主人公もう黙れよぉ!これ以上はマズイよぉ!
??「……何事ですか?」
眼鏡「い、家元!!」
ぶりっ子「師範…!?」
現れたのは師範、西住しほ
しほ「こちらの方々は何者でしょうか?」
俺「どうも、御舞等高校から来ました、俺と申します」
キモオタ「同じくキモオタ」
ネクラ「…ネクラ」
しほ「…ああ、あの…。それで?何をしにいらしたのですか?」
俺「少し西住流の見学に。そこにいる門下生の人が丁寧に説明してくれました」
キモオタ(いけしゃあしゃあと…好青年装ってやがりますな)
しほ「ほう…それにしても戦車持参とは穏やかじゃないですね……」
しほは演習場の方に目を向ける
俺(…一戦やったのはバレてるか)
しほ「それで?どうだったんですか?」
眼鏡「う…」
俺「いや~なかなか勉強になりました!流石は西住流って感じですね!」
しほ「………」
Ⅳ号とチヘの方を見やる
キモオタ(確かに戦車の状況を見れば勝ち負けはわかりますな…)
しほ「…まあいいでしょう……してやられるとは…すこし“指導”が必要そうですが…ね」
三人『!?』
ネクラ(ヒエ…どんな指導だよ…)
しほ「まあ冗談ですが」
キモオタ(今のが冗談て……マジな目ですけど!!?)
俺「その場合、大多数の門下生に“指導”が必要になりそうですねぇ?」
キモオタ「俺氏!?」
零度近かった空気の温度が一気に氷点下80℃まで落ちる
しほ「…何が言いたいのでしょうか?」
俺「そのままの意味ですよ」
それでも続ける
しほ「今までの試合、一応は見ましたが……西住流にその邪道で勝てるとでも?」
俺「そこで邪道という言葉が出てくるあたり、天下の西住流師範に少しは興味を持っていただいてるようで嬉しい限りですが…」
表情を変えずに続ける
俺「今までの試合、特に黒森峰の試合、一応は見ましたが……停滞した強さでいつまでも勝ち続けられるとでも?“犠牲”を省みずに戦い続けるのですか?」
しほ「西住流は何があっても前へ進む流派。強きこと、勝つことを尊ぶのが伝統。犠牲なくして、大きな勝利を得ることは出来ないのです」
俺「そして、あの優秀な副隊長を犠牲にした、と」
しほ「……当然です。勝利を求めるのに甘さは不要」
俺「…やっぱり話はあいませんね」
しほ「あなたのような経験のない初心者にはわからないでしょうね」
俺「…次の黒森峰戦、覚悟して下さい」
しほ「…邪道は叩き潰すのみです」
俺「道を外れて、何が戦車道だ……」
…………………………………………
俺「帰るぞ」
キモオタ「…はい、皆さん、失礼しました」
ネクラ「……」
しほ「…まほが帰ってきたら伝えなさい」
眼鏡「は、はいっ!」
しほ「王者の戦いを見せてやりなさい。そして、道を正してやりなさい」
俺「キモオタ、ネクラ」
キモオタ「…何ですか?」
ネクラ「…なんだ?」
俺「勢いであんなこと言っちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
キモオタ「はぁ!?」
ネクラ「へ!?」
俺「どうしよう!家元に喧嘩売っちまったよ!!どうすんだよ!!」
キモオタ「知りませんよ!というか何も考えずにあんなこといったんですか!?」
俺「あああああ!そうだよ!やべぇよ!やべぇよ!というか今日家元いないはずなんだよ!そういう日を狙って来たんだよ!なんでいるんだよぉぉぉ!!」
ネクラ「さっきまでの余裕っぷりはなんだったんだ…?」
俺「余裕なわけないだろ!?あの人めっちゃ怖い!目が怖い!視線で殺される!!」
ネクラ「本当…お前って奴は…」
俺「危うく漏らすところだったよ!!というかチビった!」
キモオタ「安心して下さい。パンツは常備してありますから!」
俺「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!やっちまったぁぁぁぁ!!」
格好良く決められない。それがこの主人公。
ネクラ「と、言うわけでこの馬鹿が不用意に喧嘩ふっかけたせいで相手チームの殺る気スイッチがONだ…」
チビ「うわ~ないわー」
俺「うるせぇ!やっちゃったものはしょうがないだろ!!そんなことより練習しろ練習!!」
チビ「西住流師範を敵に回して、この先この人生きていけますかね…?」
クロウ「月の無い夜は気をつけろよ」
俺「やめてぇ!お命だけはご勘弁をぉぉ!!」
不良「隊長、例の作戦のことだが…」
俺「エグッ…エグッ…か、完成したか?」
不良「ばっちりです!」
ネクラ「俺…その作戦、正気?」
このあたりでとりあえず泣き止む俺
俺「俺が今まで正気だったことがあるか?」
ネクラ「はぁ…」
先が思いやられる中、舞台は決勝へ!
たかが何も知らないガキの台詞だとしてもこれはしぽりんも心が痛いだろうなぁ…って思いながら書きました。