックス以外居なくなってるんだけど。

 

「皆ノリワルいなー。ねえ、AI◎BAはどうする?」

 

アッキーノが残った俺に尋ねてきた。まったくそんなの分かりきってるだろ。わざわざ危険なところに、行くなんてバカのすることだ。というわけで……

 

「行くに決まってるだろ!」

 

まあ、俺もバカだったってことで。

デジモンとハッカー。この二つの関係を知ってしまった以上、俺には危険を冒してでも前に進むという選択肢しかなかった。そうして俺とアッキーノとブルーボックスの3人は夜遅くまで取り留めもない話をしながら、明日の集合場所を決めて解散となった。

あ、ちなみに『AI◎BA』っていうのは俺のチャットネームね。

 

 

 

 

 

そんなこんなで翌日、俺は電脳空間EDENのクーロンと呼ばれる所に来ていた。EDEN内では昨日のチャットルームとは違い、生身と寸分違わないアバターを、まるで本当に身体を動かすように操作する。これだけ聞くと、某MMORPGの世界でデスゲームする小説を思い出すな。

そしてクーロンとは、EDEN稼動初期に造られたエリアで、今では運営に放置されて手付かずとなっている無法地帯である。

なんでそんな所で集合するのかというと、チャット解散後にナビットくんから集合場所のURLが送られてきたからだ。EDENはまるで現実と瓜二つの空間だけど、こういうのを見るとネット上に居るんだなと感じる。

そんなわけで、俺はクーロンに入って少し歩いたところにある公園の廃墟『ガラクタ公園』へとやってきた。

 

「うぅ……」

 

もうボロボロの遊具しか残ってない公園の中心には一本の電灯が建っていて、その近くには既に女の子が立っていた。赤いセミロングの髪を左右で二つにまとめ、その快活そうな瞳は薄暗い場所で待っていたせいなのか目尻が下がっており、不安そうに辺りを見回している。

 

「あ……っ!むぅぅぅぅっ!」

 

俺の姿を確認した彼女は嬉しそうな顔をしたと思ったら、次の瞬間には『アタシ怒ってます』といった感じでむすっとした表情へと変わった。

 

「おっそーい!もう、か弱い乙女をこんなところで待たせないでよ!」

「す、すまん」

 

条件反射的に謝る俺。てゆうか目の前の少女は十中八九、件の彼女なんだろうけど、実際に会ったことない人に対してよくこんなに砕けて喋れるな。

 

「まったく!アラタの奴はあたしを置いてひとりで勝手に行っちゃうし!最後の一人は何時まで経っても来ないし!」

 

俺、というか人と会って安心したのか急に饒舌になったな。まあ、いつまでうじうじされるよりかはいいか。

 

「はぁ……そ、それで?あなたが『AI◎BA』?もし違ったら、あたしチョー恥ずいんだけど」

 

お、頭が冷えて冷静になったみたいだな。

 

「ドーモ。アッキーノ=サン。AI◎BAです」

「え?あ、どうもアッキーノです。っていうか『白峰ノキア』っていいます。以後よろしく」

 

初対面の人間にアイサツは絶対の礼儀だ。古事記にもそう書いてある。

 

「俺は相羽賢介だ。そういえば、ブルーボックスはまだ来てないのか?」

「……ブルーボックス、ですって?」

 

あれ?また地雷踏んじゃった?

 

「ちょっと聞いてくれる!?アイツあたしを置いて『ちょっと幽霊探してくるわ』とか言いながらどっかいちゃったんだよ!?マジ有り得なくなくなくない!?」

 

ノキアさーん、それだと肯定しちゃってますよー……て、おや?

 

「大体ユーレイとか何なの!?イミワカンナイ!」

「……おい」

「デンノークウカンにユーレイとか、ヒカガク的にも程があるんですけど!」

「……おーい」

「それに何!?こんな可憐な少女よりも、居もしないユーレイの方が大事なのかそうなのか!」

 

ノキアがまたヒートアップしていると、その後ろからフードを被った三白眼の少年が呆れ顔で近付いてきた。

 

「んもう!ちゃんと聞いてるの!?あたしの後ろばっかり見て!人の話を聞く時はキチンと目を見てってセンセーに―――」

 

そう言いながら、ノキアは俺が視線を向けている方へと振り向いた。

 

「よう」

「にぎゃぁぁぁぁぁっ!出たぁぁぁ!」

「……お前、さっき幽霊は非科学的だの言ってなかったか?」

 

フードの少年はふぅ…と溜め息をつくと、どうぇえぅおおぉぉぉと奇声を上げているノキアを無視して俺の方へ視線を向け、フードを脱いだ。首元まで伸びる黒髪、そして青いツナギの上に白いジャージを羽織った少年。彼が件のブルーボックスらしい。

 

「おたくが『AI◎BA』だな。俺がブルーボックス、もとい『真田アラタ』だ。よろしく」

「お、おう。相羽賢介だ。よろしくな」

 

互いに自己紹介が終わると、正気に戻ったノキアがキッっとアラタに鋭い視線をぶつけた。

 

「あたしを無視して話進めないでよ!てゆうか何!?こんな危ない場所で独りぼっちにされて心細かったあたしを脅かすとか、あんたには血も涙もないわけ!?」

「チキンの癖にこんなところまで来るからだろ?」

「えぇ!?べ、べべべべ別に怖がってなんかないんだから!ってケンスケ!生暖かい目でみるんじゃなーい!」

 

おっと、慈愛(笑)の目で見てたのがばれたか。

まあいいや。いい加減話を切り上げないと、いつまでもぐだぐだしそうだしな。

 

「それで、アラタ。何か手がかりは見つかったのか?大方、ナビットくんのこと調べてたんだろ?」

「は?え?ナビットくん?あんた、ユーレイ探してたんじゃないの?」

「あのな……そんなわけないだろ?そっちもついでに探してたけど、メインは昨日の奴の方だ。もっとも、どっちも手がかりすら掴めなかったんだけどな」

 

そうか。せめて向こうの意図がわかればよかったんだけど……

 

「いや、こいつも正確じゃないな。人っ子一人いなかった、って方が正しい」

 

人っ子一人?

 

「別に変なことじゃないんじゃないか?こんな寂れた場所なんだし」

「ここはハッカーの溜まり場だぜ?それなのに誰も居ないなんて、こいつは流石におかし―――」

 

すると突然、アラタの言葉を遮るように3人のデジヴァイスの着信音が一斉に静かなクーロン内に鳴り響いた。

 

「な、何なの!?」

 

そして、こちらが何もしていないにもかかわらず、目の前にウィンドウが現れた。

 

『ナビットくんだよ!皆、お待たせ!』

「ッ!?ナビットくん!?」

 

まさか、端末に直接ハックしてくるのか!いや、昨日のチャットの時点で、こういう可能性も考えておくべきだった!

 

『今日は、集まってくれた君たちに、ボクからプレゼントだよ!』

 

すると、ナビット君は画面の向こうで嬉しそうに飛び跳ねた。

 

『これは、世界を変える"奇跡(ちから)"だよ!』

 

そして、ナビットくんは言いたいことを言い終えたのか、通信を終了した。

 

「な、何?なんなの、今の?」

 

ノキアが不安そうな声を挙げた、次の瞬間、目の前にノイズが走った。

 

「ッ!?チッ!なんてこった!今、一瞬でハッキングされたぞ!」

 

事態をいち早く察知したアラタは苦虫を噛み潰したような顔をする。すると、それに遅れるように、俺たちの目の前にシステムメッセージが現れた。

 

≪新規プログラム・デジモンキャプチャーがインストールされました≫

 

「デジモン、キャプチャー?」

 

ノキアは目の前に出たメッセージを理解できずにいる。

 

「くそっ!俺の防壁(ウォール)がこうも容易く突破されるか!相手は相当のやり手だな……」

 

一方のアラタは、おそらく自作していたのであろう防壁が破られたことに悔しそうにしている。

だけど、俺はそんな二人とは内心は異なるものだった。

 

 

 

デジモン

 

 

 

俺が長年、夢にまで見たものが今、目の前にある。そう思うと、不謹慎だけど興奮せずにはいられない。

だけど神様は平等なようで。俺にも不安の種をぶつけてきた。

 

≪Error!容量が足りません。インストールを強制終了します≫

 

……へ?エラー?

 

「ね、ねえ。でじもんって、あのデジモン」

「ああ。おたくが興味津々だった、あのハッカーの周りで出回ってるっていう、あれだ」

 

あの、ちょっとお二人さん。俺のやつ、インストールされなかったみたいなんだけど……もしかして、旧式のデジヴァイスを使ってたから?

ガッテム!まさか、俺の変なこだわりがこんなところで足を引っ張るなんて……!

 

「ふーん。どうやら、特定のデータ『デジタルモンスター』をスキャンして捕まえる(キャプチャーする)プログラムらしいぜ」

「え……!?でじもんって、ハッカーが使うヤバいプログラムなんでしょ……!?」

「そういうこと。要するに、俺たち全員ハッカーに足突っ込んだってことになるかもな」

 

止めて!勝手に話進めないで!シリアスな空気にされると、なんか言い出しづらいから!

 

「ヤダ……ヤダヤダヤダ!は、早くこんなプログラム捨てなきゃ―――って、嘘……アンインストールできない……!?」

「やめとけ。プログラムにプロテクトがかかってる。無理やり削除しようとすればどうなるか、分かったもんじゃねえ」

 

まじかよ……明らかに不安そうなノキアの前で『俺、インストール失敗しちゃったんだよねー』とか言い出せるわけねーよ、これ!

俺も俺で混乱していると、クーロンの奥へと続く通路の方で動く影に気が付いた。

 

「ッ!誰だ!」

 

俺が声を挙げると、その影はクーロンの奥へと逃げて行った。

 

「何だ!今の人影!?」

「え……な、何……?」

「逃がすかよッ!」

「お、おい待て!アラタ!」

 

そう言うと、アラタは怪しい人影を追いかけていってしまった。

ってえぇぇぇぇ!?ち、ちょっとまてぇい!ここは危険なエリアなんだろ!?何の躊躇もなく一人で先走るなよ!

 

「あんにゃろう……ったくしょうがねえな。ノキア、どうする?」

「あ、あたし?あたしは……」

 

ノキアは声を震えさせながら、視線を下へと向ける。明らかに怯えてるな……。まあ、こんな状況じゃ当たり前か。俺?俺も全然平気じゃないよ。ただ歓喜と絶望と恐怖が入り混じって一周回った結果、逆に冷静になったように見えてるだけだから。

 

「しょうがないか。とりあえず、お前を安全な場所まで連れてく」

「え?あ、アラタは……?」

「ノキアを送って行ったら俺が戻ってすぐに追いかける。だから大丈夫だ」

 

アラタは自力で防壁を作成できるくらいの腕を持ってるみたいだし、少しの間なら大丈夫だろう。それよりも、明らかにこっちの方が放っておくと危険そうだしな。

そんなことを思いながら、入口の方に目を向けると―――

 

「う、そ……」

 

そこには、巨大な壁が俺たちの行く手を塞いでいた。

 

「何だ……?さっきまでこんなもの……」

「これもハッカーのせいなの……?」

 

くそっ!意地でも俺らを返さない気か!これは、俺やアラタはともかくノキアはまずいんじゃないか?いや、この様子だとアラタの方も楽観視できないな……。

 

「ノキア、俺は今からアラタを追いかける。アラタならもしかしたらこいつを何とかできるかもしれないからな。ノキアはどうする?」

「あ、あたしは……」

 

ノキアは両手を握り、身体が震えるのを必死に抑えている。無理もない。こんな状況に立たされたら誰だってそうなる。

 

「い、行く……あたしも行く!」

 

声が震え、今にも泣きだしそうになりながらもノキアは、はっきりとそう答えた。

 

「いいのか?」

「う、うん!一人でいるよりもずっと良いし……それに、一人で勝手に行っちゃったアラタにオキューをスえないと気が済まないし!」

 

うおー!アラタコノヤロー!と叫ぶノキア。明らかに無理をしているのが見え見えだけど、まあ一人で放置するよりは安全か。

 

「よし、そうと決まればさっさとアラタの奴を追いかけるか」

「うん!」

 

そうして、俺とノキアは二人でアラタを追いかけるのだった。

 

 

 

 

 




全然デジモン出てこなくて、すまない……
まあ、今回は世界観を掴んでいただければ、ということで。

次回からがっつりと出てくるので、それまでお待ちください。

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