大洗戦から四年後、
俺「多分全員事情は知ってるだろうから手短に確認だけする。男子の戦車道が意図的に潰されてる。犯人は戦車道連盟上層部の男子戦車道反対派。言い方は対外向けでオブラートに包んでたが、邪道で伝統も理解しない、そして弱い男子チームは日本戦車道界の恥だから廃止すべき、だそうだ。それでもまだ男子戦車道をやめないと言うなら女子チームと試合して勝ってみろ、だとよ」
ネクラ「…で、本音は?」
俺「恥とかどうでもよくて自分達の優位性を保ちたいだけだろうよ。この試合だって不公平だ」
キモオタ「まるで大洗と大学選抜のときのようですな」
俺「そのときの方がまだ良心的だ。『まったー!』で選手補充可能だからな」
クロウ「…選手補充は出来ない、と」
俺「今御舞等校舎にある八輌のみ使用可能。さらに凄いぞ?ええと…センチュリオンって戦車あるよな」
チビ「ええ、あの45年開発開始でその後10年間主力戦車だったっていう化物…」
俺「それがいいんだったら一部の戦後戦車も使っていいのでは?とかいう案が出まして、今回の試合で試験運用だそうです“試験的にレギュレーションを変更し、西暦1955年までに運用された戦車の使用を三輌まで許可する”突然のルール追加だ。」
チョウ「一応確認シマス…我々が使える戦車は?」
俺「一応確認しよう。一式中戦車、SU-100、M5軽戦車、Ⅱ号戦車、ルノー乙型、バレンタイン歩兵戦車、Ⅰ号戦車C型、SMK重戦車。現在御舞等高校が保有してる戦車のみだと。他の戦車は文科省預かりだ」
不良「オーケーオーケー理解した。どう足掻いても勝たせる気は無い、ということでいいな」
オネェ「こう考えると大学選抜戦ってかなり良心的ね」
俺「だからって逃げるか?」
阿部「男は度胸」
俺「なんだって試してみる、だろ?」
阿部「腕はなまっちゃいないな?」
俺「むしろあの時より成長してるわ。男子大学選抜代表を舐めるなよ?」
阿部「…勝っても負けてもお前に未来は……負ければ男子戦車道の存在に王手かけられるのはもちろん、勝っても戦車道関係者の上層部から睨まれるぞ……代表選手の座だって」
俺「そんなみみっちい迷いなんて捨てちゃえ、どこでだって戦車は出来るさ」
クロウ「代表殿は懐が広いですなぁ!ついでにメシの一つでも奢ってくれないか?」
俺「そういうのはお前の役目だ、男子大学選抜副隊長殿?」
北部演習場
かつてプラウダ高と激戦を繰り広げた会場である。今日も雪が降っている、予報によればこれからかなり荒れるそうだ
俺「……本日はよろしくお願いします」
ババア「ええ、いい試合にしましょう」
俺(何がいい試合だクソババア。一方的に蹂躙したいだけだろうが)
ババア「あまり、オイタをし過ぎない事ね、坊や……今諦めたほうが貴方のためよ?」
俺「諦めの悪さは戦車道に学びましたから」
ババア「…貴方のような人間が戦車道を語らないでいただけます?」
俺「随分と化けの皮が剥がれるのがお早いようで。お顔にカーボン貼ったほうがいいんじゃありませんか?」
ババア「……調子に乗るんじゃありませんっ!!もう後戻りは出来ませんからね!!」
俺(あんなこと言ってるけど自分じゃ戦わないんだよな)
俺「で………これか…」
阿部「すまん…まさか奴らがここまでやるとは思わなかった……」
これほど『絶望』といえる状況は人生にまたとないと思う。
メンバー全員が試合運営に呼び出され諸注意を確認している間に御舞等高校の戦車は破壊されていた
ガレージごと倒壊しているということは恐らく事故として処理するつもりなのだろう。
幸いかどうかは判断しかねるが戦車を破壊したのはなんの知識も無いチンピラだろう。恐らく何者かに雇われたと思われる。お陰様と言っては何だか復旧は可能であった。あくまでもじっくりと修理しなければならないが
俺「…なんなんだよ……どっちが下品なんだよ…クソババア共………糞ッ!!!畜生ッ!!俺達の戦車をッ!!!なんでそんなことまで出来るんだよ!!自分の欲のためになんでこんなことが出来るんだよ!!」
阿部「……すまない…今から復旧しようとしても試合には間に合わない……」
俺「間に合わなくてもやるんだよ!!間に合わせるんだよ!!あんなババアに負けるなぁ!!一輌でもいい!!」
クロウ「…そうだ……やってやる!キビキビ動け!まだ試合は始まってもいない!!急ぐぞ!!」
本当は全員解っていた。もう間に合わないことなんかとっくに解っていた。それでも動くしかなかった。奴らが欲しいのはあくまで勝利という事実のみ。そんな奴らに屈したくはなかった
??「動きがなってないぞ!御舞等!」
俺「…ハァ…ハァ………あなた達…は……」
俺「大洗女子の…自動車部!!?」
ナカジマ「元、ね。久しぶり!」
俺「な、なんで…」
ホシノ「いやー突然呼び出されて驚いたよ!まさかこんなことになってるだなんて……うわ……酷いね…この戦車……でも、直せるかな」
スズキ「西住隊長に頼まれたんだ、君達を助けてあげてほしいって」
俺「マジか………でも…ありがたいけど…もう時間が……」
ホシノ「ハァ……周り見てみて」
俺「周りって………」
あり得ないほど天気が大荒れしていた。一寸先が見えないくらいに大雪
俺「え……?」
ツチヤ「ああ…これね……サンダースのせい」
俺「は?」
ナカジマ「仕組みはよく知らないんだけどここの上空の雲にヨウ化銀を飛行機で散布したんだって。それで無理矢理雪を降らせた。試合開始予定は午前9時だったけど…この感じじゃ夕方くらいになりそうだね」
会場上空
アリサ「ミッションコンプリートよ」グッ!
ナオミ「全く、ケイは大学に上がっても人使いは荒いままね」
ケイ「こんなフェアプレイに反してる試合を見て何もしないなんて選択肢ないでしょ!」
ぶぉぉぉぉぉぉん!!
一仕事を終えたサンダース編隊はそのまま何処かへと飛び去っていった
カチューシャ「仕っ方無いからこのカチューシャが助けに来てあげたわよ!ただ近場だっただけだけど!」
俺「か、カチューシャ様…まだロリ」
カチューシャ「あ、急用思い出した」
俺「ないすばでーでございます」
カチューシャ「よろしい。やっかいなSMKとSUの修理ならプラウダ任せなさい!足りない人手は畑で取れるわ!」
『ウラァァァァァァァァァァ!!』
大量のプラウダ生徒が崩壊したガレージに集まる
俺「カチューシャ隊長もうOGですよね…」
カチューシャ「卒業した今でもカチューシャの人徳は収まることを知らないわ!」
俺(おそらくノンナさんの教育だろうな)
絹代「突貫ッ!!」
俺「うわぁ!!」
不良「げふぅぅぅ!」
そこに突然チハの集団が!
絹代「不肖西絹代!御舞等の支援に参りました!新砲塔チハの部品であります!チヘの修理にお役立て下さい!!」
俺「ありがとうめちゃめちゃ助かった!けど今不良が撥ね飛ばされた!!」
エリカ「はぁーい、仕方無いから来てあげたわよ」
俺「ハンバーグ師匠!!」
エリカ「逸見エリカッ!!!」
俺「コミュニケーションだコミュニケーション!それにしても久しぶりだなぁ!」
エリカ「アンタがこんなトラブルに巻き込まれてなければもっといいんだけど…はぁ」
俺「…はぁ」
エリカ「まあ観戦だけのつもりだったけど緊急事態なら仕方無いわね…何か出来る事があるなら手伝ってあげるわよ…ああそうだ、ダージリンからこれ頼まれてるんだった、はい」
俺「え、何これ…何かのアドレス……」
………………………………………………………
俺「何だよこれ…ネット中継…?これってココだよな…まさか試合を中継するつもりか!?」
エリカ「修理が終わったら精々活躍しなさいな。大丈夫よ、既にこの試合の経緯も、御舞等のことも全部ネットで流れてるから連盟は既に赤っ恥ね」
俺「ダー様なんつー手腕だよ…再生数とんでもないぞ…」
エリカ「あとちゃんと携帯チェックしときなさいよ、結構メールやらなんやらで応援来てると思うわよ」
俺「ああ…すまん、まったく余裕なくて確認してなかったわ」
アンチョビ『パスタ茹でて待ってます』
俺「どこで!!?」
エクレール『最終章のためにフランスに取材と聞いて心踊っていましたらBC自由…やってられませんわねぇぇ!』
俺「気を強く持って!!まだわからないから!あとそれ今言う!?」
『やられても立ち上がれ!byボコランドスタッフ一同』
俺「意外なところから!?」
エリカ「どう?元気出た?」
俺「思わず出たよ…ありがと…」
エリカ「どういたしまして」
愛里寿「………」
俺「おお!愛里寿嬢まで来てくれたのかー!久しぶりだな!嬉しいな!凄いなでかくなったな!……って当たり前か、もう16だもんな、あれ?17だっけ?」
愛里寿「……ごめん…なさい…」グス
俺「ええええ!待て待て泣くな!どうしたいきなり!ほら涙ふけ!」
愛里寿「家元の…娘なのに……何も出来なかった………うぅ…」グス
俺「…ああ…大丈夫!勝つから!そしたら全部元通り!」
愛里寿「…本当に?」
俺「もちろん、俺を誰だと思ってやがる!」
愛里寿「メイド…もしくはボコ」
俺「………………………うん。まあそれでいいや。むしろ相手が愛里寿嬢じゃなくてよかった。そうだったら勝てないかもしれない」
愛里寿「…大丈夫、誰にだって勝てるよ。私とみほ以外なら」
俺「いずれ愛里寿嬢にも勝ちに行くぞ」
愛里寿「…うん」
みほ「隊長さん…」
俺「おおお!西住殿!凄いな今回!学園十色流したい!」
みほ「…力になれなくて…何も出来なくて…本当にすいません…」
俺「またかよ…十分に力になってるよ!自動車部寄越してくれなかったら詰んでたし」
みほ「…勝って、下さい…私、まだあなたに負けてません!」
俺「…四年前か…あの試合の後に確かに言ったな…次は勝つ、って」
みほ「はい!」
俺「俄然やる気が出てきた!それじゃあチヘたんの様子見てくる!」
みほ「あ、忘れてました!ちょっと待ってください!これを!」
俺「え?電話?出ればいいの?…もしもし」
しほ『連盟は膿を出すときが来たわね…存分にやりなさい。貴方の手で道を示してやりなさい。特別に、西住流が貴方達の後ろ盾です』
俺「家元ぉぉ!!??…おいおい……とんでもない後ろ盾だな…おい……」
しほ『ええ、でもこれで貴方は勝つしか無くなりました。西住流に負けは許されませんから』
俺「ハァ…負ける気なんかありませんよ、もちろん」
アンチョビ「どこほっつき歩いてた!帰ってくるの遅いぞ!」
俺「アンチョビ!?何やってるの!?」
アンチョビ「メール送っただろ!パスタ茹でてるって!長丁場になりそうだからアンツィオ高校緊急出動だ!」
俺「どこの学校も何この戦車道界隈のOGの権力!!?俺も大学生なのに御舞等高校の戦車使ってるから人のこと言えないけど!」
ペパロニ「そりゃあドゥーチェっすからね!はい暖かいスープスパ」
俺「おお!ありがてえありがてえ」
モグモグ
俺「で、アンチョビ。お前がここにいるって事は情報屋として機能してると思っていいな?」
アンチョビ「Si!今回は特別にサービスしてやる。お代はいらん」
俺「良心的だな」
アンチョビ「…それじゃあ全30輌公開するぞ…」
T-54A
T-54A
T-54A
カール自走臼砲
カール自走臼砲
JS-3
JS-3
JS-3
JS-3
JS-3
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
T-44
T-44
T-44
T-44
T-44
スーパーパーシング
パーシング
パーシング
パーシング
パーシング
パーシング
チャーフィー
チャーフィー
チャーフィー
アンチョビ「感想は?」
俺「ぼくのかんがえたさいきょうのちーむ」
アンチョビ「だろうな」
俺「だけどこれさ、相手が俺達だって分かってやってるのかな?」
アンチョビ「というと?」
俺「俺達倒すのにカールなんていらないだろ」
アンチョビ「まあそうだな。私が指揮するならカールと重戦車を削って高性能な中戦車、軽戦車で索敵を強めるな」
俺「俺だってそうする。無用の長者だからな。怖いのはカールよりもT-54Aだ。朝鮮戦争レベルだぞ…」
アンチョビ「……」
俺「…まあ、くよくよしても仕方ないな。作戦に変更はないな。今は修理修理!メシありがとな!」
アンチョビ「…おう!」
元自動車部達とその他皆様のお陰でなんとこの短い時間だけで全車両復旧ッ!!完全復活!!!!
俺「本当にありがとうございましたッ!!!」
ナカジマ「あ、ごめんね。今メイドさんの取り合いジャンケンで忙しいんだ」
俺「待って!そのメイドって誰!!?俺!??」
元御舞等高校
一式中戦車チヘ(試製57mm長砲身)
SU-100
ルノー乙型戦車
Ⅱ号戦車L型ルクス
M5軽戦車
バレンタイン歩兵戦車
Ⅰ号戦車C型
SMK重戦車
社会人選抜チーム
T-54A
T-54A
T-54A
カール自走臼砲
カール自走臼砲
JS-3
JS-3
JS-3
JS-3
JS-3
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
センチュリオン
T-44
T-44
T-44
T-44
T-44
スーパーパーシング
パーシング
パーシング
パーシング
パーシング
パーシング
チャーフィー
チャーフィー
チャーフィー
天候は(人工的に)御舞等に協力してくれて試合開始時間は大きく遅れ現在時刻は午後3時
ようやく試合が始まろうとしていた
社会人隊長「ほ、本当に君達が相手なの……?」
俺「…何も聞かされてないんですか?」
社会人隊長「男と試合するって言うのは聞いていたけど……本当にその…その戦車で戦うの?輌数が少ないって聞いてはいたけど…失礼だけど性能の差が…」
俺「………そういう条件なので」
ババア「なに陽気に話してるんです!!時間が遅れてるんだから早く始めなさいッ!!」
俺「………だそうですよ」
社会人隊長「……」
『よろしくお願いします』
試合が始まった
もう本編終わったし双方原作キャラじゃないし好きにやっていいよね☆っていう勢いで書いた
後輩に手出して愛里寿嬢泣かせた時点で御舞等の勝ちは確定しました